【ジーベック】「水冷」は超クール!image_maidoya3
ジーベックの作業着を目にすると、いつも食べたくなるものがある。鉄板のチョコレート菓子「アルフォート」だ。両者の共通点は「帆船のロゴ」。かつて地中海を航行していたジーベック(xebec)と呼ばれる商船と、アルフォートの表面に描かれた帆船はかなり似ている……。いや、船の専門家はぜんぜん違うと言うかもしれないが、心象としてはそっくりなのだ。ちなみにアルフォートが帆船をあしらっている理由は、製造元ブルボンが新潟県柏崎市の会社だから。港町の伝統をお菓子作りに受け継いでいるわけですね。そしてジーベックの福山市も鞆の浦で有名な港町。というわけで、そろそろ船出といこう。ブルボン、じゃなかった、ジーベックの美味しいアイテムの海へ!

ジーベック
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営業部の稲葉さん
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氷水を循環させる「水冷服」
●「SDGsマン」登場!
 
  「今回の春夏コレクションのテーマは『SDGs』ですね。まいど屋さんならよくご存じですよね、SDGsのことは。そしてSDGsがどれだけ大切かって話は……」
 
  いきなりこう切り出すのはジーベック営業部の稲葉さん。こちらも当然SDGsのことは知悉している。SDGsは国連の掲げる「持続可能な開発目標」の略で、サステイナブル(S)なディベロップメント(D)の、えーと、それをグローバル(G)に広げていくという話で……。あれ? 小文字の「s」ってなんだっけ?
 
  「惜しい。SDGsは『Sustainable Development Goals』の略称です。世界が2016年から2030年までに達成すべき17の環境や開発に関する国際目標で、各国政府や自治体、非政府組織、非営利団体だけでなく、民間企業や個人などにも共通した指針とされています」
 
  まるで幼少期からSDGsに引き取られたかのような口ぶりにたじろぎつつ、次の会話の糸口を探す。では、気候変動と貧困や食糧の問題について稲葉さんの見解を--ってあれ、今日は何の取材だったっけ?
 
  「春夏ウェアの紹介ですよ。そう、今回、当社では正真正銘のSDGsに役立つ商品を発表しました。機能性とスポーツカジュアル風のデザインが売りのC.ZONEの新作『2534シリーズ』です!」
 
  と言って稲葉さんは、上下作業着を広げる。アスリートがウォーミングアップのときにまとうジャージのようでカッコいい。でも、なぜこのウェアがSDGsアイテムなのだろう?
 
  ●環境技術にも革新を
 
  「よく聞いてくれました。実はこれ、素材がすごい。植物性PPTを使った生地で作った環境配慮型のワークウェアなんですよ」
 
  植物性って、つまりアレか。化繊のウェアに見えるけれど、綿や麻のような天然繊維でできているとか……。
 
  「いや、合成繊維ですよ。PPTというのはポリトリメチレンテレフタレートという樹脂のことで、植物のデンプン成分からつくったものです。たまに見たことないですか、植物由来をうたったレジ袋とか、トウモロコシ由来のプラスチックでつくったおもちゃとか。要するにああいうのに近い。化石燃料の代わりに循環資源である植物を使えば、そのぶん環境負荷を下げることができる、と。SDGsを掲げる企業や自治体はぜひこのウェアを、というわけです」
 
  「すごい技術だ」と思うと同時に、こんな疑念もわく。SDGsって、そこまでしなくてはならないのか--。
 
  「そこまで気にしないとダメなんですよ! とくにユニフォーム採用する場合は企業イメージにもつながるし、環境負荷を軽視するような振る舞いはSNS上で批判にさらされることもある。まあ、最近は経営者の代替わりも進んでいるので、ユニフォーム選びでも『前と同じようなものを』じゃなくて『ガラッと新しいものに』と言ってくれるお客さんが多くて助かりますね。最新のスポーティーなデザインに加えて、新技術のエコ素材なら『もっといいじゃん!』と」
 
  知らなかった。社会がそこまでSDGsを意識しているとは。デザインや機能だけでなく環境技術の面でも、ユーザーは「革新的なアイテム」を求めているのだ。
 
  ●ついに登場「水冷服」!
 
