東京都港区、芝浦――。JR田町駅に降り立った編集部は、なぎさ通りを東京湾方面に向かって歩いていた。首都高に阻まれてレインボーブリッジは見えないが、運河にはお台場クルーズの船が停泊していて、ほんの束の間、リゾート気分が味わえる。そんな水辺の景色を楽しんでいると、運河の対岸にひときわ目立つビルが登場した。「jichodo」のロゴを冠する自重堂ビル(東京営業所)である。ロビーにはおなじみの最高顧問のパネル。そしてその向かいには、新庄剛志、市原隼人のコンビがポーズを決めている。ん? なんだこのウェアのふくらみ……あ、空調服だ! そうか、新作はJawinとZ-DRAGONの空調服か! と、感心していると営業担当のKさんが現れた。「えっ? 7月掲載ですか。ちょっと遅くないですかぁ? いま(6月)でもすでにバンバン出荷してますよ。そのころ在庫あるかな……」。ベテランの営業マンらしく紳士的な物腰を見せつつも、その表情には明らかな自信が、いや、ちびっこ相手に多面指しをする将棋プロのような余裕がにじみ出ている!
自重堂
自重堂ビルは「空調服」一色に
カラーリングが魅力の「74100」
●今年はカジュアル路線
新作の話に入る前に、少し自重堂の空調服についておさらいしておこう。同社が(株)空調服とタッグを組んで「自重堂の空調服」を売り始めたのは、去年のこと。それ以前からも自重堂ではマキタの電動工具用バッテリーを使う「エアコンジャケット」を展開していたが、一般にイメージされる二穴式のファン付きウェアとしては、この2018年の夏が"本格参入"だった。
ファン付きウェアのデバイス(ファンやバッテリー)は、すでにさまざまな会社が開発していたが、自重堂は、故障の少なさや完成度の高さを評価して「空調服」を選んだとしている。ワークウェア企業が慣れない機械をつくるより、「元祖デバイスメーカー」と組むのがいちばん、というわけだ。
まだ記憶にも新しいが、昨年は記録的猛暑だった。ファン付きウェアを扱うあらゆるメーカーからも「今年はよく売れる」という声が聞かれた。業界最大手の信頼感も手伝って、自重堂の空調服も例にもれず好スタート、いやハッキリ言って売れに売れたという。
で、今年が2年目の空調服である。一体、今シーズンはどんな作戦なのか?
営業のKさんは、よく聞いてくれたとばかりに口を開いた。
「ひとことで言えば、『この夏は空調服を大・大・大展開!』って感じですね。去年は1年目ということもあって、ユニフォームとして使うためのオーソドックスな商品をそろえたのに対し、今年はショップ売りも狙ってカジュアルなデザインのものを投入しました。納入向けのJichodoブランドに加えて、Jawin、Z-DRAGONの2大ブランドでも空調服がスタート。昨年からの6タイプに新たな24タイプが加わって合計30点となりました。いかにもなワークウェア風から街でも着れるカジュアルまで。どんなシーン向け、どんな用途向けだろうがそろっていて、とにかくなんでもある。どのメーカーにも負けないラインナップです!」
●24タイプの新商品!
熱気をはらんだトークと共に、Kさんは空調服カタログ取り出す。うわ、ページ数が多い! 去年のペロっとしたカタログとは大違いだ。
パラパラと中を見て、さらに驚いた。ウェアの種類は長袖、半袖だけでなく、ベスト・フード付き・フルハーネス対応まであらゆるタイプをそろえている。素材は綿100%からポリエステル100%、その中間(綿ポリ混合)も豊富。デザインもオーソドックスなものからスポーティ系、ヨーロピアン風、カモフラ柄、赤や青の原色モデルまである。文字通り「全タイプ網羅」なのだ。とくにベスト型は新作だけでも3点もあるくらいで、この空調服へのハマりようには驚嘆を通り越してアブノーマルなものすら感じてしまう……。ヤバいよ、自重堂! アンタもう「空調服屋さん」になっちゃってるよ!
