まいど通信


        

まいど! 編集長の奥野です。ついに2025年も秋冬ウェア特集をお届けできました。ごぞんじの通り、今年の夏はめちゃくちゃ暑くて、10月半ばまで半袖しか着ないような夏日が継続。正直なところ「ホントに涼しくなるのかな?」って感じでしたが、やっとこのシーズンが来ましたよ。まだそれほど寒くもなく、上下ともさまざまな着こなしが楽しめるこの気候。職場で現場で、輝けるウェアをお探しのみなさんは、ぜひ「まいど屋」を、ディグってみてください!

●旅メシの極意

 あの猛暑から3カ月、すっかり涼しくなって、旅に最適な時季を迎えました。テーマパークを歩き回っても快適だし、神社仏閣めぐりも気持ちいい、肌寒くなってくると温泉もまた格別ですね。

 ところで、みなさんは旅行中の食事はどうしていますか?

 地方の名店に足を運んでご当地グルメや旬の味を満喫する、というのもアリですけど、ホテルや旅館の朝ごはんを食べて、また昼にちゃんとした食事をして、夜は豪華な肉や魚、それにお酒も……、となるとなかなか大変ですよね。胃腸も疲れるし、体重も気になる。それに人気店に入るとなると、お金や時間もそれなりにかかってしまう。私は去年、博多の超人気店に開店前から1時間以上並んで、念願のとんこつラーメンを堪能しましたが、正直、味よりも「すっげー並んだ!」ということのほうが印象に残っています。それ以外にあのラーメンにありつく方法はなかったとはいえ(むしろ1時間で食べられたのは幸運)、並んでいる時間がもったいなかったような気もする。さらに現在はインバウンド旅行者が多いので、以前なら並ばなくて入れた店でも行列ができていたりしますから、旅行中に豊かな食体験をするためのハードルはどんどん上がっているわけです。

 では、どうするか。ちょっと旅情も感じる駅の立ち食いそばにするのもアリかもしれません。もっと割り切って、牛丼チェーンやマクドナルドというのも、ひとつの手でしょう。鉄道旅行なら、駅弁を買って移動時間を楽しむといったワザもありますね。

 私も旅好きなので、この「旅メシ」問題について、長いあいだ試行錯誤を重ねてきました。そしてついに、“最適解”と呼べる方法を見つけたので、ここで語らせてください。

 それは、「夜に全振りする」という戦略です。言い換えれば、夕食を最高のものにするために朝と昼を犠牲にするのです。

 おカネに関しては言うまでもないでしょう。仮にやや贅沢なランチに2000円使うのをやめれば、夜の予算が2000円アップする。居酒屋で3000円くらい飲み食いしようといったプランが予算5000円になります。じゃあ、「お肉は特上で」「アワビもお願い」という具合に、レベチな豪遊ができるわけです。「ハラが減ったから」と、ありふれた唐揚げ定食を食べるくらいなら、200円でパンを買って、夜に予算を回すほうが、旅の食体験は豊かになります。

 また、この「夜に全振り」は時間の節約にもなります。人気店に並ぶ時間がカットできるのはもちろんですが、スムーズに入れるお店でも、席に案内してもらい、オーダーして、食べて、会計して……とやっていると1時間くらいはかかる。電車を待っているあいだに駅の構内でおにぎりを腹に入れれば、行動時間が増えて、もっとたくさん観光や街歩きができるわけです。

 ここまできて、こんな声が聞こえてきそうです。せっかくの旅行なのに、コンビニおにぎりなんて勘弁してくれ!

 気持ちはわかりますが、私が語っているのは節約ではなく、要するにメリハリです。「昼にいいものを食べ、夜もいいものを」とできれば最高だけれど、現実的にはお金と時間の制約があって難しい。よって、「朝や昼は簡素に済ませ、夜にうんといいものを食べよう」と提案しているのです。昼になんとなくラーメンを食べるくらいなら、その予算を夜に回し、鰻重をためらわず「松」にしましょう。そのほうが間違いなく強く印象に残る旅メシになります。

 この戦略のいいところは、それだけではありません。旅行における最大の問題、「体重増加」を解決できるのです!

