杉野工業。社名でピンとこないなら、NICE(ナイス)と言えばきっと話が早い。職人さんが使うシノ・ハッカーや、金属製の工具差しなどで圧倒的な知名度を誇るナショナルブランドだ。価格が安く、種類も豊富だから、街の作業服屋さんやホームセンターでは定番中の定番。どこも競うように取り扱いをしている。プロショップならあって当たり前。置いていなけりゃ、モグリと言われても仕方ない。ちょっと意地の悪い言い方をすると、ありきたりすぎて面白みがないくせに、なければお客さまから確実に文句を言われる。しかも安いからちっとも売上に貢献しない。ショップ泣かせのブランドを3つ挙げろと言われたら、まず真っ先に名前が浮かぶ。
それにしてもどうして、こんなにナイスの人気があるんだろ。他のメーカーももっとがんばって、ナイスを凌駕するような製品を出せばいいのに。一見何の変哲もなさそうなアイテムばかりなんだから、やってやれないハズはないのになぁ。よし、まずは敵情視察。ヤツらの商品がこれほどユーザーに愛されているワケを、社長に直接問いただしてやる。そんな魂胆で出掛けた今回のインタビュー。本心を隠して杉野本社に乗り込み、根掘り葉掘りと話を聞いてきた。
それにしてもどうして、こんなにナイスの人気があるんだろ。他のメーカーももっとがんばって、ナイスを凌駕するような製品を出せばいいのに。一見何の変哲もなさそうなアイテムばかりなんだから、やってやれないハズはないのになぁ。よし、まずは敵情視察。ヤツらの商品がこれほどユーザーに愛されているワケを、社長に直接問いただしてやる。そんな魂胆で出掛けた今回のインタビュー。本心を隠して杉野本社に乗り込み、根掘り葉掘りと話を聞いてきた。
杉野工業
ベルト通しの形状も様々。自分の好みが必ず見つかる品揃え
無駄な装飾のないメタリックなフォルムがカッコいい!
「おっしゃる通り、ウチは建設工具のNICE(ナイス)ということで、皆さんに周知していただいています。『建設作業の現場で使うもので、ないものはない』、『NICEに聞けば、必要な道具はみんなそろう』と言っていただけるよう、きめ細かく製品をラインナップしています」。そう語るのは、杉野工業の杉野真司代表取締役。「単純な商品ばかりだとよく言われるんです。でもきっとよそではマネができないでしょう。ウチは地の利を生かしていますから」。杉野社長が言う地の利とは、杉野工業のある燕三条市のこと。伊勢神宮に和釘(わくぎ)を納めるなど、古くから金属加工を中心として発展してきた町だ。原材料となる鉄は、山手のほうからも採れたらしいが、出雲の安来の方から北前船で運んできたという説もある。そんな歴史もあってか、杉野工業の製品も一部を除き、95%は国内生産。いや国内どころか、「車で1時間も走れば回れるエリアに、鍛造、プレス、塗装、メッキなどの協力会社が全部そろっている」というから、純・燕三条品といっても過言ではない。この小回りの良さが品質を安定させるカギとなる。そして少ないロットの注文にも柔軟に対応できる強みを生みだしている。
そんな燕三条で杉野工業が製造しているシノやハッカーとは、建設・建築現場で、主にコンクリートの型枠の組み立て解体作業などに使われている道具。日曜大工で使われるトンカチやペンチと違って、一般の方は日頃あまり目にする機会もないと思うので、少し説明しておこう。
