まいど通信


        

まいど!まいど通信編集長の田中です。年が明けました。。。そう書き出してからもう2時間経ってます。パソコンのカーソルは1ミリも前に進んでいないです。原稿に向かってもどうにも乗ってこないそのわけは、これを書いている今は本当はまだ12月で、正月明け独特の華やいだ雰囲気をムリやり演出しようとすると、何だかウソっぽくなってしまうから。前の年に収録しているテレビの正月番組で、芸能人が明けましておめでとうございまあすなんて言ってるのと同じくらいミエミエで、白々しくて気が引けます。嘘はいけないよなぁ、ウソは、と思いながらも、実際問題、正月明けてから原稿書いてたんじゃ6日の営業開始日に間に合わない恐れもあるし、休みの間も気が気じゃなくて、おちおちゆっくりとしてられないし。去年(おっと失礼、まだ今年ですね)まではバカ正直に正月に原稿を書いていたけど、いいかげんにしてよと彼女に怒鳴られ、仕方なく今回は作り置きのお節料理のように、12月にこの原稿を書いています。ま、読者の皆さんだって、年が明けてから年賀状を出すひとはあんまりいないでしょ。前の年のうちに、今年もよろしくお願いしますなんてしれしれとしたためているはず。これくらいは許されるよね。きっと。だから堂々と言っちゃう。今年もまいど屋をどうか御贔屓に!

今月のテーマは消耗品
年始恒例の消耗品特集です。なんで恒例になっているかは自分でもよくわからないけど、とにかく年が明けたら消耗品をやるってずっと前から決まっていて、今回も前例を踏襲して何の疑問も持たずに消耗品のメーカーをぐるぐると回ってお話を聞いてきました。疑問を持たずに仕事を進めるのはすごく能率がいいです。あれこれ悩んで余計に頭を使う必要もなく、すらすらと物事が片付きます。こんなにイージーに流されてたら月刊まいど屋らしくないからと、以前、作業着特集のようなヘビーな内容を企画したこともあったんだけど、年末の忙しい時期に勘弁してくださいよおと、どのメーカーからも泣きを入れられ、結局、消耗品に落ち着いちゃうことに。それに、ほとんどのひとは年が改まる前にユニフォームは揃えちゃってるし、いまさら特集されてもきっと却って迷惑ですよね。もう買っちゃったのに。どうして早く教えてくれなかったんだよなんて恨まれそうだからやっぱりこれで正解なのかな。
あ、そうそう、テーマはお気楽に決めているけど、取材、執筆はちゃんとしっかり真剣にやってますからご安心を。例えばインソールの木原産業なんか、タイトルにシェイクスピアを文字ってる。To be, or not to be. 有名な「それが問題だ」ってやつ。凝りすぎて、意味不明だっていうウワサもあるけど。そのうち、編集長、あなたが一番の問題だって言われたりして。

コーヒーマシン
先日、都内のデパートをうろうろしていたときのこと。華やかな特設会場に色とりどりのコーヒーマシンが展示されていて、キャンペーンガールらしき女の子たちが、爽やかな笑顔を振りまいています。お客さま、いかがですか、本格的なコーヒーが手軽に楽しめますよ。カプセルをセットしてボタンを押すだけなんです。ついつい、ふらふらと売り場に近づき、気がつくとカウンターに座らされ、数十種類あるカプセルのそれぞれの味の違いの説明を受け、その場で抽出してくれたコーヒーを飲んでいました。うん、これは確かに香りが立ってるね。おいしいです。あ、そうだ、ウチのオフィスの女の子たちは、みんなで小銭を出し合って、コンビニでインスタントコーヒーの瓶を買ってたっけ。これを持って帰ってやれば喜ぶだろうなぁ。ニヤニヤしながらそうつぶやくと、販売員の女の子が待ってましたとばかりにトドメのトークで獲物をしとめます。オフィスでお使いになるんですね。そんな方、たくさんいらっしゃるんです。会社でおいしいコーヒーがいつでも飲めるなんて、素敵ですよね。そうだよね。じゃあ、貰っちゃおうかなぁ。これいくら?
マシンの値段を聞いて、腰が引けました。さらにカプセルの値段を聞いて、のけぞりました。カプセル1個80円。10人使ったら1日800円。一人2杯飲んだら1600円。誰がそれ払うんだろ。今ならキャンペーン中で、オマケのカプセルが1セット付いてきますからね。嬉しそうにそう言いながらラッピングを始めた彼女に向かって今更いらないと言う勇気もなく、作業が終わるのを黙って見つめていました。
買ってきたマシンは今、デスクの下に隠しています。とりあえず敵に回したら怖い3人くらいに絞ってマシンのことを打ち明け、それで一人一日1杯に制限してもらって240円。それくらいなら、何とかなるかなぁ。でも、他の人たちにバレずにコーヒー入れるって、どうしたらいいんだろ。買い物は先々のことまでよく考えなきゃ。マジ、頭イタ。

