10月半ば、編集長は東京・丸の内で行われたある立食パーティーに出席していた。21時ちょうどに会場を抜け出し東京駅に向う。誰にも別れのあいさつはしなかった。「え、帰るの? じゃあ最後にこの人を紹介しておくよ」といった展開を恐れたからだ。なにがなんでも21時30分には東京駅のホームで電車を待ちたい。そのためにはあらゆるリスクを排除しておきたかった。そして、この慎重すぎるほどのプランおかげで21時15分には東京駅の構内に入ることができた。昼間にチェックしておいた弁当屋で売れ残った駅弁とビールを買い、屋上に向かうスナイパーのような緊張と高揚を胸に、9番ホームへの階段を登る。列車はまだ入線していない。シャワーカードの販売機を設置してある3号車の停車位置で比較的前の方に並べたとき、ようやく人心地がついた。普段キャリーバッグを引きずっているのは多くが外国人だけれど、この列車を待つのは日本人ばかりだ。幼児を連れたお父さんは平静を装いつつも子供よりテンションが上がっているのがわかる。そうこうするうちに、ついに「サンライズ瀬戸・出雲」がゆっくりとホームに入ってきた。みんなはコレで出雲に行くんだろう、親子や友達と遺跡や寺社仏閣といったスピリチュアルな旅を楽しむわけか……。こう考えると急に笑いが込み上げてくる。ところが、こちとら作業服の取材に行くんだぜ! バートル知ってるか! こう言いたくなるのを抑えながら列車に乗り込み、無事、編集長は寝台上の人となったのだった。
バートル
本社に登場した「BURTLE」ロゴ
ジャケット(型番7510)は一部アルミフィルム仕様
●新作ジャケットが完売?
翌朝、サンライズ出雲を倉敷駅で下車し、在来線で福山まで。そこから福塩線に乗って鵜飼に向かう。うっかり終点の府中まで行ってしまったが、バートルは府中から歩いても15分ほどで何の問題もない。
のんびり歩を進めると、本社の手前に見慣れない駐車場が現れた。建屋の側面には巨大なBURTLEのロゴ。その迫力に思わず「うおっ」と声をあげる。でも、こんなの前からあったっけ? 大崎社長にさっそく聞いてみると、今年の6月に竣工したばかりという。この駐車場から本社を望んだ写真はさっそくカタログにも使われている。
いまバートルは秋冬物の出荷シーズンを迎えて大忙しだ。世間話もそこそこに夏以降のトピックについてたずねてみた。
「猛暑の影響もあってファン付きウェア『エアークラフト』は予想以上に売れたね。お店でも「9ボルトのやつちょうだい」と買いに来るお客さんも多いらしくて、やっと『9ボルトといえばバートル』に定着の兆しが出てきたかな。まあ、今年はどのメーカーのファン付きウェアも売れただろうから、慢心せず来年の夏に向けて今からしっかり準備しておかなくちゃね。エアークラフトは来年、デバイス(機械部分)だけでなくウェアも一気に充実させようと考えています。たとえばベスト型とか」
満足げに振り返る大崎さん。続いて今シーズンの秋冬物の話になると、ちょっと複雑な表情を浮かべる。
「まだ10月なのに新作の冬物フライトジャケット(型番5260)の在庫が薄くなっちゃって……。売れるのはいいことなんだけど、代理店には迷惑かけてしまって申し訳ない。これからはちゃんとすべてのお客さんが入手できるようにしなきゃいけないな、と反省してます」
一見よくあるフライトジャケットに見えるけれど、何が人気の秘訣なのだろう?
