業界の常識が覆りつつある。ワークショップでの売れ筋安全スニーカーといえば店頭価格で2000円から3000円。4000円台に入るととたんに売れ行きが鈍り、5000円以上ともなると、そもそもお店に置いてない。売れないことが分かっているから、メーカーも最初から作る気が全くない。誰も足を踏み入れたことがない、見たひともいない幻の国。昔、ゴダイゴが「ガンダーラ」で歌ったような、はるかな世界。
ところが、である。そこに夢の国はあった。証明したのはドンケルが総力を挙げてリリースした「ディアドラ」シリーズ。価格は、高い。これまで長年安全靴を販売してきた経験からすると、目眩がするほど、高い。ありえない価格設定と本物志向。彼らはセーフティーシューズの品質基準を一気に引き上げた。洗練を極めたデザイン。一切の妥協を許さない質感とクオリティー。老舗の安全靴メーカーとして培ってきた靴づくりのノウハウを、惜しげもなく注ぎ込んで完成したシリーズは、低価格のレンジでは実現しようのない、異次元の完成度でユーザーたちの前に突然現れた。そして、大方の予想に反して、多くのユーザーから圧倒的な支持を得た。
これだけの値段なら、素晴らしい商品ができて当たり前だという人もいる。だが、この秘境のようなプライスゾーンで真剣にモノづくりをしたメーカーはこれまでなかったことを忘れてはならない。まいど屋を含め、業界関係者は猛省しなければならない。我々はお客さまの気持ちを分かっていなかった。現場で働くユーザーたちは値段勝負のありきたりな製品に飽き足りなかったのだ。デザインや品質に心の底から納得できる、自分だけのシューズを待っていたのだ。
今回のドンケル特集では、主にこの「ディアドラ」シリーズに焦点を当ててお話を伺ってきた。スタンダードな革の安全靴を主力にしてきた彼らが、いかにして「ディアドラ」開発を進めてきたのか。このシリーズに対する彼らの思いが読者のみなさんに伝わればうれしく思う。
ところが、である。そこに夢の国はあった。証明したのはドンケルが総力を挙げてリリースした「ディアドラ」シリーズ。価格は、高い。これまで長年安全靴を販売してきた経験からすると、目眩がするほど、高い。ありえない価格設定と本物志向。彼らはセーフティーシューズの品質基準を一気に引き上げた。洗練を極めたデザイン。一切の妥協を許さない質感とクオリティー。老舗の安全靴メーカーとして培ってきた靴づくりのノウハウを、惜しげもなく注ぎ込んで完成したシリーズは、低価格のレンジでは実現しようのない、異次元の完成度でユーザーたちの前に突然現れた。そして、大方の予想に反して、多くのユーザーから圧倒的な支持を得た。
これだけの値段なら、素晴らしい商品ができて当たり前だという人もいる。だが、この秘境のようなプライスゾーンで真剣にモノづくりをしたメーカーはこれまでなかったことを忘れてはならない。まいど屋を含め、業界関係者は猛省しなければならない。我々はお客さまの気持ちを分かっていなかった。現場で働くユーザーたちは値段勝負のありきたりな製品に飽き足りなかったのだ。デザインや品質に心の底から納得できる、自分だけのシューズを待っていたのだ。
今回のドンケル特集では、主にこの「ディアドラ」シリーズに焦点を当ててお話を伺ってきた。スタンダードな革の安全靴を主力にしてきた彼らが、いかにして「ディアドラ」開発を進めてきたのか。このシリーズに対する彼らの思いが読者のみなさんに伝わればうれしく思う。
ドンケル
営業部長・東京支店長 岡田 哲夫さん
「ディアドラ」人気ベスト3。左からOR-72、PC-12、RB-213。
「ファンの中には気に入ったモデルのカラーバリエを全色集めたりして楽しんでいる、マニアのような方もいらっしゃいます。新モデルが出ると、とりあえず一足。そうして気に入ったら、一色ずつ買い足してコレクションするみたいな」。そう話すのは、ドンケル営業部長・東京支店長 岡田 哲夫さん。カラフルでスポーティーな『ディアドラ』は、オシャレを意識する街履きとしても活躍しているという。「東京の場合、一日にいくつもの現場を掛け持ちする人は、電車で移動したほうが早い。靴は荷物になるので、履いたまま移動するわけですが、『ディアドラ』なら電車内で履いていても格好がいい。仕事が終わって街へ遊びに出るときも、そのまま履いて行けるんです」。
『ディアドラ』はイタリアのスポーツブランド。日本ではあまり馴染みがないが、ヨーロッパでは名の通った存在で、特にサッカー、テニス、サイクルスポーツ用品などで知られている。
