【ボンマックス】挑戦を続けるオールラウンダーimage_maidoya3
かつては江戸最大の繊維街だったという東京・伝馬町。今でも作業服やタオルなどの店が軒を連ねる通りの中に、ボンマックスの本社ビルはある。エントランスには衣装協力をしたドラマや映画のポスターが所せましと貼られており、ベンチに腰かけて「ああ、あのドラマもか」「この映画にオフィスのシーンなんてあったっけ?」などと考えているうちに、つい取材のことを忘れてしまう。なんというか、ビル全体の雰囲気がちょうどいいのだ。格式張りすぎず、リラックスしすぎず……、女性の出入りが多いせいか華やかさも感じる。ひょっとしたら、この空気感こそボンマックスのオフィスウェアの特色ではないだろうか。女性を美しく見せつつも目立ち過ぎず、仕事をサポートしつつも機能を主張しすぎず――とさまざまなことを思っていたら、編集部はいつの間にか打ち合わせスペースに通されていたのだった。

ボンマックス
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デザイナーの佐々木さん
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営業担当の伊川さん
●「長寿命デザイン」を求めて
 
   話を聞かせてくれたのはデザイナーの佐々木彩さんと営業の伊川邦雄さん。まずは近年のオフィスウェアを取り巻く状況や、同社の主力ブランド「BONOFFICE」のポイントなどについてざっくばらんに語ってもらった。
 
  「2008年のリーマンショック以降、企業がコストカットのためにユニフォームをやめるパターンが多かったのですが、近年は『制服回帰』というか、ユニフォームを復活させる会社も増えてきています。たとえば制服をやめていた銀行が合併を機に新たなユニフォームを導入したりといったケースですね。金融機関のメインユーザーであるお年寄りにとっては、事務服を着ている人=銀行員。制服がないとスタッフだとわからず、声をかけたりしにくいんです。そんなわけで金融機関をはじめ、JAや病院事務、中小企業など、オフィスウェアのニーズはまだまだ根強いものがあります」(伊川さん)
 
   やはり日本人の制服好きはちょっとやそっとでは変わらない。日本独自のオフィスウェアもまだまだ健在といえそうだ。
 
   とはいうものの、昔ながらの事務服がずっと支持されているかといえば、そこまで単純な話ではないらしい。デザイナーの佐々木さんは次のように語る。
  「オフィスウェアって昔は『3年で買い替え』が定説だったんですが、企業のコスト意識もあって今は4、5年くらい着続ける会社も増えてきました。こうなってくると、モノとしての製品寿命を長くするだけじゃなくて、『デザインの寿命』も延ばさないといけない。私たちデザイナーは5年経っても古臭く見えないようなオフィスウェアを知恵を絞って考えないといけない」
 
   と、そんな厳しい要求に応えてヒットした商品として佐々木さんは「S611」シリーズを挙げる。高級感のあるシャンブレー生地が特徴の夏用オフィスウェアだ。
 
  「2016年のモデルですが、今も非常に人気があります。デザインで心がけたのは『どの年代の女性が着ても似合うこと』。会社の若い子からベテランまで、誰が着てもかわいくて気品もあり、きちんとした印象を与えるように工夫しました。シックで上品な雰囲気もあるので、販売などの接客スタッフでも使えます。接客シーンでも嫌味のない"絶妙なキレイさ"がポイントですね」
 
   デパートなどで販売員が明らかな「いい服」を着ていると、お客さんの心にさざ波を立ててしまう。そうならないよう、高級感・上品さも適度にコントロールしなければならない、という。これには「そんなことまで考えるんですか!?」と、思わず驚嘆の声を上げてしまった。
 
  ●ボンマックスはチャレンジする!
 
   かわいさ、上品さ、高級感、とオフィスウェアへの要望は多いが、佐々木さんによれば、最近ではさらに「ラク」を求める声が非常に多いという。
 
  「まず軽くて着心地がいいこと。ストレッチもマスト条件になってきた結果、ニットに人気が集まっています。家でニットやストレッチの服を着ている女性が増えているので、当然『オフィスウェアも同じ機能が欲しい』という流れになる。企業のユニフォーム選定でも、一度ニットを試着したら、だいたい決まっちゃいますね。ほかにも候補があっても『やっぱりあの服はラクだったよね』と。着心地の良さだけじゃなく、女性らしい柔らかさが出せるのも人気の要因だと思います」
 
