【自重堂】コスパが So good〜♪image_maidoya3
毎日のように米相場をチェックし、市場に足を運び……。数年後、この文章を見た人は「江戸時代の庶民の暮らし?」と思うかもしれないが、ごぞんじ令和7年現在の話である。ほとんどの人の頭には、いま「物価高」の3文字が踊っていることだろう。この原稿を書いているあいだにも農水大臣が「コメを買ったことはない」「売るほどある」と失言。米騒動の次は「打ち壊し」か、という物騒な冗談が飛び交っている。作業着を買うときでも、少し前はオシャレ感やデザインがどうこうと言っていたのが、今はすっかり「コスパ重視」の流れである。ただ、価格高騰に苦しむのは製造業も同じだろう。素材や輸送のコストがアップすれば「安くていい商品」のハードルはどんどん上がるわけで……、あれ? このメーカーだけはちょっと空気が違う?

自重堂
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エコ仕様の「77400」
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制電モデルの「77200」
●「安くていい」は無理?
 
  「大きい会社はコスト競争で有利でしょ? って最近よく言われるんです。いやー、そんなこともないですよ。原料や素材の価格がこれだけ上がるとね。いくら大手でも、安くていいウェアを作るのは簡単なことじゃない。以前と違って、品質が良くてちゃんとしたデザインの商品が欲しければ、それなりのお金はかかるんですよ、と。食料品の値上げでも『これまでが安すぎたのかもしれない』という声がちらほらありますけれど、まあ、ちょっと消費者も意識を変えてもらわなきゃいけないタイミングかもしれませんね」
 
  いつものように、軽妙なトークを繰り広げるK氏。自重堂の100周年、メモリアルイヤーも今年の6月に終了とのことで、ひと段落ついた、といった雰囲気である。世界的な物価上昇には、ユーザーだけでなくメーカーも頭を痛めている。ということは、やはり「いいものをそれなりの値段で」という話になってくるのだろうか。
 
  「ここまで製造コストが上がったら、安くていいものは困難なんです。いくら自重堂でも……。って、ん? あれ? ……コスパ、イイじゃん。盛れててイイじゃん。めちゃくちゃイイじゃん♪」
 
  ……So good〜♪ と、やや義務的にコーラスを入れる。
 
  「ねっ? こんなふうにカッコいいシルエットに流行を意識したデザインを施しているのに、自重堂ならこの価格。ほかのメーカーだったら、もっといい値段しますからねぇ。さすがに「安い」とまではいかないけれど、ワークウェアとしての機能性だけでなくファッション性まで加味すれば、すごいコスパいいでしょ? よそならこの価格で作れます? ほら見て、ほら、値段の割に……あれ? これビジュイイじゃん。盛れててイイじゃん。めちゃくちゃイイじゃん♪」
 
  So good〜♪ ……永久に続きそうなので、話を商品に移そう。
 
  ●低価格&高付加価値
 
  まずは、上下作業着の「77400シリーズ」から。スタンダードな印象ながら、テーパードスタイルのパンツ、アクセントとしてのレッドファスナーなど、小技を効かせたカジュアルなデザインが魅力だ。
 
  「この商品は秋冬アイテムの『73400』の春夏モデルです。同デザインで生地だけ涼しいものに変更しました。大好評につき通年対応! という感じですね。デザイン的にも、建築や土木だけでなく、製造業にも使えるし、工業高校の実習用にもちょうどいい。近ごろユニフォーム採用する場合、悩ましいのが大量購入のコストですけど、これなら、カッコいいわりにお求めやすい。これを買っておけば間違いない、といった感じで人気を集めています」
 
  素材も「ポリエステル80%&綿20%」と、鉄板の組み合わせ。さらに、リサイクル素材の使用率が40%と、他の商品より高めになっている。
 
  「自重堂は、1997年にペットボトルをリサイクルしたユニフォームを作っていますから。エコ素材にはすごく強みがあるんです。この商品も『SDGs対応』というわけで、自治体や学校にもアピールしやすい。単に『制服を買う』より、『制服につける予算が、環境活動にもなります』といったほうが話も進むわけですね」
 
  エコ素材といえば、新作の「77300」「77200」の両シリーズのリサイクル素材使用率も、ともに30%超えと高い。さらに極め付きは、植物由来繊維の使用率が58%の「77600」シリーズだ。
 
  「この物価高で、ユーザーさんが一番気にしているのがコストです。じゃあ値段を下げればいい、というのはそのとおりなんですが、ほかの面から見れば“付加価値”も大事になっているんです。価格がまあまあ安い上に、付加価値もついていることが『コスパがいい』と評価される。デザインやファッション性、ストレッチ生地の着心地の良さはもちろんのこと、製品制電やエコ素材といった付加価値のある仕様によって、従業員の安全を守ることができて企業イメージもアップする。こんな背景があることで、このユニフォームを購入しようかな、という気持ちになってくるわけです」
 
  低価格+高付加価値=コスパ--。さすが大手、と言いたくなる“「インフレ時代の勝利の方程式」”である。
 
  ●上部ファンは「リブ仕様」!
 
