まいど通信


        

まいど!まいど通信編集長の田中です。残暑厳しいですね。暑いですよね。暑くて暑くて、外に出て仕事をする気力も消え失せ、クーラーの効いた部屋に閉じこもってばかりいますよね。それで体調を崩してしまって体のだるさが抜けず、この月刊まいど屋を読むのも何だかおっくうになってきた。どうせ仕事への意欲も失っちゃったんだから、こんなろくでもない月刊まいど屋なんかチェックするのもアホらしくなり、そろそろこの画面を閉じようかと思い始めている。そうじゃありません?いいですよ。どうぞお好きにしてください。画面の右上の角にある小さなX印をぽちっと押せば、お望み通り、まいど屋はたちどころにあなたの視界から消えてみせます。パソコンモニターの中央で、今の今までまいど屋が占めていたその跡地では、あなたをいつも癒してくれるグラビアアイドルの壁紙があなたを待ち受け、笑顔で再会を喜んでくれるはずです。どうぞ彼女と見つめ合って、心ゆくまで癒されてください。まいど屋はまいど屋と決別するというあなたの決断を心から祝福します。それでこの暑さが凌げるのであれば。
彼女と語り合った末、やっぱりそれではこの蒸し風呂のような残暑を乗り切ることができない、浮気心は不快指数に勝てないと悟ってあなたが再びまいど屋に戻ってきたのであれば、まいど屋は何事もなかったかのようにあなたを優しく迎え入れ、あなたがもう一度やり直したいと泣いて訴える声に耳を傾けようと思います。そしてあなたの肩の震えが収まったとき、前から言いたくて、それでもどうしても言えなかったあの一言、まいど屋の心の中にずっとわだかまっていたあの疑問を今度こそあなたにぶつけてみようと思います。---どうしてあなたは素直にまいど屋の一番大切なものを受け入れてくれないのか。まいど屋の生命の中心であると言っていい最も敏感なあの部分に手を触れてみようとさえ思わないのか。まいど屋は真夏の情熱的な太陽の下であなたの手がそこに伸び、初めは恐る恐る、でも少しずつ大胆になってそれを弄び、最後はあなたのものにしてくれることを期待していました。でもそうはならなかった。暑さから逃れ、気持ちよくなりたいというあなたの想いに応えようとしたまいど屋は、今、自信を無くしかけているんです。これほど暑いにもかかわらず、先月、この月刊まいど屋で華々しく発表した空調オフィスウェアがまだ一着も売れていないのはなぜなのか。教えてください、まいど屋とヨリを戻したいのなら。

今月のテーマは「食べコレ!」
え?食べコレ!って何かって?よくぞ聞いてくれました。食べコレ!はまいど屋の第二子、飲食店向けの通販サイトです。オフィスウェアの専門店「事務コレ!」が長女なら、「食べコレ!」は長男になるのかな。本日、9月1日、無事にめでたく誕生しました。オープン前、数人の知り合いに内緒で話すと、決まって「食べログ」みたいなグルメサイトのパクリかと勘違いされたのだけど、決してそうではありません。長女が「事務コレ!」だったから、「コレ!」にこだわってあれこれ考えた結果、これしか思いつかなかったんです。「事務コレ!」だから次は「食べコレ!」。一郎、次郎のような感覚です。
レポート本文で詳しいことを書いたのでここでは簡単にお話ししますが、名前には「食べ物を扱うお店のユニフォームをコレクションした通販サイト」っていう意味を込めています。後で調べてみると、同名のテレビ番組が過去にあったようなのですが、そのときにはもうドメインの登録やら、ロゴのデザインやら、事務的なことがあれこれ進んでいたこともあり、そんなことは気にせずにこのままオープンすることにしました。どうか、テレ東からクレームが来ませんように。
それにしても、今月の月刊まいど屋を読んだひとは幸運です。まいど屋が難産の末にようやく産み落とした待望の息子の出産に立ち会うことができたのですから。オマケに出生の秘密まで知ることになったのですから。他人のヒミツほど興味をそそるものはありません。食べコレ!が大きくなったとき、あなたは「俺はなぁ、お前がおしめをして母ちゃんのおっぱいを吸っていたころからお前を知ってるんだぞ」などと大きな顔で偉そうな態度を取ることだってできます。他人に対して偉そうな態度をするのは、特に理由なく気持ちがいいものです。あと数年もして食べコレ!が国民的なスターサイトになれば、その快感はさらに大きなものになります。「俺はなぁ、あの食べコレ!が生まれたいきさつを知ってるんだ。まいど屋もアレが無事生まれるまでは、本当に苦労してたからなぁ。いやあ、傍目にもよく頑張ってたよ」。懐かしそうにそう話すあなたの口ぶりは、イチローの子供時代の近所のおじさんが当時を振り返るときに見せるようなある種の自慢げなニュアンスを伴って、心なしか大げさになっているはずです。まいど屋はそんなあなたのささやかな優越感を否定することはありません。あなたは本当に一部始終を目撃したのですから。どうぞ、たっぷりと満足感に浸り、あの食べコレ!の古くからの知り合いであることを周囲に吹聴してください。

