【自重堂】優等生から垣間見えた「ギラつき」image_maidoya3
自重堂ってどんなイメージ? と街の人に聞いてもわからないだろうから、編集部の感覚で勝手に書いてみよう。ユニフォーム業界最大手・上場企業・品揃え豊富・新庄剛志・新幹線の駅でいつも見る最高顧問……。ユーザー的には「定番のあの服を作っている会社」という感じだろうか。役所や工場などでおなじみの「ザ・作業服」は、けっこうな確率で自重堂だ。なんといっても最大手の総合メーカーだから月刊まいど屋でもなにかと登場することになる。ところが、正直に告白するとなかなか書きにくいというか、編集長は少々苦手意識がある。商品が全体的にオーソドックスで、いまひとつ盛り上がらないのだ。他メーカーなら「うわー!」「こう来たか!」みたいなノリで紹介できるのに対し、自重堂の商品の場合は「なるほど」「さすがですね」という感じになってしまう。要は優等生過ぎてつまらないのだ。ダメっぽい商品を見せられても反応に困るけれど、一分の隙の無い商品を出されてもそれはそれで物足りなさを覚える。人間とは身勝手なものである。もし器量がよくて気が利く女性と結婚したりすると、ハッピーなようで案外こういう気分になるんじゃないか、と思ったりする。と、そんなモヤモヤを抱えつつ今回、向かったのは自重堂の東京本社。JR田町駅から東京湾に向かって歩き出すと、タバコ休憩中の港湾労働者がたむろするコンビニなど、街は一気にガテン系な雰囲気に。そんな芝浦運河沿いにそびえ立つビルが自重堂東京支店である。さて、今回こそ自重堂の新たな魅力を発見することができるのか?

自重堂
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芝浦船着き場の対面にある自重堂ビル
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裏アルミ防寒ブルゾン(型番48480)
●暖冬でも需要は旺盛?
 
  「今年の売上ですか? かなり好調ですよ。猛暑で空調服はバカ売れしたし、西日本豪雨をはじめ、北海道胆振東部地震や台風21号の復興需要でとくに安全靴や長靴、手袋がよく売れました。これから冬にかけては、ボランティアの方々を中心に被災地でも防寒系のワークウェアが求められるんじゃないかと見ています。普通、こんなふうに暖冬だとあまり動きは期待できないんですが、災害が続いた今年の場合は特別ですね。けっして喜んではいけないことですけど……」
 
  大きな災害が起きると、まず靴や手袋といった商品が動き、その勢いがじわじわとウェアに波及してくる。とくに災害直後は、鉄板入りの靴の中敷き(インソール)が被災地に入るための必需品としてショップで爆発的に売れたという。ワークウェアは防災ウェアでもあることを改めて認識させられる。
 
  そんな自重堂の防寒ラインナップは、オーソドックス路線の「Jichodo」ブランドが主力。いわゆるコテコテの作業服である。これに対し、電車通勤や街歩きにもなじむイマドキな路線として「Jawin」「G-DORAGON」がある。会社のユニフォームとしても使えるよう、「デザインはカジュアルになり過ぎないように気を付けている」というのが、また自重堂らしい。
 
  「防寒ウェアというと大層に思うかもしれませんけど、ユーザーが求めていることって意外とシンプルなんです。とにかく『薄い・軽い・暖かい』は最優先。それに最近だとストレッチ機能を求める人が多かったりする。うちの場合は、さらに制電素材の防寒ウェアも作っていますが、これも電気工事やガソリンスタンド、ガス事業などの現場で確実にニーズがあるからです。要するに『薄い・軽い・暖かい』の3条件に何をプラスするか、という発想で商品を企画するわけですね」
 
