まいど通信


        

まいど! 編集長の奥野です。今回は「夏といえばこれ、これといえば夏」な鉄板特集「猛暑対策アイテム」をお届けしました。これまで暑さ対策の商品といえば、ファン付きウェアが中心で、保冷剤ベストに水冷の……、といった様相でしたが、なんと今回は取材に応じてもらった3社ともに「ペルチェ」の商品が新登場。いわゆるアイデア商品として数社が出しているのは知っていましたが、まさかメインストリームに躍り出るとは。正直、こんな日が来るとは予想していませんでした。大風量のファンに冷え冷えのペルチェに、と夏を快適にしたいワーカーの皆さん、最先端の猛暑対策アイテムのお買い求めはぜひ、まいど屋で!

●悩み多き「夏の雨」

この原稿を書いているのは6月上旬。ちょうど関西地方が梅雨入りしたタイミングです。

さて、毎朝ウォーキングしていて、日中もほとんど徒歩&自転車で移動している私にとって、例年この時季の悩みの種となっているのが「雨具」。小雨ならカサで歩くし、大雨ならカッパを着ればいいわけですけど、夏の雨対策はなかなか難しいんですよ。

まずは暑さ。いくらゴアテックスなどの透湿素材でも、真夏に上下のカッパなんて着てられません。昨年の6月には、大雨の中、レインコートで小豆島の「お遍路」をやっていましたが、染み込む雨に加えて、汗でびしょびしょになるのがかなり不快でした。膝下丈のレインコートは、太ももあたりまで雨を防いでくれるので、まあまあ正解と言えるものの、「もっといい夏の雨対策グッズがあるんじゃないか?」という意識がずっと頭にあったものです。

また、夏といえば、近年増えているゲリラ豪雨も大問題です。近頃は夕立というか熱帯のスコールのように、いきなりドカッと降ってすぐ上がるので、そのぶん対策も厄介。軽くてかさばらなくて、「大雨きたー!」と思ったらさっと身につけられて、雨が上がったらすぐに畳んで収納できる。そんな「折り畳み傘」のようなレインウェアはないだろうか……。

というわけで、昨年からずっと検討していたのが「レインポンチョ」です。ママチャリのおばちゃんとか、小さい子供が雨の日に着ているマントみたいなやつですね。あれなら羽織っているだけだから蒸れの心配もない。それにスカートのように末広がりになってるぶん、靴も濡れにくい。さらにバッグの上からかぶってしまえば、荷物も濡れない。風が強い日は多少バタつくだろうけれど、ママチャリくらいなら乗れそう。要するに「ポンチョって最強じゃね?」と。

とりあえず、近所のホームセンターで安物のポンチョを購入。そして、大雨の日にわざわざ外出しました。おお、やっぱりポンチョ強えー! と思ったものの、歩き出して5分もしないうちに問題点に気づきました。

まずモノが出せないこと。ポケットからスマホを取り出そうとすると、まず手をポンチョの中に引っ込めて、内部で取り出します。さらに画面を見るには、無理な姿勢で襟元から「中」を覗き込むか、スマホを持ったままポンチョから手を出すかの2択になります。これは不便。買ったポンチョには前面にポケットが付いているものの、出し入れしてるうちにだんだん水が溜まってしまい、こりゃあダメだ、となりました。ちなみに、ポンチョは腕を上げるとコウモリのようにウェア全体が持ち上がるので、傘を併用するのも無理があります。

そんなわけで、いったんポンチョから撤退したのが去年の秋。それでも、どこかによくできた理想のポンチョがあるはず……、と情報を集める中で見つけたのが、「米軍ポンチョ」でした。

●「米軍ポンチョ」のススメ

米軍ポンチョとは、その名の通りアメリカ陸軍の装備品のポンチョです。構造は、長方形のシートの真ん中に頭を出す穴(フード付き、コードで閉じられる)があるだけ。そのシンプルさゆえにアホほど丈夫で、縫い目もないから防水性能も抜群です。

ただし、ミリタリー用なので重くてデカくて、カラーリングも軍モノ丸出し。街では使いづらい。ポチりたくなるのを抑えながら、根気強く米軍ポンチョについて調べていくと、なんと「民生品バージョン」があるのを発見しました。レビューを見ると「本物より薄くてひと回り小さい」とある。しかもカラーもネイビーやオリーブなど、不審者ルックにならないものが選べる。こ、これだッ!

そしてついに、この夏からレインポンチョユーザーになりました。買ったのは「ヘリコンテックス」というポーランドの商品。雨が降ってきたら、縦220cm・横140cmのポリエステルのシートをバサッとかぶって頭を出します。「スマホ問題」は残っているものの、慣れればなんとかなることもわかってきました。長辺(220cm)を二つ折りにした長めの着丈は、靴の濡れもかなり防いでくれる。ただ、女性や背の小さい人は、上り階段などで、裾を踏みつけないように注意がいるでしょう。それでも、平地ではなんのストレスもなく歩けて、大雨でも濡れない。「ポンチョ最強!」です。

このポンチョは、シート状のまま簡易タープや敷物として使えるように、8カ所のハトメ付きの「穴」があります。これがひじょうに便利で、いろいろな“応用”を可能にしてくれます。ハトメにゴム紐を通してテンションを調節すれば、強風によるバタつきを抑えたり、腕が出ないようにして保温性を高めたりといった具合です。

なにより「これがあれば大丈夫」という感覚がいいですね。いざというときは、ハトメを使って日除け・雨除けが作れるし、フードをかぶって木にもたれかかるだけで簡易テント(ツェルト)になる。もちろん外で夜を明かしたくはないけれど、これさえ持っておけば、雨風と低体温をバッチリ防げるというのは、かなり安心です。さらに、着替えや「用足し」時の目隠しにも使えるので、アウトドアに限らず、防災用品のひとつとしてもオススメ。常にカバンに入れておけば、雨対策のほかにも、災害で電車が動かなくなったり、避難所で過ごすことになったりしたときにも役に立ってくれるでしょう。

このように素晴らしい万能アイテムが「米軍ポンチョ」。ただ、残る問題は「見た目」でしょうか。あのムーミンに出てくる「スナフキン」みたいなシルエットは受け入れるとして、難しいのは色ですね。

街で黒や迷彩はやめておいたほうがいいのはもちろんですけど、購入したオリーブカラーも、けっこう威圧感がある。離島の集落なんかをこれでウロウロしてたらめちゃくちゃ警戒されそうです。もっとスカイブルーやオレンジなど、視認性が良くて安心感のあるカラーが選べるようになると、幅広いユーザーに使ってもらえるのではないでしょうか。交通安全や防災用にイエローもいいかも。あと、反射プリントを付けるとか、手を横に大きく広げたら救助用のサインを出せるとか。

作業服メーカーの皆さん、「街で着られる米軍ポンチョ」の開発にチャレンジしてみてはどうでしょう? 夏のゲリラ豪雨対策に加えて、屋外作業での日除け・雨除けにもなるワーキングポンチョ! ご報告、お待ちしてます。

   ☆

そんなわけで、今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回も『元・月刊まいど屋』をお楽しみに!