【弘進ゴム】雨降りが待ち遠しくなるレインブーツimage_maidoya3
雨の日の朝。いつもと違った不思議な高揚感がある。いつものスニーカーではない、いつもは下駄箱の奥にしまってある丈長の履物を取り出すときの気持ちの高ぶり。足を入れ、雨の中に飛び出すときの奇妙な安心感。水たまりだって、どんなぬかるみだって、気にせずそのまま進んでいける。子供のころからそうだった。好きだったテレビアニメのヒーローのように、自分が少し強くなったような、心地よい錯覚。長靴を履くと、今でもそんなキモチになる。
  強いヒーローになりきるなら、ハンパな妥協はしたくない。武器の性能にはとことんこだわる。スペック、デザイン、耐久性。少しでもガマンしたら、テンションはぐっと下がる。だから長靴選びは真剣になる。納得がいくまであきらめない。自分の思い通りのブーツでなければ欲しくない。ついでに値段が安ければ言うことがない。
  水産、農業、食品、土木。さまざまなワークシーンの厳しい要求にもまれて進化してきたプロ仕様の機能性。一般ユーザーの声を貪欲に取り入れてグレードアップしてきた快適性とデザイン性。弘進のレインブーツはマニアも唸らせる細部のコダワリがある。プロを納得させる実用性が詰まっている。
  梅雨対策特集なら外すことのできない弘進ゴムのコレクション。今回は同社のSW統括本部 企画チームリーダーの近内(こんない)氏を訪ね、彼らのラインナップの魅力について、改めてお話を伺ってきた。
 