  「地味にすごいのが、77600シリーズです。3年前から展開しているZ-DRAGON GREENで、『エコ素材といえばこのレーベル』というくらいに浸透してきました。国内生地だからエコマークも付いているし、SDGs対応を進めたい自治体や大企業からの問い合わせが多いアイテムです。高品質な東レの植物性素材『エコディア』を使っているのにこの価格、というわけで、やはりコスパはいいですよ」
 
  ユニフォーム向けなのでデザイン面は特筆すべきものはないかな、と思いきや、まだ隠し玉があるという。
 
  「よく見てください。上着に『腰帯』がないんです。ブルゾンの裾がストンと切りっぱなしみたいになってますよね。これは従来のユニフォームにはない仕様です。腰帯はもともと、制服としてきちんとして見えるようにするための構造ですが、現代の感覚では、取り払っても違和感はない。むしろ腰帯がないことでシンプルになりスッキリとして見える。また座ったときにおなかが締められたりすることもないぶん着心地もラクで、幅広い年齢層に対応できます。腰帯がなければアジャスターやゴムを付ける必要もないし、コスト面でも合理的なわけですね」
 
  腰帯なんて特に意識したこともなかったけれど、言われてみれば……。と、唸っていたら、K氏は次のアイテム「74400」を取り出した。背中に穴のついた……そう空調服対応ウェアである。
 
  「腰帯の話をしたのは、これを見せたかったからです。空調服といえば、風が逃げないように腰帯をゴムで絞っているのが普通ですけど、この新作は『すそリブ』仕様。ちょっと引っ張ってみてください」
 
  おお、想像以上にソフト。空調服の裾はたまに窮屈に感じるが、このリブならストレスがなさそう。とはいえ、ゆるくしたことで裾から風が逃げてしまう心配はないのだろうか?
 
  「よく聞いてくれました。ファンの取り付け位置を見てください、この新作は『上部ファン』なんです。肩の下にファンを付けて風を送るので、風の多くが首元に流れます。すると扇風機に直接当たるような感じになって、顔が涼しい。一方で下に流れる風は少なくなるから、裾はそれほど締め付ける必要はない、というわけで、密封できて着心地ラクチンなリブ仕様にできたわけです」
 
  リブ仕様だけでなく、膨らみ方がきれいに見えるようにカッティングを工夫したり、あまり使わない人のためにDカンを引っ掛けるベルトを下の方に配置したりと、デザイン面でも工夫している。おかげで注文が殺到しているという。
 
  「カジュアルワークウェアに企業ユニフォーム、そして空調服でもそうですが、まずシルエットとデザインがいいこと。そして、今の時代は比較的に低価格であることが何より大事です。その上で、エコ素材を使ったり、製品制電や体型を選ばない裾の仕様といったことで、購入にあたってのオトクさを出していくわけですね。たとえばリブでも高級感のあるフライス編みにしたり、ポケットを止水ファスナーにしたりと、ちょっとした工夫でじわじわ付加価値を積み上げていく。すると、あれ? 自重堂の商品って、やっぱりコスパが……(チラッ)」
 
  「イイじゃん」
 
  So good〜♪ 伸びやかな歌声を響かせながら、K氏はショールームを立ち去っていった。
 
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腰帯をやめた「77600」
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「上部ファン」が新登場

    

デザイン・機能・コスパよし! 隙なしのカジュアル作業着「77400シリーズ」

赤のファスナーが目を引くストレッチ仕様の上下ワークウェア。ポリエステル80%・綿20%の生地は高い伸縮性があり、動きやすくて着心地もよし。裾に向かって絞られていくテーパード仕様のパンツで、都会的なシルエットにまとめ上げた。リサイクル素材を40%使用したSDGs対応商品。


これが最先端のユニフォームだ! 製品制電ワークウェア「77200シリーズ」

リサイクル素材を35%採用した、SDGs対応の上下ワークウェア。ポリエステル80%・綿20%の「ストレッチサマーツイル」の生地は、伸長率22%の高ストレッチ仕様で、動きやすく着心地も◎。スリムなシルエットとテーパードパンツで、洗練された印象に仕上げた。帯電防止規格「JIS T8118」適合モデル。