バートルといえば、近年の「カッコいい作業服」ブームの牽引役として知られるメーカー。ワイルドかつトンがったデザインで、若者を中心に人気を集めている。
思い返せば、川口市の「まいど屋」を初めて訪ねた去年の暮、参考資料としてカタログを1冊もらって帰るとき「おもしろそう」と選んだのが、バートルのものだった。なんと言えばいいのか、過剰にアクの強い空気というか「えらいことになってる感」が表紙からあふれていた。帰りの新幹線でおそるおそる開いてみたときは、思わず「うおっ」と声が漏れてしまった。
「このメーカー、どうかしてる!」
と驚愕しつつも、既存の作業服イメージを真正面からドカンとブチ破って見せる姿勢には、思わず「あっぱれ!」と言ってしまうのだった……。
今回は、そんな伝説の(?)会社・バートルに新編集部として初めて訪問した。取材テーマは同社のファン付きウェア「エアークラフト」。去年(2017年)に発売し、まいど屋にも注文が殺到した人気商品である。
福山から毎度おなじみの福塩線に乗って40分、鵜飼駅下車。車道沿いをてくてく歩いていくと、ひときわ目立つ同社のビルが見えてくる。
大崎諭一社長みずから、バートルの商品展開や「エアークラフト」の魅力について語ってもらった。
思い返せば、川口市の「まいど屋」を初めて訪ねた去年の暮、参考資料としてカタログを1冊もらって帰るとき「おもしろそう」と選んだのが、バートルのものだった。なんと言えばいいのか、過剰にアクの強い空気というか「えらいことになってる感」が表紙からあふれていた。帰りの新幹線でおそるおそる開いてみたときは、思わず「うおっ」と声が漏れてしまった。
「このメーカー、どうかしてる!」
と驚愕しつつも、既存の作業服イメージを真正面からドカンとブチ破って見せる姿勢には、思わず「あっぱれ!」と言ってしまうのだった……。
今回は、そんな伝説の(?)会社・バートルに新編集部として初めて訪問した。取材テーマは同社のファン付きウェア「エアークラフト」。去年(2017年)に発売し、まいど屋にも注文が殺到した人気商品である。
福山から毎度おなじみの福塩線に乗って40分、鵜飼駅下車。車道沿いをてくてく歩いていくと、ひときわ目立つ同社のビルが見えてくる。
大崎諭一社長みずから、バートルの商品展開や「エアークラフト」の魅力について語ってもらった。
バートル
府中市のバートル本社
9ボルトのハイパワーが売り
●「カッコよさならナンバーワン!」
「うちはユニフォーム業界でナンバーワン。会社の規模じゃなくて『カッコよさ』でね。とにかく『バートルはオシャレ』『バートル着てたらカッコいい』と言ってもらえるような商品を作っています。しかも品質もよくて価格もリーズナブル、と」
バートルの持ち味について、大崎さんはこう語る。大人気のメーカーと聞いてはいたものの、ここまでキッパリ「うちが一番カッコいい」と言ってくれるとは。いきなりインタビュアーにとって痛快な場面である。
そんな大崎さんは、30年前に入社してからずっと営業を担当。取材時はもちろん作業着姿ではなかったけれど、普通のビジネスマンとは違った遊び心のあるスーツスタイルからは、どこか「バートル的」な雰囲気を漂わせている。
「入社したときは売上10億円くらい。木造2階建ての小さい会社でした。それから僕と弟で『20億目指そう』『次は30億だ』と会社を大きくしていく中で『やっぱり会社ごとブランディングしていかなくちゃダメだ』と考えるようになった。それで2011年、新ブランド「バートル」が始まったわけです」
とくに現代のようなインターネットによる口コミの時代では、メーカーのイメージ戦略がより重要になる。言ってしまえば、問答無用で「○○を着てるとカッコいい」「△△を着ているとカワイイ」となるようなブランドイメージの確立である。
そこで現在、バートルではSNSを中心としたPRに注力している。なかでもインスタグラムの公式アカウント「burtle2011」では、バートルを着て働く女性たちの「自撮り写真」が、「#現場女子」「#土木女子」などのハッシュタグ付きでアップされ、なかなかの盛り上がりを見せている。取材後に編集部でもチェックしてみたが、想像以上にイケてる女性が多くて驚いた(これは見ておいて損はないです)。
こういったインスタグラムの活況も、レディースのアイテムを多くそろえ、女性向けのシルエットやデザインに力を入れているバートルならではの現象だろう。
●ファン付きウェアも“バートル流”で
昨年(2017年)に発売した「エアークラフト」にも、そんなバートルらしさが息づいている。ただ単に活況のファン付きウェアの市場に入り込むのではなく、あくまで「バートル流のカッコいいファン付きウェアを提案する」というスタンスだ。