  「革新というキーワードが出たところで、今回の隠し玉を見てもらいましょう。熱中症対策の画期的なアイテムです」
 
  そう言って稲葉さんは、黒っぽいベストを取り出した。空調服ユーザーにはおなじみの保冷剤ベストのようなものだが、内側にはチューブが張り巡らされている。そして背中側にはバルブ--こ、これは、す……水冷ッ!
 
  「新作の『33000水冷ベスト』です! 空調服が登場してから10年以上が経過し、他社のファン付きウェアも風量やバッテリー容量などに力を注いできましたが、冷却システムは基本的に変わっていません。汗の蒸発を促進させて、気化熱で体を冷やしているわけです。それに対して、このウェアは冷たい水が流れるチューブを当てて直接、体を冷やす!」
 
  正直、「とんでもない商品が出てきてしまった……」と思った。稲葉さんが語ったように、空調服は意外と複雑な仕組みで体を冷やしている。エアコンのように冷風を送り込むのではなく、風で汗を乾かすことによって熱を発散させているのだ。逆に言えば「発汗→吸水→送風→蒸発」というサイクルをつくるのに失敗すると、ほとんど涼しくない。つまり、肌に密着する速乾性のあるインナー、背中から首にかけての風抜けのいいウェアといったことに気を配らないと、空調服の性能は発揮できないのである。
 
  ところがどうだ、この水冷服は。「冷水を体に当てる」というシンプルな冷却システムは!
 
  「すごくシンプルな仕組みです。フリーサイズなのでベルト調節でチューブさえ体に当たるようにすれば、どんどん冷える。ずっと熱中症対策の新技術を考えてきましたが、ついに野心的なアイテムを市場に出すことができました」
 
  ●運用面のメリットは?
 
  水冷服の仕組みは次の通り、これ以上ないほどわかりやすい。
  1:背中のタンクに氷と水(約150ml)を入れる
  2:バッテリーに接続し、スイッチONするとポンプが稼働
  3:冷水がベスト内部に張り巡らされたチューブを循環する
 
  単純なメカニズムは、運用の面でも大きな利点があるという。
 
  「まず、水道があれば水は現地調達できますよね。氷も家の冷凍庫で作っていかなくてもコンビニで買えばいい。バッテリーは空調服のような専用タイプではなく、市販のモバイルバッテリーを使えるので、スマホ用に携帯しているものを代用してもOK。付属のバッテリーで水を連続循環させたときの稼働時間は12時間ですが、断続的にゆっくり循環するモードに切り替えれば稼働時間は50時間まで延びます。毎日充電しないといけない空調服と比べると、大きなアドバンテージがあります」
 
  タンクの外側にはポケットがあり、保冷剤や凍らせたペットボトルが差し込める。これによりさらに長時間、水の冷たさをキープできるようになっている。つまり、屋外作業やレジャーでの運用には、バッテリーより氷の入手がカギとなりそうだ。水の循環をゆっくりにすればタンク内の氷も溶けにくいというから、上手く調節しながら使いたい。
 
  では、水冷服はどんな環境で使えばいいのだろうか。
 
  「まず、空調服が使えない現場の人に勧めたいです。熱気やガス、火花を取り込む危険があって、空調服を運用できない鉄工や溶接、調理などの現場でも、水冷服なら大丈夫。難燃性の作業着の下に着用することで快適に働けます。あとは、空調服でも克服できない酷暑の現場ですね。空調服の場合、一定の湿度と温度を超えると冷却効果がなくなってしまうのですが、水冷服なら氷がすべて溶けない限り、効果を維持できます」
 
  個人的には「客対応」で重宝するかも、と感じた。宅配ドライバーや駐車場の管理人、露天の販売スタッフなどである。熱中症対策に空調服がほしいとの声はあるものの、さすがにブンブンと風切音を立てながらお客さんと話すわけにはいかない。しかし、水冷服なら問題はクリアできる。
 
  水冷服の時代が来た! というのは勇み足かもしれない。それでも、革新はすでに始まっている。
 
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タンクは大口で注ぎやすい
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水冷服をよろしく!

    

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