【チトセ】小さな工夫でキラリ輝くimage_maidoya3
JR総武線の両国駅――。国技館とは反対側にあたる南口を出て、隅田川にそって歩いていくと、道路の脇に古地図と説明文が載った立て札が次々と出てくる。墨田区による江戸の街並みの紹介である。チトセのオフィスを目指して、横目にチラチラ見ながら進んでいたとき、「与兵衛寿司発祥の地」の立て札で、つい足が止まってしまった。なんと、ここは1818年ごろ、初めてにぎり寿司を開発した小泉与兵衛の店があった土地だという。上方風の押し寿司ではなく、酢飯にネタを載せて握る「江戸前寿司」が、この地で誕生したのである。この江戸湾で獲った魚の刺身を合わせただけのシンプルな料理はせっかちな江戸っ子に大ウケ。ごぞんじの通り、寿司は今でもウナギ、天ぷらと並ぶ東京を代表する味覚である。飲食店ユニフォームの取材の前に、日本の食文化の原点といえる寿司発祥の地を目にできるとは。こいつぁハナから幸先がいいや、とさらに足を進めると、下町らしい街並みの中にチトセの本社ビルが見えてきた。

チトセ
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両国駅から徒歩すぐのチトセ
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営業第1部の落合仁司さん
●ブランド展開は「白衣つながり」
 
  サンプルを持ってミーティングスペースに現れたのは、営業第1部の落合仁司さん。まずはチトセの来歴やブランド展開について語ってもらった。
 
  「うちは白衣から始まったユニフォームメーカーです。白衣といってもお医者さんの方じゃなくて理容師・美容師の白衣ですね。理美容ユニフォームは今でも『LIVI MODE(リビモード)』というブランドで展開していますが、時代の流れもあって縮小傾向。そこで現在は、1988年にスタートした飲食サービス向けユニフォーム『arbe(アルベ)』がメインになっています」
 
  「チトセと言えばアルベ」としつつも、落合さんは現在売り出し中のブランドに触れることも忘れない。2005年にはエステ店をターゲットにしたの「calala(キャララ)」を発表。さらに2012年には、スポーツ用品大手・ミズノとのコラボモデルを引っ提げ、メディカル系ユニフォームのブランド「UNITE(ユナイト)」をスタートさせた。
 
  「飲食サービス向けのアルベは大きな柱ですが、それに次ぐような新しい分野も開拓しようというわけです。エステは市場がそんなに大きくないので、やはり次はメディカルだ、と。ごぞんじの通り競争の激しい分野ではあるものの、ミズノの技術を生かした動きやすいユニフォームやナースシューズ、ファッションブランド『ミッシェルクラン』とコラボした女性向けのシックなモデルなど、きちんとターゲット戦略をもって進めています」
 
  飲食からエステ、そして医療へ。一見まとまりのないブランド展開にも思えるが、チトセの感覚としては、どれも「白衣つながり」。理美容、フード、メディカルという具合に用途はそれぞれ違っても、白衣は白衣。こんな老舗の自負がにじむ独特のブランド展開である。
 
  ●バリエーションもひとつの機能
 
  話を飲食ユニフォームに戻そう。フード系とひとくちに言ってもキッチンからホール、販売、接客などさまざまなジャンルに細分化されるなか、アルベの得意ジャンルは何か。商品の強みはどこにあるのだろうか?
 
  「他社との差別化ポイントとしては『デザイン性』を意識しています。まずユニフォームとしての基本性能があって、次に機能面などの付加価値、そしてさらにアルベならではのデザインを加えるというのが、基本的な方針です。そうすることでお客さんに幅広い選択肢を用意することを心がけています」
 
  カラーや柄といったバリエーションに加えて、テイストもフォーマルなものからヤンチャ系のものまで、守備範囲が広いのもアルベの特徴。シャツひとつとっても、袖の長さや襟のかたちの違いだけでなく、同カラーでもボタンの色だけ違うものが用意されていたりと、いろいろ芸が細かい。
 
  「やはり人気は白と黒ですが、カラーや柄でも、なんでもあるようにしておきたいんです。新色や新柄がウケるかどうかは、出してみないとわからない。ただ新しい柄でも大きく出すと、評価は分かれるけれど、ワンポイントだと受け入れられやすかったりするので、その点は上手にチャレンジするようにしています。目指しているのは低価格でなんでもそろう、という感じですね」
 
  さまざまな色柄を展開する意味は、バリエーションを誇るためだけではない。職場でのユニフォームとしての活用度も上げる効果もあるという。
 
  「たとえば、スーパーの総菜部門で使うようなシンプルな白衣でも、アルベではファスナー部分を5色で用意しています。こうすることでユニフォームを担当部門ごとのカラー別にしたりできるわけです」
 
