【ラ・ステラ】食通も唸る信州の名店image_maidoya3
地方にいながら本格的なイタリアンが楽しめる!肩ひじ張らずに美味しい料理が味わえる!と人気なのが、長野県の北信濃にあるイタリア料理のお店「トラットリア・ラ・ステラ」だ。カウンターとテーブル席だけの小ぢんまりとした店内は実にシンプル。背伸びをして飾り立てたような素振りが全くなく、不思議と心が落ち着く佇まいだ。そんな居心地のいい空間の中で、本物の料理が供される。テーブルには都会の人気店よりもはるかに贅沢な時間が流れ、来店者は思いおもいに至福のひと時を過ごし、そして店を去っていく。また来ますねと笑顔を残して。
  地元の主婦やカップルだけでなく、出張でこの地を訪れたビジネスマンたちも立ち寄ってリピーターになるほど愛されているトラットリアを切り盛りするのが、今回取材に応じてくれた森山誠二さん。東京や名古屋での修業時代を経て、一国一城の主となったオーナーシェフだ。多くの人を惹きつけてやまない森山さんの料理やユニフォームへのこだわりとは。イタリアン好きなグルメなあなたも、そうでもないよと強がりを言うあまのじゃくなあなたも、このレポートを読めば多くのリピーターたちと同じように、きっと森山さんの話に惹きつけられると思います。今夜あたり、近所のイタリアンに行ってみようかな。読後、そんな気分になってくれたら、編集部としてもうれしいです。
 

ラ・ステラ
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この外観が目印です
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人気メニューの「大人のミートソーススパゲティ」
大宮から新幹線あさまに乗って約1時間で長野駅へ。その後、長野電鉄に乗り換えて、約50分。雪が降り積もる信州中野駅を降り100mほど歩いたところにあるのが、イタリア料理のお店「トラットリア・ラ・ステラ」だ。
  店の扉を開けると、笑顔で出迎えてくれた森山シェフ。シンプルな白のコックコートとサロンエプロンを颯爽と着こなしている。仕込中にもかかわらず、「どうぞ何でも聞いてください」と言って手を止めてくれる。では、お言葉に甘えて、森山シェフが仕事で使うユニフォームについて。「冬は寒いので、ほとんど長袖のコックコートとサロンエプロンですね。さっきまで洗い物をしていたので、腕をまくっていますが、普段は下ろしていることが多いです。でも、夏の暑い時期は、ポロシャツということもありますよ。とはいうものの、実際、火を使っているとポロシャツでは熱すぎることもある。コックコートは、前が二重になっている分、火の熱を通さないところがいいですね」。このとき着ていたコックコートは、前がボタンになっているタイプ。このほかにも、前がチャックになっているタイプも持っていて、どちらも気に入って着ているが、チャックタイプは、時々チャック自体が熱くなるのが難点だそうだ。
  森山シェフには、コックコートに対して絶対に譲れないこだわりがあるという。まずは、綿100%であること。そして、毎日洗うので、丈夫で洗濯耐久性に優れていることだ。「料理人仲間の中では、アクリルのものや薄い布地のコックコートを着ている人も増えています。電磁調理器を使っていればそれでもいいけれど、うちは直火での調理がほとんど。やっぱり綿でないと、火の熱が伝わってきちゃうんです。それに、アクリルだと、たまに燃えたりしてクサいしね。まぁ、私自身がアトピーで、化学繊維がダメというのもありますが・・・」。
  さらに、森山シェフは「白くあること」にもこだわる。最近の傾向として、知り合いの料理人の間では、黒いコックコートを着る人が増えているのだとか。確かに黒いコックコートは素人から見てもスタイリッシュでカッコいいし、料理の鉄人みたいにプロっぽく見える。これに対し、森山シェフはこう話す。「黒はウチの店のイメージに合いませんからね。それに、常に清潔であるようにとの意識を失わないために、あえて汚れが目立つ白を着続けているんです」。
  そんな森山シェフのプロ意識はコックコート以外にも向けられる。驚いたのは、視力が裸眼で0.8と十分あるにも関わらず、料理にはメガネをかけて臨むという話だ。「メガネをかけると視力は1.6ほどになります。これぐらいクリアに見えないと、料理の出来栄えをしっかり確認することができないし、髪や埃などがついてしまっていないかチェックすることもできませんから」。仕事に対する姿勢がこれほど厳しいなら、料理の味に対するこだわりも相当なもの。なるべくしてなった人気店なんだと改めて思う。
  さて、話は変わるが、東京や名古屋に支店を持つ有名店で修業をしていた森山さんが、なぜ長野に店を出すことにしたのだろう。「名古屋でも東京でも、仕事はとにかく楽しかった。責任ある立場を任せられたりして、それなりにやりがいも感じていました。ただ、仕事が遅くなり、ぐったり疲れて帰ろうとすると終電がない。7千円も8千円もかけてタクシーで帰る日が続くと、なにやってんだろ。なんのために仕事してるんだろ・・・という気持ちになってきて・・・」。
  そこで、心機一転。2005年に独立することを決めた。そのとき、できるだけのんびりした地にお店を開きたい、けれども、誰も知らない場所では寂しい、そう考えて、奥さまの地元に店を開くことを決意したのだそうだ。「ここは、いわゆる田舎で、特に冬はスキー以外本当にすることが無いんです。でも、のんびりした時間の中で、自分が好きなイタリアンを作り、お客さまに楽しんでもらえるのは、ある意味本当に贅沢なことだと思います。それに、やることが無い分、子どもたちと遊んであげることもできる。一緒にゲームをしたり、そり遊びをしたり、おやつを作ったり。そんな時間を過ごせるのも、この地にお店を出したからだと思っています」。
  そうそう、料理の話も聞いておこうとメニューを見ると、あれ?イタリア料理によくあるピザがない!「このお店は、いわゆる正統派のイタリア料理店にしたかった。だから、ピザは置いていません。よく、お客さまから『ピザはないんですか?』と聞かれますよ。そんなときは『うちは、イタリア料理店だからピザは置いていません』とお答えしますが、なかなか理解してもらえない(笑)。でも、ピザはピザ屋さんで食べてくれればいい。うちではイタリア料理を楽しんでもらえるようピザはあえて置いていないんです」。なるほどね。名前はトラットリアだけど、心意気はリストランテなんだ。営業的には絶対にプラスになるはずのピザを外してまで自分の信念を貫き通している。そんな姿勢に、きっと多くのお客さんが惹きつけられているんだろうな。
 
 
  【店舗情報】
  トラットリア・ラ・ステラ
  住所 〒101-0047 長野県中野市西1-3-28
  電話:0269-23-0737
  (食べログ) http://tabelog.com/nagano/A2001/A200106/20004042/
  [火~日]11:30~14:30 17:30~21:30
  [月]お休み
 
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お話を聞かせてくれた森山シェフ
 

    

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