【トップ】現場の願いを形にする開発集団image_maidoya3
西のMCC東のトップ。電動工具用のソケットやラチェット、モンキーレンチ類でシェアを二分する両雄が東西それぞれの地域でガッチリとファンを囲い込んでいることは業界関係者なら知らぬ者のない事実。ハッキリした理由は不明だが、とにかくトップは関東で圧倒的な存在感を見せつける。
  人気の秘密は品ぞろえの幅広さ。例えば電動工具用ソケットなら、足場クランプ用からピーコン用まで、数百種類もある。加えて品質がよく、不良がない。特にソケットは強度が求められるから、品質に対するユーザーの要求はかなりシビア。安心感があるトップの商品に人気が集まるのも頷ける。タフな現場の場合、トップを試してダメならもう諦めるという職人さんは非常に多い。
  なるほど、種類が豊富で品質がいいのはわかった。関東でナンバーワンなのも認めよう。でも、それなら関西でもっと売れていいハズだろう・・・関西の職人さんのそんなギモンに応えたい。トップのよさをもっともっと知ってもらいたい。そう考えて企画した今回のインタビュー。新潟のトップ本社に熊倉氏を訪ね、詳しくお話を伺ってきた。

トップ
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取材に応じてくれた熊倉さん。温かい人柄が、その表情から伝わってくる。
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まいど屋のお客さまにも人気の高い『ラチェットレンチ』。
作業工具の総合メーカーとして、古い歴史をもつトップ工業株式会社。江戸時代から鍛冶の街として名高い新潟県三条市に1939年に誕生した同社は、元々は飛行機の鍛造部品の製造をしていたという。飛行機の部品は精度の高い微細な加工が必要で、最先端の技術力が求められる。そこで培ったノウハウを応用し、作業工具の総合メーカーへと転身した。
  「ウチの強みは商品開発力です」。インタビューの間、熊倉さんは何度もそう言った。業界内では同社の飛び抜けた営業力に注目が集まっているが、彼は技術力こそが同社の躍進を支えている柱だという。「開発型企業なんです。質の良い商品は必ず認めてもらえるという信念でずっとモノづくりをしてきました。転機になったのは戦後、モンキーレンチの品質が認められたこと。そこで工具メーカーとしての存在感がグッと出た」。その後、モンキーレンチ以外にも幅広い分野に挑戦し続け、高度成長期に入って総合作業工具メーカーとしての地位を不動のものとしたのは読者の皆さんもご承知の通りである。
  営業の方たちが随分がんばって業績を伸ばしていると聞きましたが。そんな意地の悪い質問に、熊倉さんはこう答える。「確かに営業部隊はかなりがんばっていますね。得意先の卸問屋さんや販売店さんを頻繁に回っています。しつこいって言われそうなくらい(笑)。営業の力ワザでシェアを稼いでいるように見えるでしょう?でも、営業の目的は、売り上げを作ることだけではないんです。ウチの強さの源泉は、あくまで商品開発力。営業がこまめに売り場を歩くのは、開発に欠かせない情報がそこにあるからなんです」。
  営業が販売店を回って、情報収集する。そうした情報が商品開発部にフィードバックされ、新商品につながっていく。「例えばモンキーレンチの上アゴと下アゴのガタつきの問題。構造上、このガタつきをなくす事は不可能とされていましたが、現場を歩くことで職人さんたちが非常に不満に思っていることが分かってきた。平行で、一定の口開きを保ち、作業中の微調整をする事なく、ボルトナットの締め緩めができるようになればどんなにいいか---そんな思いで研究を重ね、開発したのがバックラッシュレスウォームであり、ハイパーレンチです。当時としては、まさに革新的でした」。
  ユーザーからの要望があれば、特注品を作ることにも積極的だ。「ウチではお客さまの話を聞いて特注品を生産する商品開発部を正式に設けています。ロットが小さく、手間暇がかかってもおろそかにしない。お客さまが特注してまでそうした商品が欲しがるなら、そこに我々が気付いていない大きなニーズがあるハズなんです。実際、特注を作ってノウハウを蓄積し、量販向けの商品開発につながったケースは数え切れないほどありますよ」。
  2009年よりブランドステートメントとして「つくるよろこび」という言葉を掲げたトップは、本当にものづくりが好きな集団。つくることに喜びを感じ、その商品を使う人が喜びを感じ、そんな様子を見てまた喜びを感じる。ユーザーとメーカーとの間に、そんな理想的な好循環が生まれているようだ。「これからも最高レベルの技術力で、お客さまの期待に応えていきたい。日常的に使われる工具だからこそ、お客さまには質の良いモノを使ってもらいたいですから」。そう語る熊倉さん。「我々の情熱をもっともっと伝えていけば、関西のお客さまにもトップの良さが分かってもらえると思っています」。
  発展の秘訣は、もしかしたら彼らの技術力ではなく、誠実さにあるのかもしれない---そんな印象が強く残ったインタビューだった。
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会議室には様々な工具が並べられている。見たこともない工具もたくさん。
 

    

ストラップ付き落下防止ソケットシリーズ

ソケットに落下防止ストラップを標準装備したシリーズ。


薄型軽量ワイドモンキレンチシリーズ

薄くて計量。開きが大きく、使いやすいモンキレンチ。