【撮影編】まいどブラのミューズを撮るimage_maidoya3
完璧な存在は、いつも単独で完璧であると言えるわけではない。それを完璧たらしめるための写し鏡のような存在が必要なこともある。逆説的ではあるが、完璧な存在には多くの場合、完璧な不完全性が内包されており、不完全であるがゆえに完璧な実存性を有することになる。世界を支配する王は、本当のところ、彼一人ではただの男に過ぎない。王には王の王国があって初めて完璧な王となる。粒子は反粒子を得て初めて完璧なE=MC2の世界を作り上げる。カレーライスの皿には福神漬けがもれなく添えてあるように、新婚さんの新居のトイレットペーパーの端は例外なく三角に折ってあるように、ある事物が完全性を獲得するには何らかの補完的要素が的確に加えられていなければならない。完璧な実存的存在であるまいどブラについてもそれは言える。まいどブラにはブラを完璧な存在に仕上げるためのヴィーナスが絶対的に必要なのだ。
  まいどブラの開発を進めるのと並行して、まいど屋が多くの労力と資金を投じたのが、ブラの顔となるべき人物の選定だった。その人物はまいどブラに負けないくらいの特異な個性を持っていなければならない。特筆すべき資質を備えていなければならない。そうでなければ、彼女はブラの圧倒的な存在にむなしくからめ捕られてしまうだろう。食虫植物が昆虫をのみ込んであっという間に消化してしまうみたいに、後には体液を吸い尽くされた女の抜け殻だけが残ることにもなりかねない。
  おそらく、パズルを完成させるための最後のピースは、世界に一つしかないはずだ。プロジェクトがスタートした当初から僕たちはなんとなくそう感じていた。そのピースは、まいどブラが宿命的にもっている不完全性を埋めるために、それと完全に同一の輪郭を持っているはずなのだ。一目見ただけでそれと感じ取れる、だが言葉では説明できない何か--わずかな誤差もない何か--を持っているはずなのだ。まだ見ぬ完璧な女性を探し求めて、まいど屋はまず初めにオーディションを行った。多数のモデルたちの写真がデスクの上に並べられ、エントリーするのにふさわしい美を兼ね備えているか、慎重に検討が加えられた。ここで選考風景を描写するのはいささか生々しすぎるので詳細は省略するが、会議ではかなり突っ込んだ、時に辛辣な批評が飛び交っていたことだけは告白せねばならない。参加してくれたモデルさんに対して決して失礼なことをするつもりはないのだけれど、まいど屋がこのプロジェクトにかける意気込みが検討委のメンバーを熱くしていた。そしてようやく写真審査で選ばれた女性たちがオーディション会場に集まり、最終的に一人の女性が選ばれた。彼女の名は松長ゆり子さんという。
  初めて対面した時から、彼女は際立っていた。どこがどうと説明するのは、残念ながらボキャブラリーが乏しくてうまく表現できないけれど、とにかく会った瞬間に、僕たちがずっと探していたミッシングピースが目の前に立っていることがはっきりとわかった。もちろん、他の女性たちも大変美しい方ばかりなのだが、とにかく彼女以外にはありえないことがわかったのだ。それは電圧の高い両極が接触した時に生じるスパークのようなものだったのかもしれない。あるいは目には見えない波のようなシンクロニシティーだったのかもしれない。どちらにせよ、その場には強い磁場が形成され、お互いを強く吸い寄せ始めた。まいどブラはゆり子さんを激しく求める。そしてゆり子さんもまた、まいどブラなしではいられなくなっていく。
  僕たちはさっそく彼女に撮影の条件を伝えた。撮影スタジオではオールヌードになってもらうこと。野外撮影もあること。肖像権の使用契約期間は一年間。その後はお互い合意の上で毎年更新していく。ゆり子さんはしばらく困ったように顔をしかめたが、最後はこっくりと頷いた。そう、答えは初めからわかっていた。さあ、撮影だ。
 

撮影編
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清楚なイメージで撮ったゆり子さん
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強めのメイクをしたセクシーゆり子さん
●9:50 顔合わせ&ゆり子さんの作り込み
  この日スタジオに集まったのは、ディレクターさん、カメラマンさん、ヘアメイクさん等々、総勢8名。オーディションの時は大人の女性に見えたが、すっぴんのゆり子さんは、可憐で、爽やかで、あどけなくて、草原の風が似合う少女といった印象。挨拶を済ませると、ヘアメイクさんと共にカーテンの向こうのメイク室へと消えていった。
 
