ペンチといえば、フジ矢。コレ、業界の常識。特に電設関係者の間では、フジ矢のペンチを使っていない人間はほとんどいないのではないか。なぜ、フジ矢か。フジ矢を際立たせているものは何だろう。あれこれ思案しながら取材準備をしていたつい先日、業界に詳しい知人から面白い話を聞いた。
職人の世界では、新人は先輩たちが使っているお古の道具を借りて、徐々に仕事に慣れていく。一人前になったら、やっぱり自分でフジ矢を買う。新人の時につかんだ感覚を捨てて他のメーカーに乗り換えるひとはほとんどいないよ・・・一見納得できる話。でも、本当にそうなのかなぁ。それだけの理由で、日本中の現場で愛用されるようになるのかなぁ。もっと本質的なワケ、例えば、ニッパの切れ味の僅かな差や握ったときの微妙な感覚、形やグリップの材質など、職人にしか分からない違いがあるんじゃないか。フジ矢でなければならない本当の理由を解明したい。そんな思いで出かけた今回のインタビュー。フジ矢の大阪本社を訪ね、詳しくお話を伺ってきた。
職人の世界では、新人は先輩たちが使っているお古の道具を借りて、徐々に仕事に慣れていく。一人前になったら、やっぱり自分でフジ矢を買う。新人の時につかんだ感覚を捨てて他のメーカーに乗り換えるひとはほとんどいないよ・・・一見納得できる話。でも、本当にそうなのかなぁ。それだけの理由で、日本中の現場で愛用されるようになるのかなぁ。もっと本質的なワケ、例えば、ニッパの切れ味の僅かな差や握ったときの微妙な感覚、形やグリップの材質など、職人にしか分からない違いがあるんじゃないか。フジ矢でなければならない本当の理由を解明したい。そんな思いで出かけた今回のインタビュー。フジ矢の大阪本社を訪ね、詳しくお話を伺ってきた。
フジ矢
西尾さん(左)と森田さん(右)。自分たちの仕事に、強い自信と誇りをもっている様子。
先にむかって1mmほどの隙間を設けて作られたペンチ。この隙間が、鮮やかな切れ味を生み出す。
今回、取材に対応してくれたのは、営業本部 本部長の西尾さんと、営業部 営業企画チームリーダーの森田さん。フジ矢の商品企画のキーマンとなるお二人だ。「フジ矢のペンチが売れている理由を探しに来た」とインタビューの目的を伝えると、「それなら、製造ラインを見てもらった方がいいですね」と言う。どうやら、工場見学をさせてくれるということらしい。
工場の案内には、西尾さんと森田さんの他に、製造部 部長の佐藤さんも加わってくれた。工場内に入ると、轟音と共にたくさんのペンチが工程毎の流れ作業で作られている。近代的にオートメーション化された工場といった予想に反して、手作業の工程がかなり多いようだ。佐藤さんがこう説明する。「切れ味のいい刃物に仕上げるには、経験豊富な職人の腕が必要なんですよ」。
刃の支点を圧着したり、グリップのゴムを巻き付けたりと、1つ1つの工程にしっかりと人の手が入る。特に興味深いのは、刃付けの様子。熟練の技術者が、歯を磨いては蛍光灯にかざして確認している。ペンチは力の作用を考えて、敢えて先が開くように作られる。それは、ほんの1mm程度の隙間。それを手作業で1本1本仕上げているという。完成したペンチを手にとりながら、森田さんがさらにフジ矢のこだわりについて語る。「右の刃が、ほんの少し上に重なるように作っています。そのほうが歯がクロスして、よく切れますからね。あと、開き具合が固くないですか。これも、わざと。職人が自分好みの固さに慣らしていくことを想定しているんです」。
ペンチを見せてもらうと、刃の輝きがとてもまばゆい。試し切りをしてみると、ワイヤーの固さを微塵も感じさせない鋭い切れ味に驚いた。完成度の高さは素人目にも明らか。フジ矢を愛するファンの気持ちが何となくわかってくる。
しばらく工場内を歩いてみた。目を引くのが、工場で働く外国人らしきスタッフの姿。各工程に数人ずつ配置されている。「ここに自社工場を構えていますが、全てを国内で仕上げるのはさすがに難しい。比較的やさしい技術で作れるものは、ベトナムの自社工場で生産しています。彼らはその工場から研修に来ているんです。3年間修行をしてから、母国の工場に帰って働いてもらう。ここで技術をしっかり身につけてもらうことで、商品の品質維持を図っているんです。ですが、ペンチの心臓とも言える刃付けの工程は、全てこの工場でおこなっています」(西尾さん)。
ペンチは現場で毎日使うものだから、手を抜いたらたちどころに分かってしまうと西尾さんは言う。だから製造現場の技術レベルは、時間とお金をかけて、慎重に維持しているのだと。ペンチはフジ矢。フジ矢でなければならない理由は彼らのこんな信念に隠されている。
工場の案内には、西尾さんと森田さんの他に、製造部 部長の佐藤さんも加わってくれた。工場内に入ると、轟音と共にたくさんのペンチが工程毎の流れ作業で作られている。近代的にオートメーション化された工場といった予想に反して、手作業の工程がかなり多いようだ。佐藤さんがこう説明する。「切れ味のいい刃物に仕上げるには、経験豊富な職人の腕が必要なんですよ」。
刃の支点を圧着したり、グリップのゴムを巻き付けたりと、1つ1つの工程にしっかりと人の手が入る。特に興味深いのは、刃付けの様子。熟練の技術者が、歯を磨いては蛍光灯にかざして確認している。ペンチは力の作用を考えて、敢えて先が開くように作られる。それは、ほんの1mm程度の隙間。それを手作業で1本1本仕上げているという。完成したペンチを手にとりながら、森田さんがさらにフジ矢のこだわりについて語る。「右の刃が、ほんの少し上に重なるように作っています。そのほうが歯がクロスして、よく切れますからね。あと、開き具合が固くないですか。これも、わざと。職人が自分好みの固さに慣らしていくことを想定しているんです」。
ペンチを見せてもらうと、刃の輝きがとてもまばゆい。試し切りをしてみると、ワイヤーの固さを微塵も感じさせない鋭い切れ味に驚いた。完成度の高さは素人目にも明らか。フジ矢を愛するファンの気持ちが何となくわかってくる。
しばらく工場内を歩いてみた。目を引くのが、工場で働く外国人らしきスタッフの姿。各工程に数人ずつ配置されている。「ここに自社工場を構えていますが、全てを国内で仕上げるのはさすがに難しい。比較的やさしい技術で作れるものは、ベトナムの自社工場で生産しています。彼らはその工場から研修に来ているんです。3年間修行をしてから、母国の工場に帰って働いてもらう。ここで技術をしっかり身につけてもらうことで、商品の品質維持を図っているんです。ですが、ペンチの心臓とも言える刃付けの工程は、全てこの工場でおこなっています」(西尾さん)。
ペンチは現場で毎日使うものだから、手を抜いたらたちどころに分かってしまうと西尾さんは言う。だから製造現場の技術レベルは、時間とお金をかけて、慎重に維持しているのだと。ペンチはフジ矢。フジ矢でなければならない理由は彼らのこんな信念に隠されている。
刃付けの工程。職人が1本1本磨き上げて確認する様子から緊張感が伝わってくる。
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電工職人ペンチ VA・VVF線/エコ線等のケーブル線の切断に最適。ピアノ線も切れる切れ味。 |
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電工強力名人ニッパシリーズ 内線、外線工事の電気設備工事などに最適。電線の切断用ニッパ。 |
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