まいど通信


        

まいど!まいど通信編集長の田中です。年が明けました。世間では新年早々、午前0時を回ったとたんに、明けおめのメールが飛び交っているみたいです。新年あけましておめでとう。今年もよろしく。何についてよろしくお願いしているのか、誰もわかっていないのだけれど、とにかく誰もが誰かに向かってとりあえずお願いだと連呼し続けてる。きっと空中では、送信された無数のお願いしますが帰省ラッシュの高速道路みたいに数珠つなぎになって渋滞してる。その辺に網でもかけとけば、大量に引っかかるはずです。そしてどれもが死んだ魚みたいに、同じようなうつろな目をして受け取ったひとがゴミ箱に放り込むのを辛抱強く待っている。
結局送った方も受け取った方も、何のためのお願いだったのかわからないまま忘れちゃうんです。そこに目的があるとしても、明けおめを送る本人すらおそらく気づいていないんだから。多分、それは無意識に書いた別れの挨拶なんです。今年もあなたとはお会いするつもりはないけれど、そっちはそっちで元気でやってください。では、また来年まで、ごきげんよう。
チャンドラーばりに書くなら、明けおめを言うのは少しだけ死ぬことなのかもしれないです。だから、もしも読者の皆さんから編集部宛てに明けおめが来たら、明けおめにはまだ早すぎるねって言うつもりです。明けたからってまいど屋はいつものまいど屋であって、別にどうということはないんです。開幕戦を迎えたプロ野球の監督が、それはただの143分の1なんだと記者に語るのと同じみたいに。
正月が明けても、まいど屋は特別なことをするつもりはありません。読者の皆さんに対しても、今年もよろしくお願いすることはありません。普段通りに、誠実に。去年と同じように、ずっと変わらずここにいます。あなたのために。
---2016年1月1日 スタッフ一同---

今月のテーマはあの迷作のパート2
柳の下に二匹目のドジョウはいるのか。あるいは切り株の前で息をひそめていれば、ウサギはまたやってくるのか。どちらにせよ、結局はやってみなければわからないことなのだろうけど、世の中の多くのひとはそれを信じているみたいです。映画館では、○△パート2とか、続△○みたいなタイトルばかりが幅を利かせている。そして、それらは例外なく、前作以上に時間と予算がかかっている。でも、大抵の場合、そうして出来上がった作品からは、1作目の輝きはどの部分からもちょっとずつ失われていて、全体的な印象もどこか大味になっています。一見、それなりに卒なくまとまっているけれども、何かが決定的に損なわれているんです。人々は有名店の料理を家に持ち帰って、それをレンジで温め直したみたいな感想を持つ。そして後には過剰な包装紙の残骸と、関係者の舌打ちだけが残ることになる。
そんな諸々を承知の上で今回、編集部は去年の正月号のパート2をリリースしました。自分で言うのも何ですが、編集部としてかなりいい出来だと自信を持っていたし、個人的にもなかなか気に入っていたからです。そして映画制作会社がいつも罠にはまるのと同じ手順で、そこにはドジョウやウサギがうようよいるような気がしてきた。もう続編を作るしかないでしょ。
企画に取り掛かってすぐ、例によって物事はそんなに甘くはないことがわかりました。いざ原稿を書こうとすると、何も出てこないんです。そして書きたかったことは前回で全て書き尽くしていることにようやく気付く。それでも企画は走り出してしているから、無理に無理を重ねることになる。なんとか前作を上回ろうと悩み続けていると、かなりきわどいテーマに触れざるを得なくなってくるんです。取材を受けたひと達が、こんなもの承諾した覚えはないぞって怒りだすようなことをしたくなってきちゃう。そしてさらに刺激を求めて、話を脚色したい誘惑に駆られだします。多少ならいいかなって、倫理観がマヒしてくるんです。
で、出来上がったのが今回の特集。なんだか短編小説集のようになってしまいました。一応は公式なレポートですが、多少は(というかある程度、というかそれなりに、必要に応じて)脚色が入っているかもしれません。でも、ま、もともと企画ものの正月号だし、今回はちょっとした遊びと言うことで、読者の皆さんも許してくれるんじゃないかなぁ。取材に応じてくれたあの3人が許してくれるのかはわからないけれど。
<編集部より、注>続編ですから、前作を読んでいないと意味が分かりづらいところがあると思います。何を言っているんだかわからないぞと途中でイヤになってしまったひとは、どうかバックナンバーから2014年1月号を探してそれまでのいきさつを確認してみてくださいね。別にそこまでする義理はないって皆さんに叱られそうだけど。

