頭の中に繰り返し現れてくるイメージがある。体のあちこちに電極をつけられたまま、僕は硬い椅子に腰かけている。寒々とした部屋の中に、僕の荒い呼吸音だけが響いている。椅子の後方にあるマジックミラーの向こう側で、誰かが息をひそめている気配がする。彼はレバーに手をかけている。それが僕にははっきりとわかる。僕は緊張のあまり鎖を振りほどいて立ち上がろうとする。そしてその瞬間、後ろの部屋からガタンと音が聞こえてくるのだ。数十秒の間、僕の体は激しい痙攣を繰り返す。闇。それはこれまでの人生で一度も経験したことのない闇だった。単に光がないのではなく、その闇の中には僕自身を含めて何も存在しないのだ。それは僕がずっと必要としていた、あの安らぎというものなのだろうか。やがて数人の係官が、部屋の中に入ってくる。僕は明かりのついた部屋の天井付近から、椅子からずり落ちかかった僕の肉体を眺めている。まだ柔らかく、体温の残っている僕の肉。僕はそこに戻らなければならない。肉がすっかり硬直して、僕が入り込むのを妨げてしまう前に。電気かそれ以外の何かか、僕はここ数日、選択を迫られていた。それ以外が何を意味するのか、僕に教えてくれる親切な人間はいなかった。薬物なのか鉛玉なのかロープなのか、あるいは僕が想像もつかない手段が他にあるのか。だが、最終的にどれを選んだにせよ、心楽しい結末になる気はしなかった。何にしたいのか。毎朝の朝礼で、いつも誰かが僕に訊いてくる。今朝はしびれを切らした上役連中に取り囲まれ、僕はもうほとんど投げやりな気分になっていた。そして冬場に入ってより一層厳しくなったこの寒さ、地獄の役務の苦しみから解放されるのならば何でもいいと思い始めていた。電気か、それ以外か。どっちにしたいのか早く決めろと監督がまた言った。電気にしてくれ、と僕は答えた。温度は強(60度)、中(50度)、弱(40度)の三段切替え。低温ヤケドを防止する自動温度調整機能と、電源異常時の自動停止機能を備えたセーフティーモデル。摩耗に就いナイロン素材。内蔵ケーブルを付けたまま手洗い可能なウオッシャブルタイプ。保温性を高めるアルミ裏地付き。*モバイルバッテリーは別売りです。別売りのモバイルバッテリーは、「関連商品」欄をご覧ください。*電圧5V、電流2A以上のリチウムイオンバッテリーであれば、手持ちの携帯用バッテリーなどもご使用いただけます。