【サンダンス】ファッション偏差値で差をつけろ!image_maidoya3
らしさって何だろう。名前を聞いただけで何となくイメージが湧いてくるブランドと、なにも想像できない単なる商品群があるのは何故なんだろう。違いはきっと独自の世界観を持っているかどうかってこと。他の誰とも異なる、自分だけの美意識。日和見的な根なし草からは決して生まれてこない、独特の雰囲気。それが正しいかどうかは問題じゃない。間違っていようが構わない。あるひとには嫌悪の対象でも、別のひとにとっては心の琴線に触れるような強力な磁場を持つ。そして時が流れても生き残っているのは、強烈ならしさを纏ったほう。無難な最大公約数はとっくに消えてなくなってる。サンダンスの新作が出たと聞き、取材の準備をしている間、ふとそんなことを考えた。
  例えばフォルクスワーゲンのクルマはデザインが全く違うどの車種をとってもワーゲンらしさを失わないように、サンダンスのシューズはどのモデルからも、らしさが香り立つ。このメーカーを最後に取材したのはもうかれこれ2年以上も前のこと。前回同様、相変わらずの寡作ぶりであることは敢えて言うまい。発表されたコレクションにはやっぱりサンダンス独自のらしさが詰まっている。それだけでココロが浮き立ってくる。
  時が流れても変わらないもの。サンダンスがサンダンスであり続けるということ。今回のインタビューで彼らの原風景に肉薄できたらと思う。
 

