それでしたらディアドラのシリーズからお選びいただくのがいいかと思いますよ、と彼女は言った。デザインがシャレてますし、つくりも本格的でしっかりしてます。メッシュ仕様とか、ハイカットタイプとか、モデルごとにそれぞれ特徴があるので、きっとご希望のタイプが見つかると思います。いつものまいど屋コールセンターの、いつもの風景だ。コールセンターに隣接する編集部のデスクに座っていると、聞くともなしにオペレーターのそんな言葉が耳に入ってくる。うん、うん、そうだよな。迷っているひとにはディアドラを勧めておけば間違いない。多少値段は張るけれど、結局お客さまには満足していただける。いつもそうなのだ。コールセンターでは別に台本を用意しているわけではないのだけれど、長年の経験でいつの間にかそれが定番の受け答えになっている。そして、電話が終わると、日本のどこかにまたひとり、めでたくディアドラファンが誕生する。それがまいど屋のいつものやり方だ。
だが、その日はいつもと違って、オペレーターの彼女が次第に口ごもり始めた。ええ、そうですよね。確かに高いです。でも、本当に人気があるんですよ。あの、スペック的にも高機能で。。。そう言ってからしばらく絶句し、電話口の向こうの声に耳を傾けている。それからしばらくやり取りは続いていたのだが、彼女はついに意を決したように、それでは詳しい者に代わりますと言って電話をこちらに回してきた。断っておくが、そのとき電話に出ていた彼女はサポートセンターの中でもベテランで、商品知識もかなりある人物なのだ。その彼女が対応しきれない電話など、めったにない。
耐滑性は?屈曲性やクッション性は?耐久性はあるのか?あるとしたら、どれくらい持つものなのか。電話を代わってからありとあらゆる質問になんとか頑張って答えていたのだが、お客さまはあまり納得しなかったらしく、胡散臭そうにじゃあ検討してみると言ってその電話を切った。検討してみるというのは、購入する気がないということだ。まいど屋に不信感を持ったお客さまは、いつもそんな言い方をする。いつもいつも起こることではないのだけれど、正直に言えばたまにある。オペレーターの彼女が、電話を回さなきゃよかったという顔でこっちを見ている。
電話の応対の何が悪かったのか、本当のところ、自分にははっきりわかっていた。結局そのお客さまは、こちらの商品知識のなさを見抜いたのだ。カタログに書いてある通りのスペックを読み上げるような説明に、血肉の通った真実味を感じなかったのだ。毎月、専門的な情報を発信していると自負する月刊まいど屋の編集を預かる身として、これは屈辱的なことだ。今回の取材はそのときのお客さまに対するまいど屋の、いや本音を言えば編集長としての個人的なリベンジである。そのひとが再びコールセンターに電話をしてくるなら受けて立つ。今度こそ、それならディアドラを試してみようと言わせてみせる。いつものコールセンターのいつもの風景のように。
だが、その日はいつもと違って、オペレーターの彼女が次第に口ごもり始めた。ええ、そうですよね。確かに高いです。でも、本当に人気があるんですよ。あの、スペック的にも高機能で。。。そう言ってからしばらく絶句し、電話口の向こうの声に耳を傾けている。それからしばらくやり取りは続いていたのだが、彼女はついに意を決したように、それでは詳しい者に代わりますと言って電話をこちらに回してきた。断っておくが、そのとき電話に出ていた彼女はサポートセンターの中でもベテランで、商品知識もかなりある人物なのだ。その彼女が対応しきれない電話など、めったにない。
耐滑性は?屈曲性やクッション性は?耐久性はあるのか?あるとしたら、どれくらい持つものなのか。電話を代わってからありとあらゆる質問になんとか頑張って答えていたのだが、お客さまはあまり納得しなかったらしく、胡散臭そうにじゃあ検討してみると言ってその電話を切った。検討してみるというのは、購入する気がないということだ。まいど屋に不信感を持ったお客さまは、いつもそんな言い方をする。いつもいつも起こることではないのだけれど、正直に言えばたまにある。オペレーターの彼女が、電話を回さなきゃよかったという顔でこっちを見ている。
