まいど通信
まいど! 編集長の奥野です。今月は約1年ぶりとなる「安全靴特集」をお届けしました。ワーク用品のジャンルは数あれど、安全靴は一、二を争うホットな分野。「スニーカーで実績のある○○社がいい」「いや保安具の老舗△△社だ」「コスパなら××で決まり!」などなど、きっとみなさん一家言お持ちでしょう。今回の特集がそんな読者の”安全靴ライフ”の一助になることを願っています。
●花粉症シーズン到来
いきなりですが、今回の取材では花粉症に泣かされました。文字通り鼻水と涙が止まらず、朝目覚めると目ヤニが固まって目が開かない。けっこう強い薬を処方してもらっていたのですが、それでもギリギリでした。花粉が飛びたての2月末なんて、意識が朦朧として丸一日寝込みましたからね……。もし、この状況で上司に「花粉症くらいで休むな」なんて言われたら、いきなりタックルかまして馬乗りで首を絞めていたかもしれません。ああ、会社員じゃなくてよかった!
それでも外には出なくてはなりません。編集長くらいの花粉症になると、もうドアを開けた瞬間、花粉が粘膜にぶつかってくるのがわかるんですが、対処法はマスクくらいしかない。目薬やメンソールの飴なんかで気を紛らわして、あとは忍耐あるのみ、です。
強いて言えば、ここ数年でうれしいのは、袋入りのティッシュがどこでも手に入るようになったことですね。ポケットティッシュじゃなくて家で使うサイズ。紙の箱に入ったヤツは昔からありますけど、数年前から「ソフトパック」というのが売ってるんです。これを丸ごとカバンに入れて持っていると非常に便利! 花粉症や風邪のほか、子連れの外出やアウトドアなんかでも重宝しますよ。
と、この原稿を書いているのは3月19日。ラジオからは「スギとヒノキの花粉のピークは去りました」との声が聞こえてきました。ついに、ついに、この苦しみから解放される! 普通に外に出られるんだ! 毎年のことですが「長い刑期を終えて刑務所の門をくぐったら恋人が待っていた」みたいな幸福を覚える日々です。
●ダイアル式が欲しい!
それにしても安全スニーカーの世界はすごいことになってますね。軽くてデザインもカジュアルになっているのは前から感じていましたが、今回の取材でいちばん驚いたのは「つま先のボコッと感」がほとんどなくなったことですよ。
いくらデザインやカラーがよくても、ミッキーマウスの足みたいにポッコリするのはなぁ……と正直、思っていました。ところが、最新世代の安全靴はもう、ほぼ先芯のふくらみがない。スニーカーにしてはつま先が堅そうだな、と感じるくらい。
「これ、先芯入っているんですか? ただの作業靴じゃないですよね?」
という質問を取材中に何度もしてしまいました。ハッキリ言って見た目ではわからない領域に入っている。ここまでくるともう「革命」です。AIで言うとシンギュラリティ。アンドロイドと人間の区別がつかない未来世紀みたいなもんですよ。
ここまできたらいっそ保安具じゃなく「つま先ハードタイプのスニーカー」と考えてもいいんじゃないでしょうか。新しいスニーカーが欲しい人は、スポーツショップと作業服の店をハシゴして気に入ったのを探そう、と。今月号で取り上げたように、デザイン性でも普通のスニーカーを凌いでいる商品もたくさんあるわけですから。
さらに言うなら、個人的にグッときたものに「ダイヤル式」があります。これ、ひょっとしたら”靴ヒモの上位互換”ではないか、と。
靴ひも式のスニーカーを持っている人は多いはず。でも、毎回、出かけるときにちゃんとヒモを締めて結んでいますか? ……否でしょう。編集部が周囲に聞いたところ、ヒモは緩めにくくっておいて足を突っ込むだけの人が多数派でした。実際のところ、靴ひもは、あまり正しく使われてないんです。玄関でキッチリ結ぶなんて面倒くさくてやってられないから。
そんなわけで編集長もスリッポンのスニーカーを愛用しています。面倒くさがらずにちゃんと締めるなら靴ひもの方がいいんだろうけど……と思っていたら、今回の取材で「ダイヤル式」に出会ってしまったわけです。これならものぐさでもイケる!
ちなみにウィキペディアによれば、ヒモ靴というのは現在明らかになっているだけでも、紀元前3500年前には使われていたとのこと。BC3500年前ってメソポタミア文明が発展したころですよ! つまり「ヒモで靴を足にフィットさせる」というのは、5000年以上前の文明が始まったころからのアイデアなのです。と、このように考えてみるとヒモ靴っていいかげん時代遅れな気がしてきませんか? いや、むしろ時代を超える素晴らしいアイデアなのか……。
それを確かめるためにも、ダイヤル式スニーカーを買って使ってみようと思っています。
●有田みかん海道へ
さて、今回の取材では珍しく和歌山県に行きました。和歌山といえばパンダばかり注目されているようですが、じつは自転車で走ると最高なのです。山・川・海の織りなす起伏に富んだ道に、絶景、海の幸、さらに路上のコースサインもわかりやすくて、車も少ない。サイクリストにとっては天国と言えます。
ところが、自転車好きでも和歌山を走ったことがある人はあまりいません。理由はまあ、遠いからでしょうね。大阪や京都、神戸から自転車コースを探せば、琵琶湖もあれば淡路島もある。もう少し足を延ばせば、瀬戸内が誇るサイクリストの聖地「しまなみ海道」にも行けてしまう。わざわざ和歌山まで行かなくても……、と言いたくなる気持ちもよくわかります。
しかし、それでも和歌山には走る価値があることを知ってほしい! というわけで、取材のついでに走ってきました。有田市がPRしている「みかん海道」。有田川流域の漁港からミカン畑が連なる低山を登る全長5.6kmのコースです。
市役所で無料のレンタサイクルを借りてアタックします。電動アシストはなし。街を抜けて港から山にさしかかると、予想通りペダルを踏めなくなりました。スポーツ自転車なら息を切らして登れるくらいの坂ですが、20kg以上ある前後カゴ付きのママチャリではさすがに厳しい。しかし、登坂区間はわずか3km程度、仮にすべて押し歩きしても1時間で突破できる計算です。
山を登る道は、ほとんど車は通らず、たまにランニングしている人が通る程度。木もよく伐採されていて舗装もきれい。これ以上ないほど快適な道です。途中で坂が緩くなったり、短い下りを挟んだりするので、ずっと押しっぱなしにもなりませんでした。峠の上にさしかかると、気持ちいい海風が汗を乾かしてくれます。
登り始めて30分で展望台に到着しました。ベンチではクルマで登ってきたお年寄りグループが休憩しています。和歌山の海というと荒々しい太平洋を思い浮かべますが、ここから見える湯浅湾の風景は穏やかで、静かな海。「みかん海道」は瀬戸内海の「しまなみ海道」を意識したネーミングですけれど、なるほど、たしかにこの道と景色ならばあっちにも張り合えるな、と思いました。
景観のほか、登ったかと思えば下り、下るかと思うと登るアップダウンの多さも魅力でしょう。地元の人の散歩やランニングコースとして使われているのも納得です。
和歌山に行った人は、ぜひ行ってみてください。「みかん海道」はサイクリングにはやや短い道ですが、ほかにも和歌山の海岸沿いコースは絶景だらけ。必ず気に入ると思います!
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今月も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。次回は5月号、「事務服特集」でお会いしましょう!