【サントー試作モデル】会社の誇りを背負った勝負服image_maidoya3
工場密度っていう言葉があるらしい。ご存じない方のために簡単に説明すると、ひとつの市にある工場の数を面積で割ったものだそうだ。ちなみに工場密度の全国1位は、大阪府の東部にある東大阪市。中小規模の工場が6000軒を超すモノづくりの街で、「石を投げれば社長にあたる」とも言われる。しかも、規模こそ小さいが、その製品たるや全国トップクラスのシェアを誇る企業も少なくない。てことは、この街には、モノづくりにおける腕自慢、技術自慢のプロフェッショナルたちが全国一集まっているはず。そして、たぶん、その数だけ愛用のワークウェアがあって、彼らの腕や技術を日々側面から支えているはず。油汚れや汗をモノづくりの誇りある証として受け止め、勲章にしているワークウェアが。そう考えると、まいど屋的にはかなりワクワクする。オモシロい話が聞けそうなニオイがする。これはもう、行くしかないっしょ。てなワケで、期待に胸をときめかせ、いざ東大阪市へ。
  最初に伺ったのは、サントー試作モデル株式会社さん。そして、急なお願いにもかかわらず、「はい、いいですよぉ」と二つ返事で取材に応じてくれたのは、専務取締役の山東基実さん。訪れてみて、不安がよぎった。山東さん、「まだ数回しか着てません」的なバリッとしたワークブルゾンをはおっている。そりゃぁ、ないっすよぉ。「いつもの感じで」とお願いしておいたのに、眩しすぎ、キレイすぎ。取材が入るということで、急遽、新しいワークブルゾンをおろしたのか?編集部としては、ありのままのワークシーンにフォーカスしたいのに。。。気が引けるが、これはどこかのタイミングで「写真は、いつものウェアでお願いします!」というしかない。企画倒れにならないよう、いつ、どうやって切り出すのか?狙いどおりにアプローチはできるのか? コトの顛末は以下のレポートで。
 
 

サントー試作モデル
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インタビューに応えてくれた山東基実さん
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お気に入りの勝負服、バートル長袖ブルゾン(型番:6001)
サントー試作モデル株式会社は、社名にもある通り「試作品」を作る会社だ。金属、プラスティック、ナイロンに石膏。いろんな素材から生み出されるのは、部品あり、製品そのものあり、照明器具や医療器具あり。中には、これはナニ?ってわけのわからないものもあって、手掛ける試作品は実に多種多様。「そうなんですよ。製品の一部分だけというケースも多く、これが何なのか、何に使われるのか、お客さんから資料を渡されてもわからないことが結構あります」。
  既存品にないものを作るのが試作品。設計図を見て、お客さまの話を聞いて作業に着手するが、ゼロからのスタートになることが多いため、相手の求めるものが何かを正確に汲み取ることが非常に重要になる。モノづくりの技術と同じくらい、コミュニケーション力が必要なのだそうだ。「かつては馴染みのお客さんがほとんどでしたから、お互い、阿吽の呼吸で受発注できる場合が多かった。それがインターネットの普及後、それも、当社がホームページを立ち上げてからは、初めてのお客さんが増えまして。お互い相手がわかりませんから、今ではお客さんと信頼関係を築くことが最初の大仕事といってもいいほどになっています」。
  さて、なんとなく仕事のアウトラインがわかったところで、本題の作業服の話へ。山東さんの真新しい作業服を見つめ、「それにしても、キレイなブルゾンですね。おろしたてですか?」と尋ねると、「あ、ウチ、ふだんは作業服を着ないんです」と。え!?どういうこと?今、着てるけど、これ、ふだんじゃないの?作業服って作業のための服でしょ。仕事中に着ないで、いつ着るの?頭の中に「?」が飛びかう。「作業服を着るのは、打ち合せとか納品とか、お客さんに会う時だけ。ふだんの作業では、みんな自分の好きな格好をしています。Tシャツとか柄シャツとかアロハとかね。そもそもウチには作業服を着るという発想が全くありませんでしたから」。
  着ようとも思わなかった作業服を、お客さんに会う時だけ着る。こういう考えに至るには、あるきっかけがあったそう。山東さんはこう説明する。「改装中の奈良国立博物館へ納品に行った時のことです。設置作業を終えて何気なく周りを見ると、たくさんの業者さんが工事をしている。会社ごとに違う作業服を着てね。その時は、世の中にはいろんな作業服があるなあと感心しただけでしたが、あとで気づいたんです。そっか、作業服を着るってことは、自分の会社を背負うということなんだ。自分も、社名入りの作業服を着た方がいいんじゃないのか?って」。
  さっそくウェア選びに取りかかった山東さん。「色はブルー」「腕を動かしやすく、着心地がいいこと」「スマートに見えること」の3点をポイントに、吟味に吟味を重ねてバートルの長袖ブルゾン(型番:6001、カラー/レイブルー)をチョイスした。「ブルーにもいろいろあって、色が薄すぎると油汚れが目立っちゃうし、濃すぎると顔色がくすんで、体調が悪いみたいに見える。この明るめのブルーなら、汚れが目立ちにくいし、多少疲れ気味の時でも爽やかに見えるでしょ(笑)」。ちなみに、同社のコーポレートカラーは明るいブルー。特に意識したわけではないが、濃いブルーや薄いブルーと、いくつかのブルーの作業服を着てみたところ、会社のカラーと同じ、明るめのブルーが一番しっくりきたそうだ。
  インタビューに同席してくれた奥様の枝末さんもこの作業着が気に入っている様子。「着たときに立ち姿がシュッとしてスマートな感じがするんです。胸ポケットのフタのスナップや、上腕ポケットの縫い付け方とか、小さなところも丁寧で感じがいいし」。それにやっぱりねと言いながら、一度脱いでいた作業着をもう一度はおり、彼女は続ける。「お客さまと会う時は、会社の名前が入っている方が安心してもらえるみたいです。着る方も“よっしゃ、行くか!”って気合が入りますし。私もお客さまの所に行く時に着ていますが、『よく似合うね』とか『その色いいね』とか好評です。人って、結構、見ているものなんだなって改めで気づかされました」。人に見られることを意識した、会社の誇りと信頼性を背負った対外向けの勝負服。この眩しいほどの作業服は、サントー試作モデルにとっては、今やお客さまとの対面に欠かせないアイテムになっているようだ。
  写真を撮らせてもらいながら、最後にこんな質問もぶつけてみた。「そういえば、3Dプリンターがいろいろなものを読み取って形にしてしまうそうですが、ライバル出現なんでしょうか」。一瞬の間の後、山東さんが静かに答えた。「確かにそうです。でも、あちらは形だけですから。試作は『使えないとダメ』なんです。今の所、3Dプリンターでは“微妙な色合い”とか“表面の滑らかさ”は出せませんからね。まだ人間の本気には追いつけませんよ」。レイブルーの作業服を着て、そう言い切る表情は明るく頼もしかった。
 
  サントー試作モデル株式会社
  〒578-0944 東大阪市若江西新町1-5-26
  TEL:06-6721-9064
  FAX:06-6721-6431
  http://www.santo-shisaku.jp/
 
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日本を支えるものづくりが、ここから生まれている
 

    

サントー試作モデルさんの勝負服はコレ!着心地のよさと洗練されたデザイン性でロングセラーを続ける6001シリーズ

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