月刊まいど屋 --特集-- 2011年8月号[サンエス]1ページ

■ニットウェアの理想形
「接客業は印象が大事。ニットの快活でくだけたイメージを生かしながら、接客のプロらしい信頼感もしっかりアピールできる。そんなウェアが理想ですね」。サンエスの目指すニットウェアとは何かという問いに、山本課長が熱っぽく説明を始めた。「細部にこだわること。目立たない場所も手を抜かないこと。ディーテールをおろそかにしなければ、ウェアに品が生まれてきます。接する人に安心感を与えるデザイン。親しみやすい印象を残す色づかい。スタイリッシュなシルエット。アウトドア風の素材感。商品によって味付けは様々ですが、雰囲気がどんなに違っても、品のある商品は必ず相手に好印象を与える。接客業の方が身に着けるウェアは、人の視線を最大限に意識していなければダメなんです」。
確かにサンエスが繰り出すニットウェアの数々はどれも見栄えがいい。多人数のスタッフウェアとして、発注担当者の目に留まるのも当然だろう。だが、デザイン性だけでこれだけ多くのユーザーから高い評価を受けるハズがない。「見た目と同じくらい、またはそれ以上にワークウェアとしての実力が伴っていなければ話にならない」と山本課長は続ける。「着心地のいい確かな素材を使って丹念に仕上げる。いくら発注担当者が気に入っても、現場に受け入れられなければ長く愛用してもらえない。ウチの強みはデザイン志向のサービス業と機能性重視のウェアを必要とする製造業のそれぞれの現場を熟知していること。お客さまから信頼されている理由はそこにもあると思う」。タフな機能性を求められる作業服のほかに、カジュアル系のアパレルにも強い、サンエスらしいコメントからは、ニットウェアに対する彼らの圧倒的な自信がうかがえる。それでは、今シーズン、サンエスが最も自信を持って月刊まいど屋読者にオススメするシリーズは一体何か。

■多方面のユーザーが求めていたアレが、今季初登場
　「この夏、特に力を入れているのが、消臭効果のある新シリーズ(型番：AG10100、AG10101)です」。まいど屋のお客さまに何をオススメしたらいいかという質問に、間髪入れずに答える山本課長。エンドユーザーが何を求めているか、考え続けた末にリリースした自信作だそうだ。「週に５日、１日８時間という長時間身につけるものだからこそ、着る人には常に快適でいてほしい。働く人にとっては何が心地いいのか、既存のウェアのどこに不満があるのか、ユーザーの身になって答えを出したんです」。夏場に人気のある吸汗速乾機能付きのウェアに使われる素材はポリエステル。実は、ニオイが付きやすいという欠点がある。消臭効果のある新素材のテープ『デオ・クラフトGL』を、ニオイが気になるワキや袖の縫い目に一緒に縫い込むことで、ポリエステル生地の最大の弱点を補った。「汗をかきやすいこの季節だからこそ、『ニオイで相手を不快にさせたくない』という悩みを解消してほしい。気になったまま仕事をしても、自分も快適じゃないですからね」。キレイめのシルエットや素材感にもかなりの自信があるという山本課長。特に接客業のひとは要チェックだ。

■エンドユーザーの生の声は、たった一人の意見も取りこぼさない
山本課長が次に推すのは、ケアワーカー専門のカタログ「i feel」の中の「プラスドット(型番：PD51100)」。「この商品は、実際にいくつかの介護施設をまわり、たくさんの介護士さんの意見を吸い上げて出来上がったものです。試作品を着てもらって、ミリ単位の修正を重ねて商品化した」と山本課長。「裾を外に出して涼しく着たい。首もとを開けて、熱気がこもらずに着られるような工夫が欲しい。前屈みになった時に胸が見えないような位置にボタンが欲しい。たくさんのケアワーカーさんたちのそんな細かい要望がこのポロシャツに詰め込まれている。まさに彼女たちの理想がカタチになった商品なんです」。
　
サンエスにはエンドユーザーが望んでいるものをカタチにする細やかな配慮と確かな技術がある。折しもこの夏は、クールビズが声高に叫ばれている。きっと、山のような要望が、さまざまな業界から上がってくるはずだ。一見、無理難題と思える要望でも、徹底したリサーチと妥協を許さない対応で、きっと軽く応えてしまうのだろう。「これからも、エンドユーザーの気持ちに沿った開発を続けたい。彼らに喜んでいただけるか、お役に立てるか。初心を忘れずに開発していきますよ」。山本課長の言葉に、サンエスのウェアが圧倒的な納入実績を誇るワケが垣間見える。そんな印象が強く残ったインタビューだった。