いいニュースと悪いニュースがある。いいニュースは最近、フジ矢の新商品がたくさん載ってる新カタログがまいど屋に届いたこと。悪いニュースはフジ矢を担当するまいど屋のスタッフの頭が悪く、カタログをなかなか理解できずにページの更新作業が進まないことだ。ニッパやペンチ、カッターにプライヤーなどなど。フジ矢が得意とする工具は一見単純そうに見えるが、カタログを読み解くのは実はそれほどラクな作業ではない。まいど屋の画面を見ていただくとお分かりかと思うが、関連する部品が意外に多く、しかもその部品が様々な商品に使い回せることが多いので、画面を作ろうとすると頭がこんがらがってくるのだ。とりあえずすべての部品を紙に書きだして、これはあっちにも使える、これはこっちにもなんてやってると、時間があっという間に経ってしまう。カタログが届いたはいいものの、ぐずぐずしているうちにもう秋が近づいてきてしまった。フジ矢の商品を待ち焦がれているお客さまには本当に申し訳ない思いでいっぱいなのだが、必死に頑張ったって、ある日突然理解力が人並みになるはずもない。そこのところはどうか、フジ矢ファンの皆さんも寛大にご理解いただきたい。でも、こんな調子でやっていたら、来年になっても絶対に終わらないよなぁ。ひとりでぐだぐだ悩んでいるより、メーカーさんに直接お伺いして専門家のアドバイスをもらってこようか。実を言うと、そう考えて企画したのが今回の特集で、もっと実のところを言うと、アタマの悪いスタッフとはこの文章を書いているこの私なのである。特集に取り上げるとなれば、少しは本気になって(いや、取り上げなくてもホンキなのだが、いつも以上に必死になって)、カタログ情報を画面に移し替える作業を進めていけるだろう。苦手な工具のレポートをあえて買って出たのは、言わば退路を断って活路を見出そうとする捨て身の作戦なのである。
というわけで、ワラにもすがる想いで駆け付けたフジ矢本社。もちろん、皆さんにお届けするこのレポートは部品の確認などの細かいことではなく、新商品に絞ったお話なので、きっとお楽しみいただけると思います。内装屋さん、水道屋さんに電工さん。フジ矢にお世話になってるひとたちは必見です!
というわけで、ワラにもすがる想いで駆け付けたフジ矢本社。もちろん、皆さんにお届けするこのレポートは部品の確認などの細かいことではなく、新商品に絞ったお話なので、きっとお楽しみいただけると思います。内装屋さん、水道屋さんに電工さん。フジ矢にお世話になってるひとたちは必見です!
フジ矢
大人気の偏芯パワーペンチ(左2つ)と一般的なペンチ(右)
切れ端をしっかりグリップするキャッチニッパ
新商品を紹介してくれるのは、営業部の大西さん。その前に、「せっかくなので」と製造工程を見学させてもらった。国内シェアNo.1を誇るペンチやニッパ。さぞかし自動化が進んでいるのだろうな・・・と思いきや、組み立て、焼き入れ、刃付け、研磨など重要な工程はすべて手作業。しかも、カタチになった製品は、職人さんが一つ一つライトにかざして刃の重なり具合を調べ、少しでも狂いがあれば微調整。さらにピアノ線などの線材を試し切りして、品質をパーフェクトなものにしていた。「手作業が多いので皆さん驚かれます」と、大西さんがこちらの反応を見ながら面白そうに笑う。「でも、切れ味や耐久性はこの職人技があるからこそなんですよ。機械に流して作っただけの大量生産品とは品質が全く違います」。
では、その実力はいかなるものか?フジ矢のペンチの中で現在もっとも勢いのある商品、『偏芯パワーペンチ』(型番:3000N-200、225)から見ていこう。「ペンチって、通常は左右のパーツが交差する中央を支点にしますよね。ところが、これは支点を刃に近い方にずらしている。テコの原理で、刃と支点が近いほど少ない力で大きな力が得られるので、同じ力を加えても一般的なペンチに比べて3割ほど切れ味がアップするんです」。そう言って大西さんはスパッ!スパッ!といとも簡単にVA3芯を切ってみせる。どうぞ、と促され、自分でも試してみると、スッと握りきるだけでキレイな三つ目の断面が金太郎飴のように次々と現れ、実に気分がいい。
