まいど通信
まいど! 編集長の奥野です。今回はかなり久々の事務服特集をお届けしました。登場するウェアはすべてレディースなので、男の編集長にとってはかなり手を焼くジャンル。しかし、いつもの土木建築のガテン系ウェアとはまったく違う話が聞けるので、取材は非常に楽しかったです。読者の皆さんにも少しでも事務服の魅力が伝われば、と願っております。
●事務服のトレンドとは?
今回の取材でよく聞かれたのが「普通の服に近づいてきた」という話です。事務服ってファッションに敏感な女性が着るユニフォームですから、もともと流行やトレンドは意識した作りになっているのですが、最近はさらに一般服との距離が縮まっているというのです。
一番わかりやすい例が、「定番」が弱くなってきたことです。各社の話では「ブラウス+ベスト+スカート」という"ザ・事務服"を採用するケースが、徐々に減ってきているとのこと。じゃあ何を着るのかというと、カットソーに一般の婦人服のようなジャケットを合わせたり、上下モノの組み合わせを変えてコーディネートしたりする。銀行などのお堅い職場では、今も「定番」が強いのですが、総じて言えば、オフィスのカジュアル化は事務服にも及んでいる。スカーフは付けないパターンが増えたし、ヒールの靴も履かなくなってきた結果、パンツの形も変わってきていると言います。
そこでメーカーが模索しているのが「次の定番」です。いちばん欠かせないのは機能で、ストレッチ・防シワ・透け防止・ホームクリーニング可能・速乾・ノーアイロン・消臭・抗菌・スマホ収納ポケットといったオプションは不可欠。大ざっぱに言えば「着心地がよくメンテナンスも楽で、誰が着てもきちんと見えて、女性らしいかわいらしさもある」というオフィスウェアを作ろう、というわけですね。ものすごい難題です。しかも、職場であっても「他の人より輝いていたい」というのが女性の心理。そのため「みんなコレさえ着ればOK!」というわけにもいかず、コーディネートや着こなし、アレンジを通じて自分らしさを表現できるものでなければならない、と。
それなら制服じゃなくてもいいのでは? と思うかもしれません。しかし、なかなか「完全にカジュアルウェアで」というわけにもいかないのですね。お客さんや偉い人が来たりすることもあるでしょうから、それなりの"きちんと感"というか、ドレスコードは一線を守っていなければならない。私服で働く男性であろうと、Tシャツ&短パンで会社に行ってはいけないのと同じです。各自に「オフィスではこういう感じの服装がふさわしい」という判断をしてもらって、微妙な感じになったりするくらいなら、はじめから制服にしておいたほうがいいというわけです。
●「専用仕事着」のすすめ
編集長が考えるに、制服には二面性があると思います。ひとつは「仲間と同じ格好」というユニフォームの側面。ふたつ目は「作業や業務内容に最適な格好」という仕事着の側面。いま、事務服の世界におきている現象は、前者より後者のウェイトが高まっていること、つまり「ユニフォームから仕事着へ」という流れではないでしょうか。
結局のところ、制服って合理的なんですね。編集長は会社員ではないけれど「人前でしゃべるときはコレ」「取材に行くときはコレ」といった上下セット、つまり"制服"を持っています。そのシチュエーションに合わせた最適なウェアを着ることで気持ちも切り替わるし、パフォーマンスも安定するからです。ちょっと面倒ですが、機械いじりをするときは作業服を着たり、料理をするときはエプロンを着けたりする方が、汚れが気にならず動作もラクになるのと同じです。長い目で見ると効率がいいのです。
カジュアルな格好で働ける職場のほか、いま増えている在宅勤務やテレワークの人にも「制服」をオススメしたいです。たとえば「体を動かす作業がある日にはコレ」「デスクワークに集中したい日にはコレ」という具合に、専用ウェアを決めておくのはどうでしょう?
編集長の場合、綿100%の作業服をパソコン作業用の仕事着にしています。通気性がよくて肌触りもいいので長時間すわっていてもストレスが少ないし、ポケットがいっぱいあるのでペンやメモ帳、スマホなどを持ち歩くのにも便利。毎朝、机に向かう前にこの服に袖を通すと、さあ、バリバリ仕事するぞ! ……とまではいかないけれど、なんというか条件反射のような感じで、あまり意志力を使わず仕事に入っていくことができます。
問題は、この作業服がカッコよすぎて目立ってしまうことです。しかも、ややオラオラ感があるので、近所をうろつくのに少し抵抗がある。暑い日に汗止めのタオルを頭に巻いていたりすると、前から歩いてきた人が道を譲ってくれます。混雑した駅前でも歩きやすくていいわ、じゃなくてもっと街の中でも違和感のないようなデザインのウェアを仕事着にしたほうがいいかな? と考えているところです。今回のテーマである事務服のように「便利で着心地がよく、手入れがラクで、きちんとして見える」というウェアを探すべきなのかもしれません。
というわけで、みなさんも仕事着を探すときには、ぜひ「まいど屋」で!
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今月も最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。コロナ禍のなか、7年ぶりに首相も変わります。次の「月刊まいど屋」が出るころ、世の中はどうなっているのでしょう? 皆様もどうかお元気で!