ハンパな気持ちでは選べない。命を預ける安全帯だからこそ、商品選びは慎重になる。信頼性が大事なのは当然だ。加えて、仕事の邪魔にならない使い勝手の良さや軽量性。さらにデザインが良ければ文句ない。そう考える鳶職人たちから圧倒的な支持を集めるのがサンコーの安全帯シリーズ。「タイタン」のブランド名を冠した彼らの安全帯は、気の利いた作業服店や量販店では、まず間違いなく店頭の目立つ場所が指定席。決して安くはないが、職人たちは他社の安全帯には見向きもしない。タイタンブランドの安全帯にはユーザーのココロをつかんで離さない何かがある。
価格よりも本質的な性能で勝負する。まさにまいど屋好みのブランド「タイタン安全帯」。今回の特集では、サンコーの東京支社にお伺いし、彼らの商品の魅力について、たっぷりとお話を伺ってきた。
価格よりも本質的な性能で勝負する。まさにまいど屋好みのブランド「タイタン安全帯」。今回の特集では、サンコーの東京支社にお伺いし、彼らの商品の魅力について、たっぷりとお話を伺ってきた。
サンコー
神足さん(右)と山田さん(左)。自社商品について、楽しそうに説明してくれた。
同社の安全帯。左から、巻き取り機付き・フック収納付き・ショックアブソーバー付き。
「安全帯って、邪魔なんですよ。職人さんたちは、できれば安全帯なんかつけたくない。私たちはまず、そこを骨身にしみて理解していなきゃいけない」。自社商品を否定するようなコメントで始まった今回のインタビュー。話をしてくれたのは取締役の神足さんと企画室の山田さん。タイタンの安全帯シリーズを不動の人気商品にした立役者である。初めは謙遜かとも思ったが、時間をかけて話していると、どうやら本気でそう思っているらしい。ユーザーから敬遠されていると自覚しながら、ヒット商品を連発する?ウソのようなホントの話。嫌われモノの安全帯が職人たちから熱く支持されるそのワケは、だが、話を聞くうちに次第に明らかになっていく。
「職人さんの腰回りを見たことありますか?腰袋をぶら下げて、必要な工具をどっさりと詰め込んでいます。工具類は彼らの命。作業効率を上げるために、できるだけたくさん持ち歩きたいんです。」。でもね、と神足さんが笑いながら続ける。「安全帯は違うんです。作業には直接関係ない。万一のための安全装置ですから、実際に役に立つことなど、99.9%ないんです。腰回りの限られたスペースは腰袋や工具差しのために有効に使いたい。工具は重いから、他に余分な重量を腰にぶら下げたくない」。
自社商品に対する『思い入れ』が強すぎると、そんな職人心の機微が分からなくなってしまうと山田さんも言う。「案全帯はほとんどの職人さんにとって、イヤイヤ使われている---私たちのモノ作りはそこから始まっているんです」。
タイタンの安全帯に絶大な人気が集まる理由---それを改めて考えてみると、神足さんと山田さんが強調する「嫌われているワケ」を、ギリギリまで取り除こうとしているからだと気付く。例えば軽量性。例えばファッション性。重さが嫌がられるから軽くする。積極的には好きになってもらえないから、せめてカッコ良く、ファッショナブルに進化する。最近では、業界に先駆けてリール部分にフックを掛ける方式を採用した新商品のワンボディーリコロ。腰回りが革命的に省スペース化されたことで、人気に火がついた。『仕方なく』から『試してみてもいいかな』へ。そして最後は『使ってみたいな』へ。タイタンシリーズは職人たちの心を変えた。それは、鳶職人が多く集まる作業服屋ルートで、このシリーズが圧倒的に強いことからもよくわかる。
新商品の開発頻度が高く、他社に先駆け、新機能をいち早く発表してくるのもサンコーの強み。要はフットワークが軽いのだ。ランヤードを自動で巻き取る『リール式』や落下時に体への負荷を軽減する『ショックアブソーバー』付きの商品は種類も豊富。また、強度は保ったまま軽量化されたフックや、作業現場の足場に使われる48.6mmのパイプにしっかりとかかるフックを最初に開発したのも彼ら。最近では二丁掛けのランヤードやフック部に反射テープを標準装備した商品など、現場の規制に素早く対応した新商品を次々に投入している。