シノは、建設現場の足場となる丸太や竹を、針金で結わえるときなどに使う道具。「国内では丸太で足場を組むことが少なくなってきたので建設現場ではあまり使われなくなりました。が、ほかにも酪農や園芸の場で、また、トラックで荷物を運搬するときに、長さのある荷物をしっかりと針金で縛ったりするときに使われています」。ハッカーは、コンクリを打設する際に、骨組みとなる鉄筋を配筋する(組み立てる)のに使う道具。鉄筋同士の合わせ目を細い針金で十字に固定するときに使用する。どちらにしても、ずいぶんと限られたシーンで使われる道具である。需要は少ないが、代替品もない、まさに使う人にとっては「ないと困る」専門性の高い商品だ。
そして、シノやハッカーのほか、ハンマーやドライバーといった作業道具を腰回りに装備するのが「工具差し」。ベルトに通して装着する。「革や帆布の腰袋と呼ばれるものもありますが、作業しているときに揺れたり、袋の中で道具が遊んだりしてしまうので、それを嫌う方は金属製の工具差しを選ばれるようです。工具差しにもいろいろ種類があるので、使う道具によって必要な形状のものを選んでいただいています」。
使う道具の数が多ければ、腰につける工具差しの数も増える。しかし帆布や革製の腰袋に比べて、金属製の工具差しは重い。この重量の問題を解消すべく、以前、金属面に穴をあけて軽量化を図ったこともある。しかし逆に、華奢なものは不安がある、という意見が上がったそうだ。「高所などでは特に安全に、しっかりと道具類を収納したい。だから頑丈で安心感のある金属製を選ぶ人が多いんじゃないでしょうか」。
杉野工業の製品は、無機質で味気ない。やっかみ半分の周囲の批判を、杉野社長は笑って受け流す。「必要最低限の機能を満たしているか。安心してお使いいただけるか。少々手荒く扱っても支障なく、丈夫で壊れたりしないか。そんなところに重点を置いて、製品を作っています。確かにウチの製品は、そんなにしゃれたデザインのものでもないんですよ。色だって、カタログを見ても、白黒印刷なのかカラーなのか、分からないでしょ(笑)」。おっしゃる通り。杉野製品で唯一、白黒シルバー以外のカラーリングが見られるのは、一部の製品の持ち手に施しているビニール付けのオレンジ色のみだ。「昔から、この部分はオレンジ色にしています。オレンジは新潟のサッカーチーム、アルビレックス新潟のチームカラーだし、新潟の夕日カラーの色でもある。あと柿の種ね(笑)」。
なるほど、新潟カラーね。ま、これは、あくまでもこじつけで、ホントのところは、こう。「シルバーや黒だけだと、現場で他の道具に紛れて、どこにあるか分からなくなるんです。先代が、『それだったら、明るい黄色やオレンジ色を付けよう』ってことになって。今ではオレンジ色=ナイス、という認識もされているようです」。
それでも過去に一度、「色味がつまらない。他の色はないの?」とユーザーから聞かれたことがあるという。バリエーションは増やしたんですか?と聞くと、「いや!その辺だけは、お客さんのニーズに応えていません(笑)。色を増やすと、結局、在庫も持たなきゃいけないし、そうするとコストもかかりますから」とキッパリ。あくまでも、シンプル、かつ機能重視で使い勝手よく。余計なコストはかけないで、その分、お客さまに安価で提供したいというのが、杉野工業の考えだ。
「こんなのが必要なんだけど、ナイスさんならあるんじゃない?」。その答えが「YES」であることは以下の商品紹介を読んでいただければ明白だ。無機質なフォルムが逆にカッコよく見えてくるメタリックの工具差しや、シノ・ハッカーをお探しの諸兄も、ぜひ一読を!