 どんな代謝のいい人でも、朝昼晩を豪華なメシにすれば、太ってしまうのは避けられません。しかし、たとえば、朝は宿でしっかりご飯を食べて、昼は空腹を紛らわす軽食程度にとどめておく。こうすれば、夜に揚げ物やお寿司をガッツリ食べても、まあ大丈夫です。さすがに体重が減ることはないけれど、増加はほぼゼロか、少しのアップで済むでしょう。「夜に全振り」の戦略を採れば、旅グルメを好きなだけ楽しんでも、帰宅後に苦しいダイエットをしなくて済むのです。これって最高ですよね?

 それに、昼食を軽くすれば、胃腸も休まるので、旅先での体調管理にも役立ちます。美味いものは、だいたい塩分や糖分、脂質が多いもので、何日も続けて食べていると消化器官にダメージがきます。対して、胃腸のコンディションがよければ、夕食に同じものを食べても、より美味しく感じる。つまり、「夜に全振り」のほうがご馳走を満喫できるわけです。

 あと付け加えておけば、「出る方」にもメリットがあります。しっかり食べれば、当然ながらトイレにも行きたくなって余計な時間がかかるし、美食の連チャンによる便秘や下痢のリスクも下げられる。とくに女性にとっては、トイレを探したり並んだりしなくていいといった利点はひじょうに大きいのではないでしょうか? もちろん連れのダンナさんや彼氏も、待ちぼうけを食わずゴキゲンでいられるでしょう。

●「柿ピーボトル」のすすめ

 では、「夜に全振り」をするために、どのように朝と昼の食事をマネジメントすればいいのでしょうか?

 牛丼チェーンやマクドナルドは、おカネの面では予算を夜に回せていい。客席の回転がいいから行動時間も増えるでしょう。しかし、肝心の体重コントロールにはなりません。こういったものを口にしたところで、どうせ感動の旅グルメにはならないのだから、カロリー計算して小サイズにしたりするより、いっそ入るのをやめた方が賢明でしょう。

 コンビニやスーパーでおにぎりやパンを買うのは、かなりいい方法です。ただし、こんどは「どこで食べるか」という問題が生まれます。イートインのスペースがなければ、公園や駅のベンチ、または電車の中で、といった流れになるけれど、あまり快適とは言えないのが問題。電車の車内は他の人に気を遣うし、ベンチに座ってホットドッグを食べようとしたら、ズボンにケチャップが……、なんてことが起きたら悲劇。あと、近年は公共空間にゴミ箱が少なくなっているから、食べたあとのゴミにもけっこう頭を悩まされますね。

 そこで、私がおすすめするのが、「柿ピーボトル」です。

 作り方(?)は簡単。100円ショップで売っている広口の飲料水ボトル(水筒)に、どこでも手に入る柿ピーをザラザラと流し込むだけ。ジュースなどのペットボトルだと、飲み口が狭すぎてうまく入れられません。

 これをどう使うか。夜以外の食事を「最低限」とした上で、本当にハラが減ってヤバいときの補給食とするのです。

 たとえば、昼ご飯はコンビニおにぎり2つ、としたいところを、夕食のためにもっと切り詰めて1つにしてみる。そして、「あ、やっぱりこれじゃ夜まで持たないかも」と思ったら、ボトルの柿ピーを口に流し込みます。電車の中でも迷惑にならないし、ゴミも出ない。それに手も汚れないのもポイント。立ったまま、歩きながらでも食べられます。

 なんで柿ピーなのか? 安価でどこでも入手しやすく、かつ扱いやすいからです。

 カバンに入れておくとパンやおにぎり、バナナは潰れる。ビスケットのようなものはボロボロになる。グラノーラなんかはかなり扱いやすいけれど、糖分でベタつくことがある。また、食べかけの袋を密封するのもけっこう面倒です。