「それだけ需要があるんです! 空調服のニーズと言えば、従来はゼネコンをはじめ工務店、電気工事といった建設系が中心でしたが、近年はだんだん他業種でもニーズが出てきた。倉庫内作業やイベントスタッフなど、あらゆる屋外系の仕事向けに空調服が売れるようになってきているんです。だから今年はデザイン性をアップさせて、幅広いシーンでの需要に応えたい。そんなわけで、ハイスペックでデザイン性の高いJawinに、カジュアルでコスパのいいZ-DRAGON、企業が採用しやすいシンプルな見た目のJichodoと、それぞれのブランドごとに素材・タイプ・ガラなど、今シーズンは考えつく限りのバリエーションをそろえよう、と思ったわけです。そうそう、デザイン違いで3種類のベストを企画したとき、社内からも『そんなに要るか?』と言われましたよ。結果的にいま3つともめちゃくちゃ売れていますから、社内でも『いやー出してよかった。やっぱりたくさん要るよね』と(笑)」
「圧倒的布陣」という言葉が頭に浮かぶ。去年の(いま思えば)慎ましいラインナップと比べると同じ会社とは思えない。たとえるなら、敵の斥候のあとをこっそりつけて行ったら、全兵力が結集して出陣に備えていた、みたいな感じだ。これは早く殿、もといユーザーの皆さんに報告しなければ「この夏の自重堂はめちゃくちゃヤバいです!」と。
●空調服も「個性」の時代に
このような、自重堂の”本気ラインナップ”の中で、今季とくに出足がいいのが、新作のフルハーネス対応モデル(54080)という。熱中症などの労災を防ぐために、先陣を切って空調服を導入してきた建設業界だが、もはや空調服が「夏のスタンダード装備」になっていることがうかがえる。今年からはフルハーネスが義務化されるという背景もあって、ユーザーが早めの確保に動いていた結果、注文が殺到しているようだ。
「54080」は、肩や肘に強度の高いCORDURA生地を使用。安全帯フックをかけるDカン、ランヤード取付口などのハーネス対応の機能に加えて、ファンの脱落を防ぐメッシュポケットもある。高所作業のためのバリバリ”プロ仕様モデル”ながら、Jawinブランドらしく品のいいカジュアルさも兼ね備えている。
これを機能面で突出した商品とするなら、デザイン面でとにかく目を引くのが「シャイニーカモフラ」だ。長袖「54050」、ベスト「54060」の2タイプでこのガラが採用されている。
よくある「光沢のある迷彩ガラ」ではない。本当にアルミホイルのように反射しているのだ。言うまでもなく、目立つ。こういうキラキラジャケットの漫才師がいたような気がするが……。とにかく圧倒的存在感を放つ、攻めに攻めたデザインだ。
「もう説明は要りませんよね。見ての通りですよ」
「派手」以外の言葉が見つからないから、そうつぶやくしかない。Kさんが満足げにうなずく。
作業服をショップで買う人は「カブリ」を嫌うという。企業で一括購入されるユニフォームと違って、個人買いでは、他人と違うデザインやカラーを求める声が大きいのだ。だから、カジュアル衣料ではあまり売れない原色や蛍光カラーのウェアに人気が集まったりする。空調服にもこういう奇抜なデザインが出るということは……。
Kさんは、また盤面を見通したような余裕の笑みを浮かべている。
熱中症対策の特殊な装備から、普通の夏用ウェアに――。空調服は、新たなステージに進みつつある。
新作の話に入る前に、少し自重堂の空調服についておさらいしておこう。同社が(株)空調服とタッグを組んで「自重堂の空調服」を売り始めたのは、去年のこと。それ以前からも自重堂ではマキタの電動工具用バッテリーを使う「エアコンジャケット」を展開していたが、一般にイメージされる二穴式のファン付きウェアとしては、この2018年の夏が"本格参入"だった。
ファン付きウェアのデバイス(ファンやバッテリー)は、すでにさまざまな会社が開発していたが、自重堂は、故障の少なさや完成度の高さを評価して「空調服」を選んだとしている。ワークウェア企業が慣れない機械をつくるより、「元祖デバイスメーカー」と組むのがいちばん、というわけだ。
まだ記憶にも新しいが、昨年は記録的猛暑だった。ファン付きウェアを扱うあらゆるメーカーからも「今年はよく売れる」という声が聞かれた。業界最大手の信頼感も手伝って、自重堂の空調服も例にもれず好スタート、いやハッキリ言って売れに売れたという。
で、今年が2年目の空調服である。一体、今シーズンはどんな作戦なのか?
営業のKさんは、よく聞いてくれたとばかりに口を開いた。
「ひとことで言えば、『この夏は空調服を大・大・大展開!』って感じですね。去年は1年目ということもあって、ユニフォームとして使うためのオーソドックスな商品をそろえたのに対し、今年はショップ売りも狙ってカジュアルなデザインのものを投入しました。納入向けのJichodoブランドに加えて、Jawin、Z-DRAGONの2大ブランドでも空調服がスタート。昨年からの6タイプに新たな24タイプが加わって合計30点となりました。いかにもなワークウェア風から街でも着れるカジュアルまで。どんなシーン向け、どんな用途向けだろうがそろっていて、とにかくなんでもある。どのメーカーにも負けないラインナップです!」
●24タイプの新商品!