「1990年代のことです。当時、ライセンス契約をしていたスポーツブランドとの契約期間が終わるというので、代替ブランドを探していた。いろいろと探し回って、たどり着いたのが『ディアドラ』だったんです」。既にスポーツの分野は(株)ディアドラ・ジャパンが手がけているため、産業向けの『ディアドラ・ユーティリティ』として商品化することとなった。ちなみに本家イタリアにも『ディアドラ・ユーティリティ』があるが、それとは全く別。イタリアとは靴の規格が違い、体格も足の形も違うため、日本人の甲高幅広の足に合わせて独自のデザインで展開しているという。
そんな『ディアドラ』の安全スニーカーを一躍有名にしたのは、2009年秋に登場した『KIWI』シリーズ(JPSA B種認定品)。これで一気にブレイクし、その後のディアドラブームの火付け役となった。「ご覧のとおり、非常にカラフルでしょ。ソールに最高耐滑区分『5』で滑りにくいものを採用するなど、ワークシューズとしての性能もハイスペックを追求しました。当時としては思い切った価格設定をしたおかげで、デザインと機能性にとことんこだわりきれたんです」。ブレイクの理由はそれだけではない。「リーマンショックの影響ですね。それまで会社が買っていた作業靴の支給がなくなり、個人で調達しなければならなくなった。個人で買うなら、納得のいくモノしか買わない人たちがたくさん出てくる。自分らしいものを履きたい、気に入ったものを履きたい、そう思う人たちがいたんです。『ディアドラ』は、そういう自分なりの美学を持つ層にアピールしたんだと思います」。さらに岡田氏は、こう続ける。「個人購入となったので、ネット販売が大きく影響するようになってきたようです。まいど屋さんのように、ネットなら店舗スペースの制約がないから、ディアドラの全シリーズ、全カラーをまとめて紹介できる。関心を持つ人たちにディアドラシリーズ全体を知ってもらえるチャンスが増えたんです」。
『KIWI』は当初、4色で展開。会社支給の時代ならまず敬遠されそうな大胆な色使いのオレンジ×ブラック×ホワイト(型番:KW-721)が一番人気だったことで、ファッション性を重視するユーザーが予想以上にたくさんいることがはっきりした。その後、ブラック×ホワイト×レッド(型番:KW-213)と、グリーン×イエロー×ホワイト(型番:KW-651)の2色を追加したのは、そんなファッションコンシャスなファンの期待に応えるためだ。
独自のモード性と完成度の高い作業性は、その後に続くディアドラシリーズにも引き継がれ、さらに評判が高まっていく。例えば2010年12月に発売された『PEACOCK』(JPSA A種認定品)。「ソフトミッドソールでクッション性があるのが特徴です。特に人気があるのは白黒のコンビ(型番:PC-12)で、カジュアルシューズの流行も影響していると思います」。そして、2011年11月に『PEACOCK』のマジックバンド版『ROBIN』が、続く12月には『KIWI』のA種版『OSTRICH』が発売となった。「ブラック×ホワイト×レッド(型番:RB-213)、ブラック×オレンジ(型番:OR-72)と、どちらもカラフルなタイプが人気です」。なお、このように、立て続けにA種をリリースしたのには理由がある。「2011年、建設業界では、ゼネコンから協力会社に対してJPSA規格A種もしくはJIS規格S種に適合した作業靴を履くように指導があったんです。それに対応して開発を急ぎました。お客さまの反応も早かったですよ」。
驚くことに、ドンケルにはデザイナーという肩書を持つ社員は1人もいない。あの鮮烈なデザインは、営業と外部デザイナーが協力して生み出しているという。「商品開発会議で営業が中心となって討議するんです。外注先のデザイナーから上がってきたデザイン案をもとにしてね。市場やお客さまニーズを最も熟知している営業が商品開発に深く関わる。それがドンケルらしいところだと思います」。ワールドカップで黄色のサッカーシューズが注目されれば、それを意識した黄色を投入し、白いスニーカーが人気の時はカラーバリエにホワイトを追加する。そんなトレンド感ある商品展開も『ディアドラ』の魅力だ。
「ウチは『ディアドラ』という商品に誇りを持っている。デザインと品質に妥協をせずにモノ作りをし、それがお客さまに受け入れられていることに喜びを感じている。今春はアッパーにメッシュを採用したものを出す予定ですので、期待していてください」。岡田営業部長はそう力強く締めくくった。
『ディアドラ』はイタリアのスポーツブランド。日本ではあまり馴染みがないが、ヨーロッパでは名の通った存在で、特にサッカー、テニス、サイクルスポーツ用品などで知られている。
「1990年代のことです。当時、ライセンス契約をしていたスポーツブランドとの契約期間が終わるというので、代替ブランドを探していた。いろいろと探し回って、たどり着いたのが『ディアドラ』だったんです」。既にスポーツの分野は(株)ディアドラ・ジャパンが手がけているため、産業向けの『ディアドラ・ユーティリティ』として商品化することとなった。ちなみに本家イタリアにも『ディアドラ・ユーティリティ』があるが、それとは全く別。イタリアとは靴の規格が違い、体格も足の形も違うため、日本人の甲高幅広の足に合わせて独自のデザインで展開しているという。
