いまや仕事着の定番となったストレッチデニムのワークウェア。この火付け役となったのがアイズフロンティアであることはあまり知られていない。いや作業着ファンなら常識だけれど「一般人には」という意味で。だから編集長なんかは朝の電車でアイズの上下でキメた職人をみると「この人は美意識あるな」「かなりの服好きだぞ」と思うわけだが、普通の人にとっては「よくある細身デニム」に過ぎないだろう。しかし、目の肥えた一般人のなかには「このデニムはちょっと違う」「よく見るやつよりイケてるぞ」なんてことを思う人もいるはずだ。そして、そのうち会社の設備点検や内装工事なんかで、出入り業者の作業員としゃべったりする。「そういえばそのデニムの作業服、カッコいいよね。どこで売ってるの?」。ワークウェアの評価といえばユーザーやショップの声ばかり語られがちだけれど、案外こういう「外界の目」も重要だと思う。粋で精悍なワークウェアに身を包んで出勤し、きりりと働くことは、職人や会社の評判にもつながってくるのだ。
アイズフロンティア
代表の磯野さん
新作デニムは部分ニット
●存在価値かける
「当社は2022年で10年目。あっという間の9年間でしたね。幸いコロナ禍の影響はそんなにありません。アジアでの生産体制も特にダメージはないし、困ったのは船賃が高騰したことくらいかな。予約をいただいている新商品は順調に出荷しています。こういう時期ですけど、こちらにお越しのお客さんには商品の説明をしたりさせてもらっていますよ」
こう語るのは代表取締役の磯野さん。本誌「月刊まいど屋」としては、2年ぶりの訪問となる。岡山県倉敷市の本社では、前回の取材時にはなかった展示スペースで、新製品の秋冬ウェアや防寒アウター、スニーカーなどが飾られていた。いまや押しも押されもせぬ人気メーカーだが、磯野さんにとくに気負った様子はない。10年目にかけての抱負などはあるのだろうか。
「とくにうちの場合、お客さんはいつも新作を求めているし、その傾向はますます強まっています。その期待に応えていくと、ユニフォームからカジュアルの業態にどんどん近づいてくる。そんなわけで、世の中のライフスタイルの変化を見ながら、常に『半年先のテイスト』を想像して毎シーズン勝負をかけてきました。先ほどコロナの話が出ましたが、外出自粛でそういうのを敏感に感じ取りにくくなったというのはありますね。ステイホームじゃダメで、やはり街に出て人の様子を観察したりしないと」
チャレンジを重ねる一方、アイズには代名詞のストレッチデニムをはじめとする「定番」もあれば、これまで積み上げてきたイメージもある。これから先「アイズらしさ」をどのように操縦していくのだろう。
「9年間でブランドイメージもだいぶ定着してきました。その中で以前とまったく違う新商品を出すのは勇気がいりますよね。しかし、それでもチャレンジしないとアイズの存在価値はない。かつて、あえて他の人と違う格好をしようという人にストレッチデニムの作業着を選んでもらったように、そんな“一匹狼”な職人に選ばれるブランドであり続けるためには、新しいことをやり続けるしかありません。今回はユニフォーム採用を狙ったウェアに合わせるシューズも初めて発表したし、来年はさらにまったく違うものを出します。現在の世界観にこだわらず、アイズの世界を広げていきますよ」
●デニムの最先端をゆく
では、2021年の秋冬ウェアを見ていこう。新作のダブルファンクションストレッチワークジャケット(型番5280)と対応するカーゴパンツ(型番5282)は、アイズフロンティアの王道を行く細身デニムの上下。一見すると「定番」のように思えるけれど、部分ごとに見ていくと野心的なモデルであるのがわかる。
「最大の特徴はデニムとニットを組み合わせた点です。ストレッチデニムの生地もじゅうぶん動きやすいんですが、やはりニットにはかなわない。そこで袖と脇をニットに切り替えることで、これまでにない着用感を実現しました。太めの糸を使ったボリューム感あるデニム生地に、ナイロン主体の編み目の細かいリブニットを組み合わせているので、堅牢性もバツグンです。アイズの代名詞であるプリントは『抜染』といって、デニム生地から色を抜く技術を使っています。機能もデザイン、ディテールまでとことんハイスペックなモデルです」
さらに、今回はもうひとつデニムの新商品がある。超消臭ストレッチ3Dワークジャケット(型番5430)とカーゴパンツ(型番5432)の上下だ。こちらは先ほどの「ダブルファンクション」と比べるとやや大人しい印象だが、左胸の反射テープ使いのファスナーがひときわ目を引く。ルックスにも“フューチャー感”があるように、目玉である消臭機能にも最先端のテクノロジーが使われているという。
「ハイクオリティーな消臭繊維を使用することで、アンモニア・酢酸などの悪臭のもとをカットします。臭いをカバーしたり閉じ込めたりするのではなく、中和反応で消臭するので、中に染み込んだ汗や皮脂だけでなく、表面に付着した汚れまで無臭にできるのが強みです。長時間の着用や摩擦による消臭機能の低下もほとんどなく、洗濯や日干しで効果は復元するので、ガシガシ使っていただけます」
電車やクルマでの通勤シーンや気温が上がる昼間など、冬場は意外と汗をかく場面が多く、ウェアも乾きにくい。消臭はこれからの季節、気持ちよく働くために欠かせない機能なのだ。
●「Z世代」に響いた!