エアークラフトの最大の売りは細身のシルエット。既存のファン付きウェアは、送り込まれた空気で風船のようにふくらむのが普通で、このおかげで風が通って涼しくなる仕組みだったが(だから大きめサイズを選ぶのがいいとよく言われる)、同時にこれが野暮ったく見える原因でもあった。そこで、バートルはこの「ふくらみ」を抑えることにしたのだ。
ただし、この「ふくらみ」は風の通り道なので、単純に抑えつけただけでは涼感まで失われてしまう。そこでエアークラフトは、先行メーカーよりファンの出力を強化。9ボルトの電圧でウェアの中に大量の風を送り込むことにした。
このファンやバッテリーといった機械部分を開発したのがリョービであり、2018年モデルからはリョービと京セラが共同出資した京セラインダストリアルツールズ製となった。
リョービといえば電動工具のイメージがあるが、じつは世界的なダイカストメーカー。本社はバートルのある広島県府中市で、エアークラフトはまさに「府中市コンビ」の製品となったわけだが、これにはユニークないきさつがある。
「じつはリョービさんも2016年の夏、自社開発のファン付きウェアを発売していたんです。ただ、あまりいい結果が出なかった。バッテリーやファンの性能には自信があったそうなんですが。それで『ウェアのデザインをテコ入れしよう』という話になり、コラボ相手として作業服メーカーをいろいろ探し回ったそうなんです。で、職人さんなんかに聞いてるうちに、バートルというメーカーがカッコいい作業服を作っているとわかった。そして、いよいよそのバートルって会社にコンタクトしようと思って調べてたら『えーっ、うちの市じゃん!』と」
なんと「府中市コンビ」は狙ってやったのではなく、まったくの偶然だったのだ。
そして、この奇縁がエアークラフトのヒットにつながる。コラボ開発のおかげでエアークラフトの機械部分はリョービ(2018年モデルから京セラインダストリアルツールズ)製という大手メーカーのロゴが付いた。いわば「ブランドもの」であり、ファンやバッテリーの信頼性を求めるユーザーに強く訴えかけられる商品となったのだ。
●バッテリーは「3つ持ち」がベスト?
カッコいい細身のシルエット・9ボルトのハイパワー・大手メーカーの信頼性――。
これらが人気を集め、2017年、エアークラフトはウェア8万枚・ユニット4万セットを出荷。2年目となる今年はウェア20万枚、ファン・バッテリ・ケーブル12万セットを用意している。5月中旬時点で、すでに6割を消化しているという。前年モデルとの互換性もあるため、ウェアやバッテリーだけを追加購入して使うこともできる。
では、2018年モデルと前年モデルはどう違うのか? 改良点は大きく分けて2点である。
ひとつ目はファン部分のプラスチックをより硬質化したこと。ウェアへの取り付け・取り外しがさらに簡単で確実にできるようになった。これによって高所作業時などでファンが落下するリスクを回避するとともに、洗濯時の取り外しもさらにラクにできる。
続いて、二つ目の改良点はバッテリーの小型化だ。昨年モデルでは、ハイパワーを出すためエアークラフトの標準バッテリーは他社よりやや大きめだったが、今年は一回り小さく改良。9ボルトのパワーはそのままで他メーカーのバッテリーとほぼ同サイズとなった。
さらに、今年は新たに小型サイズのバッテリーをラインナップに加えた。標準バッテリーの長さ12cm・重量295gに対し、この小バッテリーは手に隠れるほどのサイズ(5.5cm/130g)。スペック的には標準バッテリーの3分の1から半分なのだが、持った印象としてはもっと小さく感じる。
大崎さんは、このバッテリーの狙いについて次のように語る。
「標準バッテリーの場合、7ボルトで10時間、9ボルトで6.5時間ファンを回せます。一日中フルパワーで回すのはちょっと厳しいですね。そんなとき、小バッテリーを追加で買っておけば、さらに『9ボルトで2.5時間』をプラスできる。これなら仕事中ずっと最大出力でファンを回しておけるわけです。ユーザーさんは標準バッテリーを二つ買うケースが多いようですが、僕だったら『小型バッテリーを3つ買う』のもアリだと思いますね。小型バッテリーを3つ買っても金額としては『標準+小型』を買うのと同じくらいだし、2.5時間×3なら、なんとか一日持たせられますから」
なるほど、重たい標準バッテリーを一日中ずっと身につけるより、小型バッテリーを取り替えながら使う方が確かに身軽で快適だ。それに使い切った小型バッテリーはすぐ充電器につないでおけば、いざというときの予備バッテリーにもなってくれる。いろいろと理にかなっているのだ。
編集部も小型バッテリーを付けたエアークラフトを試着させてもらった。内ポケットには確かにバッテリーが入っているけれど、「ここだけ重い」といった感覚がない。走ったりジャンプしたりと言った動作も自然にでき、バッテリーが入っているのを忘れてしまう。そう、130gといえば一般的なスマホより軽いのである。正直いうと、もう標準バッテリーには戻れないな、と思ってしまった。
