まいど通信
まいど!まいど通信編集長の田中です。今月号のタイトルを見てオヤッと思った方、かなり熱心な月刊まいど屋読者だとお見受けします。それでも気を取り直して各レポートを読んでみて、なんだやっぱり特集してないのかって今度こそ本当にがっかりしてしまった方、あなたはかなり立派な月刊まいど屋中毒者であるとお察しします。お気の毒に。期待をされていたのは重々承知なのですが、編集部にも編集部の都合があるんです。だって過去3年も特集し続けて、もういい加減、書くこともなくなっちゃたんですから。どうアタマをヒネったって、一人暗い部屋に閉じこもって瞑想してみたって、ワンセンテンスさえ浮かんでこない。皆さんがいくら待ち望んだところで、できないものはできないとしか言いようがない。すみません。でもどうしてもというのなら、目次からバックナンバーをたどって去年の6月号を読み返してください。あるいは一昨年、一昨々年の7月号を開いて思い出に耽りながら、今シーズンでも役に立ちそうな普遍的な情報を掘り返してみてください。日本の夏の風物詩、あの空調服の話が聞きたいのなら。
え、最新情報が知りたい?そんなムチャ言わないでください。確かに、空調服にはツナギ服やら警備服やら、さらに驚くことにレインスーツまでラインナップに加わって、それはそれは賑やかなことになっていますが、編集部にそれをお伝えする力はもう残っていないんです。お気の毒です。そこまで言っても聞き入れてくれないひとは、えい、もう世話が焼けるなぁ、下のURLをクリックして、空調服専用ページに飛んでってください。とりあえず、最新アイテムも全部一覧でそろえておいたし、世にもアホらしい動画までオマケでつけておいたから。お約束を反故にするつもりはなかったのですが、誰が何と言おうと、今月は安全靴特集です。
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*クリックするとお詫びのしるしに作った空調服のページが出てきます。みなさん、これで許してくれるだろうか。
というわけで、すみませんが、今月は安全靴の話
空調服も捨てがたいけど、この季節はやっぱり安全靴の話を聞きたかった。まいど屋、よく決断してくれたって思ってる人、多いですよね。今月の特集を聞きつけて、うわべはブーイングのポーズをとっていても、内心はガッツポーズでほくそえんでる。そうでしょ。図星でしょ。そんなことくらい、長年ワーキングの業界で生きていればわかるんです。ダテにムダ飯は食っちゃいません。
ワーカーの皆さんの多くは、梅雨の間にダメージを蓄積したシューズを見て溜め息をついている。気温が上がってくると、ぷんと臭いがしてくるような気がして、そろそろ嫌気がさしている。替え時なのかなって思っていたところに月刊まいど屋のタイトルを目にして、無我夢中で記事に飛びついた。まるで彼女のいない大学生が夏のビーチで、ひとり日光浴をしている女性を見かけたときのように我を忘れて。そして頭の片隅ではある種の期待を膨らませて。
そんな下心でいっぱいのあなたのために、編集部では飛び切りのブランドを3つご用意しました。ディアドラ、シモン、アシックス。どれも誰もが振り返るようなスーパーボディーの持ち主。この中から一つゲットしただけでも、きっと周りのみんながあなたを羨みます。そして、あなたさえ望めば、1つとは言わずに3つでも4つでも、好みのタイプを好きなだけ自分のものにすることだってできるんです。そして一旦手に入れたら、毎日順番に履き比べることだって可能です。これをパラダイスと呼ばずして何と言うか。
そんじょそこらの出会い系サイトが裸足で逃げ出すくらい美形満載、粒ぞろいの今月号。人さまに後ろ指を指されようが、今月、まいど屋はあなたが納得するまで、とことん理想のシューズ探しに付き合います。下世話な例えで言えば、近所のお見合いおばさんみたいに周到に、そして熱心に、あなたのパートナーを斡旋します。おや、なんだかお邪魔なようですから、そろそろここらで編集部はお暇します。あとはお二人で好きにやってくださいね。
イタい話
よくある話なんですが、いざ自分の身に起こってみると、けっこう切実にしんどいです。他人の話なら、あははバカだねって軽くすませてすぐに忘れちゃいますが、当人の中ではいつまでも尾を引いて、うじうじと悩み続けることになる。なんでもっと注意深く確認しなかったんだろってそればかり考えて、おかげで仕事にも影響してきそうです。個人的な話ですみません。