続いて、磯野さんが「発表後の反響がスゴイ」と語るのは「ヘビージャージーワークジャケット(型番5380J)」と対応するジョガーパンツ(型番5383J)」の上下。その名の通りジャージ素材のワークウェアである。どこからどう見てもスポーツカジュアルなのに、ワーキングの味もしっかり感じる不思議なウェアだ。
「ジャージ素材の作業服は去年から始めました。今シーズンも予想を上回る反響でこちらが驚いています。例によって、はじめて出したときには『こんなのワークウェアじゃない!』と言われたわけですが(笑)、やはりウェアに個性を求めるユーザーに響いたのではないでしょうか。ほかのメーカーと同じことをやってたらダメだという話です。ニット素材なので布帛のデニムよりストレッチ性があって動きやすいし、耐久性の面でも全く引けを取らない。デザイン的には『Z世代』の感性に響くストリートな雰囲気がポイントです」
Z世代とは、1990年代中盤から2000年代にかけて生まれた若者のこと。インターネット環境が当たり前にあった最初の世代と言われる。つまり、従来とはまるっきり違う子供時代を送って大人になった世代だ。すでにそんな人々が社会の中心になりつつある時代なのだから、これまでとぜんぜん違うウェアを求めるというのも、よく考えれば頷ける。
「デニムの作業服がありふれたものになっちゃった、といった事情もあると思います。うちも5、6年続けてデニムの新作を出しているので、そろそろ次の展開を狙っていきたい。そこで今シーズンのジャージ作業服はド派手な限定ガラを出したし、防寒アウターもとことんインパクトのあるものを展開しました。『売れなかったらどうしよう』という気持ちも当然あるけれど、常に挑戦するのがアイズフロンティアですから」
開拓者は、前人未踏の地をめざす。
「当社は2022年で10年目。あっという間の9年間でしたね。幸いコロナ禍の影響はそんなにありません。アジアでの生産体制も特にダメージはないし、困ったのは船賃が高騰したことくらいかな。予約をいただいている新商品は順調に出荷しています。こういう時期ですけど、こちらにお越しのお客さんには商品の説明をしたりさせてもらっていますよ」
こう語るのは代表取締役の磯野さん。本誌「月刊まいど屋」としては、2年ぶりの訪問となる。岡山県倉敷市の本社では、前回の取材時にはなかった展示スペースで、新製品の秋冬ウェアや防寒アウター、スニーカーなどが飾られていた。いまや押しも押されもせぬ人気メーカーだが、磯野さんにとくに気負った様子はない。10年目にかけての抱負などはあるのだろうか。
「とくにうちの場合、お客さんはいつも新作を求めているし、その傾向はますます強まっています。その期待に応えていくと、ユニフォームからカジュアルの業態にどんどん近づいてくる。そんなわけで、世の中のライフスタイルの変化を見ながら、常に『半年先のテイスト』を想像して毎シーズン勝負をかけてきました。先ほどコロナの話が出ましたが、外出自粛でそういうのを敏感に感じ取りにくくなったというのはありますね。ステイホームじゃダメで、やはり街に出て人の様子を観察したりしないと」
チャレンジを重ねる一方、アイズには代名詞のストレッチデニムをはじめとする「定番」もあれば、これまで積み上げてきたイメージもある。これから先「アイズらしさ」をどのように操縦していくのだろう。
「9年間でブランドイメージもだいぶ定着してきました。その中で以前とまったく違う新商品を出すのは勇気がいりますよね。しかし、それでもチャレンジしないとアイズの存在価値はない。かつて、あえて他の人と違う格好をしようという人にストレッチデニムの作業着を選んでもらったように、そんな“一匹狼”な職人に選ばれるブランドであり続けるためには、新しいことをやり続けるしかありません。今回はユニフォーム採用を狙ったウェアに合わせるシューズも初めて発表したし、来年はさらにまったく違うものを出します。現在の世界観にこだわらず、アイズの世界を広げていきますよ」
●デニムの最先端をゆく
では、2021年の秋冬ウェアを見ていこう。新作のダブルファンクションストレッチワークジャケット(型番5280)と対応するカーゴパンツ(型番5282)は、アイズフロンティアの王道を行く細身デニムの上下。一見すると「定番」のように思えるけれど、部分ごとに見ていくと野心的なモデルであるのがわかる。
