【住商モンブラン】介護も二度目ならimage_maidoya3
そう、二度目である。懐かしい中森明菜のあの名曲を参考に復活の動機を推測するなら、住商さんも今回こそは少しは上手に、介護に対する熱い想いをユーザーの皆さんに伝えたいと思っているのだろう。
  もちろんまいど屋としても、彼らのそんな心意気を支援するのにやぶさかではない。誰もがしたり顔で論じるように、介護の問題がこれからの日本社会でますます大きな意味を持ってくることは、疑いようのない事実なのだ。当然、介護に携わる人々の数もこれからどんどん増えていく。そして実際のところ、容赦なくハードなケアワーカーさんの仕事を少しでも楽にしてくれる、適切で過不足のない、高品質なウェアに対するニーズは日を追うごとに高まっていく。そうした状況の中で、まいど屋がささやかながらもお役に立つことができるのであれば、それは本当に、心の底から望むことであるのだから。
  だがしかし、とここで編集部は急に臆病風に吹かれることになる。まいど屋にはあの悪夢のような記憶が頭にこびりついていて、今回の住商さんの動きをもろ手を挙げて歓迎することができずにいる。警戒心の強い小動物がいつもそうするように、穴の中にじっと身を潜めたまま、しばらくは相手の動向を注意深く見守っていたいとさえ思い始める。読者の皆さんに言い訳をするわけではないが、公平に見てまいど屋がそう考えるのは無理もないことだ。それはリソースの限られたまいど屋の、自己防衛本能なのだ。
  このたび、住商モンブランは彼ら自身、二度目の介護専用コレクションを発表し、その旨をまいど屋にも通知してきた。先に述べたとおり、動機は至って純粋なものなのだろう。確か、前回も彼らは、過酷な条件で精いっぱいの努力を続けるケアワーカーさん達への熱い想いを語っていた。今回も同じ情熱を持っていないなどとどうして言えようか。そう、彼らは本当にまじめに、介護について考え抜いてきたのだ。介護にまつわるすべての事柄について一つひとつ真剣に検討し、考えうるあらゆるケースに対応できるよう、シミュレーションを重ねてきたのだ。ただ一点、それだけボリュームのあるコレクションがある日突然消滅した場合、まいど屋が受ける衝撃の大きさについて考えを巡らすことを別にして。
  もうずいぶん前の話になるが、住商モンブランは確かに介護専用のコレクションを持っていた。そしてもちろん、まいど屋にはそのラインナップがすべて揃っていた。彼らのパッションはまいど屋の社内にも伝播し、スタッフたちは理想の実現に向けて奮い立っていた。そしてある日、ハシゴを外された。まるで建て替えが決まったアパートの大家さんが入居者の事情など顧みず、今すぐ立ち退いてくれと事務的に連絡してくるみたいに。
  まいど屋としても本格的に介護に取り組むのが二度目なら、少しは上手に、彼らのホンキを見極めたい。生産が終了してしまったウェアの袖口をつまんでうつむくだけなんて。疑いと期待感が絡まって、戸惑うばかりの編集部なのである。というわけで、今回は奇跡のカムバックを遂げた住商の介護ウェアコレクションについて。
 