電話の応対の何が悪かったのか、本当のところ、自分にははっきりわかっていた。結局そのお客さまは、こちらの商品知識のなさを見抜いたのだ。カタログに書いてある通りのスペックを読み上げるような説明に、血肉の通った真実味を感じなかったのだ。毎月、専門的な情報を発信していると自負する月刊まいど屋の編集を預かる身として、これは屈辱的なことだ。今回の取材はそのときのお客さまに対するまいど屋の、いや本音を言えば編集長としての個人的なリベンジである。そのひとが再びコールセンターに電話をしてくるなら受けて立つ。今度こそ、それならディアドラを試してみようと言わせてみせる。いつものコールセンターのいつもの風景のように。
ディアドラ
Boaクロージャーシステムの『FINCH』
7月発売予定のメッシュモデル
取材に応じてくれたのは、ドンケル(株)取締役営業部長・東京支店長の岡田哲夫さん。今回の取材の主旨を伝えると、「ほう、まいど屋さんもいろいろと苦労しているんですね。大丈夫、今日一日でみっちりディアドラについて講義しますから。帰るころにはどんな電話があっても対応できるようになっていますよ」との頼もしい答え。よし、がんばって勉強しなきゃ。改めて気合を入れ直し、持参したノートとボールペンを手に、岡田さんの話を待つ。書き漏れがないように、念のため、録音用のICレコーダーも回す。準備万端。さあ、教えてください。
まずは、目新しいところ、まいど屋コールセンターのスタッフもまだなじみの少ない新商品からだ。「Boaクロージングシステムを搭載した『FINCH(フィンチ)』です。スノボやゴルフシューズで有名なBoa社とコラボして開発しました。JSAA A種で、カラーはオレンジに黒をプラスしたのと、イエローに黒をプラスしたものの2色。安全スニーカーで1万円超えなので、どうかなぁと思いましたが、去年の暮れに予約制で先行発売したら10日ほどで完売。非常に反響がよくて、ここ数ヶ月は追加生産を繰り返し、注文をこなすだけで手いっぱいでした」。
この新商品、実は人気モデル『PEACOCK(ピーコック)』と同じラスト(型)を使用している。見た目のデザインこそ違うが、フォルムも先芯もソールも同じ。履き心地のほどは『PEACOCK』が多くのユーザーに支持されていることを見れば、おのずとわかる。「『PEACOCK』のような紐タイプを履いている方は、通常、脱ぎ履きをしてヒモを締め直すときは一番上の部分だけで済ませますよね。多少ゆるんでいても、下まで締め直すひとはほとんどいない。でもこのクロージャーシステムなら、ダイヤルを回すだけでワイヤーが絞られ、先のほうまで均一に締まる。革手袋をしたままでも片手でカンタンに操作できます」。先芯入のシューズでは若干ルーズフィットで履くユーザーが多いが、それでは足が遊ぶし、先芯に指が当たって血豆やタコを作る原因にもなる。その点、Boaクロージャーシステムならジャストフィットするので適正サイズを履くことができ、従来よりワンサイズ(0.5cm)小さくてもイケるケースが多いという。
なるほど。確かに全く新しい感覚で履ける安全スニーカーのようだ。だが、高価なものなので、気になるのはどれだけ耐久性があるかというところ。例えば買ってすぐにワイヤーが壊れてしまったのでは目も当てられない。そんな不安を口にすると・・・「安心してください。クロージャーシステムは、高強度のものを使っていますし、シューズ本体を履きつぶすまではBoa社が保障してくれるんです」。
では、これまで故障などで保障した実績はないんですかと尋ねたところ、「まだ半年しか経っていないので、交換はこれからですね」と答えたうえで、実は・・・と。「ワイヤーが切れた事例があって交換したことがあります。ワイヤーは49本もの細いステンレス鋼ワイヤーレースを1本に撚っているので非常に強度があるのですが、何かに引っかけて傷つけてしまったのでしょう。傷がつくとその部位に集中して負荷がかかる。ダイヤルでキリキリ締めるし、歩くと屈曲して繰り返し圧がかかりますから」。
うーん、そうか。やっぱりたまには壊れることもあるんだ。だが、これを聞いてなぜか逆に安心した。値が張るものでも、謳い文句通りにちゃんと保証が実行されているのであれば、まいど屋サポートセンターのコールスタッフも躊躇なくお客さまにオススメできる。お客さまもそれならばと思ってくれるだろう。そうそう、話は変わるが、この『FINCH』、今のところビビッドカラーしか出していないが、秋にはシックな色を出す予定とか。革質をグレードアップして出してくるらしいので注目しておきたい。
