【CUC】覇権水冷!image_maidoya3
「水冷服はなぜないのか」。作業着ユーザーからよく上がる質問だ。「いや、ありますよ」と商品を出して説明する。と「仕組みはわかった。で、ちゃんと冷えるのか。どのくらい涼しいのか」という流れに。さらに「価格は、稼働時間は、ハーネスを着けたら……」と続くうちに、お客さんは腕を組んだまま黙り込んでしまう--。これが水冷ウェアを扱うときの典型的なシーンである。ファン付きウェアと違って先輩ユーザーはおらず、商品の選択肢も少なく、価格的なメリットもないとくれば、二の足を踏むのが普通かもしれない。しかし「着ないとわからない」のもまた事実。かつての空調服もそうだ。「あんなの効果ない」「涼しい気がするだけ」「見た目もヘン」と当初はネガティブな反応だらけだった。ところが今や、である。未来はだれにもわからない。ただCUCの水冷服を見ていると、同じ道を歩む可能性を感じるのだ。

CUC
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脇も冷やすワーキング仕様
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フルハーネスにも対応
●ユニフォームに「水冷」を
 
  CUC日本橋クリエイティブセンター(東京都)で取材に応じてくれたのは、営業の早崎さん。さっそく今シーズンで3年目となる猛暑対策ウェア「水冷服」について聞かせてもらおう。水をホースで循環させて体を冷やすという仕組みは単純明快。他社でも同じ仕組みのアイテムを販売しているけれど、CUCの水冷服はどう違うのか。
 
  「ポイントはワーキングに特化した冷却力です。冷水をモーターで回す仕組みは協力メーカーの技術ですが、CUCではウェアの技術でハードワークに対応しています。たとえば、一般向けの水冷ウェアは背中から肩にかけて冷やすのに対して、当社の『ICWシリーズ』は、さらに脇の下にもチューブを通すことで冷却力をアップさせています。軽作業やレジャーならそこまでしなくてもいいかもしれませんが、30℃を超える屋外での作業や火を使う現場なんかを考えると、太い血管が走る脇の下を冷やす必要があるんです」
 
  では、具体的にどんなシーンで活用できるのだろう。
 
  「水冷服をおすすめしているのは、まずファン付きウェアを使えない現場の方ですね。溶接や塗装などの作業では、火の粉や塗料を吸い込んでしまうのでファンは回せません。それにファン付きウェアは禁止の現場もあるし、35℃以上になったらもう役に立たない。そんな環境での熱中症予防として使っていただいています。さらに、『大きい人向けがほしい』との声が大きかったので、新作の『ICW710』では、サイズも選べるようにしました。ちゃんと腕の太さに合わせて丈の長さも変えています。つまり事業所のユニフォームとしても採用できるわけです」
 
  24年モデルの新作「ICW710」はFとXXLの2サイズだが、適応サイズは、M~3L(F)、LL~4L(XXL)と幅広い。生地には伸縮性がありベルトでフィット感の調節もできるので、サイズが合わないといったことはまずない。さすがユニフォームメーカーといったところだ。
 
  「ユニフォームといえば、意外だったのが水道屋さんの声ですね。これまでファン付きウェアで働いていたけれど、作業中に服がひっかかったりホコリを吸い込んだりするのが気になっていた、と。水冷ならそれほど邪魔にならないし、粉塵やニオイの拡散もありません。配管やクルマの修理といった狭い場所での作業のほか、ボイラー室やスープの仕込みなどといった場面でも使われています」
 
  ●フルハーネスもOK!
 
  続いて「ICW710」の特色を教えてもらおう。カタログでは「フルハーネス対応」と強調されている。ただ、23年モデルの「ICW001」と大きな違いは感じないが……。
 
  「フルハーネス対応のための最大の変更点は『氷』です。従来モデルは、水に加えて凍らせたペットボトルを背中のタンクにいれる仕組みだったんですけど、形状的にハーネスを付けるとゴリゴリ当たる。それを解消するために「ICW710」では、平べったい専用チャージボトルを凍らせて入れることにしました。力がかかると少したわむような材質なので、ハーネスで背中に押し付けられても痛くない。イスの背もたれも大丈夫です。同時にタンクの出し入れ口も凹凸の少ない形に変更したので、ハーネスの着脱時に引っかかったり、狭い場所でこすったりするケースも少なくなりました」
 