ファン付きウェアの涼しさに、バートル的なカッコよさをプラス。さらに今年からは、バッテリーの選択を増やして利便性も高めた。
一見、派手でヤンチャな雰囲気だが、実際に着てみると細かいところまで神経の行き届いた親切なデザイン――。荒っぽい人かと思ったら実はすごく優しかった、みたいなことを思わせるバートルの「エアークラフト」であった。
「うちはユニフォーム業界でナンバーワン。会社の規模じゃなくて『カッコよさ』でね。とにかく『バートルはオシャレ』『バートル着てたらカッコいい』と言ってもらえるような商品を作っています。しかも品質もよくて価格もリーズナブル、と」
バートルの持ち味について、大崎さんはこう語る。大人気のメーカーと聞いてはいたものの、ここまでキッパリ「うちが一番カッコいい」と言ってくれるとは。いきなりインタビュアーにとって痛快な場面である。
そんな大崎さんは、30年前に入社してからずっと営業を担当。取材時はもちろん作業着姿ではなかったけれど、普通のビジネスマンとは違った遊び心のあるスーツスタイルからは、どこか「バートル的」な雰囲気を漂わせている。
「入社したときは売上10億円くらい。木造2階建ての小さい会社でした。それから僕と弟で『20億目指そう』『次は30億だ』と会社を大きくしていく中で『やっぱり会社ごとブランディングしていかなくちゃダメだ』と考えるようになった。それで2011年、新ブランド「バートル」が始まったわけです」
とくに現代のようなインターネットによる口コミの時代では、メーカーのイメージ戦略がより重要になる。言ってしまえば、問答無用で「○○を着てるとカッコいい」「△△を着ているとカワイイ」となるようなブランドイメージの確立である。
そこで現在、バートルではSNSを中心としたPRに注力している。なかでもインスタグラムの公式アカウント「burtle2011」では、バートルを着て働く女性たちの「自撮り写真」が、「#現場女子」「#土木女子」などのハッシュタグ付きでアップされ、なかなかの盛り上がりを見せている。取材後に編集部でもチェックしてみたが、想像以上にイケてる女性が多くて驚いた(これは見ておいて損はないです)。
こういったインスタグラムの活況も、レディースのアイテムを多くそろえ、女性向けのシルエットやデザインに力を入れているバートルならではの現象だろう。
●ファン付きウェアも“バートル流”で
昨年(2017年)に発売した「エアークラフト」にも、そんなバートルらしさが息づいている。ただ単に活況のファン付きウェアの市場に入り込むのではなく、あくまで「バートル流のカッコいいファン付きウェアを提案する」というスタンスだ。
エアークラフトの最大の売りは細身のシルエット。既存のファン付きウェアは、送り込まれた空気で風船のようにふくらむのが普通で、このおかげで風が通って涼しくなる仕組みだったが(だから大きめサイズを選ぶのがいいとよく言われる)、同時にこれが野暮ったく見える原因でもあった。そこで、バートルはこの「ふくらみ」を抑えることにしたのだ。
ただし、この「ふくらみ」は風の通り道なので、単純に抑えつけただけでは涼感まで失われてしまう。そこでエアークラフトは、先行メーカーよりファンの出力を強化。9ボルトの電圧でウェアの中に大量の風を送り込むことにした。
このファンやバッテリーといった機械部分を開発したのがリョービであり、2018年モデルからはリョービと京セラが共同出資した京セラインダストリアルツールズ製となった。
リョービといえば電動工具のイメージがあるが、じつは世界的なダイカストメーカー。本社はバートルのある広島県府中市で、エアークラフトはまさに「府中市コンビ」の製品となったわけだが、これにはユニークないきさつがある。
「じつはリョービさんも2016年の夏、自社開発のファン付きウェアを発売していたんです。ただ、あまりいい結果が出なかった。バッテリーやファンの性能には自信があったそうなんですが。それで『ウェアのデザインをテコ入れしよう』という話になり、コラボ相手として作業服メーカーをいろいろ探し回ったそうなんです。で、職人さんなんかに聞いてるうちに、バートルというメーカーがカッコいい作業服を作っているとわかった。そして、いよいよそのバートルって会社にコンタクトしようと思って調べてたら『えーっ、うちの市じゃん!』と」
なんと「府中市コンビ」は狙ってやったのではなく、まったくの偶然だったのだ。
そして、この奇縁がエアークラフトのヒットにつながる。コラボ開発のおかげでエアークラフトの機械部分はリョービ(2018年モデルから京セラインダストリアルツールズ)製という大手メーカーのロゴが付いた。いわば「ブランドもの」であり、ファンやバッテリーの信頼性を求めるユーザーに強く訴えかけられる商品となったのだ。
●バッテリーは「3つ持ち」がベスト?