ちなみに、フジ矢のペンチの最高峰、『零ペンチ』(型番:3100-175、200)も偏芯タイプ。フジ矢の創業魂を注ぎ込んだフラッグシップモデルで、切れ味、先端のグリップ力、フィット感、すべてにこだわり抜いている。値段もそれなりにするが、一丁一丁にシリアルナンバーまで刻まれていて、持っているだけで職人魂がくすぐられる垂涎のアイテムだ。
さて、次は、結束バンドを切っても、切れ端が飛び散らない『キャッチニッパ(バネ付き)』(型番:90CS-125)。「これ、発売から2年経たないうちに3万丁を突破した人気商品です!」。
そう言われても、3万丁がどのくらいスゴイことなのか見当がつかないが、大西さんの表情から察するに、とにかく売れに売れているらしい。「従来品にも飛散防止を謳ったものがありますが、棒で押さえる方式なので100%確実とは言えませんでした。でも、これは2枚のプレートでしっかり挟むので、小さな破片も逃しません。ツラ切りしても、つるんと切れ残りなくカットでき、切断面で指先などを怪我する心配もないんです」。
試しに使わせてもらうと、軽いタッチでプツッと切れて、切れ端はちゃんと挟んだまま。ツラ切りにもチャレンジしてみたが、素人が初めて使ったというのに、段差のないキレイな切断面になっていた。「現場が散らからないのでいい、と、電気工事関連で好評なほか、自動車の整備士さんなどクルマ関連での反響も大きかったですね。部品が詰まったボンネット内に切れ端を落としてしまえば、拾うこともままなりませんし、それが熱で溶けて部品に付着すれば、不具合や故障につながりますから」。
なるほど、なるほど、確かに便利。これさえあれば、あれ?どこへ飛んでった?と探す手間も、拾う手間もいらない。かくいう自分も欲しくなってしまったではないか。結束バンドを切る作業なんて、1年に1度あるかないかぐらいなのに・・・。
最後にもうひとつ、モンキーレンチも紹介しておこう。新シリーズはライトモンキー、ショートモンキーだが、ヘッドの造りや性能はどれも同じ。「フジ矢のモンキーは、後発組なのでまだまだ認知度が低いんです。そんな中で勝負していくには、値段か、機能か、になりますが、ウチのは値段も安くて高機能。他メーカーさんにはない特徴を多々備えています」。
第1の勝負ポイントは、広く開くこと。一般的なJIS規格製品と比べて10%以上ワイドに開口するため、1サイズ大きいものもカバーでき、少ない本数で使い回せる。また、閉じていくと最終的にピタッと爪が合わさるので、小さな物も力強くつかむことができる。ところで、このモンキー、よく見ると、爪の部分に何やらギザギザが・・・。「滑り止めではありませんよ。ナットの角が潰れないようにするためのギザギザです。面で押さえて回すと、ナットの角がモンキー本体に当たって潰れやすくなるので、ギザギザで浮かせて点(線)で押さえるんです。点(線)で押さえても、かかる力は面で押さえるのと同じなので」。
これを第2の勝負ポイントとすると、第3のポイントは、狭い場所でいかに使い勝手を良くするか、である。「他メーカーのものはアゴ(可動爪をスライドさせるバー)が出ない代わりに最後まで閉じきりませんよね。当社のはピタッと閉じた時にはアゴが出ますが、使うために少し開けばアゴが中に入ってしまう。そういった設計で使用時のヘッドをコンパクトにしています」。
また、他メーカー品に比べてフジ矢のモンキーは爪の先端が薄くて長い。「先端がシャープなので狭い所にも入りやすく、使用シーンが広がります。狭い場所では、表向きで回し、裏返して回し、ってやりますが、振り幅が大きいと1回で回す角度が限られて効率が悪い。当社のモンキーは柄に対する爪の角度が15度なので、他メーカーさんの23度に比べて、小さな振り幅で効率よく回せるんです」。