「カジュアルウェアで流行っているMA-1タイプのフライトジャケットをバートル流にアレンジしたわけ。モッサリした感じにならないように腕繰りは細めにして、バランスを取って胴体もやや細めに。前面のポケット口は立たせてシャープな印象にしたり。そういうスタイル面だけじゃなくアルミ素材を使って防寒性能を高めてあるし、もちろんワークウェアとしての機能と丈夫さもスゴイ、と。自信作だけどここまで売れるとは正直、予想外でした」
夏のファン付きウェアに続いて冬物もすぐ入手困難に。それだけ人気があるともいえるが、なかなかファン泣かせなバートルである。
●盤石の防寒3モデル
今季のバートル防寒ランナップで、大崎さんがイチオシするのは、前述の新作フライトジャケット(型番5260)に加えて、既存モデルの防寒ブルゾン&コート(型番7210)、防寒ジャケット(型番7510)の3モデル。それぞれの特徴を聞いてみよう。
「ざっくり紹介するなら、
・5260……カジュアル防寒、モードスタイル
・7210……軽くて暖かい、ユニフォーム的に使える
・7510……アウトドアウェア的な機能と雰囲気
という感じかな。防寒力はどれも充分。
このうち7210は発売から5年目のロングセラーで毎年10万枚以上売れてますね。このヒット商品に負けないものを、と去年作ったのが7510のジャケット。これらに今年の新作5260を合わせた3商品が今期のバートル防寒ウェアの主力です」
定番モデルの7210は「とにかく軽くて暖かいものを」というユーザーの声を意識して開発。ショップ販売だけでなく工務店などのユニフォームとしても好評を得ているという。
2年目の7510は、防寒性能に加えてハードさ、カッコよさを意識してデザインした。近年よくある「街でも着られるアウトドアウェア」として、行楽などにも使えそうな雰囲気だ。
ワークウェアとしての機能に高いファッション性、といった話では今さら驚かない。ただ、商品のすみ分けや特徴の出し方には思わず唸らされてしまう。ブルゾン、ジャケットといったタイプの違いだけでなく、コンセプトの違いをはっきり感じるのだ。どの商品も見事に「キャラ立ち」しているというか。少なくとも、どう違うのか首をかしげるような商品をバートルで見ることはない。
「それは僕と専務の兄弟がリーダーとなって企画しているからでしょうね。僕はオーナーとして会社の方向性を決めるだけじゃなく、開発も営業もしています。最前線に立ち続けるのは大変だけど、やはりトップダウンは強い。しかも、うちは兄弟でガッチリ力を合わせてるから。こんな会社ほかにないよ!」
商品を説明するときでも、見本のウェアを袋から取り出し「この子は今年で2年生……。あっ、発売2年目っていうことね」と目を細めている大崎さん。なんだかわが子を見る親みたいだなと思っていたが、なるほど、自分で開発した商品なら愛しくもなるわけだ。
商品の強さを物語る光景を目にしたことに満足し、編集部はバートルを後にしたのだった。
翌朝、サンライズ出雲を倉敷駅で下車し、在来線で福山まで。そこから福塩線に乗って鵜飼に向かう。うっかり終点の府中まで行ってしまったが、バートルは府中から歩いても15分ほどで何の問題もない。
のんびり歩を進めると、本社の手前に見慣れない駐車場が現れた。建屋の側面には巨大なBURTLEのロゴ。その迫力に思わず「うおっ」と声をあげる。でも、こんなの前からあったっけ? 大崎社長にさっそく聞いてみると、今年の6月に竣工したばかりという。この駐車場から本社を望んだ写真はさっそくカタログにも使われている。
いまバートルは秋冬物の出荷シーズンを迎えて大忙しだ。世間話もそこそこに夏以降のトピックについてたずねてみた。
「猛暑の影響もあってファン付きウェア『エアークラフト』は予想以上に売れたね。お店でも「9ボルトのやつちょうだい」と買いに来るお客さんも多いらしくて、やっと『9ボルトといえばバートル』に定着の兆しが出てきたかな。まあ、今年はどのメーカーのファン付きウェアも売れただろうから、慢心せず来年の夏に向けて今からしっかり準備しておかなくちゃね。エアークラフトは来年、デバイス(機械部分)だけでなくウェアも一気に充実させようと考えています。たとえばベスト型とか」
満足げに振り返る大崎さん。続いて今シーズンの秋冬物の話になると、ちょっと複雑な表情を浮かべる。
「まだ10月なのに新作の冬物フライトジャケット(型番5260)の在庫が薄くなっちゃって……。売れるのはいいことなんだけど、代理店には迷惑かけてしまって申し訳ない。これからはちゃんとすべてのお客さんが入手できるようにしなきゃいけないな、と反省してます」
一見よくあるフライトジャケットに見えるけれど、何が人気の秘訣なのだろう?