 そんなわけで、「ボトルに柿ピー」がベストなのです。ちなみに私は柿ピーが特に好きでもないので、食べすぎないのもメリットだと感じています。ポテト系のスナックとかだと、ガツガツいっちゃいますからね。

 柿ピーは、米菓と落花生ですから、まあまあヘルシーです。糖質と脂質、タンパク質、ビタミンが摂取でき、ピーナッツの成分は肝臓にもいいそうです(二日酔いの予防になるとのこと)。

 ただし、酒のつまみの定番だけあって、やや味が濃いのが気になります。辛くて喉が渇くのはイヤという人も多いでしょう。だから、私はなるべくボトルの柿ピーに「混ぜもの」をしておくことにしています。

 シンプルな味なので、けっこうなんでも合います。味の面で相性がいいのはレーズン。甘さとしょっぱさが複雑に絡み合ってすごくイケます。ただ、レーズンの水分で柿の種が湿気てしまうので、1日で食べきる必要がある。あとチキンラーメンを砕いて混ぜてもうまい。どちらもボトルを軽く振ればうまく混ざります。

 いちばんのおすすめは「煎り大豆」。つまり節分の豆です。味付けがまったくないので、柿ピーに混ぜると、かなりマイルドになる。柿ピーに同量の大豆を混ぜると薄味すぎるので、2:1以下がいいでしょう。大豆を混ぜた柿ピーは「乾きもの」感がかなり薄れて、優しい味の「軽食」に近づく。つまり、パンやごはんのような感覚で口にできるのです。また、大豆は「畑の肉」ですから、タンパク質も摂れる。個人の感覚ですが、柿ピーだけより食べごたえがあり、腹持ちもいいような気がします。空腹時に食べる「大豆バー」もあるくらいですから、きっと栄養価も高いのでしょう。

 このような柿ピーボトルを携行しておけば、旅の自由度が飛躍的にアップします。

 たとえば辺鄙な場所で宿を探していて、不運にも「素泊まり」になってしまった場合でも、「朝は柿ピーでしのげばいいか」といった判断ができます。投宿する前に、どこかでおにぎりやパンを調達しておくといったことはしなくていいので、時間と手間の節約になる。また、人気スポットなどでお昼時はどのお店も混雑しているとき、とりあえず柿ピーで空腹を紛らわして、ピークタイムを外すといった方法も取れます。これがカロリーメイトなんかだと、ややヘビーで細かいお腹の調節が効かないし(1本でかなり満足する)、持ち歩きにも気を使います。柿ピーボトルなら口に入れるのは一瞬でゴミも出ません。素朴な味で我慢し、最小限のエネルギーを補給しながら、「さあ、夜はいいものをたくさん食べるぞ!」と期待感を高めていけるのです。

 もちろん柿ピーは酒のつまみにもなるので、新幹線に乗る前にはホームの売店でビールだけ買っておけばいい。揚げ物やお惣菜なども買えるコンコースのショップはけっこう並んでいて時間がかかったりするもの。対して、「まあ、何も買えなくても柿ピーがあるし」となれば、発車時間が迫っているときでも気が楽です。時間があるときはナッツや豆菓子などを買って、残ったら柿ピーボトルに注ぎ込み、新たなマリアージュを模索するのもいいですね。

 この路線を極めれば、「朝に柿ピー、昼に柿ピー、夜はとことん豪華に!」といった具合に文字通りの“全振り”ができるようになるでしょう。旅の高揚と柿ピーボトルで、なんとか空腹を制御し、宿や飲食店でご馳走にありついたときには、昔の人のように食べものに手を合わせ、「ありがてぇ、ありがてぇ……」と口にしてしまうのは間違いありません。私は、まだここまでの境地には到達していませんが、これから「夜に全振り」を極めていきたいと思っています。

 旅行に限らず、忙しい朝や運転中の補給食にもなります。みなさんも、「柿ピーボトル」始めてみませんか?

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 というわけで、今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。近日公開の「防寒特集」もお楽しみに!