  ●10:35 ゆり子さん登場!
  メイク室から出てきたゆり子さんは、凛として、どこか近寄りがたいオーラを放っていた。薄地の上着を羽織り、生脚にスリッパという出で立ちにも気をとられたが、それ以上に、その顔の仕上りに驚かされた。1時間前の彼女とはもはや別人。目の前にいるのは、まいどブラを雄弁に語る大人の女性。やはり我々のチョイスは正しかった、と改めて思う。
 
  ●10:40 撮影開始!最初のカットは立ちポーズ
  立ち位置にくると、ゆり子さんはためらいながら、羽織っていた上着をアシスタントさんに手渡した。腕を下におろすと、そこには太古の昔から人類に脈々と受け継がれてきた、優しくも力強い生命の源が息づいていた。なだらかなカーブを描く曲線のふくらみの上に我々のまいどブラがピタリと収まり、美しい陰影を作り上げている。それはフィレンツェにあるドゥオモを思わせるような神聖さと、弥生時代の土器に見られる土着的な宗教性を併せ持つ聖なるアイコンだ。そして目をさらに下方に転じれば、そこにもまた我々人類がはるかな時を超えて祀ってきた縞のTバック。真昼間だというのに、辺りには早くも夜の気配が立ち込めている。
  ゆり子さんが毅然とした表情でポーズをとりはじめた。すぐ近くでヘアメイクさんがブロワーで風を送って髪をなびかせる。張りつめた空気の中で、乾いたシャッター音だけが連続して響き渡る。音が途切れるたびに、ゆり子さんは顔の角度と表情を微妙に変え、挑発的な目でカメラと対峙する。正面で脚交差。ひねりを加えてのバスト見せ。ヒップをカメラに向けながらの振り返り。現場は次第に呪術的色彩を強め始める。
 
  ●11:10 すべてが露わになる
  今何時なのだろう。腕時計は確かに11時過ぎを指しているが、それが昼なのか、夜なのか、確信が持てなくなってくる。目の前では依然としてゆり子さんとカメラマンが息詰まるような真剣勝負を続けている。そしてまたしばらく時間が経ち、頭がぼおっとし始めたころ、バリのケチャダンスが最高潮に向かってリズムを速めていくように、カメラマンからゆり子さんに向けて、しきりに声がかかるようになる。
  「いいねぇ、いいねぇ、おあずけ感がいい!」
  「じゃ、次は、ちょっと挑発的なやつ、ちょーだい!」
  恍惚の表情を浮かべたゆり子さんは座ったままTバックに手をかけ、ゆっくりと下におろしていく。まるでスイーツについていたセロハンをはがすみたいに無造作に、はばかりもせず。カメラマンからさらに声が飛ぶ。どこからか、ケチャの連呼が聞こえてくるような気がする。ゆり子さんの姿は、半月の夜に引き潮で露わになった浜辺のように自然に見える。でも文字にするといささか刺激が強すぎるので、この先のレポートは差し控えよう。
 
  ●11:29 妖艶メイクで大胆ベッドシーン
  次に現れたゆり子さんは妖艶だった。まっすぐ下ろした前髪と強めのアイメイクでより目が強調され、ソフトにカールしたサイドヘアが艶やかな表情に退廃的なニュアンスを添えている。下は鮮やかなブルーのヒモタイプ。先程よりもさらに官能度が上がっている。
  「ちょっと腰を浮かせて」
  「右足、気持ち、高くして」
  「左足、もう少し内側に」
  ベッドの上で寝そべりながら、次々と飛んでくる指示に従ってポーズを探っていくゆり子さん。シャッターが切られるたびにポーズも大胆になっていく。傍から見るとラクそうに見えるが、ベストな位置に手足や腰をキープしたままにするのは、おそらくかなりキツイのだろう。それでも顔の表情は常にパーフェクトで、彼女のモデル魂を垣間見た気がした。
 
