まいど通信


        

●早めの備えを!

「ふーゆーが、はじまるよー♪」

はい、脳内に槇原敬之が流れたらこちらの勝ちです。今回は防寒特集ということで、冬の訪れを告げる、というかそのまんまのこの言葉から始めましょう。

みなさんは冬の備えはキッチリしているでしょうか? 私なんかは毎年「まだいける」「出すのが面倒くさい」と、つい手袋なしで自転車に乗って霜焼けになったりしてしまいます。早めに準備しておけば、こんな苦痛を味わわなくてもよかったのに……。我慢しても1円にもならないんですよね。みなさんも、今回の月刊まいど屋を参考に早め早めの冬の備えをおすすめします。人気モデルが売り切れないうちに。

さて、「早めに備える」といえば最近、買ってよかったものに災害時やキャンプで使うウォータータンクがあります。台風21号では大阪でたくさん停電が起きました。わが家は幸運にも大丈夫だったのですが、マンションは停電するとポンプが止まって断水するらしい。そこで、いざというとき、給水車から飲料水をもらって来れるようにタンクを買っておこうと思ったのです。

買ったのは容量12リットルで(これ以上になると重すぎて持てない)、蛇口をひねると水が注げるタイプです。買ったからにはすぐ使いたい。自分でも「バカなことしているな」と思いつつも、とりあえず満タン入れて仕事部屋に設置してみました。うーん……、すごいデカくて邪魔! しかし、3日ほど使っていると別の感想がわいてきました。キッチンに水を汲みに行かなくていいのはなかなか便利なもんだな、と。

仕事机にはスーパーのくじ引きで当てた(少し自慢)電気ケトルにお茶やコーヒーのセットがあります。従来は何か飲みたくなると台所から計量カップで水を運んできていたわけですが、これが完全不要に。いくらでもタンクから水を出して、沸かして飲める。こうなるとちょっとしたドリンクバーみたいなものです。それに、水が減っていくのがなんとなくおもしろい。水道水を常温保存できるのは1週間程度なので、ちょうどそれくらいで12リットル使い切ると「よし、やったぞ」という気分になります。もはや何を言っているかわからないと思いますが、とにかくなるのです。

そんなウォータータンクに、ついに本領発揮の舞台がやってきました。水道工事に伴うマンション断水です。しかも9時から17時の一日中! きっとほかの住民は風呂に水をためてトイレに使い、食事はコンビニ弁当か外食といったところでしょう。ところが、うちにはタンクがあります。炊飯も鍋物も、たっぷりのお湯でパスタを茹でることすら可能! ふはははは! ……というわけで、平時から非常時に備えることは有効であり、しかも楽しいというお話でした。

●時代は軽防寒?

今回の取材を行ったのは10月。まだ半袖でも平気でした。そして今この原稿を書いているのが11月末。今月前半は晩秋のわりに暖かくて妙な感じでしたけれど、ようやく冷たい風が吹くようになってきました。いよいよ冬本番です。

ただ、どうやら今年は暖冬みたいですね、エルニーニョ現象とかナントカの影響で。去年も冬なのに汗をかいて困った記憶がありますから、2年連続の暖冬です。編集長は寒がりなので「よかった」と思うものの、ほんの少し「つまんねー」という気もします。みんなガタガタ震えている中、ハイスペックな防寒アウターを着こみ仙骨の上にハクキンカイロを仕込んで「ははは、おれはぬくぬくだぁー」とニヤつく。アレが今年もできないなんて……。最終兵器のモコモコ防寒ブーツも履く機会がなさそうです。