  専用の「チャージボトル5.0」の使用時間は約180分。要するに3時間で氷は溶け切り、チューブを流れる水がぬるくなってしまうわけで、現場で使うには物足りない。朝から夕方までの作業ではどうすればいいのだろう。
 
  「予備のチャージボトルを保冷バッグで持って行く、といった運用を提案しています。ホームセンターや釣具店などで手に入るクーラーバッグでもいいですけど、CUCでは、水冷服の機械部分を製造している山真製鋸さんが販売している保冷缶『エネチャージ』をおすすめしています。これは巨大な魔法瓶のようなもので、チャージボトルを2本以上ストックしておけば、終日作業も大丈夫。水冷服のボトルだけでなく、現場に冷たいドリンクや保冷剤を持ち込むこともできるので、休憩中や仕事終わりの場面でも活躍します。保冷力はソフトなクーラーバッグと段違いで、頑丈でイスにもなる。アウトドアやレジャーにも使えるので、ひとつ持っておくと便利ですよ」
 
  ●「ヒヤリング」はプロ仕様
 
  さらに、水冷服と保冷缶に続いて早崎さんが勧めるのは、保冷アイテム「ヒヤリング」の併用。夏場の街でよく見かける首に引っ掛けて使うU字型のアレ(「P.C.M.リング」というらしい)だ。ぜんぜんワーキングな匂いのしないグッズだが、CUCでは豊富なサイズとカラーをそろえて積極展開している。一体なぜなのか。
 
  「CUCのヒヤリングは冷却力が高いんです。街で女性が付けているような保冷リングの温度は、だいたい28℃から低くても25℃くらいなのに対して、こちらはなんと22℃。P.C.M.は、固まる温度を自在に決められるんですけど、ヒンヤリし過ぎると体調を崩すので、だいたい25℃以上にしてあるんです。しかし、CUCはワーキングのメーカーですから、猛暑の現場で職人さんがクールダウンできるものを用意しなくてはならない。そこで一般使用には冷たすぎるくらいの温度にしました」
 
  さらに冷却力だけでなく、持続力でもアドバンテージがあるという。
 
  「ワーキング仕様の上位モデル『ヒヤリングプレミアム パワー』を用意しています。冷却素材を大増量したことで、3、4時間は冷たさをキープできます。ただし、ちょっと重い。女性だったら『肩が凝るからイヤ』と言うかもしれませんが、『とにかく冷やしたい』という男性ユーザーにはこれですね。先ほどのチャージボトルと一緒に保冷缶の中に入れておいてもいいし、氷水に入れておけば40分で固まるので、2本あればローテーション方式で運用できます。充電なども要らないので、冷蔵庫に常備しておき、買い物や犬の散歩のときにパッと身に付けていくのもオススメです」
 
  昨年は30℃以上の真夏日が90日と、過去最多を記録。ファン付きウェアも役に立たない40℃以上の「酷暑日」まであった。「水冷服にヒヤリング、そして氷やドリンクを詰めた保冷缶」というCUCの最強装備が、猛暑対策のスタンダードになる日も近いのかもしれない。
 
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冷却力の高い「ヒヤリング」
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「水冷服をよろしく!」

    

炎天下に降臨した“水の神”! フルハーネス対応の水冷ベスト「ICW710」

水と氷で体を冷却する猛暑対策ベストのフルハーネス対応モデル。背中のタンクには水に加えて専用のチャージボトルを凍らせて挿入。冷えた水をモーターの力でウェア内のチューブに循環させることで脇や背中を冷やす。独自構造により、背中にハーネスの圧力がかかってもゴリゴリ感なし。


35度オーバーならこれしかない! CUCの水冷ベスト「ICW002」

水と氷で体を冷却する猛暑対策アイテム。背中のタンクに冷凍したペットボトルと水を入れ、冷えた水をモーターの力でウェア内のチューブに循環させることで体を冷やす。設定により冷却力や稼働時間の調整も可能。ファン付きウェアが使えない現場のほか、稼働音が気になるサービス業などにもおすすめ。