「最大の特徴はデニムとニットを組み合わせた点です。ストレッチデニムの生地もじゅうぶん動きやすいんですが、やはりニットにはかなわない。そこで袖と脇をニットに切り替えることで、これまでにない着用感を実現しました。太めの糸を使ったボリューム感あるデニム生地に、ナイロン主体の編み目の細かいリブニットを組み合わせているので、堅牢性もバツグンです。アイズの代名詞であるプリントは『抜染』といって、デニム生地から色を抜く技術を使っています。機能もデザイン、ディテールまでとことんハイスペックなモデルです」
さらに、今回はもうひとつデニムの新商品がある。超消臭ストレッチ3Dワークジャケット(型番5430)とカーゴパンツ(型番5432)の上下だ。こちらは先ほどの「ダブルファンクション」と比べるとやや大人しい印象だが、左胸の反射テープ使いのファスナーがひときわ目を引く。ルックスにも“フューチャー感”があるように、目玉である消臭機能にも最先端のテクノロジーが使われているという。
「ハイクオリティーな消臭繊維を使用することで、アンモニア・酢酸などの悪臭のもとをカットします。臭いをカバーしたり閉じ込めたりするのではなく、中和反応で消臭するので、中に染み込んだ汗や皮脂だけでなく、表面に付着した汚れまで無臭にできるのが強みです。長時間の着用や摩擦による消臭機能の低下もほとんどなく、洗濯や日干しで効果は復元するので、ガシガシ使っていただけます」
電車やクルマでの通勤シーンや気温が上がる昼間など、冬場は意外と汗をかく場面が多く、ウェアも乾きにくい。消臭はこれからの季節、気持ちよく働くために欠かせない機能なのだ。
●「Z世代」に響いた!
続いて、磯野さんが「発表後の反響がスゴイ」と語るのは「ヘビージャージーワークジャケット(型番5380J)」と対応するジョガーパンツ(型番5383J)」の上下。その名の通りジャージ素材のワークウェアである。どこからどう見てもスポーツカジュアルなのに、ワーキングの味もしっかり感じる不思議なウェアだ。
「ジャージ素材の作業服は去年から始めました。今シーズンも予想を上回る反響でこちらが驚いています。例によって、はじめて出したときには『こんなのワークウェアじゃない!』と言われたわけですが(笑)、やはりウェアに個性を求めるユーザーに響いたのではないでしょうか。ほかのメーカーと同じことをやってたらダメだという話です。ニット素材なので布帛のデニムよりストレッチ性があって動きやすいし、耐久性の面でも全く引けを取らない。デザイン的には『Z世代』の感性に響くストリートな雰囲気がポイントです」
Z世代とは、1990年代中盤から2000年代にかけて生まれた若者のこと。インターネット環境が当たり前にあった最初の世代と言われる。つまり、従来とはまるっきり違う子供時代を送って大人になった世代だ。すでにそんな人々が社会の中心になりつつある時代なのだから、これまでとぜんぜん違うウェアを求めるというのも、よく考えれば頷ける。
「デニムの作業服がありふれたものになっちゃった、といった事情もあると思います。うちも5、6年続けてデニムの新作を出しているので、そろそろ次の展開を狙っていきたい。そこで今シーズンのジャージ作業服はド派手な限定ガラを出したし、防寒アウターもとことんインパクトのあるものを展開しました。『売れなかったらどうしよう』という気持ちも当然あるけれど、常に挑戦するのがアイズフロンティアですから」
開拓者は、前人未踏の地をめざす。
大反響のジャージ作業服
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秋冬コレクションの前で
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現場ファッションを支配せよ! アイズの旗艦デニム「5280」シリーズ アイズの2021年秋冬コレクションのトップを飾るデニム作業着のフラッグシップモデル。ストレッチデニムの生地にニットを組み合わせることにより、異次元の動きやすさを実現。肘や膝のニットはナイロン主体。編み目も細かいので堅牢性もバッチリ。アイズの代名詞のロゴは抜染プリントするこだわりぶり。 |
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伝説モデルをアップデート! アイズの新定番デニム「7260」シリーズ アイズフロンティアの伝説的モデル「7250」シリーズを現代流にアップデートした「最新定番」のデニム。ハイキックバックストレッチ素材は、横伸縮率48%で1時間後の回復率は92%という超ハイスペックぶり。生地の性能だけでなく立体裁断デザインでも動きやすさを追求している。 |
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