そんな燕三条で杉野工業が製造しているシノやハッカーとは、建設・建築現場で、主にコンクリートの型枠の組み立て解体作業などに使われている道具。日曜大工で使われるトンカチやペンチと違って、一般の方は日頃あまり目にする機会もないと思うので、少し説明しておこう。
シノは、建設現場の足場となる丸太や竹を、針金で結わえるときなどに使う道具。「国内では丸太で足場を組むことが少なくなってきたので建設現場ではあまり使われなくなりました。が、ほかにも酪農や園芸の場で、また、トラックで荷物を運搬するときに、長さのある荷物をしっかりと針金で縛ったりするときに使われています」。ハッカーは、コンクリを打設する際に、骨組みとなる鉄筋を配筋する(組み立てる)のに使う道具。鉄筋同士の合わせ目を細い針金で十字に固定するときに使用する。どちらにしても、ずいぶんと限られたシーンで使われる道具である。需要は少ないが、代替品もない、まさに使う人にとっては「ないと困る」専門性の高い商品だ。
そして、シノやハッカーのほか、ハンマーやドライバーといった作業道具を腰回りに装備するのが「工具差し」。ベルトに通して装着する。「革や帆布の腰袋と呼ばれるものもありますが、作業しているときに揺れたり、袋の中で道具が遊んだりしてしまうので、それを嫌う方は金属製の工具差しを選ばれるようです。工具差しにもいろいろ種類があるので、使う道具によって必要な形状のものを選んでいただいています」。
使う道具の数が多ければ、腰につける工具差しの数も増える。しかし帆布や革製の腰袋に比べて、金属製の工具差しは重い。この重量の問題を解消すべく、以前、金属面に穴をあけて軽量化を図ったこともある。しかし逆に、華奢なものは不安がある、という意見が上がったそうだ。「高所などでは特に安全に、しっかりと道具類を収納したい。だから頑丈で安心感のある金属製を選ぶ人が多いんじゃないでしょうか」。
杉野工業の製品は、無機質で味気ない。やっかみ半分の周囲の批判を、杉野社長は笑って受け流す。「必要最低限の機能を満たしているか。安心してお使いいただけるか。少々手荒く扱っても支障なく、丈夫で壊れたりしないか。そんなところに重点を置いて、製品を作っています。確かにウチの製品は、そんなにしゃれたデザインのものでもないんですよ。色だって、カタログを見ても、白黒印刷なのかカラーなのか、分からないでしょ(笑)」。おっしゃる通り。杉野製品で唯一、白黒シルバー以外のカラーリングが見られるのは、一部の製品の持ち手に施しているビニール付けのオレンジ色のみだ。「昔から、この部分はオレンジ色にしています。オレンジは新潟のサッカーチーム、アルビレックス新潟のチームカラーだし、新潟の夕日カラーの色でもある。あと柿の種ね(笑)」。
なるほど、新潟カラーね。ま、これは、あくまでもこじつけで、ホントのところは、こう。「シルバーや黒だけだと、現場で他の道具に紛れて、どこにあるか分からなくなるんです。先代が、『それだったら、明るい黄色やオレンジ色を付けよう』ってことになって。今ではオレンジ色=ナイス、という認識もされているようです」。
それでも過去に一度、「色味がつまらない。他の色はないの?」とユーザーから聞かれたことがあるという。バリエーションは増やしたんですか?と聞くと、「いや!その辺だけは、お客さんのニーズに応えていません(笑)。色を増やすと、結局、在庫も持たなきゃいけないし、そうするとコストもかかりますから」とキッパリ。あくまでも、シンプル、かつ機能重視で使い勝手よく。余計なコストはかけないで、その分、お客さまに安価で提供したいというのが、杉野工業の考えだ。
「こんなのが必要なんだけど、ナイスさんならあるんじゃない?」。その答えが「YES」であることは以下の商品紹介を読んでいただければ明白だ。無機質なフォルムが逆にカッコよく見えてくるメタリックの工具差しや、シノ・ハッカーをお探しの諸兄も、ぜひ一読を!
杉野真司代表取締役
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コンクリの骨組みとなる鉄筋を組むのに使用。細身・スチール製のスタンダード品。ロープライスで気軽に使えるのでビギナー向けにgood。 サイズ直径9m/m 全長270mm 重量210g |
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コンクリにそれほど厚さがないときに使用する、比較的短いタイプのハッカー。持ち手は滑りにくく、手になじみやすいバネ製。あらゆる仮枠工事の鉄筋結束作業に! サイズ10m/m 全長210mm 重量230g |
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