以上、工具の主な新商品を解説してもらったが、このほかにも、ワイヤーカットもワイヤーストリップも圧着もレバーを握るだけでできてしまう『オートマルチストリッパ』なんてのもある。ワイヤー被覆が笑えるほど簡単キレイに剥せる画期的なアイテムなので、大西さんが強く推していたことを記しておこう。あ、それと、型崩れしにくくて使いやすい『電工バッグ』シリーズも。
熟練の実演販売員さんのように手慣れた様子で説明する大西さんと商品の実力にすっかり魅了されてしまった今回の取材。この感動を皆さんにお伝えせねば・・・とレポートを書いてみたものの、言葉での説明では限界を感じる。それでも、少しでもわかりやすくお伝えしようと以下に商品の詳細を記しておいたので、多少の参考にしてみてください。そして、あとは実際に皆さんご自身の手で試してみること。本当に、百聞は一見に如かずってこのことですから。
では、その実力はいかなるものか?フジ矢のペンチの中で現在もっとも勢いのある商品、『偏芯パワーペンチ』(型番:3000N-200、225)から見ていこう。「ペンチって、通常は左右のパーツが交差する中央を支点にしますよね。ところが、これは支点を刃に近い方にずらしている。テコの原理で、刃と支点が近いほど少ない力で大きな力が得られるので、同じ力を加えても一般的なペンチに比べて3割ほど切れ味がアップするんです」。そう言って大西さんはスパッ!スパッ!といとも簡単にVA3芯を切ってみせる。どうぞ、と促され、自分でも試してみると、スッと握りきるだけでキレイな三つ目の断面が金太郎飴のように次々と現れ、実に気分がいい。
ちなみに、フジ矢のペンチの最高峰、『零ペンチ』(型番:3100-175、200)も偏芯タイプ。フジ矢の創業魂を注ぎ込んだフラッグシップモデルで、切れ味、先端のグリップ力、フィット感、すべてにこだわり抜いている。値段もそれなりにするが、一丁一丁にシリアルナンバーまで刻まれていて、持っているだけで職人魂がくすぐられる垂涎のアイテムだ。
さて、次は、結束バンドを切っても、切れ端が飛び散らない『キャッチニッパ(バネ付き)』(型番:90CS-125)。「これ、発売から2年経たないうちに3万丁を突破した人気商品です!」。
そう言われても、3万丁がどのくらいスゴイことなのか見当がつかないが、大西さんの表情から察するに、とにかく売れに売れているらしい。「従来品にも飛散防止を謳ったものがありますが、棒で押さえる方式なので100%確実とは言えませんでした。でも、これは2枚のプレートでしっかり挟むので、小さな破片も逃しません。ツラ切りしても、つるんと切れ残りなくカットでき、切断面で指先などを怪我する心配もないんです」。
試しに使わせてもらうと、軽いタッチでプツッと切れて、切れ端はちゃんと挟んだまま。ツラ切りにもチャレンジしてみたが、素人が初めて使ったというのに、段差のないキレイな切断面になっていた。「現場が散らからないのでいい、と、電気工事関連で好評なほか、自動車の整備士さんなどクルマ関連での反響も大きかったですね。部品が詰まったボンネット内に切れ端を落としてしまえば、拾うこともままなりませんし、それが熱で溶けて部品に付着すれば、不具合や故障につながりますから」。
なるほど、なるほど、確かに便利。これさえあれば、あれ?どこへ飛んでった?と探す手間も、拾う手間もいらない。かくいう自分も欲しくなってしまったではないか。結束バンドを切る作業なんて、1年に1度あるかないかぐらいなのに・・・。
最後にもうひとつ、モンキーレンチも紹介しておこう。新シリーズはライトモンキー、ショートモンキーだが、ヘッドの造りや性能はどれも同じ。「フジ矢のモンキーは、後発組なのでまだまだ認知度が低いんです。そんな中で勝負していくには、値段か、機能か、になりますが、ウチのは値段も安くて高機能。他メーカーさんにはない特徴を多々備えています」。