カッコいい細身のシルエット・9ボルトのハイパワー・大手メーカーの信頼性――。
これらが人気を集め、2017年、エアークラフトはウェア8万枚・ユニット4万セットを出荷。2年目となる今年はウェア20万枚、ファン・バッテリ・ケーブル12万セットを用意している。5月中旬時点で、すでに6割を消化しているという。前年モデルとの互換性もあるため、ウェアやバッテリーだけを追加購入して使うこともできる。
では、2018年モデルと前年モデルはどう違うのか? 改良点は大きく分けて2点である。
ひとつ目はファン部分のプラスチックをより硬質化したこと。ウェアへの取り付け・取り外しがさらに簡単で確実にできるようになった。これによって高所作業時などでファンが落下するリスクを回避するとともに、洗濯時の取り外しもさらにラクにできる。
続いて、二つ目の改良点はバッテリーの小型化だ。昨年モデルでは、ハイパワーを出すためエアークラフトの標準バッテリーは他社よりやや大きめだったが、今年は一回り小さく改良。9ボルトのパワーはそのままで他メーカーのバッテリーとほぼ同サイズとなった。
さらに、今年は新たに小型サイズのバッテリーをラインナップに加えた。標準バッテリーの長さ12cm・重量295gに対し、この小バッテリーは手に隠れるほどのサイズ(5.5cm/130g)。スペック的には標準バッテリーの3分の1から半分なのだが、持った印象としてはもっと小さく感じる。
大崎さんは、このバッテリーの狙いについて次のように語る。
「標準バッテリーの場合、7ボルトで10時間、9ボルトで6.5時間ファンを回せます。一日中フルパワーで回すのはちょっと厳しいですね。そんなとき、小バッテリーを追加で買っておけば、さらに『9ボルトで2.5時間』をプラスできる。これなら仕事中ずっと最大出力でファンを回しておけるわけです。ユーザーさんは標準バッテリーを二つ買うケースが多いようですが、僕だったら『小型バッテリーを3つ買う』のもアリだと思いますね。小型バッテリーを3つ買っても金額としては『標準+小型』を買うのと同じくらいだし、2.5時間×3なら、なんとか一日持たせられますから」
なるほど、重たい標準バッテリーを一日中ずっと身につけるより、小型バッテリーを取り替えながら使う方が確かに身軽で快適だ。それに使い切った小型バッテリーはすぐ充電器につないでおけば、いざというときの予備バッテリーにもなってくれる。いろいろと理にかなっているのだ。
編集部も小型バッテリーを付けたエアークラフトを試着させてもらった。内ポケットには確かにバッテリーが入っているけれど、「ここだけ重い」といった感覚がない。走ったりジャンプしたりと言った動作も自然にでき、バッテリーが入っているのを忘れてしまう。そう、130gといえば一般的なスマホより軽いのである。正直いうと、もう標準バッテリーには戻れないな、と思ってしまった。
ファン付きウェアの涼しさに、バートル的なカッコよさをプラス。さらに今年からは、バッテリーの選択を増やして利便性も高めた。
一見、派手でヤンチャな雰囲気だが、実際に着てみると細かいところまで神経の行き届いた親切なデザイン――。荒っぽい人かと思ったら実はすごく優しかった、みたいなことを思わせるバートルの「エアークラフト」であった。
小型バッテリー(下)も今回の目玉
|
「ふくらみ」を抑えているのが特徴
|
見た目も着心地もクールなスポーティー空調ウェア!ハードな現場もイケる撥水加工モデル 「エアークラフト」専用のポリエステル100%ブルゾン。AC1021は透湿性のタフレックス(高密度ファインデニール)素材を採用し、カラーはシルバー・デューク・ライトキャメルの3色を用意。AC1021Pは高密度のマイクロソフトシェル素材で、カラーはカモフラブラックのみ。両者ともSサイズは女性でもOKなユニセックス対応シルエット。 |
|
細身シルエットでクールに決めろ!綿100%で着心地も◎な“実力派”ファン付きウェア 「バートル流カッコよさ」を追求したエアークラフト専用ブルゾン。ふくらみを抑えたシルエットにタフな高密度リップクロス素材を採用。綿100%は吸汗性があるため気化熱効果がより高いという説も。カラーはカーキ・シルバー・ネイビーの3色。Sサイズのみユニセックス対応シルエット採用で女性用としてもOK。これが本当のクールビューティー。 |
|