ハーブを使わない合法トリップ
まいど屋で仕事をしていて磨かれた能力は何ですか?そんな質問をするひとなどどこにもいないと思うけど、仮にそう訊かれたら、迷わず想像力だと答えます。岡本太郎が芸術は爆発だと叫ぶなら(古いなぁ)、衣料品販売はイマジネーションだと言い切ります。皆さんが上半身裸でパタパタとうちわを扇いでいるまさにそのとき、ここ編集部では、真冬の寒さを想像する。オホーツク海の流氷を思い浮かべ、東北の山おろしのしびれるような冷たさを感じて身を縮ませる。北陸の底冷えに鈍痛にも似た感覚が全身を走る。吐く息は白く、指先の感覚がなくなってくるように思えたら、暖かな防寒着が欲しくなってきます。オフィスの窓から真夏の日差しが差し込み、ミンミン蝉の激しい鳴き声が漏れ聞こえてくるそのさなか、怪しい薬を使うこともなくそんなトリップを繰り返すんです。すごいでしょ。
まいど屋には真夏の盛りに各メーカーさんから秋冬カタログが届きます。各社の説明を聞き、新商品については試着をし、そして皆さんが実際にそれらを着ているシーンを想像するんです。自分で作業服を着て現場に出て働くわけではないんだけど、想像力を働かせて皆さんの代わりに皆さんになりきり、商品の良し悪しを判断していくんです。どの商品を多めに在庫すべきか。慣れてくると何となくわかります。
今、各社のカタログを山積みにして、編集部は連日、猛作業中です。暑さで頭をフラフラさせながら、冬物衣料の快適性を歌うんです。もうすぐ一斉に秋冬の新作が画面に登場します。シーズンに入って皆さんが実際にその画面を目にするときに、ちょっとだけこの話を思い出してみてください。まいど屋編集部の想像力がなかなかのものだってわかりますから。あ、それとも、そんなことしたら画面に書いてあることの説得力がなくなっちゃうかな。暖かくてメチャ快適なんて、ウソつけコラなんて。

次はTOKYOへ
オリンピックも終わっちゃいましたね。メダルが全てじゃないんだって良識のあるひとは言うけれど、凡人の自分としては、やっぱりたくさんメダルが取れると我がことのように嬉しくなり、結構楽しめた大会でした。そして、閉会式で安倍さんがマリオ姿で出てきたときには、次はいよいよ本当にTOKYOなんだなって実感しました。次は東京。それまでの4年間、自分にできることは何だろう?まいど屋にできることは何だろう?大観衆が見守るマラカナンスタジアムのど真ん中に、美しく演出されたTOKYOの紹介VTRなどが延々と流れた日には、日本国の一国民として、TOKYO大会の成功に少しでも協力したいなんて柄にもなく模範的な想いを新たにしちゃうじゃないですか!
新たにしちゃう。そう、その考えは、決して急に思いついたものではなく、前々から自分自身、そしてまいど屋の社内で温めていたものなんです。その答えを、今回ご紹介した食べコレ!を通じて具体的なカタチにしていきたい。今だから白状しますが、7月号のフードユニフォーム特集は、今月号を盛り上げるための、いわば布石のような企画でした。そのときのインタビューで、各社の担当者が異口同音に東京オリンピックへの期待を語っていたのを思い出します。「オリンピックで東京を訪れる多くの外国の人たちに、日本の食文化をたっぷりと味わってもらいたい。そのために私たちができることは、お店の魅力を引き立てるユニフォームを提案することだ」と話していました。
まいど屋もささやかながら、そのお手伝いができたらいいなと思っています。今回、「食べコレ!」をオープンさせることで、その実現に一歩近づけるのではないか。開店間際の高揚感に包まれた慌ただしさの中、今、心からそう思っています。