まいど屋コミック135号/徳川埋蔵金

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135話徳川埋蔵金

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お話に出てくるアイテム

MG722D
LEDライト　ジェン

ほう、LEDライトは日本人の発明なんだね。世界に先駆けて、それまで世の中になかったものを作ったワケだ。ったく、余計なことをしてくれるよ！おかげで、まいど屋のサポートセンターには、週に一度は怪しげなLEDのセールス電話がかかってくる。大抵は妙に明るい口調の若い女の声で、高校の同窓会の幹事が、それほど親しくなかったクラスメートに出欠の確認をするときのような、無理に装った親密さを押し付けてくる。恐らく女のデスクの前では、ブランドのスーツを着て切れ者で通った男が書類をパラパラめくりながら女の声に聞き耳を立てているのだろう。そして僕は、その日だけで47回目になる同じセリフが女の口から吐き出されるのを、受話器越しに辛抱強く聞かされることになる。現在お使いの電気をすべてLEDに変えてみませんか、と女は言う。その先に何か素敵な未来が待っているみたいに。そして僕が何か反論するたび、まるでアメリカの古いホームドラマのアフレコみたいな、突拍子もない感嘆の溜め息や大げさな笑い声を返してくるのだ。

48
耳掛け式LEDイヤー

僕はそんな話し方をする何十人もの女たちと、電話越しに話をしてきた。そしてLEDライトのように明るかった彼女たちの声が、会話の最後には決まってカップ焼きそばの麺みたいに冷たくなっていくのを耳にしてきた。僕は僕の優柔不断さについて、また時には僕にもよくわからない僕に関する何事かについて彼女たちに詫びを言い、冷や汗をかきながら電話を切るのが常だった。それは精神的にはかなりストレスのかかる仕事だったけど、僕には僕の対応が間違っているとは思えなかった。だが、最近になってわかったことだけど、間違っていたのはどうやら僕の方だった。先日、まいど屋の建物を照らすための大きな電球が切れたのだ。その修理を依頼した業者は、今ではその蛍光ランプを製造しているメーカーはなく、LEDに取り換える必要があると言った。見積もりは20万位だった。ったく、LEDの発明っていうのは、本当に余計なことじゃないか！

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