そんな『ディアドラ』の安全スニーカーを一躍有名にしたのは、2009年秋に登場した『KIWI』シリーズ(JPSA B種認定品)。これで一気にブレイクし、その後のディアドラブームの火付け役となった。「ご覧のとおり、非常にカラフルでしょ。ソールに最高耐滑区分『5』で滑りにくいものを採用するなど、ワークシューズとしての性能もハイスペックを追求しました。当時としては思い切った価格設定をしたおかげで、デザインと機能性にとことんこだわりきれたんです」。ブレイクの理由はそれだけではない。「リーマンショックの影響ですね。それまで会社が買っていた作業靴の支給がなくなり、個人で調達しなければならなくなった。個人で買うなら、納得のいくモノしか買わない人たちがたくさん出てくる。自分らしいものを履きたい、気に入ったものを履きたい、そう思う人たちがいたんです。『ディアドラ』は、そういう自分なりの美学を持つ層にアピールしたんだと思います」。さらに岡田氏は、こう続ける。「個人購入となったので、ネット販売が大きく影響するようになってきたようです。まいど屋さんのように、ネットなら店舗スペースの制約がないから、ディアドラの全シリーズ、全カラーをまとめて紹介できる。関心を持つ人たちにディアドラシリーズ全体を知ってもらえるチャンスが増えたんです」。
『KIWI』は当初、4色で展開。会社支給の時代ならまず敬遠されそうな大胆な色使いのオレンジ×ブラック×ホワイト(型番:KW-721)が一番人気だったことで、ファッション性を重視するユーザーが予想以上にたくさんいることがはっきりした。その後、ブラック×ホワイト×レッド(型番:KW-213)と、グリーン×イエロー×ホワイト(型番:KW-651)の2色を追加したのは、そんなファッションコンシャスなファンの期待に応えるためだ。
独自のモード性と完成度の高い作業性は、その後に続くディアドラシリーズにも引き継がれ、さらに評判が高まっていく。例えば2010年12月に発売された『PEACOCK』(JPSA A種認定品)。「ソフトミッドソールでクッション性があるのが特徴です。特に人気があるのは白黒のコンビ(型番:PC-12)で、カジュアルシューズの流行も影響していると思います」。そして、2011年11月に『PEACOCK』のマジックバンド版『ROBIN』が、続く12月には『KIWI』のA種版『OSTRICH』が発売となった。「ブラック×ホワイト×レッド(型番:RB-213)、ブラック×オレンジ(型番:OR-72)と、どちらもカラフルなタイプが人気です」。なお、このように、立て続けにA種をリリースしたのには理由がある。「2011年、建設業界では、ゼネコンから協力会社に対してJPSA規格A種もしくはJIS規格S種に適合した作業靴を履くように指導があったんです。それに対応して開発を急ぎました。お客さまの反応も早かったですよ」。
驚くことに、ドンケルにはデザイナーという肩書を持つ社員は1人もいない。あの鮮烈なデザインは、営業と外部デザイナーが協力して生み出しているという。「商品開発会議で営業が中心となって討議するんです。外注先のデザイナーから上がってきたデザイン案をもとにしてね。市場やお客さまニーズを最も熟知している営業が商品開発に深く関わる。それがドンケルらしいところだと思います」。ワールドカップで黄色のサッカーシューズが注目されれば、それを意識した黄色を投入し、白いスニーカーが人気の時はカラーバリエにホワイトを追加する。そんなトレンド感ある商品展開も『ディアドラ』の魅力だ。
「ウチは『ディアドラ』という商品に誇りを持っている。デザインと品質に妥協をせずにモノ作りをし、それがお客さまに受け入れられていることに喜びを感じている。今春はアッパーにメッシュを採用したものを出す予定ですので、期待していてください」。岡田営業部長はそう力強く締めくくった。
ドンケルショールーム
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◆独創的なフォルムと作業スペックの高さにジンとくる!ドンケルが総力を挙げて開発した注目のKIRAMEKIシリーズ エナメルに内装キラキラ材がアクセント。「安くて丈夫がウリ!」とドンケル岡田営業部長が推すKIRAMEKIシリーズは、樹脂先芯、耐油ラバーソールのJPSA A種認定品。オール撥水人工皮革アッパーでお手入れラクラク。ヒモタイプ、ベルトタイプ、お好みでどうぞ。 |
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