  デザイン性といっても妙にゴテゴテと凝ったようなものとは限らない。アルベの考えるデザインとは、装飾よりは実用性を主軸に据えたアプローチなのだ。
 
  ●衛生管理ニーズに応える
 
  さらに落合さんは、HACCPに対応することの重要性について、話を続けてくれた。HACCPとは、食の安全を厳格にコントロールするための基準全般を指すが、ユニフォームでは主に袖の内側などにネットを取り付けることによってその基準をクリアすることになる。つまり、袖口は開いていても、外側からは見えないインナーネットによって腕を密閉してしまうわけだ。
 
  「これは体毛落下防止のためのネットです。衛生管理がシビアな食品工場ではこういったウェアが使われていますが、今のところスーパーのお惣菜調理などではここまでの衛生管理は必要ありません。しかし、昨今の食の安全への視線は厳しさを増しているし、そのうちこういう機能も求められるようになってくるのでは? と考えたわけです。内側ネットなので袖の開いた和風スタイルにも違和感なく取り付けられます。スーパーをはじめ惣菜を扱う店はたくさんあるので、積極的にPRしていきたいですね」
 
  つまり、弁当の工場なんかでおなじみの全身すっぽり覆うスタイル。あのレベルの衛生管理が、いずれはスーパーのお惣菜コーナーでも必要になる、との見立てだ。言われてみれば、最近の新しいスーパーでは調理の様子が見えるようにしているところがあるし、客が行き交うところに揚げ物などを並べるのをやめる店もじわじわと増えてきている。やや神経質かと思いつつも、やはり消費者としては、衛生面はガチガチに厳しいほうがいい。
 
  先回りした食の安全ニーズへの対応は、白衣に原点を持つチトセらしい提案と言えそうだ。
 
  ●小技を重ねた「定番パンツ」
 
  バリエーション豊富なシャツ、衛生機能付きの白衣に加えて、落合さんが売れている商品として紹介してくれたのは、「男女兼用ストレッチパンツ(AS-6801)」。一見ごく普通の黒いズボンだが、伸縮性が高くて耐久力のある生地「ストレッチトロピカル」をはじめ、総合力の高さが評価されているという。
 
  「このパンツの売りはまず生地です。見た目はキッチリとしたフォーマル感がある一方、しなやかに体にフィットし、ストレッチも利いていて非常に動きやすい。それでいてヘタりにくいので飲食サービスの現場にぴったりなんです。男女兼用なので、ユニフォームとして統一しやすいのもポイントです」
 
  飲食ユニフォームの定番、黒パンツ。それがストレッチで高耐久、低価格とくれば欲しがる人が多いのは当然。だが、このストレッチパンツが売れている理由はそれだけではない。落合さんによれば「裾サイズ」も人気の秘密だという。
 
  「この商品は裾上げ不要のパンツなんですが、じつは裾がやや短めになるように計算してあります。裾上げができない若いスタッフでも、だらしない格好にならないよう、あらかじめ短めにしてあるわけです。裾がダボつくよりは、短か目くらいの方がいいですからね」
 
  じゃあ足の長い人はどうするのか、と思ったら、こちらの予想を超える” 秘策”が用意されていた。
 
  「じつは裾は8cmまで延ばせます。かなり長めに生地を折り込んで裾上げしてあるので、糸を外せば長身の人でも対応できるんです。基本的にはそのまま履いてもらって、足の長い人は自分で裾を伸ばしてもらう。こういう使い方をイメージしています」
 
  普通のズボンが「裾上げ」するのに対し、こちらは必要に応じて「裾下げ」をする。逆転の発想だ。おりしも飲食業界はインバウンドによって好調が続いており、性別だけでなく体形まで選ばず共通化できるユニフォームを望む声は多い。このような背景もあってかこのパンツはインターネットでよく売れているという。
 
  「"すそもの"をしっかり取っていきたいですね」
 
  落合さんは最後にこうつぶやいた。誰もが注目する派手な商品はなくても、「こういうのが欲しかった」と言ってもらえるようなキラリと光る商品を作る――。そんな専門メーカーの矜持を感じる言葉だった。
 
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体毛の落下を防ぐネット付き
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エプロンの品ぞろえも豊富

    

「食の安全」はここまでスタイリッシュに! ヨーロピアンデザインのHACCP対応シリーズ

世界的に導入が進んでいる食品衛生管理システム「HACCP」の考え方を取り入れた次世代のフード系ユニフォーム。すっぽり髪を覆うネット、体毛の落下を防ぐ袖口ネット・パンツ裾ネットなど、異物混入を徹底的に予防する。スーパーのお惣菜部門やお弁当屋さんなど、さまざまな食品サービスの場面で活躍しそう。


ゆったりスタイルに盛り込んだ衛生機能! キリリとした雰囲気が魅力の"和モダン"ユニフォーム

訪日外国人の「おもてなし」など、和を感じさせるサービスにぴったりなジャパニーズ・スタイル。シャツには体毛の落下を防ぐ袖口ネット付き。異物混入を徹底的に予防できるので「HACCP」対応ウェアとしてもオススメ。部分的に柄を取り入れたキャップ、エプロンを合わせれば凛とした最新の和風スタイルに。