さて、ついでなので、新商品『FINCH』の原型となった『PEACOCK』(JSAA A種)について触れておこう。このモデル、日韓ワールドカップの頃に手掛けていたというから、もう10年選手。それでも2014年下半期でディアドラ売れ筋ランキングNo.1(型番:PC-12)というからスゴイ。「ソールが厚めなのが特長で、アッパーは牛クロム革と人工皮革で一部にディンプルメッシュを入れています。アウトソールは耐滑性に優れ、摩耗しにくく長持ちする耐摩耗ハイパーPU。ミッドソールに軽くてクッション性のあるEVAを使っているので疲れにくく、屈曲性にも優れています」。
デザインもさることながら、履き心地でも人気の『PEACOCK』。7月にはこのメッシュ版となる新モデルをローカットとミッドカットで出すという。写真2を見ていただくとわかるが、粗めのメッシュ素材と補強素材を巧みに組み合わせ、カッコよく仕上げられている。
メッシュといえばムレ対策だが、もう1つ、ムレが気になる方にオススメなのが、呼吸する安全スニーカー『SKYLARK』。ブラックorブラウンベースの渋カッコいいシューズで、歩くたびにシューズ内を換気してくれる通気構造がウリ。「2014年6月に出したモデルで、今トレンドの薄底タイプです。ソールのサイドに穴があって、透湿防水素材を使った靴内につながっている。アッパーサイドにはベンチレーションがあり、ここから空気を取り込んで靴内のムレた空気をソールの穴から吐き出す。歩いて靴が屈曲するたびに風が通るので、長時間でも快適に履いていただけます」。
穴もベンチレーションもよ~く見ないと存在に気づかない。特にベンチレーションはラインデザインによって巧みに隠され、一見しただけでは絶対にわからない。この『SKYLARK』について岡田支店長は「シックな色なので食いつきはそんなに良くありませんが、これからジワジワと伸びていくでしょう」と言っている。
ディアドラはスポーティーでファッショナブルなイメージがあるが、ラインナップを見ると、どれも息の長い商品ばかり。ディアドラの今後について岡田支店長はこう話す。「このところ大手スポーツブランドが相次いで参入してユーザーさんの選択肢が増え、競争が激化してきています。ディアドラとしては、今後1~2年かけて付加価値の高い商品を出して、従来モデルと入れ替えをしていくつもりです。その一環として、この秋、新しいモールド、新しい機能のシューズを出しますので、ぜひ楽しみにしていてください」。
今回のインタビューは以上。レポートには書ききれなかったことまで含めてたっぷり教わってきたから、先日のお客さまがもう一度電話してきてもきっと大丈夫だと思う。あのときのあのお客さま、このレポートを読んだなら、試しにまいど屋サポートセンターに電話してきてください。あなたの挑戦、いつでも受けて立ちます。以下に挙げる商品まで含めて、テスト範囲は全て暗記しておきましたからね。
まずは、目新しいところ、まいど屋コールセンターのスタッフもまだなじみの少ない新商品からだ。「Boaクロージングシステムを搭載した『FINCH(フィンチ)』です。スノボやゴルフシューズで有名なBoa社とコラボして開発しました。JSAA A種で、カラーはオレンジに黒をプラスしたのと、イエローに黒をプラスしたものの2色。安全スニーカーで1万円超えなので、どうかなぁと思いましたが、去年の暮れに予約制で先行発売したら10日ほどで完売。非常に反響がよくて、ここ数ヶ月は追加生産を繰り返し、注文をこなすだけで手いっぱいでした」。
この新商品、実は人気モデル『PEACOCK(ピーコック)』と同じラスト(型)を使用している。見た目のデザインこそ違うが、フォルムも先芯もソールも同じ。履き心地のほどは『PEACOCK』が多くのユーザーに支持されていることを見れば、おのずとわかる。「『PEACOCK』のような紐タイプを履いている方は、通常、脱ぎ履きをしてヒモを締め直すときは一番上の部分だけで済ませますよね。多少ゆるんでいても、下まで締め直すひとはほとんどいない。でもこのクロージャーシステムなら、ダイヤルを回すだけでワイヤーが絞られ、先のほうまで均一に締まる。革手袋をしたままでも片手でカンタンに操作できます」。先芯入のシューズでは若干ルーズフィットで履くユーザーが多いが、それでは足が遊ぶし、先芯に指が当たって血豆やタコを作る原因にもなる。その点、Boaクロージャーシステムならジャストフィットするので適正サイズを履くことができ、従来よりワンサイズ(0.5cm)小さくてもイケるケースが多いという。
