【小倉屋】着ればわかるって、どういうコト?image_maidoya3
何とも編集部泣かせのブランドである。とりたてて華があるワケではない。価格が安いということもない。だけどニットの特集となったら外すことはできない。もし今回の企画のような機会に無視して通り過ぎたら、きっと多くの事情通からお叱りを受ける。まいど屋はなにやってんだ。小倉屋のないニット特集なんて、マラソンが行われないオリンピックのようなもの。じゃなきゃ、サブちゃんの出ない紅白のようなもの。エキサイティングじゃないけど、存在感といったら他に類を見ない。これがないなら二流の企画といわれても仕方がない。正月になればおせちを食べてやっと正月らしい気分になるように、桜が咲けばとりあえずはビニールシートを持って公園に出かけるように、お約束事はお約束通りに実行されなければ落ち着かない。形容するのが難しい小倉屋を、あえて表現するとしたらそんな風になる。
  何だかよくわからない書き出しだって?そりゃ、ごもっとも。これを書いている本人がよくわからなくなってきたんだから、読者の皆さんがキツネにつままれたような顔をするのも当たり前。小倉屋は本当に難しい。あえて言えば、当たり前のことを当たり前のようにサラリとやっているメーカー。何か目立つことをして、実力のなさを隠す必要のない本物中の本物。人目を引くようなとがったところはないけれど、だからこそ、安心できる。何がすごいのかは具体的にわからないけど、引き合いだけはひっきりなしにくるから、まいど屋としても、小倉屋はやっぱりすごいんだろうなと一目置いている。小倉屋をチョイスするお客さまも、多分何となく感じているのだろう。本物だけが持つ凄味のようなものを。え、ますます意味がわからない?ならばこのブランドの担当者に出てきてもらおう。わかりづらいところをわかりやすく、編集部も、そして読者の皆さんにも理解できる言葉で小倉屋が選ばれ続けるワケを語ってもらおう。
 

