【トーヨーセフティー】総合メーカーが仕掛けた秘策image_maidoya3
安全用品の総合メーカーとして名高いトーヨーセフティー。安全帯、保護めがね、マスクなど、トーヨーの商品を日常的に愛用している読者も多いだろう。販路は日本全国に及び、各地のワークショップや金物屋で、トーヨーの商品を扱っていない店はほとんどない。
  ヘルメットに関しては、主に金物屋での販売が圧倒的に強い。ヘルメットメーカーとしての知名度こそいま一つないものの、金物屋で販売しているヘルメットはほとんどがトーヨー製だから、知らず知らずのうちに同社のヘルメットを使用しているひとも多いのではないか。
  指名買いはしなかったが、お店で買ってきたら、トーヨーの商品だった。そんなことが多くあるのも、同社の商品ラインナップが充実しているから。今流行のシールド付きヘルメット、透明ひさしヘルメットなどもソツなく取り揃えてある。また、「安全用品総合メーカー」らしく、ペンホルダー、ホイッスルホルダー、ゴーグルクリップなど、ヘルメット付属の小物系に強いのも特徴だ。つい最近では、「ワンタッチの透明あご紐」が隠れたヒット商品になっている。
  他社の商品を研究し、自社になければすぐに商品化する。ユーザーへの「トーヨー」ブランドの浸透を重視せず、充実した品ぞろえを全国の小売店に供給することに力を注ぐ。そんな戦略で販売を拡大してきたトーヨーセフティー。このまま突っ走るか、ブランド浸透に舵を切るか。今回のインタビューでは同社の商品企画をリードする製造部長の横田氏にご登場いただき、今後の展開についてお話を伺った。

トーヨーセフティー
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兵庫県三木市にあるトーヨーセフティー本社
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ものづくり魂を感じさせる、いぶし銀のショールーム
 東洋物産工業(株)の販売会社として平成9年に分社。業界では異例の販売戦略で、あっという間に全国に販売網を拡大してきた。「全国販売を可能にできた大きな理由の一つは、金物屋さんのルートに、ヘルメットを乗せて販売したからなんです。ヘルメットをかぶるのは、金槌や工具を使う職人さんが多かった。ならば、それらと一緒に販売すれば需要が見込めると考えたんです」(製造部長 横田さん)。
  商品をまずユーザーに手に取ってもらう。知名度が低いトーヨーのヘルメットにとって、金物店はまさにうってつけの場所だったようだ。もちろん、ユニークな販売ルートで順調にシェアを拡大できたのも、商品自体の質の高さがあったからこそ。横田氏はこう説明する。「社内に整備した品質管理センターで、専門のスタッフが商品管理に当たっています。また、生産過程にも工夫をしている。例えば、工程に組み込んだ帯電防止処理装置。これでヘルメットに静電気の発生を抑えることができ、店頭でのほこりを防ぐことができるんです。ヘルメットの衝撃試験機も使用し、厳しい品質管理を常に行っています」。
  トーヨーセフティーはヘルメット以外にも、安全帯や保護めがねなど、現場の安全に貢献する数多くの商品を販売している。「作業の安全性を高め、作業員の方々を守ることで社会貢献していきたいんです。『身につける保護具』というのが、私どもの商品展開のコンセプト。商品開発にあたっては、『明日の安全をひらく』という事を大前提として常に意識しています。保護具の総合メーカーとして、ヘルメットの開発はその中でも特に重視している。商品相談用の電話を設け、お客さまの声も商品作りに活かしています。また、展示会や現場でのリサーチも欠かしていません」。
   さて、今年のコンセプトは『新世代のヘルメット』。通気性の向上を施し、つばを透明にして視認性を高め、あごひもに備長炭を練りこみ、防臭効果も取り入れたという、何ともヨクバリな新商品がある(390F-OT)。詳しくは記事の後に掲載しているピックアップ商品をご覧いただきたい。
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ヘルメットの説明をする横田氏。人柄とは裏腹に、ヘルメットを見る目は鋭い。
 

    

ひさし透明ヘルメット/通気孔付き(穴あき)タイプ(スチロールライナー入り)

上方への視界が格段にアップする透明ひさしタイプのヘルメット。また、サイズ調整が簡単にできるOT型内装に、穴空きタイプの通気孔付きで、使用感が格段にアップ。


ひさし透明ヘルメット(スチロールライナー入り)

帽体に帯電防止処理を施してあり、ほこりを寄せ付けない。上方への視界が格段にアップする透明ひさしタイプのヘルメット。また、サイズ調整が簡単にできるOT型内装。