  「ラク」は着心地だけの話ではない。「お手入れ簡単」も今や必須条件だ。
 
  「アパレルの世界で洗濯しやすい服が支持されていて、制服も同じ現象が起きていますね。背景には共働きで子育てする家庭も多くて、少しでも手間を省いて自分の時間を作りたいというニーズがあります。たとえば当社のノーアイロンのニットブラウスなら、夜に洗濯して干しておけば、速乾なので朝には着られる。『とにかくラク』という点が評価され、人気を集めている商品です」
 
   トレンドが「ラク」を志向しているのはわかった。だが、ウェアにはデザイン面のトレンドもある。こちらにはどのように対応しているのだろう。佐々木さんは「待ってました」とばかりに新商品のテーパードパンツを見せてくれた。
 
  「ファッション界で流行している『テーパード』をオフィスウェアで提案してみました。オフィスウェアではストレートなパンツが主流なのですが、こちらは先すぼまりで足首が見えるデザイン。足をきれいに見せる効果があります。過去になかったタイプの商品なので、社内でも『こんなのユニフォームじゃないよ』と言われるんじゃないかと心配していたのですが、『新しいことはどんどんやれ』と。チャレンジ精神を認めてくれるいい会社ですよ(笑)」
 
  ●ニッチな需要も見逃さず
 
   かわいさやクールさといった特色をあえて出さず、どんな地域のどんな年齢層でも似合うオフィスウェアを提案する――。そんな信頼感こそがボンマックス商品の特徴だが、佐々木さんの話を聞いていると、意外にも新たなチャレンジをした商品が多いのに気づく。
 
   昨年の秋冬モデルから登場した「裾上げらくらくパンツ」も従来のオフィスウェアにはなかった機能を盛り込んだモデル。アイロンもミシンも使わず、自在に裾の長さを調節できるため、若手ユーザーを中心に人気を集めている。
 
  「この機能はもともとサービス業のユニフォームにあった仕組みです。たとえばスタッフの入れ替わりが激しい飲食店で、いちいち裾上げしてたらキリがないし費用もかさむので、こんなふうに裾を自分で調節できるパンツがあった。いわば経営者を助ける仕組みだったわけです。一方、オフィスウェアの『裾上げらくらくパンツ』の狙いはユーザーを助けること。家にアイロンがない子でもこれなら大丈夫、と。仕組みは同じでも意図が違う。『着用者目線』のウェアであることをアピールしています」
 
   と伊川さんがセールスポイントを語れば、佐々木さんは新製品「トリアセストライプ」シリーズの開発エピソードを披露してくれた。着丈の長いベストが特徴の商品だ。
 
  「当社に出入りしているコピー機業者の女性スタッフの働き方を見ていてひらめきました。ベスト&パンツのスタイルなんですが、しゃがんで作業していると背中が見えることがあり『これはなんとかしなければ』と思って長めのベストを研究してみました。これなら屈んでも大丈夫だし、クールな印象だから接客にもおすすめですよ」
 
   ファッションの流行から女性の働き方の変化まで、常にアンテナを張ってオフィスウェアの可能性をさぐる佐々木さん。広い層に訴えるオールラウンドな商品を作りつつ、ニッチな需要にこたえる新提案も積極的に――。そんな姿勢にボンマックスの強さの源泉を見た気がした。
 
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明るさが魅力の「ブロックチェック」
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チェッカー柄は着やせ効果大

    

オフィスを清楚で爽やかな雰囲気に 通気性も抜群の「メッシュチェック」シリーズ

ネイビーにホワイトを合わせた「ウインドペーンチェック」柄で、正統派な印象を与えるオフィスウェア。ブルー系の色味が夏にぴったりな爽やかなイメージをつくるほか、汗のベタつきや蒸れを防ぐ通気性の高さもウリ。最新の抗菌防臭テクノロジー「ポリジン」採用モデル。


ビビッドカラー&大きめチェックがとっても元気! 明るい魅力満載の「ブロックチェック」シリーズ

女性が明るく元気に働けるようにという願いを込めて開発したチェック柄シリーズ。明るいカラーと大きめの柄は、着る人の年齢を問わず「陽」の雰囲気をつくるほか、立体感のあるツイード生地のおかげで高級感もバッチリ。最新の抗菌防臭テクノロジー「ポリジン」採用モデル。