  ●12:38 スタジオ撮影終了
  スタジオを後にする時、ゆり子さんにまいどブラの着用感を聞いてみた。
  「ベストポジションを探りながらだったので、5回も貼り直しちゃいました(笑)。慣れれば一発で付けられますよ。それと、粘着力はヌーブラより強い感じ」。
  ちなみに、この日ゆり子さんが付けているのはBカップ。脇から肉を持ってきて寄せて谷間を作ったというが、スレンダーなのでそもそも贅肉なんて全くない。それでもキレイな谷間ができたのは、まいどブラの実力に拠るところも大きいのではないか。
 
  ●13:30 潮風公園
  ロケ地は東京湾を臨む潮風公園。大学生らしき50名ほどの集団がバーベキューで盛り上がっているのを横目に公園の奥へと進んでいく。暑い。陽射しが痛い。それでもたまに海風が吹くので救われる。海の上をさまざまな船がゆっくりと通り過ぎていく。平日午後の、のどかな景色。この場所で先ほどのように服を脱いで撮影するのだが、幸いなことに人通りはほとんどないみたいだ。
 
  ●14:30 撮影開始!太陽と潮風とまいどブラ
  ロケバス内で支度を終えたゆり子さんがやってきた。海と高層ビル群を背景に、はらりと上着をはだけて誇らしげにまいどブラをさらす。強い陽差しに白い肌がまぶしい。パシャ、パシャ、パシャ。撮る、撮る、撮る。
  潮風がいたずらをする。髪が顔にかかる。すかさずヘアメイクさんが入る。カメラマンは、ゆり子さんとまいどブラと自然条件が完璧にシンクロする瞬間を切り取っていく。順光で、逆光で、場所を移動してまた。画像チェックが入るたびに日傘がゆり子さんを守り、ヘアメイクさんが手直しをする。
  それにしても暑い。コンクリートの照り返しがキツイ。ゆり子さんとカメラマンはうなじに熱さまシートを貼って奮闘している。ヘア、ポーズ、表情、すべてが揃った最高の一瞬のために、何度も何度も繰り返されていく炎天下の真剣勝負。粘る、粘る、まだ粘る。
 
  ●15:32 木陰のカット&キラキラシーン、そして終了へ!
  水分補給の休憩を挟んで、木に寄り添うカットを終えると、ほどよく陽が傾いて水面がキラキラしてきた。いくぶん和らいだ光の中で最後の1カット、キラキラシーンを撮る。午後になって慣れてきたせいか、ゆり子さんの爽やかさのせいか、まいどブラって、普通に街着としてアリかもしれないと思えるようになっていた。それはゆり子さんの胸に優しく吸い付き、完璧なまでにボディと一体となっている。健康的でナチュラルで、フォーエバーなんとかよりよほど普遍性があるように思える。これなら高校生が学校に着て行っても、またはOLが会社での制服にしても、全く問題ないのではないか。
 
  ●15:49 終了~!!!
  お疲れさまでした!!!6時間あまりゆり子さんの胸と一体化していたまいどブラは、ゆり子さんのカラダにほてりを残し、ついにお役御免となった。
 
  かくして撮影を終えたまいどブラ。単なる商品イメージ写真と言ってしまえばそれまでだが、1カット、1カットに込められたこの日のスタッフの想いを汲み取ってご覧いただくと、また別の味わいもあるのではないだろうか。なお、撮影されたおびただしい写真の中から厳選したカットを、まいどブラのコーナーに並べておいた。興味のある方は是非、チェックしてみてくださいね。
 
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炎天下の屋外撮影はこんなふう
 

    

そこにあるのは未体験のオーガズム!美しさと解放感にほんの少しのエロティシズムを加えたとき、人は無上の幸福感に包まれる!

ゆり子さんとまいどブラは、なぜかくも激しく求めあったのだろうか。本文を読んでも今一つ理解できなかったのなら、まいどブラを実際に手にして彼女たちに起こったことを追体験してみよう。ブラが自宅に届き、パッケージをあける瞬間から、あなたは何か予感めいたものを感じるはずだ。そしてそれを自分の胸に貼り付けるとき、全ての疑問が解けるような気がするはずだ。物心ついたころから自分の中で欠けていると思っていた何か、どんなに探しても決して埋められることがないだろうと諦めていた何かがそこにある。不完全性を有するまいどブラを、次に完璧な存在たらしめるのはあなたかもしれない。