「カジュアルウェアで流行っているMA-1タイプのフライトジャケットをバートル流にアレンジしたわけ。モッサリした感じにならないように腕繰りは細めにして、バランスを取って胴体もやや細めに。前面のポケット口は立たせてシャープな印象にしたり。そういうスタイル面だけじゃなくアルミ素材を使って防寒性能を高めてあるし、もちろんワークウェアとしての機能と丈夫さもスゴイ、と。自信作だけどここまで売れるとは正直、予想外でした」
夏のファン付きウェアに続いて冬物もすぐ入手困難に。それだけ人気があるともいえるが、なかなかファン泣かせなバートルである。
●盤石の防寒3モデル
今季のバートル防寒ランナップで、大崎さんがイチオシするのは、前述の新作フライトジャケット(型番5260)に加えて、既存モデルの防寒ブルゾン&コート(型番7210)、防寒ジャケット(型番7510)の3モデル。それぞれの特徴を聞いてみよう。
「ざっくり紹介するなら、
・5260……カジュアル防寒、モードスタイル
・7210……軽くて暖かい、ユニフォーム的に使える
・7510……アウトドアウェア的な機能と雰囲気
という感じかな。防寒力はどれも充分。
このうち7210は発売から5年目のロングセラーで毎年10万枚以上売れてますね。このヒット商品に負けないものを、と去年作ったのが7510のジャケット。これらに今年の新作5260を合わせた3商品が今期のバートル防寒ウェアの主力です」
定番モデルの7210は「とにかく軽くて暖かいものを」というユーザーの声を意識して開発。ショップ販売だけでなく工務店などのユニフォームとしても好評を得ているという。
2年目の7510は、防寒性能に加えてハードさ、カッコよさを意識してデザインした。近年よくある「街でも着られるアウトドアウェア」として、行楽などにも使えそうな雰囲気だ。
ワークウェアとしての機能に高いファッション性、といった話では今さら驚かない。ただ、商品のすみ分けや特徴の出し方には思わず唸らされてしまう。ブルゾン、ジャケットといったタイプの違いだけでなく、コンセプトの違いをはっきり感じるのだ。どの商品も見事に「キャラ立ち」しているというか。少なくとも、どう違うのか首をかしげるような商品をバートルで見ることはない。
「それは僕と専務の兄弟がリーダーとなって企画しているからでしょうね。僕はオーナーとして会社の方向性を決めるだけじゃなく、開発も営業もしています。最前線に立ち続けるのは大変だけど、やはりトップダウンは強い。しかも、うちは兄弟でガッチリ力を合わせてるから。こんな会社ほかにないよ!」
商品を説明するときでも、見本のウェアを袋から取り出し「この子は今年で2年生……。あっ、発売2年目っていうことね」と目を細めている大崎さん。なんだかわが子を見る親みたいだなと思っていたが、なるほど、自分で開発した商品なら愛しくもなるわけだ。
商品の強さを物語る光景を目にしたことに満足し、編集部はバートルを後にしたのだった。
大好評の新作フライトジャケット(型番5260)
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大崎社長は開発の指揮も執る
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誰もが見惚れるスタイリッシュさ! 現場でもオフでも着たいMA-1風フライトジャケット 今季もバートルがやってくれました。ファッション界で流行中のMA-1フライトジャケットをワークウェア風にアレンジし、腕まわりと胴体を細身にすることでモッサリ感を排除。その結果、カジュアルウェアよりカッコよくなってしまったという「換骨奪胎」のお手本のような出来栄え。カラーは4色。Sサイズのみユニセックス対応シルエット。 |
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軽量ストレッチ&細身シルエット、それでも暖かさに妥協なし! バートルの軽防寒シリーズ ゴツい防寒アウターはちょっと……、というときに活躍しそうな軽防寒シリーズ。防風ラミネート加工が外気の浸入を防ぐほか、作業の邪魔にならないストレッチ機能もうれしい。ブルゾンはやや細身のレイザーシルエット採用。カラーはブルゾン6色、ベスト4色、Sサイズ以下はユニセックス対応シルエット。 |
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