【力王】そのアイデア、いつ買うの?今でしょ!image_maidoya3
力王と聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか。地下足袋であまりにも有名なこのメーカー。さしずめ、ファイターや太郎の定番シリーズが馴染み深い。作業服店に通う諸兄なら、力王の地下足袋がいつも店内の目立つ所に置いてあるのを知っているだろう。じゃ、地下足袋と言ったら何を思う?歩きやすくて足裏感覚に優れている。滑りにくくて危険が少ない。年季の入ったベテランほど地下足袋を好むのは、それが作業に適した究極のシューズだから。それではそんな地下足袋で名を馳せた力王が、作業用の安全靴を出したとしたら。一体、何が起こるかわかるだろうか。
  取材中、日頃安全靴に精通しているハズの編集部の記者が驚いて質問を繰り返した。力王でなきゃ絶対に出てこないようなアイデアに、何度も膝を打って感心した。そうか、その手があったか!
  斬新なアイデアはえてして物珍しさだけで終わることが多い。ホンモノかどうかは、結局、実用性があるかどうかにかかってくる。まいど屋としては力王のコレクションに従来にない価値を認め、その感動を素直に読者の皆さんにお伝えしようと思う。だが、使えるかどうかを判断するのは最終的にユーザー自身だ。以下のレポートをじっくりと読んでみてほしい。
 