サンダンス
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もはやレジェンドとなった初代DAYTONA
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人気のベージュ&ブラウン(手前:VP-2000、奥:VP-X)
「当社の商品は2本ラインが特徴で、パッと見れば、すぐにそれとわかる。2本ライン=サンダンスの安全スニーカーってね。このデザインはほとんどの商品に採用し、ずっと踏襲してきたのでユーザーの皆さんに覚えていただいているんです」。そう話すのは、サンダンスの専務であり、デザイナーでもある山尾健治氏。シューズのデザインを手掛けて10年余。氏の父であり、モノづくりが大好きという社長とともに同社シューズのデザインを担ってきた。
  インタビューの場所となった展示室には、カラフルなシューズたちが所狭しと並んでいる。ご自身が手掛けたコレクションを前に、山尾氏はデザインに対する考え方とコダワリを熱っぽく語る。「ポリシーは“他社でやっていないもの”を作ること。仕事場だけでなく、普段、通勤でも履けるもの、見た目がスタイリッシュなものですね。デザインはあくまでもシンプルに。そして、カラーリングで印象を変えていく。そうすることで、ブランド全体の統一感を保ったまま、それぞれのモデルにハッキリした個性が生まれてくる。ウチの場合は鉄芯を入れているので、スマートなデザインができるのも大きな特徴です。プラスチック芯では、強度を高めるためにどうしても分厚くなりますから」。
  さっそく、商品を紹介したいところだが、その前に、安全スニーカーとサンダンスの歩みを軽く振り返っておこう。以下は山尾専務から伺った話である。
  今から20年ほど前の1990年代。当時、安全靴といえば黒っぽい作業靴ばかり。唯一、スニーカータイプの『アディダスセーフティー』があり、1万円ぐらいで販売されていたが、それもライセンスの関係で市場から消えていく。
  その頃、サンダンスは地下足袋、工具、手袋などの作業用雑貨を扱う卸業を主体としていたが、1990年代も後半になるとスニーカータイプの安全靴を作り始めるようになる。そして、一大転機となったのが2002年に発表した『DAYTONA(デイトナ)』。今や伝説となったこの商品は、スポーティーなデザインと斬新なカラーリングで大ブレイクし、“安全スニーカーのサンダンス”を広くワーカーたちに知らしめることとなった。「『デイトナ』は、10年前に私がデザインしたものです。真っ赤とかジャマイカカラーといった鮮やかなカラーを出し、お客さまに非常に喜んでいただけました」。
  残念ながら初代デイトナは廃番となったが、そのデザインスピリットは2011年冬にデビューした『デイトナⅡ』にしっかり受け継がれている。「初代デイトナを現代風にアレンジし、ヒモタイプ(型番:SD0011)に加え、足入れのいいマジックテープタイプ(型番:SD0012)も作りました。これは、ユーザーの皆さんからの強いご要望を受けてのことで、特に年配の方や電気関係等で脱いだり履いたりが多い方にご好評をいただいています。ちなみにソールは、初代デイトナはイボ底でしたが、デイトナⅡでは波パターン。もちろん、JPSA A種認定商品です」。
  このデイトナの系譜を汲むモデル群が、現在、サンダンスコレクションの中心的存在になっている。新商品を含め、ここで代表的なものを3つばかり紹介しておこう。
  1つ目は、サンダンスで人気No.1の『VP-2000』。ソールが薄く、足裏の感覚が分かりやすいのが特徴で、カラー3色のうち、ベージュ&ブラウンは他メーカーにない色ということで特に人気が高い。
  2つ目は、そんな人気シューズのハイカットタイプとして2012年秋に登場した新商品『VP-X』。ベージュ&ブラウン、グレー&チェリーの2色で、キレイめのシルエットが好印象。ハイカットタイプにありがちなもっさり感がなく、見た目もスッキリと爽やかでスポーティー。これまでハイカットを敬遠していたひとも試してみたくなりそうな仕上がりだ。
  3つ目、チェッカースタイルが斬新な『MV-9』は、デザインby社長。23.0cm~のサイズ展開で女性にも人気があり、カラー3色のうち、黒×白のブラックチェッカー、白×黒のホワイトチェッカーが特に人気。この『MV-9』、どう見てもお洒落なカジュアルシューズにしか見えないが、これでJPSA A種認定商品かつ耐油という実力の持ち主というから侮れない。
  ところでサンダンスの安全スニーカーは、新商品デビューが年に1~2点という寡作ぶり。山尾専務は、その理由としてこんな点を挙げてくれた。「ウチの場合、特徴である2本ラインを崩せないので、どうしてもデザインに制約が出てきます。その中で工夫して新しさを出していくのに時間がかかるんです。また、ユーザーによって履く場所や動作が違うので、ソールも用途に合わせて開発しなければなりません。もちろん、丈夫で軽いこと、歩きやすいこと、安全であることも大切にしています。当社の安全スニーカーはJPSA認定品でないものでもすべて公の機関で試験を行っている。だからどうしても年に1~2シリーズが限界なんです」。
  そして、最後に今後の展開について、こんな想いを話してくれた。「ここ5年ぐらいで各社ともにカラーバリエを増やしてきて、安全スニーカーはこれまでとは比較にならないほどカラフルになりました。ここまで多彩になると、突出したデザインだけでは違いを打ち出しにくくなってくる。デザイン性に加えて、よりいっそう品質のよさが重要になると思います。目新しさをいたずらに求めて大量に新商品を作るより、これまで通り丁寧に、自信のあるものだけを皆さんにお届けしていきたいと思っています」。
  カジュアルでスポーティーなシルエットと作業性のよさで我々を魅了してきたサンダンスの安全スニーカー。山尾専務の目指す先が「突出したデザイン性」と「良心的なモノづくり」である限り、これからも伝説は生まれ続けるのだろう。たとえそれが1年にたった一つだけ紡がれる物語だとしても。
 
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専務でありデザイナーである山尾健治氏
 

    

スタイルがよくって機能的!おまけに価格は驚異的!サンダンスで人気No.1の安全スニーカー

カッコよさとリーズナブルな価格で一番人気!足裏の感覚が分かりやすい薄めのソールと、合成皮革+ナイロンメッシュの軽い履き心地。先芯はJIS規格S級相当の鋼鉄製。サイズ24.0~28.0cm。カラーはベージュ&ブラウン、ブラック&レッド、ホワイト&ネイビーの3色。


個性的で実用的!そして当然、スタイリッシュ!くるぶしまで保護するハイカットタイプの安全スニーカー

2012秋にデビューしたハイカットタイプは、合成皮革+足裏の感覚が分かりやすい薄めのソールで高所作業もスムーズ。カラーはユニセックスを意識したグレー&チェリー、ベージュ&ブラウンの2色。