  言われてみれば、自分も防寒ウェアを選ぶときはいつも無意識にこの条件があった気がする。モコモコの上着は脱いだときかさばるのが嫌で捨てたし、革ジャンは重いから自然と着なくなったし、サラリーマン時代でもコートは防寒力が低いので買わなかった……。ちなみに今は丸めると500mlのペットボトルくらいのサイズになる薄手のダウンジャケットを愛用している。防寒ウェアというのはいろいろあっても結局、この「薄い・軽い・暖かい」に尽きるのかもしれない。
 
  ●“ヤンチャ系”が新登場
 
  では、いよいよ自重堂の防寒ワークウェアを見ていこう。まず「新作の中でもイチオシ」として登場したのは「Jawin」ブランドの「防寒ブルゾン(型番58700)」。最大の特徴は光沢のあるエナメルペイントを組み合わせた迷彩柄だ。ひとことで感想を述べるなら「独特」。クラスの優等生、自重堂くんの意外な一面という感じだろうか。
 
  「このモデルは自重堂として初めてエナメル迷彩を採用しました。なんのためって、そりゃあカッコいいからですよ。防寒や機能もアピールしたいところですけど、これはとにかく目立ちたい人、ヤンチャ系の人向け! さっき『薄い・軽い・暖かい』という条件の話をしましたが、この商品の場合はデザイン性をプラスしたという感じですね。法人はスペック重視ですが、個人のお客さんはデザイン重視なんです」
 
  続いて「独特のデザインと言えば……」と出してくれたのは、「防寒ジャンパー(型番58600)」である。おなじみの中綿入りジャケットだが、キルティングのパターンが始めて見るタイプだった。ぐにゃぐにゃというか幾何学的というか、とにかく見たことがないパターンだ。
 
  「キルティングって中綿が落ちないようにしないといけないから、だいたいパターンが限られるんです。縦横の十字か、斜めにした×字か、という具合に。それじゃあつまらないよな、と苦労して開発したのがこのデザインです。画期的でしょ? これでも中綿は落ちないんです。もちろん意匠登録済。アパレルメーカーからも続々と『このデザインをマネさせてほしい』という声が来てますよ。OKを出すかはまあ、条件次第ですよね。うちもこれの開発にはコストがかかってますからねぇ(ニヤリ)」
 
  いい、いいぞ自重堂! そういう剥き出しの野心みたいなのを見たかったんだよ、「働く人を応援する」みたいなお決まりの話じゃなくてさあ!
 
  しかし、そんなギラつきはすぐ消えた。
 
  「ハイ、次はこれ。日本を支える町工場で圧倒的に支持される定番中の定番、綿100%作業服でーす。防寒系といっても通常の作業服と同デザインだから、ユニフォームにもいいですよ」
 
  と、オーソドックスな商品の話になるとやっぱりいつもの自重堂に。ただ、一瞬ではあるものの自重堂のギラギラした面を見ることができたのは大きな収穫だった。
 
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ハイテク中綿がウリの防寒ブルゾン(型番48350)
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イチオシの防風ニット(型番58154)

    

この「シャイニー迷彩」がオシャレ魂を輝かせる! Jawinのカモフラ防寒アウター

目立ち度バツグン。見れば見るほど引き付けられる「光沢カモフラプリント」のジャンパー、ベスト。オシャレ度は高くても、ペン差し・ファスナーポケット・袖口内ジャージなどは「さすがワークウェア」な仕上がり。防寒力のわりにシルエットがスッキリ見えるのもマル。カラーはシャイニーカモフラ・シャイニーブラックカモフラの2色。


「軽くて暖かい」裏アルミプリント仕様! スポーティーな雰囲気の防寒アウター

裏地のアルミプリントがウリのフード付き防寒アウター。魔法瓶のように輻射熱を利用して温度を保つため、軽くて暖かい。表は引き裂き強度にすぐれたリップストップ素材を使用。リーズナブル価格でも左袖のペン差し、袖口と裾口のアジャスターなど機能面はバッチリ。カラーは、オレンジ・ネービー・ブラックの3色。