なるほど。確かに全く新しい感覚で履ける安全スニーカーのようだ。だが、高価なものなので、気になるのはどれだけ耐久性があるかというところ。例えば買ってすぐにワイヤーが壊れてしまったのでは目も当てられない。そんな不安を口にすると・・・「安心してください。クロージャーシステムは、高強度のものを使っていますし、シューズ本体を履きつぶすまではBoa社が保障してくれるんです」。
では、これまで故障などで保障した実績はないんですかと尋ねたところ、「まだ半年しか経っていないので、交換はこれからですね」と答えたうえで、実は・・・と。「ワイヤーが切れた事例があって交換したことがあります。ワイヤーは49本もの細いステンレス鋼ワイヤーレースを1本に撚っているので非常に強度があるのですが、何かに引っかけて傷つけてしまったのでしょう。傷がつくとその部位に集中して負荷がかかる。ダイヤルでキリキリ締めるし、歩くと屈曲して繰り返し圧がかかりますから」。
うーん、そうか。やっぱりたまには壊れることもあるんだ。だが、これを聞いてなぜか逆に安心した。値が張るものでも、謳い文句通りにちゃんと保証が実行されているのであれば、まいど屋サポートセンターのコールスタッフも躊躇なくお客さまにオススメできる。お客さまもそれならばと思ってくれるだろう。そうそう、話は変わるが、この『FINCH』、今のところビビッドカラーしか出していないが、秋にはシックな色を出す予定とか。革質をグレードアップして出してくるらしいので注目しておきたい。
さて、ついでなので、新商品『FINCH』の原型となった『PEACOCK』(JSAA A種)について触れておこう。このモデル、日韓ワールドカップの頃に手掛けていたというから、もう10年選手。それでも2014年下半期でディアドラ売れ筋ランキングNo.1(型番:PC-12)というからスゴイ。「ソールが厚めなのが特長で、アッパーは牛クロム革と人工皮革で一部にディンプルメッシュを入れています。アウトソールは耐滑性に優れ、摩耗しにくく長持ちする耐摩耗ハイパーPU。ミッドソールに軽くてクッション性のあるEVAを使っているので疲れにくく、屈曲性にも優れています」。
デザインもさることながら、履き心地でも人気の『PEACOCK』。7月にはこのメッシュ版となる新モデルをローカットとミッドカットで出すという。写真2を見ていただくとわかるが、粗めのメッシュ素材と補強素材を巧みに組み合わせ、カッコよく仕上げられている。
メッシュといえばムレ対策だが、もう1つ、ムレが気になる方にオススメなのが、呼吸する安全スニーカー『SKYLARK』。ブラックorブラウンベースの渋カッコいいシューズで、歩くたびにシューズ内を換気してくれる通気構造がウリ。「2014年6月に出したモデルで、今トレンドの薄底タイプです。ソールのサイドに穴があって、透湿防水素材を使った靴内につながっている。アッパーサイドにはベンチレーションがあり、ここから空気を取り込んで靴内のムレた空気をソールの穴から吐き出す。歩いて靴が屈曲するたびに風が通るので、長時間でも快適に履いていただけます」。
穴もベンチレーションもよ~く見ないと存在に気づかない。特にベンチレーションはラインデザインによって巧みに隠され、一見しただけでは絶対にわからない。この『SKYLARK』について岡田支店長は「シックな色なので食いつきはそんなに良くありませんが、これからジワジワと伸びていくでしょう」と言っている。
ディアドラはスポーティーでファッショナブルなイメージがあるが、ラインナップを見ると、どれも息の長い商品ばかり。ディアドラの今後について岡田支店長はこう話す。「このところ大手スポーツブランドが相次いで参入してユーザーさんの選択肢が増え、競争が激化してきています。ディアドラとしては、今後1~2年かけて付加価値の高い商品を出して、従来モデルと入れ替えをしていくつもりです。その一環として、この秋、新しいモールド、新しい機能のシューズを出しますので、ぜひ楽しみにしていてください」。
今回のインタビューは以上。レポートには書ききれなかったことまで含めてたっぷり教わってきたから、先日のお客さまがもう一度電話してきてもきっと大丈夫だと思う。あのときのあのお客さま、このレポートを読んだなら、試しにまいど屋サポートセンターに電話してきてください。あなたの挑戦、いつでも受けて立ちます。以下に挙げる商品まで含めて、テスト範囲は全て暗記しておきましたからね。
取締役営業部長・東京支店長の岡田氏
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