ひと夏の恋、その後
去年9月のまいど通信に登場した例の彼。ローソンの店員の女の子となんとかお近づきになりたいともがいていたあの彼のこと。先日、忘年会で顔を合わせる機会があり、飲んでいるうちに成り行きでまたその子の話になりました。
ポンタでさあ、ちょっと失敗しちゃって。え、ポンタって、なにそれ?ポンタカードだよ、ローソンの。もう4杯目になるジョッキを傾け、すっかり出来上がった目に軽蔑の色を浮かべながら彼が続けます。ローソンの彼女と仲良くなるには、まずきっかけが必要だって言ってくれたろ。覚えてる?で、閃いてポンタカードの会員になろうと思ったわけよ。会員になるにはカウンターで書類を書かなきゃだろ。そのときいろいろ質問すりゃ、深く知りあえるんじゃないかと。そうか、よく気付いたね。で、質問できた?歳いくつ。ご趣味は。好きな食べ物は。君の全てが知りたいって言ってみた?
こちらの茶々入れにも反応せず、彼は悲しそうな顔で首を振ります。いや、それが失敗しちゃってさ。彼女、覚えてたんだよ。俺がポンタカード持ってること。半年くらい前に、一度だけその店で使ったことがあったんだ。前も言ったように、彼女はすごく頭がいいんだ。当の本人がすっかり忘れているようなことまで、記憶して接客に生かしてる。すごいひとなんだよ、彼女は。確か、お持ちでしたよね、カードってこうくるわけだ。俺は大抵のことには動じないんだけど、その時は泡食って、あ、それ失くした時のために、もう一度作り方を勉強しようと思ってなんてワケわかんない言い訳して、申込用紙を引っ掴んで逃げてきちゃったんだ。あああ。
普段はコワモテで鳴らす彼が、顔を真っ赤にしてあたふたと逃げ帰る様を想像し、本人には悪いけど、すごく楽しい忘年会になりました。あとで、こうして書いていても、自然と口元がほころんできます。このまま、まいど通信で彼の話をシリーズ化しちゃおうかな。連載マンガのまいど君がゆくみたいに、トップページに専用コーナーを設けるってのもアリかも。ビッグダディみたいに人気が出たりして。

今年は何かすごいことになりそうな予感
正月明け初日の真っ白感が好きです。早めに出勤してきて、壁に掛けられた今年のカレンダーの表紙をビリビリとはがす。数字が収まった四角いマスは整然と並び、どのマスも何かが書きこまれることを待っている。金属製の留め具には、まだしっかりと12枚の紙が挟みこまれていて、印がつけられているものは一つもない。一年あれば、どんなことでもできそうな気がする。これをやり、以前からずっと気がかりだったあれを片付け、さらにやる気次第で新しいことにどんどんチャレンジしていけそうな万能感。大掃除で綺麗に片付いたデスクには、これからどんな書類が積み重ねられていくんだろう。仲間と思わずハイタッチをしたくなるような嬉しい出来事も、胃に穴が開きそうなタフなやり取りも、きっとたくさんこの机を通り過ぎていく。そしてもちろん、読者の皆さんに胸を張って言いたくなるような、誇らしげな報告も。今年のまいど屋はいつにもましてすごいことが起きそうな気がしてくる、正月明けの至福のひと時。