第1の勝負ポイントは、広く開くこと。一般的なJIS規格製品と比べて10%以上ワイドに開口するため、1サイズ大きいものもカバーでき、少ない本数で使い回せる。また、閉じていくと最終的にピタッと爪が合わさるので、小さな物も力強くつかむことができる。ところで、このモンキー、よく見ると、爪の部分に何やらギザギザが・・・。「滑り止めではありませんよ。ナットの角が潰れないようにするためのギザギザです。面で押さえて回すと、ナットの角がモンキー本体に当たって潰れやすくなるので、ギザギザで浮かせて点(線)で押さえるんです。点(線)で押さえても、かかる力は面で押さえるのと同じなので」。
これを第2の勝負ポイントとすると、第3のポイントは、狭い場所でいかに使い勝手を良くするか、である。「他メーカーのものはアゴ(可動爪をスライドさせるバー)が出ない代わりに最後まで閉じきりませんよね。当社のはピタッと閉じた時にはアゴが出ますが、使うために少し開けばアゴが中に入ってしまう。そういった設計で使用時のヘッドをコンパクトにしています」。
また、他メーカー品に比べてフジ矢のモンキーは爪の先端が薄くて長い。「先端がシャープなので狭い所にも入りやすく、使用シーンが広がります。狭い場所では、表向きで回し、裏返して回し、ってやりますが、振り幅が大きいと1回で回す角度が限られて効率が悪い。当社のモンキーは柄に対する爪の角度が15度なので、他メーカーさんの23度に比べて、小さな振り幅で効率よく回せるんです」。
以上、工具の主な新商品を解説してもらったが、このほかにも、ワイヤーカットもワイヤーストリップも圧着もレバーを握るだけでできてしまう『オートマルチストリッパ』なんてのもある。ワイヤー被覆が笑えるほど簡単キレイに剥せる画期的なアイテムなので、大西さんが強く推していたことを記しておこう。あ、それと、型崩れしにくくて使いやすい『電工バッグ』シリーズも。
熟練の実演販売員さんのように手慣れた様子で説明する大西さんと商品の実力にすっかり魅了されてしまった今回の取材。この感動を皆さんにお伝えせねば・・・とレポートを書いてみたものの、言葉での説明では限界を感じる。それでも、少しでもわかりやすくお伝えしようと以下に商品の詳細を記しておいたので、多少の参考にしてみてください。そして、あとは実際に皆さんご自身の手で試してみること。本当に、百聞は一見に如かずってこのことですから。
最高級モデル『零ペンチ』を手にする大西さん
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偏芯テコ原理で切れ味30%アップ!ピアノ線だって切断可能!軽々持ててラクラク切れる、大人気の偏芯パワーペンチ 支点と刃を近づけることで少ない力でラクに切れる偏芯仕様。最高級の特殊鋼を使用しているのでピアノ線も切断OK。くわえ部のギザ形状がしっかりグリップして滑りにくく、便利な簡易圧着付きなのもマル。落下防止用コード取り付け穴付き。3000N-200は重量270g。鉄線Φ3.4、銅線Φ4.0、ピアノ線Φ1.6、VA・VVF線Φ2.0×3芯の切断が可。3000N-225は340g。鉄線Φ36、銅線Φ4.0、ピアノ線Φ2.0、VA・VVF線Φ2.6×3芯に対応。 |
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VA線・VVF線の切断に、ハイテク研磨技術でシャープな切れ味!電気設備工事のプロユースモデル、電工名人強力ニッパ 3芯線も同軸線もラクに切断できる強力ニッパ。刃部は、独自開発の最先端研磨技術で、被覆線も軽~く切断できて、切断面もきれいな仕上がり。人間工学に基づいたソフトグリップが手に優しくフィット。落下防止用コード取り付け穴付き。175は鉄線Φ2.0、銅線Φ3.0、VA・VVF線Φ2.0×3芯の切断が可。200は鉄線Φ2.5、銅線Φ3.5、VA・VVF線Φ2.6×3芯OK! |
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