【□日進ゴム】グリップ力に特化した注目株image_maidoya3
グリップ力に優れたソールを差別化ポイントとし、シリーズ全体をアピールする「滑りにくい」ソールが売りのセーフティーシューズメーカー日進ゴム。ゴムメーカーならではのこだわりと、技術の粋を集めて生み出された最新作『ハイパーV』シリーズでは、従来品の約2.5倍という驚くべきグリップ力を実現。圧倒的な実力を誇るシューズだけに、その開発過程では、大きな壁にぶつかったことが想像される。
 各種シューズ製造から鉄道用防振ゴム・自動車用防振ゴム類と、ゴム素材の特性を活かしたモノ造りに励む同社がもつアイデンティティを探ってみたいと思う。
 

□日進ゴム
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今年で創業75周年目という区切りを迎えた、日進ゴム。もともと地下足袋製造から始まった同社だが、今では本格的なゴムメーカーとして、ゴムに関する様々なアイテムを製造している。その歴史の中で培われた開発技術がいかんなく発揮され、市場でも高い評価を集める安全靴『ハイパーV』シリーズの誕生秘話をお伺いするため、開発部を訪ねてみることにした。
  忙しい最中にも関わらず時間を作っていただけたのは、商品開発の原田課長さんだ。企業理念からじっくりと同社の考えを知っていくために、まずは会社の経緯からお話をお聞きすることにした。「もともとは、『自力足袋』という自社ブランドの地下足袋製造を手がけていました。安全靴を本格的に扱い始めたのは、10年ほど前からになりますね。もちろん競合相手がいないという市場ではなく、他社もすでに安全靴の生産に取り組んでいました。安全靴に関して歴史の長い会社も、当然ライバルになるわけです。そのような中で、いかにして当社なりの特徴を出して、他との差別化を図るかを考えましたね」と、当時を振り返るような面持ちで、話を始める。滑りにくさという差別化に行き着いた理由とは、何だったのか。
  「やはり普段からゴム製品を製造しており、ゴムメーカーとしての開発力に自信があったからですね。ゴム=滑りにくい、というイメージがあるじゃないですか。それならば、当社はそこを最大限に突き詰めていこうと思ったのです。開発には10年前から6年もの歳月を費やしています。ゴムの配合をとことんまで追及し、どういった組み合せがいちばん効果的なのか実験を重ねています。詳しくは企業秘密なのですが、素材・硬さの調整や、組合せのパターンなど、1つだけではないこだわりが隠されています。そうして4年前に『ハイパーV』シリーズの一足目の販売を開始しました。展示会に出品した際に、滑り台の上にグリセリンを塗布し、その上にシューズを履いて立ってもらうという体感ブースを設けました。どれだけすべらないかを実際に体験してもらった反応を見て、イケるという反応を生でつかめました」。販売以来、市場で強く受け入れられることとなった同商品の開発は、大きな自信になったという。今後に向けて、何かビジョンはあるのだろうか。
  「展示会の展示ブースが話題を呼び、テレビで放映されたことで異業種からも問い合わせをいただくこともあります。これからは、優れた防滑性をもつソールをWork関連だけではなくファッション分野や、靴以外の分野にも広げていきたいですね。それでもいちばん大切なことは、ゴムメーカーとしての特徴を一貫して出していくことだと思っています」という言葉を聞くことができた。この信念があれば、企業としても決して滑ることはないだろう。
 
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2000 Hyper V セーフティースニーカー

S級相当の樹脂先芯とメッシュアッパーの採用で、軽い・動きやすい・ムレないという快適な履き心地を実現。水や油でも滑りにくいハイパーVソールに泥や小石が挟まりにくい設計を施し、安全性にも優れた一足。


206 Hyper V セーフティースニーカー

S級相当の樹脂先芯を採用し、軽くて履きやすいのが魅力。PU合皮のアッパーは汚れが付きにくく、お手入れ簡単。さらに、風を遮断し保温性も抜群。爪先の牛革ベロアは火花にも強く、溶接作業も安心。防滑性に優れたハイパーVソールを採用。