アポロ作業帽
■メーカー名:日新被服 ■型番:R3091
■定価:2,600
■販売価格:¥1,240 (税込価格:¥1,364)
■説明:その男を初めて見たときの、私が抱いた違和感について話してみようと思う。現在は私の無二の相棒になっている男について、どうしてそのような負の印象を語る必要があるのか、皆さんは不思議に思うかもしれない。普通に考えればそんな些細な心の揺れなど忘れ去り、今の関係を大切にしていけばいいのかもしれない。だがそれを思い出すことを抜きにしては、私は彼との間に育ちつつある友情すら失くしてしまう気がするのだ。だから私は彼が気分を害することを承知の上で、私の中にあるその不思議な感覚の正体をはっきりさせておこうと思う。正直になることで自分の迷いに決着をつけ、未来についての責任を取れる立場になるために、私はどうしてもその日の出来事について、話しておかなければならないのだ。そう、皆さんがお察しの通り、私は第一印象で彼を軽んじた。なぜだかはわからない。彼とは初対面だったが、私はどこかで会ったような気がした。それほど遠くない過去に、一度だけ彼と接点を持った気がしてならなかった。久しぶり、と私は云った。どういうわけか、その言葉が口に出た。しばらくです、と彼は答えた。それが初対面の二人の、初めての会話だった。それで私は彼を、どんな突飛な事態も深く考えもせずに受け入れてしまう、主体性のない人間だと判断した。しかしその考えは、その日の午後に一緒に仕事を始めたとき、あっさりと覆されたのだ。またお会いしましたね、と彼は云った。本当に、久しぶりですね。それは午前の挨拶の続きとしては不自然すぎた。彼は私に何かを思い出させようとしているようだった。どうか踏み潰さないでくださいよ、蹴飛ばされるのは嫌なんです、と彼は云った。蹴飛ばした?私は嫌な感覚がみぞおちの辺りにこみ上げてくるのを感じた。彼は何か私の知らないことを知っている。私が忘れている私の過去を知っている。あるいは、そうした記憶があると信じている。だが彼はそれっきり、口を開かなかった。そしてその仕事ぶりで、徐々に私の心を開いていった。もしも人生を二度生きられたなら。後になって、彼は私にそう問いかけたことがある。もしも二度目のチャンスを与えられるのなら。そうすれば、使い捨てのように扱われる毎日は、黄金の時代を謳歌するためのステップと考えることができるはずですよ。違いますかね?私は彼の言わんとしていることがはっきりとつかめなかったのだが、そうだね、と同意した。それがわかっているのなら、どんな惨めな境遇でも積極的に受け入れる余裕が出てくるかもしれないね。彼との不思議なやり取りは、それが最後だった。その後は特に変わったところのない、平穏な毎日が続いていった。私は今、彼との関係に満足している。彼が何の生まれ変わりであっても、彼への信頼は揺るがないと思うのだ。使い捨てられたペットボトルを原料にして作った、SDGsなワークキャップ。JIS T-8118対応の高度な制電モデル。
カラー:01アースグリン他 (全5色) / サイズ:LL~フリー