今年の漢字
今年の意気込みを、漢字一字で表すとしたら。正月のテレビ番組なんかで、よく芸能人やスポーツ選手がインタビュアーに聞かれてますよね。ああいうのを見ていると、テレビに出るようなひとはみんなすごいなぁって感心しちゃいます。だって、誰一人としてうーんと答えに詰まることがないんです。渡された色紙に、すらすらと頭に浮かんだ漢字をしたためちゃう。そしてその文字に込められた深い意味について、とうとうと自分の意見を語って見せちゃう。もし自分があんなふうにテレビカメラの前に引っ張り出されたら、一文字選ぶ前にきっと何時間もうんうんと唸るはずです。挙句にその漢字が書けなくて、大恥をかく恐れすらある。書き始めるまで辛抱強くテレビクルーが待っていてくれればの話だけど。
せっかくの正月だっていうのにそんな目に遭いたくはないですから、今日は前もって漢字を選んでおきます。もちろん、字が上手く見えるように、何度か練習だってしておきます。まいど屋さん、今年はいったいどんな年になるのか、漢字一字にしてください。突然街角でマイクを突き付けられも、もう臆することはありません。お安いご用です。色紙とサインペンはお持ちですか。
愛。そして横っちょにはLove & Peaceの添え書きを。別に狙っているわけではありません。翔とか躍とか、そんな私の履歴書的な模範解答をしてもいいんだけど、なんだかとってつけたようですんなり自分の感覚になじまない。実際、まいど屋にとっては会社を大きくするみたいな話はそんなに重要ではないんです。経営コンサルタントなどと称するスーツ姿のひとたちが念仏のように唱えている売上げ伸び率やら、ROEやら、そんなものにはあまり興味がもてないんです。愛。仕事に向ける愛。メーカーへの、また共に働くスタッフへの愛。そしてもちろん、まいど屋を信頼してくれる皆さんに対する愛。それさえ根底にあれば、物事は何とかなっていく気がします。シェキラベイベー。みんな、愛し合ってるかい。まいど屋は本気でロックしてます。少なくともスーツ族じゃない。内田裕也的に、今年も相変わらず、まいど屋はツイストアンドシャウトし続けます。たとえネクタイをしたどこかの偉い先生が、科学的に、効率的に、そしてもっと野心的にお店を運営していくべきだと流行りの経営理論を振りかざしてきたとしても。

今年の目標
お正月ですから、最後に今年の目標を書きます。らしくていいでしょ?おとそでも飲みながら、リラックスした気分で、これからの一年に思いを巡らせる。愛を中心軸に運営されるまいど屋は今年、何をするのか。少し酔いが回っているんだから、なんとでも書けます。そして酔っているんだから、それについて責任をとる必要も当然ありません。酔っぱらいはいつでも、何をしても、大抵のことは大目に見てもらえるという特権を持っているんです。ですよね?じゃ、何でも許されるのなら、お言葉に甘えて好き放題言わせてもらっちゃう。今年のまいど屋の3大目標について。
★新しいお店を作る---まいど屋グループは本店のまいど屋と、オフィスウェア専門の事務コレ!の2店体制で運営していますが、そこに第3の新店を加えます。本店の中で埋もれてしまっているジャンルの中で、専門化した方がいいと思われるものが候補です。皆さんが今よりずっとお買い物しやすくなるように、知恵を絞ってみようかな。
★取り扱いメーカーをもっと増やす---皆さんが普段使っているユニフォームは、どんなものでももれなくまいど屋で探せたら便利ですよね。このメーカーの商品があればいいのにっていう皆さんのリクエストになるべくお応えできるよう、頑張ってみますね。
★まいど屋オリジナルブランドを作る---ズラとブラに続く第3弾。もういい加減にしろって怒られてもまたやっちゃいます。言ってみれば、これも皆さんに対する愛情の裏返しなんです。残念ながらリクエストはまだ特にきていないんですけど。
ついでに個人的な目標も。
★家で寝る---今年こそ、ちゃんと家に帰って、ベッドで寝るようにしたいです。どんなに仕事が遅くなっても、眠くてたまらなくても、食後の車の中で気絶してしまうことだけはやめたいです。少なくとも、3日に1回はまともに横になって睡眠をとりたい。でも、日中どれほど強く誓っても、そのときになると、とてつもなく強い力になすすべもなく引きずり込まれちゃう。落ちていくあの瞬間に打ち勝つ方法を、なんとしてでも見つけなきゃ。

その他、突如イケメンのモテ男になるとか、誰からも尊敬される人格者になるとか、いろいろ書き並べたいことはあるんだけど、それだけでこのまいど通信のページが全部埋まってしまいそうなので、もうやめときます。読者の皆さんも、だんだんイライラしてきたころだと思うし。ま、酔ってるもんで、とりあえず許してね。それじゃ、この辺でそろそろ与太話はやめにして、今年もまいど屋、開店します。いらっしゃいませ!