住商モンブラン
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商品企画室の志智課長
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『ローラ アシュレイ』の介護ウェア
「今回のコレクションの発表で、“ようやくモンブランも介護を真面目にやるようになった”とのお声をいただいています(笑)」。そう話すのは、商品企画室の志智課長。住商モンブランが介護ウェアに着手したのは26年前のこと。医療白衣カタログの中の介護コーナーとして展開したのち、メディカルから独立させ、専用カタログでの打ち出しに。しかし、それも2010年には再びメディカルに吸収され、この6年というもの、メディカルカタログの中でひっそりと生きながらえていた介護ウェアは年を追うにつれて減り続け、もうそろそろ絶滅寸前という状況だったのだ。「ここしばらく医療ウェアに専念してきて、再び介護ウェアに注力することになったので大々的に発表しました。昨年のメディカルカタログの介護分野24ページ分が、今回112ページのケアカタログになり、質・量ともに充実した内容となっています」。コレクションは、自社ブランド『モンブラン』の介護ウェアを中核に、新ブランドとして癒し系の『ローラ アシュレイ』とスポーツ系の『アシックス』を加えて、ラインナップに幅と厚みをプラス。この3本柱で多様化するニーズに応えていくのだという。
  「『ローラ アシュレイ』は介護にふさわしい“癒し”のブランドです。見た目もやわらかい、女性らしいウェアで、衿や前立てなどに『ローラ アシュレイ』を代表するフラワープリント『アメリ柄』を取り入れています」。オフホワイトを中心としたベース地にあしらったアメリ柄は、ピンク系、ブルー系の2色。介護士向けのニットシャツからナースジャケット、レディスドクターコートまで揃っていて、全面アメリ柄のエプロンもある。そんなデザインへのこだわりに加え、着心地を大きく左右する素材にもかなり工夫を凝らしているという。「特にニットシャツは、キュプラ(コットン由来の再生セルロース繊維)が肌面に多く当たる編み方をしているので吸汗速乾で肌にやさしいのが特徴です」。
  昨年開催したエンドユーザー向けの展示会で好評を博し、今年の代理店向け展示会でも評判がよく、手応えも上々とか。しかも、既に大阪梅田の医療モールで採用されているという。「その医療モールは、内装や照明も『ローラ アシュレイ』で統一されていて、女性ドクター、検査技師、看護師、薬剤師もみんな『ローラ アシュレイ』。クリニックごとに色・型違いで揃えてね。まさに癒しの医療モールです」。
  そんな『ローラ アシュレイ』と対極にあるのが、介護では新登場となる『アシックス』。「シャープな色使い、吸汗速乾、ストレッチなど、スポーツウェアのよさを介護に活かしたラインナップです。今でこそ各メーカーからスポーツブランドのウェアが出ていますが、住商モンブランでは2008年からアシックスとコラボしている。医療白衣でスポーツブランドを初めて導入したのは当社なんです」。志智課長によると、アシックスの強みは、自社研究機関によるデータの裏付けがあり、動きやすく着疲れしないウェアづくりのノウハウがあること。さらに、アシックス自ら「Tryus(トライアス)」という予防介護の機能訓練特化型デイサービスを展開している点も大きいという。
  さて、これら新ブランドもインパクトがあるが、コレクションの中核となる自社ブランドからも2つの注目すべき新シリーズがリリースされているようなので、こちらも皆さんに紹介しておこう。1つは高級介護施設向けの『ケア・グレイス』、もう1つは汎用性の高い『ケア・コンフォート』だ。
  「『ケア・グレイス』は、落ち着いたカラーのグレード感あるシリーズです。アイテムは、役所などに出向く機会の多いソーシャルワーカーさん向けに、あらたまった場所でも着ていただけるジャケットと、シックなベージュ、ブラウン、ネイビーのニットシャツです」。程よいストレッチ性がある濃紺のジャケットは、サッと羽織るだけで凛とした雰囲気に早変わり。また、ポロシャツライクなニットシャツは、ノーマルタイプとスキッパータイプがあり、どちらも台衿付きのボタンダウンできちんとした印象を与えている。「台衿によって衿のヘタりを抑えつつ、カジュアルっぽく見えないようにしています。肌当たりのいい素材で着心地がよく、左右に脇ポケットがあるので1枚で着ても収納に便利です」。
  これに対し、『ケア・コンフォート』は、場所、人、年齢を選ばないオールラウンダータイプ。クセのないスタンダードなデザインをベースにしながら専門的な機能性に磨きをかけた、より実践的なシリーズだ。「使い勝手と着心地のよさに徹底的にこだわっています。大勢のスタッフのユニフォームとして採用するなら、こっちの方がより好まれるかもしれない。誰でも似合う。誰でも気持ちよく着られる。そしてカユイところに手が届くように、ちゃんと仕事をサポートしてくれる。ユニフォームで大事なのは、結局そこですからね」。
  新ブランドあり、新シリーズありでかなり気合の入った住商の新生介護コレクション。商品の詳細については以下でじっくりと確認してみよう。
 
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社内に掲示中の介護ウェアパネル
 

    

介護シーンに優雅な華の彩りを!やわらかな色合いと可憐なかわいらしさで着るひとの表情を引き立てるローラ・アシュレイシリーズ

上品な白地にさりげなく配したフラワープリント。さらに女性らしいシルエットやこだわりのディテールに心和む癒し系シリーズ。ナースジャケットとレディスドクターコートは帯電防止のポリエステル100%。ニットシャツは吸汗速乾で肌当たりもやさしいキュプラ混。いずれも制菌、透け防止、防汚もしっかり押さえて着心地快適。エプロンはポリエステル100%の制電素材。


少しあらたまったシーンならコレがいい!気品あふれる佇まいで信頼感と安心感を醸し出すケア・グレイスシリーズ

羽織るだけで凛とした雰囲気を醸すネイビーのジャケットは、程よいストレッチ性があって美シルエット。きちんと感ある台衿付きボタンダウンのニットシャツは肌当たりのいいキュプラ混素材で背中タック、両脇ポケット付き。すっきりデザインの七分袖ジャケットはフェミニンなバックスタイルも要チェック。レディスパンツはらくらく快適なウエストゴム仕様のブーツカットタイプ。