え、貴重な時間を使って、他人の悩みなんか聞きたくない?個人的な悩みは個人で解決すべきであって、こうした公共の場でグチを垂れ流すのは筋が違う?そりゃ、ごもっとも。正論です。でも、よく考えてください。これが仕事に影響すると、こうして長年続けてきた月刊まいど屋も当然クオリティーが低くなり、読者の皆さんだって今後長期にわたって質の悪いレポートを読まされ続けるハメになる。そう視点を変えれば、この問題は自分一人で抱え込む性質のものではなく、皆さんも一緒になって、あああ参ったなと思い煩ってしかるべき事柄であることが見えてきます。しばらくの間は、皆さんにもたっぷりとブルーになってもらわなけりゃなりません。よくあることだけど、ひとを切実に厭世的な気分にしてくれるこの問題について。
さて、お悩み相談。先日、ついうっかりやっちゃったんです。メールの誤送信。なんだ、そんなことかと言わないでください。ひとの話は最後まで聞くように。間違えて送ってしまったのは、特ダネのネタ帳だったんですから。特ダネってあの特ダネです。まいど屋トップページに毎月並んでいる、世にも醜悪なあの特ダネ紹介文。ページに堂々と掲載されているものですらあれほど見苦しいのですから、ネタ帳ならどれくらい恐ろしいものであるか、皆さんもきっと想像がつくと思います。下ネタ満載。当然、画面には出すことができず、ボツにしたもの。人格を疑われてしまうようなもの。物証が決定的過ぎて、いやそれはと言い訳もできないもの。それをあろうことか、普段から親しくお付き合いしている取引先へのメールに添付してしまった。そして、そんな時に限って、その取引先の担当者は女性なんです。たまにカッコつけたことを言うと、それに対して感じよくそうなんですかぁなんて返してくれる女のひと。これをトホホと言わずして何と言うか。中学生のころにベッドの下に隠していたプレイボーイを母ちゃんに見つかってしまった時以来の衝撃です。もう立ち直れない。
その日の夕方、かの女性から電話がありました。メール本文の内容とは違う種類のファイルが添付されていたんですが。あくまでさり気なく、彼女は言いました。ウチの資料はまた別にいただけるんですよね。電話越しに聞こえてくる口調は、あたかも中はよく見ていないんですけどみたいなニュアンスを意図的に強調している。ムリをしているのがミエミエで痛いです。あ、それ、とりあえず即刻削除してくれないかな。そっちに関係のない資料だから。ファイルは開かないでね。ちょっとセンシティブな内容が含まれているので。わかるでしょ。こちらもさり気なさを装ってやっとの思いでそう伝えましたが、そもそも言い方が不自然で、切羽詰まった感がありありで、自分で言ってて自分で痛く思えるほどあからさまに痛い。プレイボーイをベッドのクッションの調節と言い換えてくれたあの日の母ちゃんとの会話みたいに、何もかもが作為的で、新劇のセリフようにわざとらしくて、ヒリヒリするほど痛々しい。
ええ、わかりました、すぐに削除しておきますね、と彼女は言いました。精一杯明るく、ノー天気な言い方が胸に直接グサリときます。どううまく取り繕ったって、わかるんです。削除するワケないよなぁ。ハラの中でどう思われてんだろ。よくある話とはいえ、けっこう切実にしんどいです。
口が裂けても言えない話
突然ですが、まいど屋は皆さんに隠し事をしています。でも、それが何だかはまだ言えません。実はねってノドまで出かかっているのですが、やっぱり口が裂けてもお話しすることができません。まいど屋って正直者だから、なんでもありのままペラペラしゃべるんだって思ってました?とんでもない。こう見えて、けっこう冷静なんです。そして計算高い。必要とあらば、テレビのバラエティー番組なんかの事前の宣伝みたいに、今夜何かが起こるなんて思わせぶりな態度もとっちゃいます。または男の扱いに慣れた女子が気を持たせるみたいに、言葉にしなくても皆さんの期待を高めることくらいしちゃいます。罪作りですみません。
皆さんきっと何のことやらわからなくて困った顔をしていると思いますので、あるいはもったいつけやがってとイライラし始めた方も若干おられるかと思いますので、ひとつヒントを。来月、まいど屋にある重大な変化が起こります。まいど屋のトップページで、皆さんはこれまで目にしたことのなかったものを目撃します。それはもしかしたら、皆さんの人生観を変えてしまうほどの神的な体験になるかもしれません。そして同時に、世界史を変えてしまうエポックとなるかもしれません。おっと、少々口が滑りました。これ以上は言えません。8月1日にまいど屋にアクセスすると何かが起きている。そうとしか申し上げられないんです。今のところ。