「安全帯は、昭和30年頃から造船業界で普及しはじめました。ウチはもっと前、もともとは銅山の発掘作業用に安全帯を作っていて、歴史は長い。タイタンシリーズは軽さや省スペース性、ファッション性で人気がありますが、肝心な品質と安全性の確かさも覚えておいていただきたいです。多少値は張るかもしれませんが、それでも選んでいただけるのは、我々のモノづくりの伝統を認めていただいているということ。それを非常に誇りに思っています」。そう語る神足さんの表情には、自社製品に対する確かな自信がうかがえる。ユーザーの心を読み取る柔軟な商品企画力。長い歴史が培った技術力。技術に裏打ちされた骨太な開発力。全てを備えたサンコーがこれからも職人たちの心をつかんで離さないのは間違いないようだ。
「職人さんの腰回りを見たことありますか?腰袋をぶら下げて、必要な工具をどっさりと詰め込んでいます。工具類は彼らの命。作業効率を上げるために、できるだけたくさん持ち歩きたいんです。」。でもね、と神足さんが笑いながら続ける。「安全帯は違うんです。作業には直接関係ない。万一のための安全装置ですから、実際に役に立つことなど、99.9%ないんです。腰回りの限られたスペースは腰袋や工具差しのために有効に使いたい。工具は重いから、他に余分な重量を腰にぶら下げたくない」。
自社商品に対する『思い入れ』が強すぎると、そんな職人心の機微が分からなくなってしまうと山田さんも言う。「案全帯はほとんどの職人さんにとって、イヤイヤ使われている---私たちのモノ作りはそこから始まっているんです」。
タイタンの安全帯に絶大な人気が集まる理由---それを改めて考えてみると、神足さんと山田さんが強調する「嫌われているワケ」を、ギリギリまで取り除こうとしているからだと気付く。例えば軽量性。例えばファッション性。重さが嫌がられるから軽くする。積極的には好きになってもらえないから、せめてカッコ良く、ファッショナブルに進化する。最近では、業界に先駆けてリール部分にフックを掛ける方式を採用した新商品のワンボディーリコロ。腰回りが革命的に省スペース化されたことで、人気に火がついた。『仕方なく』から『試してみてもいいかな』へ。そして最後は『使ってみたいな』へ。タイタンシリーズは職人たちの心を変えた。それは、鳶職人が多く集まる作業服屋ルートで、このシリーズが圧倒的に強いことからもよくわかる。
新商品の開発頻度が高く、他社に先駆け、新機能をいち早く発表してくるのもサンコーの強み。要はフットワークが軽いのだ。ランヤードを自動で巻き取る『リール式』や落下時に体への負荷を軽減する『ショックアブソーバー』付きの商品は種類も豊富。また、強度は保ったまま軽量化されたフックや、作業現場の足場に使われる48.6mmのパイプにしっかりとかかるフックを最初に開発したのも彼ら。最近では二丁掛けのランヤードやフック部に反射テープを標準装備した商品など、現場の規制に素早く対応した新商品を次々に投入している。
「安全帯は、昭和30年頃から造船業界で普及しはじめました。ウチはもっと前、もともとは銅山の発掘作業用に安全帯を作っていて、歴史は長い。タイタンシリーズは軽さや省スペース性、ファッション性で人気がありますが、肝心な品質と安全性の確かさも覚えておいていただきたいです。多少値は張るかもしれませんが、それでも選んでいただけるのは、我々のモノづくりの伝統を認めていただいているということ。それを非常に誇りに思っています」。そう語る神足さんの表情には、自社製品に対する確かな自信がうかがえる。ユーザーの心を読み取る柔軟な商品企画力。長い歴史が培った技術力。技術に裏打ちされた骨太な開発力。全てを備えたサンコーがこれからも職人たちの心をつかんで離さないのは間違いないようだ。
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