力王
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地下足袋感覚のインソールが特徴の『FR80』『FR81』
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素足感覚のトレーニングシューズ『タビフット』
「斬新に見えますか。ウチは長年地下足袋を作り続けてきて、足袋のよさを知り尽くしていますから、その強みを生かした商品づくりをしているだけなんですよ」。そう話すのは、力王営業部の月岡さん。「足袋を履き続けてきた人が現場の規制で急に安全靴に履き替えることになると、勝手が違ってかえって危ない。感覚がつかめなくて、おっかなくて仕事がしづらい。そんな声もいまだに結構あるんです。ならば地下足袋ならではの作業性のよさを、作業靴にもできる限り再現するのが我々の使命。これほど多くの職人さんたちに愛されてきたアドバンテージを、足袋だけに限定しておくのはもったいないですからね。ベテラン職人さんが納得できるものを作れば、足袋に馴染みがないひと達にだって伝統の力に気付いてもらえる。私たちの作業靴を見て、ちょっと変わってるなぁと思われたとしたら・・・」。そう言いながら月岡さんは楽しそうに笑う。「まいど屋さんはきっと職人さんの気持ちが分かってないのかも知れませんよ」。
  やられた。確かにおっしゃる通り。ぐうの音も出ないほどの先制パンチを受け、あとは月岡さんの説明をただただ拝聴するばかり。 「これが、今、ウチのコレクションで人気ナンバー1の商品。2012年の秋に出したモデルです」。そう言って取りだしたのは、『ファインアール』シリーズの『FR80』(ヒモタイプ)と『FR81』(マジックタイプ)。サイドのシルバーラインがキラリと光る、スポーティーな安全スニーカーだ。「一見すると、ごく普通でしょ。でもね、このシリーズのポイントは、この中。そう、インソールに特徴があるんです」。
  シューズからインソールを取り出してみると、何やら一風変わった立体的なカタチ。指の部分にはツンと出た突起が、土踏まずの部分にはぷっくりとした膨らみが、そしてカカトにも・・・。「これ、地下足袋の感覚で履くことができる、足袋タイプのインソールなんです。ほら、この突起が二股リブ。地下足袋のように親指と人差し指で挟んで履けるので、つま先に力が入りやすく、踏ん張りがきくんです。そして、土踏まずの盛り上がりは、足裏にぴったりフィットして衝撃を吸収するから、接地感が非常にいい。さらにカカトにも衝撃吸収クッションがあって疲れにくく、サイドには足ズレ防止の立ち上がりも付いている。つまり、足裏にフィットするから、踏ん張れて、バランスが取りやすくて、疲れにくい。まさに足袋の感覚です。ちなみに指の部分の二股リブは、取り外しもできるようになっています」。月岡さんによると、このインソールは昨秋の展示会でも大きな注目を集め、引き合いがかなりきているとのこと。なお、安全スニーカー本体は、先芯が軽量樹脂製でJIS L級準拠。ウィズはゆったり履けるEEE。カラーはシンプルなブラックと、ブルーがアクセントとなったホワイトの2色を用意している。
  ファインアールがインソールに工夫を凝らして地下足袋の特性を再現しているなら、次にご紹介するのは、靴自体を地下足袋のようにデザインしてしまったという『タビフット』。こちらもデビューは2012年11月。発売されて間がなく、トレーニング用というニッチな用途を想定しているため、業界の注目度はまだ低いようだが、一部の熱心なファンの間では大きな話題になっている。つま先が割れたシルエットはかなりインパクトがあり、筆者も今回の取材で最も衝撃を受けた。ヨーロッパなどの海外でも人気が出そうなほど、意外性があり、独創的に見える。「それもあるんですけどね、その前に、まず国内でどうプロモーションしていくかを考えているところなんです。開発の背景には健康志向があって、足の健康を気にされる方、陸上競技のトラックやジムトレーニングなどで足裏の感覚を大事にされる方、ウォーキングをされる方などのニーズを掘り起こそうと。そのため、スポーツ用品店などへの展開も視野に入れているんです」。
  『タビフット』シリーズは、『TVF100BK』(ヒモタイプ)、『TVF101BK』(マジックタイプ)、『TVF200BK』(ハイカットタイプ)の3アイテム。ヒモタイプで片足約240gと超軽量なうえ、素足感覚で履けるため、動きやすく疲れにくい。「ソールには、当社の地下足袋の代表といえる『ファイターソール』を採用しています。地面をとらえるつま先や、土踏まずの湾曲もこだわりの一つで、接地感覚や足指感覚が生かせるのでバランスが取りやすい。ですから、瞬発力を養うトレーニングとか、走り込みとか、そういったことにも向いています」。なお、『タビフット』を履く場合は、親指と人差し指の間が分かれた股割れ靴下または五本指靴下を着用する。また、裸足感覚を大切にしているので、舗装道路など硬い路面上で長時間履く場合は、一般的なスニーカーに比べて疲れを感じやすくなる場合もあるので注意してほしいとのことだ。
  さて、ここまでは地下足袋とシューズの融合を目指した、いかにも地下足袋メーカーらしいアイテムを紹介してきたが、力王にはそれ以外の特徴でファンを魅了する人気のシリーズもある。時には地下足袋メーカーらしさを封印し、正攻法で勝負してもしっかりと結果を出す。実用性とデザイン性で人気のアクア・ゼロは、そんな力王の実力を雄弁に語る。
  シリーズアイテムは10年以上のロングセラーを続けるスタンダードタイプの他、2011年春に発売された『エンジニアブーツ』と『アウトドアタイプ』の計3種。見た目はハード。でも軽量。そして何よりポイントが高いのが防水仕様。カジュアルウエアにもよく合うシンプルなデザインで、月岡さんが「もっと一般の方にも普通に履いていただきたいほどだ」というのもうなずける。
  例えば、どう見てもタウン用にしか見えない本格デザインの『エンジニアブーツ』(型番:AQ-Z1)。ズッシリと重厚に見えるが、手にすると予想以上にフワッと軽く持ち上がり、見た目とのギャップに驚かされる。「先芯が入ってこの軽さなので、タウンブーツとして履いている人もいらっしゃいます。ファッション用の一般的なエンジニアブーツと比べても、軽いほうですよ」。一方、同時デビューした『アウトドアタイプ』(型番:AQ-Z2)もカッコイイ。上部にヌバック調素材を使っているが、仕様は『エンジニアブーツ』とほぼ同じ。ただ、こちらには足首を保護する本革性クッションパッドが採用されている。いずれも、スタンダードタイプの『AQ-0』と同様、水たまりやぬかるみをガンガン歩いても平気な防水シューズだが、デザインがいいだけに、雨の日や梅雨時だけに履くだけでは、いかにももったいない。いや、すでに持ってる人は、年間を通して履いているに違いない。そう確信したくなるほどだ。
  あの手、この手と、いい意味で我々の予想を裏切り続ける力王のワークシューズコレクション。邪道だと言って眉をひそめるか、それとも彼らの斬新な発想を受け入れてすっかり信者になるか。判断するのは読者のあなた次第。力王でなければ絶対に出てこないようなアイデアはまだまだあるので、以下のアイテムも是非チェックしてみてほしい。
 
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軽量でタウン履きとしてもイケる『アクア・ゼロ』シリーズ
 

    

雨の日でも、ぬかるんだ現場でも、これさえあれば大丈夫!悪条件の現場に行くとき重宝するアクアゼロシリーズ

防水仕様で雨の日も安心!ハードな外見なのに超軽量!スニーカータイプ、エンジニアブーツタイプ、アウトドアタイプと揃って、デザインもクール。JIS S級準拠(衝撃・圧迫)先芯入り。ゆったり履ける4Eウィズ。


高所作業で頼りになる!地下足袋で培った力王の実力を余すところなく取り込んだ高所用安全シューズ

つま先立ちもラクラクの屈曲性と動きやすい形状、滑りにくいアウトソール、疲れにくい衝撃吸収インソールを引っさげて2012秋にデビュー。高所作業に求められる性能を地下足袋のノウハウを活かして結晶させた力王の自信作。