【サンエス】だけじゃないって、わかってます?image_maidoya3
ものは善し悪しだ、とつくづく思う。光が強すぎると、必然的に影は濃くなっていく。陰に隠れてしまった部分は、よほど注意して目を凝らさないと見えなくなる。人々の目が、眩しすぎる光源に慣れてしまうからだ。渥美清が寅さんのイメージから遂に抜け出せず、他の役柄を試すことが困難になってしまったように、これから話をするサンエスもまた、あの大成功によって失いつつあるものがあるように思われる。
  空調服のことだ。サンエスといえば空調服。作業服をある程度使い慣れているひとだけでなく、一般のひとにまで、今ではそんなイメージが定着している。確かにそれは素晴らしい、目を見張るような達成だった。だが、まいど屋が危惧するのは、そのことがもたらした負の側面だ。みんなサンエスが長い伝統と実績を持つ、そして多くの優れた商品群を抱える、有数の作業服メーカーだってことを忘れかけている。ユーザーどころか、業界のプロである販売店でさえ、サンエスは夏の商材だと思い始めている。夏になれば、いや夏にならないと思いだされることもないチューブの楽曲のように、まるで夏季限定のブランドみたいに誤解され始めている。
  このレポートでは空調服の陰に隠れて存在が希薄になってしまったサンエスの一般作業服にもう一度光を当てることにする。読者の皆さんに向けてものごとを客観的に、かつ公平にお伝えすることを使命とする月刊まいど屋にとって、サンエスが誠実な態度で作り続けている冬の作業着について評価することはある種の義務のように思われたからだ。あるいはそれは要らぬ老婆心かもしれない。そんなことをしなくても、読者の皆さんは既にしっかりとサンエスの実力のほどを承知しているのかもしれない。果たしてこれは杞憂なのか。それとも、まいど屋が心配する事態が確実に進行しているのか。どちらにせよ、ここでサンエスの冬服について詳しくおさらいしておくことには確かに大きな意味がある。当のサンエスの本社で、商品企画部の話を聞こう。
 