弘進ゴム
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メッシュとゴム板の2重構造で、驚くほどサラッとした履き心地(シーラックスライトシリーズ)  
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折りたためるほどのしなやかさは、農作業ブーツからヒントを得た
ゴム長靴とひと口にいっても、その種類は千差万別。材料となるゴムの配合によって、性能がまったく変わってくる。その配合技術に関して、圧倒的な情報量と実力を兼ね備えているのが、弘進ゴムだ。
  その同社の製品の中でも特長的なのが、超軽量をうたう商品。「今でこそ他社さんからも軽量商品が出ていますが、もともとはウチが先駆けて作ったのが始まりです。軽量化をするには、技術がいるんです。本当の意味で軽量化したもの、いわゆる『超軽量商品』をつくるには、薄くてもゴムの強度が十分保てる配合技術が欠かせない。軽量といえば弘進、市場でもそう評価が定まっていると思います」。
  その最先端アイテムが、この春リニューアルされたばかりのシーラックスライトシリーズ(型番:SL-351他)とその先芯入りタイプであるライトセーフティーシリーズ(型番:LSB-311他)だ。「仕事に使う長靴だったら、使う人の作業性をサポートするものを作りたい。長靴を履くユーザーの一番の不満は、『重くて疲れる』と『動きづらい』ですから、軽さに徹底的にこだわってみよう。履く人が疲れにくく、作業性が上がるものを作っていこう。そんな考えで開発したのが、このシリーズです。ゴムの長靴というと、『ズシっと重い』というイメージがありますが、これは比重が1.0を切っていて*、履くと非常に軽いです」。*注)比重が1.0以下とは、水に浮くことを意味します。
  また、軽量化を進めるためにゴムの配合を工夫することで、屈曲性や柔軟性も格段によくなり、その点でも作業性が大きく向上しているようだ。「最初はお客様も、値段だったりデザインだったりで長靴を選ぶことが多いんですが、一度この履き心地を知ると、『これじゃないとダメ』と言われますね。リピーターも増えています。重くないので、女性にも人気がありますよ」。
  「重さ」と同様に、ゴム長靴を履く人を悩ませるのが「ムレ感」。革靴も一日履いていれば靴下がジトっとなるが、長靴は湿気が閉じ込められやすい構造のため、不快感はさらに大きい。一日履いて、玄関に置いておくうちに、靴の中にたまった湿気が冷えて水になり、靴底にたまってしまうことさえある。ときには、あまりの湿り具合に、「この長靴には、穴が開いている」と言ってくるお客さんもいるくらいだ。そんな悩みに対しては、弘進はハイパームレノンシリーズ(型番:HM-722他)で明確な答えを出す。「凹凸のある中底の上に、合成樹脂加工のメッシュ板を置き、汗や水分がメッシュを通り抜けて、中底のミゾに落ちるような構造にしました(エアーブレス構造)。足裏と水分が直接触れないので、ベタベタしません。休憩中や夜間など、長靴を脱いでいる間に、ミゾに溜まった水分が気化して抜けてくれます。これ、実際に履いたら分かるんですけど、ホントにサラッとしてて気持ちいいですよ」。なお、側面部のゴム部分は、シーラックスライトシリーズと同じ超軽量素材。爽やかなドライ感に加え、軽量性の面でも快適な履き心地を実現している。
  作業用の長靴選びでユーザーが重視することの多い「丈夫さ」を追求したのは、「ジョーブーツ」のシリーズだ。すごく丈夫だからジョーブーツ。ヘタな駄洒落のようなネーミングだが、実力はホンモノの本格派。何しろ、従来の2倍の耐屈曲性と耐摩耗性があるから、持ちが違う。実際、まいど屋サポートセンターでも、お客さまから「丈夫な長靴はないか」と問い合わせがあったときは、真っ先にこのシリーズをご紹介している。ハードな現場で多少乱暴に使ってもまず安心。詳しいことはあまりに専門的になるのでここでは紹介しないが、耐久性の秘密はやはり弘進が長い歴史の中で蓄積してきたゴムの配合技術にあるようだ。「単純に強度を高めるだけなら、意外と簡単なんです。ただ、履きものですから、適度な柔軟性も持たせてやらなきゃいけない。天然ゴムと添加物の種類と割合。そして混ぜ合わせ方。微妙なさじ加減で動きやすさをキープしながら、同時に摩耗や屈曲に強くする。これが難しい」。
  さまざまな機能を持った弘進ゴムの製品について、まだまだ紹介していきたいが、残念ながらスペースの関係もある。最後に、東日本大震災後のがれき処理を行う人々向けに開発された、踏抜き防止仕様のセーフティーブーツSB-71RMを紹介しておきたい。被災地では鉄製の踏抜き防止インソールを装備した長靴は必須だが、弘進が提案するこのモデルはさらにその上の安全性を目指す。「仙台が本社の地元の企業として、ボランティアの方々が危険にさらされているのを見ていられなかったんです。被災地では、普通の長靴を履いて作業をし、ケガをする人が続出しました。そんなとき、自分たちに何ができるのか。真剣に考えました。このモデルには夜間に光る反射板に加え、上部にある黄色と黒の縞模様の帯で視認性をより一層高めています。現場の安全性に最大限に配慮したつもりです」。状況が切迫していたこともあり、この長靴はしばらくの間、最優先で生産され、被災地で作業をする人たちの大きな力になった。今では、弘進のこうした姿勢が評価され、万が一に備えてそろえておきたいという企業からの問い合わせも少なくないという。
  厚い技術をバックボーンに、まるで楽しんでいるかのように次々と新製品を生み出していく弘進ゴム。今回はご紹介しきれなかったが、他にも、丸められる長靴、-55℃の冷凍庫の中でも硬くなったり割れたりしないものなど、技術に裏打ちされたニッチな商品がまだまだ沢山ある。さらにワークから派生したオシャレなレインブーツやオーバーシューズ。同社のラインナップはとどまるところを知らない。そんな弘進の今後の展開について最後に尋ねてみると、嬉しい答えが返ってきた。「これまでの販売の主力ルートは、ホームセンターや量販店でしたが、今後は通販業界も注目していきたいです。通販サイトに向けたオシャレなものも手がけつつ、従来のワーキング用長靴の開発にもますます力を注ぎ、両立させていけたらと思います」。
  販路を拡大しつつ、さらなる躍進を続けそうな弘進ゴムからは、ますます目が離せそうにない。つい一か月前にはこの春からの新作も入荷してきた。人気商品のラインナップを以下に紹介するので、梅雨の季節を前に、ぜひ一読していただきたい。
 
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今回の取材に応じてくれた、企画チームリーダーの近内章人氏
 

    

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従来の長靴と比べ、強度&耐久力が2倍!履口カバーがついているから雨水はもちろん、ゴミや危険物をシャットアウト!反射板が付いて、夜間の作業も安心。年間通して売れている、ジョーブーツの基本形。


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