小倉屋
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気さくな平松社長(型番:9007着用)
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6Lサイズまで揃ったハニカムメッシュのDRYポロ
現れたのは代表取締役の平松氏。え、社長?担当者じゃないの?そんな編集部員の不安を察してか、「肩書は代表取締役ですが、素材探しや商品開発もバリバリにやっているので何でも聞いてください」と。そ、それは心強い。平松社長、見るからに気さくな感じだし、スーツじゃなくて自社のポロを着ていて商品のことをよくわかってるみたいだし・・・。では、存分に話してください。小倉屋が選ばれ続けるワケを。「2006年ぐらいからワークシーンでニットがもてはやされるようになったと思ったら、2008年にリーマンショック。お客さまがシビアになって全体的な需要は減ったけれど、ポロの流れは止まらなかった。“動きやすく、夏は涼しいから”ってね。小倉屋は業界最安値のメーカーでもないし、とりたててカタログが派手ということもない。それでも支持されるのは、“着ればわかる”から。事実、1年着ていただいて翌年ヤメという所はめったになく、来年もまた同じ物を頼むよ!と注文をいただく。そんな感じで毎年お客さまが増え続けています」。
  すみません、社長。“着ればわかる”って、あまりにも大雑把すぎません?もう少し具体的にお答えいただけるとありがたいのですが・・・。「商品力とでも言っておきましょうか。さらに言えば、使ってみて実感できる、アタマでなくて身体がすぐに理解するような機能。そして価格とのバランスですね。実感できる機能といっても、誰もがハッキリわかるようなものを実現するのはなかなか難しいんです。アイデアは山ほど出るけど、試作段階でNGになっていく。もう、どれだけボツにしたかわかりません(笑)」。
  吟味された確かな機能は、高いリピート率につながっていく。評判が評判を呼び、同業者の会合などで、これはいいよ!と口コミで広がっていく。我々の目に見えてこないのは、水面下でそういうことが連鎖的に起きているから、らしい。「たとえば、今、私が着ているDRYシリーズ(型番:9006ほか)。今年になって、ある大手自動車メーカーさんの工場からウチの数ヶ月分に相当する注文がドーンときた。消費税アップ前ということもあってね。昨年夏の時点では半袖だけ。それが秋に長袖の注文をいただき、今年になって大量注文。着ればわかるのいい例です」。
  このDRYシリーズ、現時点で小倉屋ができる最上の吸汗速乾をカタチにしたものだとというから、もう少し説明を聞いてみよう。「一口に吸汗速乾といっても、その定義は実に曖昧です。ポリエステル100%で綿より乾きやすいから吸汗速乾。通気性の良いメッシュ編みだから吸汗速乾・・・なんてね。でも、DRYシリーズは違う。糸そのものに吸汗速乾性がある。だから何回洗濯しても機能が失われない。表がポリエステル100%で裏は綿35%混。この裏綿の2層構造がミソでして、綿の吸汗性、特殊糸の吸汗速乾性、メッシュ編みの速乾性とくれば、もう最強というしかありません」。
  採用している特殊糸は、ネームバリューこそないものの素晴らしく機能性が高いらしい。こういった機能素材を独自に発見してオリジナル生地を創り出すのも小倉屋のこだわりのひとつ。オリジナルなので、まとまった量を作らなければならないが、これも“他社と同じことをしない”という信念を貫いてのことである。
  ところで、吸汗速乾といえば新商品の6002シリーズもまいど屋のお客さまに大変評判がいい。デビューしたてにもかかわらず、早くもリピートオーダーがたくさんきている。前述のDRYシリーズと同じように吸汗速乾をウリにしているが、どこがどう違うのだろう。「新商品6001、6002は薄生地のポロです。DRYシリーズのようにしっかりした生地だと、見ただけで暑苦しく感じる方もいらっしゃいます。また、ウチは空調が効いているから最上級の吸汗速乾でなくてもいいという企業さんも。そこで、見るからに涼しげな薄手生地(ポリエステル100%)にして、肌に触れる面にだけ吸汗速乾加工を施すことにしました。こうするとコストダウンにもつながって安価に提供できるんですよ」。
  吸汗速乾加工にもグレードがあると話す平松社長。6002シリーズは吸汗速乾性はそこそこだが、薄くて軽い着心地でリーズナブル。しかもDRYシリーズと同じ縫製工場で丁寧に仕上げているので品質は確かだという。
  さて、いろいろ話をしていく中で、在庫対応やサイズバリエの話題が出てきたので併せて紹介しておく。「ユニフォームなので1人も例外なく全員同じモノで揃えたいという要望が多いんです。そこで一部の商品ではあるけれど、SSより小さい3Sを作り、昨年からはビッグサイズの6Lも揃えました。規格サイズ外への対応は多人数の企業さんには非常に喜ばれます。小倉屋なら全員が揃うってね。もちろん、在庫は他メーカーさんより保有率が高く、欠品が少ないと高評価をいただいています」。
  確かな機能性、オリジナル素材へのこだわり、豊富なサイズ展開と在庫フォロー・・・。地味ながらもキッチリと足元を固め、また、機能性に関してはアグレッシブでもある。これだけ条件が揃えば、小倉屋で!となるのも頷ける。「新商品の投入は2~3年に1度のペースです。納得のいくモノができなければ出しませんし、新商品に注力しすぎて“小倉屋ならいつ頼んでもあるぞ!”がブレても困るので」。
  なるほど、昨シーズンに新商品が出なかったのはそういうことか。なら、次に出るのは早くて再来年。どんな手でアプローチしてくるのか、楽しみは先にとっておくことにして、読者の皆さんには今すぐ入手できる “着ればわかる”を紹介しておこう。なお、皆さんが画面を見て、説明文を読んでみて、それでも平凡な印象しか受けなかったとしたって心配することはない。なにしろ小倉屋は着ればわかる、逆に言えば結局は着なくちゃわからない、編集部泣かせのブランドなのだから。
 
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カラーバリエも豊富なDRYシリーズ
 

    

ベトつかないから、夏場も快適!ドライで通気性のいいディンプルメッシュで気分まで爽やかになる6002シリーズ

軽い着心地の薄手ディンプルメッシュを吸汗速乾加工でより爽やかに。こだわりの縫製&リーズナブルプライスもうれしい。ポリエステル100%。カラー5色。SS~5Lの全8サイズ。


汗をかいてもすぐ乾く!高品質の吸汗速乾糸を通気性に優れたハニカムメッシュに編みあげたDRYシリーズ

最上の吸汗速乾で日本の夏を快適に。表は通気性に優れたポリエステル100%のハニカムメッシュ。肌面は吸汗速乾糸と綿糸で編み上げ、サラサラ感とソフトな肌ざわりを実現。カラー14色(9010のみ6色)、9006、9008は3S~6Lの全10サイズ。