サンエス
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カジュアルワークのRV21491
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T/Cツイル素材のRV21221
こんにちはと言って会議室に入ってきたのは一人の若い女の子だった。久保田です、とその女の子は笑顔で言った。それから名刺を取り出して、こちらに手渡した。ユニフォーム事業部。企画部。久保田。なるほど。どうやらサンエスの商品企画は、彼女のような若い力がエンジンになっているらしい。インタビューの本題に入る前に話を聞くと、企画部には彼女のような女性スタッフが何名かいて、それぞれ、展示会やイベント、CM、雑誌広告等のプロモーションも手掛けているという。なるほど。なかなか活気がありそうな組織じゃないか。それならまいど屋が余計な心配をすることもないのかも。
  「作業服のお話をする前に、空調服をお持ちの方にオススメの冬季商品がありますので、まずそちらを」。久保田さんはそう言うと、超シンプルな黒ベストの前ファスナーをサッと開け、コードの付いたラミネートフィルムのようなものを背中の部分に差し込み始めた。「ウォームベスト(RD9450)です。ここにフィルム状の発熱体を上下に2枚セットしてバッテリーで温めるんです」。
  このベスト、中綿キルト、内側は起毛トリコットで普通に着てもあったかい作り。そして言うまでもないことだが、発熱体を使えば、その暖かさは他の防寒ベストとは比較にならないほどになる。大判の発熱体を入れるのでハードワーク向きではないが、ウェアにバッテリーを動力とする仕掛けを仕込んで快適性を飛躍的に高めるという点で、空調服的な発想を冬服に持ち込んだアイテムと言えるだろう。「よく、どこで使うの?と訊かれます。釣りにいいね、と言われたり(笑)。企画したのは私たちですけど、逆にそれはいいなあなんて思っちゃいます」。そう言って、久保田さんはいたずらっぽく笑う。「結局、どこで使うかは、お客さまの方がよく御存じだと思うんです。企画部としては、せっかく空調服でバッテリーを揃えたお客さまがたくさんいらっしゃるのだから、そのバッテリーを冬の間遊ばせておくのはもったいないなあと。それなら、バッテリーを冬場に有効活用できる商品を作ればいいじゃないかなあと。このベストは、空調服を買ってくれたお客さまに対する私たちの感謝の意味が込められているんです」。なるほど。久保田さんのいる商品企画部は、我々ユーザーのことを真剣に考えてくれているらしい。
  さあ、場も和んだところで、そろそろ本題の作業服の話。サンエスの作業服は、大きく分けると、カジュアル志向のRVシリーズと、お堅い役所関係でもOKのオーソドックスな作業服がある。まず初めは、最近特にお客さまの注目度が高いRVシリーズについて掘り下げてもらおう。「カジュアルワークのRVシリーズは、細身で、ポケットのデザインがシャープで、現場への行き帰りに着ていただいても違和感のないスタイル。どちらかというと若者向けですね。綿100%からポリエステル65%混のT/Cまで、素材・デザインを変えて展開しています」。
  写真1で久保田さんが着ているのは、ドットボタン留めのスタンドカラーと胸のジップポケットが渋カッコイイ『RV 21491』。「素材はタフで肌当たりのいい綿85%混のパルパー。カラーはブラック、モカチャの2色です。ブルゾンの脇ポケットはモノが落ちにくい逆玉縁仕様。カーゴパンツにはコインポケット、ペン差し、カラビナループと機能性にもこだわっています」。
  これに対し、写真2でマネキンが着ているのは、衿先までフルジップの『RV21221』。首もとを少し開けて、衿を立てて着ると精悍な印象になる。「しなやかで丈夫なT/Cツイル素材です。ポリエステル65%なので少しツヤ感があってアカ抜けた感じかな。カラーは渋めの5色ですが、お店でリサーチしたときは、カーキやキャメルを手に取る方が多く見受けられました」。
  うん、確かにどちらも若いひとたちが好みそうなスタイリッシュな顔立ちをしている。でも、これはまいど屋に限ったことなのかもしれないけれど、こうした今風の旬なデザインのウェアは、若いひとに限らず50代、60代のお客さまにも受けがいいように感じる。そう久保田さんに伝えると、「そうですよね。若いひと向けなんて、こちらで初めから決めてはいけないのかもしれないですね」と頷いてくれた。「ただ、年齢層が上の方は機能性についてしっかりチェックされることが多いですから、そうした条件を満たした上で、カッコいいものはやっぱり支持していただけるのかな」。
  また、久保田さんによると、スタイルのいい作業服は思った以上に女性からの反響も大きいんだとか。「最近では、女性でも作業服を着て現場に出る人が増えてきました。そうした女性たちは、男性以上に見た目にこだわりを持っているんです」。
  そんな現場女子のいる事業所では、作業者の人数が少ないほど女性に合わせて作業服を選ぶ傾向があるので、まず現場女子に気に入られることが大切なのだと久保田さんは強調する。写真3を見てほしい。これは、現場女子をも意識したサンエスの企画力をPRする雑誌広告である。RVシリーズでキメているのは全員サンエスの女子社員。なんと、センターは久保田さん。右側は2年前の取材でお世話になった宮本ちゃん。2人ともメイクがかなりキツめだが・・・。「展示会のとき、私たち社員は男女を問わず作業服を着て接客します。マネキンより商品がよくわかると好評なんですよ。これは7月の展示会中に撮影したもので、週刊新潮、ポスト、現代の3誌に広告を出しています。来年4月までちょくちょく掲載されるので、ぜひ見てくださいね」。
  さて、デザイン性に目を奪われがちなRVシリーズについてはひとまずこの辺で終わりにし、ここからは、「サンエスが得意とするスタンダードなデザイン」のワークウェアの説明に移ってもらおう。それらを取り上げることで、ワークウェアブランドとしてのサンエスの、安定感のある実力を読者の皆さんに思い出してもらえると思うからだ。特に紹介したい商品はいくつかある。「『AG21461』は前立て裏に配色を効かせた、パッと見ただけでサンエスとわかる安心のフォルムとデザインです。『AG21161』は右胸のファスナーポケットと左胸のネームがアクセント。どちらも、生地は再生ポリエステルを使用した二重織りの裏綿素材でJIS T8118適合品。カラーはネイビー、ブルー、シルバー、ミストグリーンのテッパン4色です」。
  そしてもちろん、サンエスNo.1の人気ウェア『AG20471』シリーズ。これに触れないわけにはいかないだろう。ブルゾンはワインやマスタードといった華やかカラーも揃った全7色、パンツは5色と、豊富なカラーバリエも魅力のシリーズだ。「職種、部門で色分けしてもいいですよ。生地は上品な光沢感を持つポリエステル60%、綿40%のツイルで、ソフトな着心地です。ブルゾンには、野帳も入る大きな内ポケットが付いていて、前ファスナーを下ろさなくても出し入れできて便利です」。
  最後にブルゾン8色、パンツ6色が揃った『AS21201』シリーズについて。「『AS21201』は建設現場というよりデリバリー、運送会社、工場内で働く人向きですね。すっきりしたシルエットで、発色がいいうえに、白化防止加工で色落ちしにくく、白っぽくなりにくい。ソフトでふっくらとした二重織りの裏綿素材で着心地が良く、アイロンの手間もいりません」。
  一番人気の『AG20471』シリーズも、軽作業向きの『AS21201』シリーズも、ブルゾンは男女兼用だが、ボトムはレディース専用モデルを展開。レディースはウエストが脇ゴム仕様になっているのでフィットしやすく、ストレスなくはける。
  以上、サンエスの秋冬ワークウェアについて一通りの説明が終わり、インタビューは終了した。礼を言って帰り支度を始めると、久保田さんから逆に質問を受けた。「どうです?サンエスは空調服だけじゃないってわかってもらえましたか?」
  そんな。空調服専門のメーカーだなんて、初めから思っちゃいないです。わかってますって。久保田さんみたいな人がいる企画部なら、きっと新しいチャレンジをどんどんしていくでしょ。だから心配なんかしていないです。ちゃんと月刊まいど屋の読者の皆さんにも念押しをしておきますから、ほんとに。以下に並べたとおり、機能的で見映えもナイスな作業服がその他にもたくさんあるってこと、しっかりとね。
 
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久保田さんがセンターを飾る雑誌広告
 

    

このカジュアル感を見よ!デザイン性と機能性を高次元で融合させたRV21221シリーズ

フルジップ仕様で衿を立ててカッコよく!ハード感あるデザインをポリエステル65%、綿35%のツイル素材でスマートに昇華させたシリーズ。ブルゾンは肘タック入りで腕の動きもスムーズ。両胸ポケットはフラップ仕様、左袖にはペン差しポケットのほか、腕章ループも付いて機能的。カラーは渋めの全5色。


誇りをもって仕事をするなら、ヤボな格好はしたくない!どこから見てもスキのない、緊張感のあるシルエットに一目ぼれしちゃうRV21491シリーズ

細身のボディに、ドットボタン留めのスタンドカラーとジップポケットで渋カッコいいスタイルを提案。生地はナチュラルな肌当たりで、しなやかさも備えた綿85%、ポリエステル15%のパルパー。ブルゾンの脇ポケットはモノが落ちにくい逆玉縁仕様。カーゴパンツはコインポケット、ペン差し、カラビナループ付き。カラーはブラック、モカチャの2色。