熱気をはらんだトークと共に、Kさんは空調服カタログ取り出す。うわ、ページ数が多い! 去年のペロっとしたカタログとは大違いだ。
パラパラと中を見て、さらに驚いた。ウェアの種類は長袖、半袖だけでなく、ベスト・フード付き・フルハーネス対応まであらゆるタイプをそろえている。素材は綿100%からポリエステル100%、その中間(綿ポリ混合)も豊富。デザインもオーソドックスなものからスポーティ系、ヨーロピアン風、カモフラ柄、赤や青の原色モデルまである。文字通り「全タイプ網羅」なのだ。とくにベスト型は新作だけでも3点もあるくらいで、この空調服へのハマりようには驚嘆を通り越してアブノーマルなものすら感じてしまう……。ヤバいよ、自重堂! アンタもう「空調服屋さん」になっちゃってるよ!
「それだけ需要があるんです! 空調服のニーズと言えば、従来はゼネコンをはじめ工務店、電気工事といった建設系が中心でしたが、近年はだんだん他業種でもニーズが出てきた。倉庫内作業やイベントスタッフなど、あらゆる屋外系の仕事向けに空調服が売れるようになってきているんです。だから今年はデザイン性をアップさせて、幅広いシーンでの需要に応えたい。そんなわけで、ハイスペックでデザイン性の高いJawinに、カジュアルでコスパのいいZ-DRAGON、企業が採用しやすいシンプルな見た目のJichodoと、それぞれのブランドごとに素材・タイプ・ガラなど、今シーズンは考えつく限りのバリエーションをそろえよう、と思ったわけです。そうそう、デザイン違いで3種類のベストを企画したとき、社内からも『そんなに要るか?』と言われましたよ。結果的にいま3つともめちゃくちゃ売れていますから、社内でも『いやー出してよかった。やっぱりたくさん要るよね』と(笑)」
「圧倒的布陣」という言葉が頭に浮かぶ。去年の(いま思えば)慎ましいラインナップと比べると同じ会社とは思えない。たとえるなら、敵の斥候のあとをこっそりつけて行ったら、全兵力が結集して出陣に備えていた、みたいな感じだ。これは早く殿、もといユーザーの皆さんに報告しなければ「この夏の自重堂はめちゃくちゃヤバいです!」と。
●空調服も「個性」の時代に
このような、自重堂の”本気ラインナップ”の中で、今季とくに出足がいいのが、新作のフルハーネス対応モデル(54080)という。熱中症などの労災を防ぐために、先陣を切って空調服を導入してきた建設業界だが、もはや空調服が「夏のスタンダード装備」になっていることがうかがえる。今年からはフルハーネスが義務化されるという背景もあって、ユーザーが早めの確保に動いていた結果、注文が殺到しているようだ。
「54080」は、肩や肘に強度の高いCORDURA生地を使用。安全帯フックをかけるDカン、ランヤード取付口などのハーネス対応の機能に加えて、ファンの脱落を防ぐメッシュポケットもある。高所作業のためのバリバリ”プロ仕様モデル”ながら、Jawinブランドらしく品のいいカジュアルさも兼ね備えている。
これを機能面で突出した商品とするなら、デザイン面でとにかく目を引くのが「シャイニーカモフラ」だ。長袖「54050」、ベスト「54060」の2タイプでこのガラが採用されている。
よくある「光沢のある迷彩ガラ」ではない。本当にアルミホイルのように反射しているのだ。言うまでもなく、目立つ。こういうキラキラジャケットの漫才師がいたような気がするが……。とにかく圧倒的存在感を放つ、攻めに攻めたデザインだ。
「もう説明は要りませんよね。見ての通りですよ」
「派手」以外の言葉が見つからないから、そうつぶやくしかない。Kさんが満足げにうなずく。
作業服をショップで買う人は「カブリ」を嫌うという。企業で一括購入されるユニフォームと違って、個人買いでは、他人と違うデザインやカラーを求める声が大きいのだ。だから、カジュアル衣料ではあまり売れない原色や蛍光カラーのウェアに人気が集まったりする。空調服にもこういう奇抜なデザインが出るということは……。
Kさんは、また盤面を見通したような余裕の笑みを浮かべている。
熱中症対策の特殊な装備から、普通の夏用ウェアに――。空調服は、新たなステージに進みつつある。
"ギラギラ系"空調服「54050」
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カジュアルな半袖モデル「54040」
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空調服はデザインの時代へ! ”最強インパクト”なツートンカラーブルゾン 欧米のモータースポーツを思わせるツートンカラーの空調服。ふくらんでもスタイリッシュにキマるデザイン性だけでなく、肩や腕の反射テープ、ファスナーが隠れる胸ポケットなど、機能面も本格派。グリーンやレッド、ネイビーなど、コーポレートカラーに合わせて選ぶのもオススメ。 |
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満を持して登場のJawinモデル! ナチュラルな着心地もうれしい空調服ブルゾン 綿100%生地を使った長袖ブルゾン空調服。綿なのに空気を逃がさず、首元や腕にしっかりと風を送り込むことができる。Jawinの人気モデル「56700」をベースにしており、斜めジッパーの胸ポケット、赤いラインの左右ポケットなど、高い機能性&デザイン性を誇る。天然素材のやさしい着心地と風合いも魅力。 |
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