寒くないと、防寒アウターが売れなくて困るんじゃないの? と読者は思うでしょう。しかし、さほど悲観しなくてもいいようです。まず今年の場合、ボランティアをはじめとする災害復興の需要があります。また、冬が暖かければ暖かいで「もっと薄手のアウターが欲しい! いま持ってるヤツじゃ暑くて」といったニーズも出てくるそうです。なるほど、言われてみればたしかに冬の暖かい日って、何を着て行けばいいのかわからなくて困ったりする。昼間はウインドブレーカーでよくても夜は寒かったり、早朝はダウンでよくても昼間は汗をかいたり……。脱いだり着たりもめんどくさいから、なんかこういう時期にちょうどいいのない? と。

そこで、キーワードとなるのが「軽防寒」です。モコモコのダウンジャケットや防水透湿のハイスペック素材といった「重防寒」に対してもっと薄くて軽いアウター。素材の機能も「防水」じゃなくて「撥水」程度。防寒力はそれなりだけれど、そのかわり秋から春にかけて出番も多い。暖冬ならこれ一枚で乗り切れちゃう。レディースファッションには「秋物コート」「春物コート」というのがあって、そんなの要るか? と思っていたのですが、ワークウェアにもそれに近いカテゴリである「防寒しすぎない防寒」が必要とされるようになったのかもしれません。

テレビが火付け役となり、巷ではワークウェアがちょっとしたブームです。バイク乗りに高評価の防寒ウェア! といった調子で話題になったり。ただ「めちゃくちゃ暖かい」のは案外、困る面もあります。なかなか登板する機会がないままクローゼットの肥やしになる可能性も高いのですね。編集長も冬山登山にも使えるダウンジャケットやバイクに乗っていたころ買った防風断熱アウターは結局すべて手放してしまいました。釣りやバイクなんかをやらないなら関西では必要ないんです。いま持っている冬物アウターはまさに「軽防寒」なちゃちいブルゾン。ただ、これも2月くらいになると寒い。もうちょっと暖かめのアウターもあったほうが……、と“防寒アウター沼”にハマり込んでしまいそうな自分がいます。

●寝台列車で瀬戸内へ

今月号の取材では珍しく寝台列車を使いました。取材前日は東京にいたので、東京駅22:00発の「サンライズ出雲・瀬戸」に乗り、6:46倉敷駅で下車、在来線で福山入り。この夜行列車を使えば、翌朝9時には府中駅に着くことができます。逆方向の上りは7時過ぎに東京着ですから、瀬戸内・山陰―東京あたりを移動する人なら、出張なんかにも意外と便利です(チケットは取りにくいのですけど)。

個室はもちろん、シャワーだってあります。通勤電車と同じガタンゴトンというリズムの中でシャワーを浴びるのはなかなかオツなもの。風呂を出て個室に戻り、備え付けのガウンを着てビールでも呑めば極上の時間です。すぐ眠りに落ち、目覚めると姫路あたりでした。

ほどなくして6:27に岡山駅着。ここでは出雲号と瀬戸号の切り離しのため、数分のあいだ停車します。一部の乗客は、ホームで予約しておいた弁当を受け取っている。出雲に着くのは10時なので車内でゆっくり朝食をとれるわけですね、うらやましい。そうこうするうち電車の切り離しが始まりました。テツ分の高い乗客たちの熱視線が降り注ぐ中、作業は厳かに行われます。たぶん乗客の8割くらいがホームで見守っていたと思います。これはもはや切り離し「作業」ではなく「儀式」と呼ぶべきでしょう。

編集長は次の倉敷駅で下車。まだ揺れている感じが残る足取りで「最後に去っていくサンライズ出雲号の写真でも撮っておくか……」とカメラを取り出したとき、違和感を覚えました。ホームにいる誰一人としてサンライズにハシャいでないんです。いや、地元の人は毎日見るから当たり前なんだろうけど、まさか一瞥もしないとは。東京駅の入線では歓声が上がり、さっきの岡山では芸能人の記者会見のごとく切り離し作業を撮りまくってる人たちがいたのになぁ……。カルチャーショックというか。まあ、こっちの反応の方が正常なんでしょう。

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今月も「月刊まいど屋」に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。次回は2019年の1月、新年号でお会いしましょう!