【ジーベック】「空調制服」の新時代image_maidoya3
空調服はギアなのかウェアなのか--。取材をしていると、たまにわからなくなる。家電のような化粧箱から取り出したデバイスにケーブルをつないでスイッチを入れ、「おお、さすが△ボルトの大風量!」などと口にしているときの気分はギア。対して、ファンを取り付けてから袖を通して「なるほど、かなり風抜けがいいですね」なんて語っているときの感覚はウェア。でもって、「モードごとの稼働時間はどのくらいか」とか「ハーネスとポケットが干渉しないか」とか、話題ごとにギアとウェアとを揺れ動く。しかし、ジーベックのアイテム紹介を聞いていると、その感覚は次第におさまっていく。まるで諭されているような気になるのだ。空調服はギアかウェアかというより、もはや「夏の制服」なのだ、と。

ジーベック
image_maidoya4
断線を防ぐ「しっぽ仕様」
image_maidoya5
保冷剤ポケットが3カ所に!
●対策が義務化
 
  「ついに現場の熱中症対策が義務化されましたからね、ユニフォームとしての空調服の需要が高まっているのを感じています。企業納入に強い総合メーカーとして、しっかり在庫を積んで、継続販売できる体制を整えていきますよ」
 
  こう語るのは、営業の稲葉さん。やや専門的な内容なので、以下で補足しておこう。
 
  「熱中症対策の義務化」というのは、2025年6月1日に施行された労働安全衛生法の改正省令のこと。気温31℃以上など、暑い環境での「連続1時間以上」か「1日あたり4時間超」の作業について、熱中症とその重症化を防ぐ措置を企業に義務付けている。対策を怠れば罰則もあり。つまり、熱中症対策は、ヘルメットやハーネスの着用と同じく「現場の常識」となったわけだ。
 
  企業が取るべきとされる対策は、早期発見や応急処置などの体制づくりも含まれる。しかし、予防に越したことはない。熱中症にならないように、会社が空調服を支給するとなれば、それはとりもなおさず「制服」である。ひとつひとつのアイテムに、あらゆるサイズやカラーをそろえておき、声がかかればすぐドカッとお届け--。まさに、ジーベックのような総合メーカーの十八番である。
 
  「ユニフォームですから、フォークリフトや重機の操作やクルマの運転にも使えるように、今年はサイドファンに力を入れています。また、去年まで3L以上はウェアにロングケーブルをセットにしていたのですが、今年はスターターセット(空調服デバイス)にロングケーブルを同梱しています。しかも、お値段据え置き。どんな体型の人でも大丈夫! というわけで、ユニフォーム屋の意地ですね」
 
  そんな新作の2025年版空調服デバイスは、25Vのバッテリーによる毎秒103リットルの大風量がウリ。このハイパワーを活かすために、さまざまなウェアや併用アイテムを用意している。
 
  ●「上部ファン」登場!
 
  なかでも最注目のウェアが「XE98034」だ。通常モデルよりやや上部にファンを配置した半袖ブルゾン。サイドファンが多いジーベック商品だが、この位置は初めての試みである。
 
  「他社のように肩あたりまでファンを持ってくるのではなく、あえて中間くらいにしました。ファンが背中の上部にくることで、腰袋が扱いやすくなったり、背もたれと干渉しにくいのがメリットです。こちらもユニフォーム採用も考えて、シンプルなデザインにしています」
 
  ファン位置が変わることで涼感も増大するのだろうか。
 
  「上部ファンは通常モデルより風抜けが上の方に向かうので、首筋から顔にかけての爽快感はアップします。ただし、これはあくまで好みの問題です。通常ファンのように風がウェア全体を巡るほうが涼しいという人もいるでしょう。またファン位置が高くなると、音が大きく感じられるというデメリットもあります。それでも、腰回りがスッキリして作業がしやすいとか、背もたれに当たらないとか、いろんな利点があるので、気になる人はぜひ使ってみてください」
 
  一方で、絶対に涼しくなると言い切れるのが、新作のサイドファン空調服「XE98033」だという。
 
  「こちらはウェアの内側にメッシュポケットを3カ所つけた“保冷剤特化”タイプの空調服です。保冷剤を入れて、両胸と背中を直接冷やせば、涼しくなるのは間違いない。もちろん保冷剤は溶けてしまうし、3つを取り替えながら使っていくとけっこうな数がいるので、折りたたみ式の保冷バッグも用意しました。使い切ったら畳んで薄くできるので、撤収時や車に積んでおくのにも便利です」
 
  今シーズンは保冷剤を入れて使うメッシュベスト(33011)も用意。バッグで大量の保冷剤を持ち込んで、溶けたらどんどん入れ替えていく、といった運用ができれば、強力な熱中症予防になるだろう。
 
  ●「初手」としてのペルチェ
 
  体を直接冷やせるのは保冷剤だけではない。そう、新作のペルチェベストセット「33008」だ。バッテリー付きですぐ使え、冷却パッドが体を冷やす。パッケージにある「夏でも俺だけ氷河期」の言葉通り、目立たず使える熱中症予防アイテムである。
 
  「ペルチェ2年目となる今年は、冷却パッドの位置を工夫し、排熱をうまく放出できるようにしたほか、ペルチェをより密着させられるよう、フィット感にもこだわりました。デバイスは冷却力を3段階に調節できるのに加えて、強と弱を交互で20秒ごとに繰り返す『ゆらぎモード』があり、そのぶんバッテリーも長持ちします。着用してみると弱に変わったのはほとんど気づかず、ずっとひんやり感が続く感じです。ちゃんとパッドを体に密着させて、さらに空調服と併用すれば、かなり涼しい。さらにフルハーネスの着用もOKです」
 
  ウェアはベストのほか、コンプレッションタイプもある。通常のスポーツ系インナーのように見えて、じつはペルチェで冷却中、というわけだ。
 
  「ペルチェデバイスとベストだけを買って、手持ちのモバイルバッテリーを使うなら、それほど導入コストはかかりません。近年はファン付きウェアの価格もアップしていますから、まずは暑さ対策の第一歩として、ペルチェを導入するのもアリですね。接客業や食品工場など、空調服を使えない職場での熱中症予防としてもおすすめしています」
 
  まずはペルチェを取り入れて、もっと涼感を求める場合は空調服へ--。ジーベックによる熱中症予防アイテムの“ユニフォーム化”はゆっくりと、だが着実に進んでいる。
 
image_maidoya6
「ハイ」ではなく「やや上部」
image_maidoya7
「熱中症対策はジーベックで!」

    

真夏の俺は超絶クール! 次世代の猛暑対策「冷却ペルチェ」シリーズ

ペルチェ素子の冷却パッドでダイレクトに体を冷やす、新世代の熱中症対策アイテム。首の後ろと両脇の3カ所を冷却することで、体温の上昇を防ぐ。空調服と併用すれば対策は万全。冷却力は3段階に調節可能。さらに強と弱を交互で20秒ごとに繰り返す『ゆらぎモード』も。


最高に「ハイ!」ってやつだァァァ! 上部ファン空調服「XE98034」

通常モデルよりやや上部にファンを配置した空調服の半袖ブルゾン。背面の中ほどにファンを配置することで、腰袋の出し入れがしやすくなり、機械オペレーション時などの背もたれとの干渉も軽減。通常モデルより風抜けが上の方に向かうため、首筋から顔にかけての爽快感もアップする。