【バートル】12ボルトが夏を征服!image_maidoya3
特定の会社を贔屓するべきではないのは肝に銘じてはいるものの、自然と「推し」になってしまうメーカーがある。その代表がバートルだ。理由は「カッコいいから」だけじゃなくて、強い独自性を感じるから。とくに「バートル風」と呼べるような作業服の新潮流を生み出した功績は非常に大きいと感じている。昔ながらの作業服をただ細身シルエットにしたり、カジュアル・スポーツ系の味付けを加えたりするのではなく、あくまで"現代版ガテン系ウェア"として生まれ変わらせた。イカツイ雰囲気やオラオラ感を今時のデザインと機能に落とし込んだのだ。つまり、バートルのウェアが人気を集める理由は「街中のカッコよさ」ではなく「現場のカッコよさ」を表現しているからだ。また、ただワイルドなだけでなく、そこに洗練があるから女性にも支持される。そしてますます「バートル風」は現代作業服のスタンダードとなり、ファン付きウェア「エアークラフト」も絶好調……と、こんなふうに書いても決して褒めすぎではないだろう。スゴイんです、本当に!

バートル
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府中市のバートル本社
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新型バッテリーにうっとりの大崎社長
●コロナに負けず絶好調!
 
  新型コロナウイルスの緊急事態が明け、約3カ月ぶりに出張した編集部。山陽新幹線の福山駅からJR福塩線に乗り換えて鵜飼駅で降りると、道路沿いにワークウェアの会社が立ち並ぶ懐かしい街並みが広がっている。「B」のロゴがひときわ目立つバートル本社に入ると、大崎諭一社長が出迎えてくれた。
 
  「ひさしぶり! よく来てくれたね~♪」
 
  東京や大阪と違って、地方はわりと穏やかだったんじゃないですか? と水を向けると「いやいや、こっちも大変だったよ」とのこと。もちろん単純に病気が怖いこともあるが、もし会社で集団感染なんか起こしてしまったら地元の目が……、という事情もあったようだ。業務体制の縮小やテレワークなど、何カ月も感染予防に心を砕いてきた。その反動なのか、ちょっとハイテンションな大崎さんである。
 
  「うちの縫製工場はベトナムをメインに、ミャンマー、バングラデシュと、中国生産はほとんどないからコロナの影響は少なかったかな。東南アジアは感染の波が遅れてやってきたから対応する余裕もあったし。エアークラフトのバッテリーは京セラさんが中国で作っているんだけど、2019年の暮れには入荷スタートして、春節(※中国の旧正月、2月上旬)明けには、ほぼモノはそろっていた。まあ多少の遅れはあるものの、エアークラフトの出荷は今年も順調です。冬に防寒ウェアを用意するのと同じように、夏の必需品として定着してきた感があるね」
 
  緊急事態宣言に伴って、人が集まるデパートやショッピングセンターは営業を自粛したのに対し、ワークウェアを扱うロードサイド店舗の多くは営業を継続。そのためエアークラフトへの影響は少なかった。それどころか、農林水産や物流の事業者、作業員、工場スタッフといった「エッセンシャルワーカー」を支える商品として、空調服はさらに存在感を増しているように見える。
 
  ●互換性はユーザー目線で
 
  エアークラフトは今シーズンで4年目を迎えた。毎年ユーザーが食いつく仕掛けをしっかり用意しているバートルだが、さて今年のニュースは……、と言いかけるやいなや、大崎さんは新型のバッテリー(型番AC230)を取り出し、前のめりになる。
 
  「今年はなんと言ってもこれね、これ、これ、ここ見てよ!」
 
  ――12ボルト! 小学生でもわかるパワーアップだ。去年までの10ボルトから電圧が20%もアップしたにもかかわらず、重量やサイズのアップはほとんどなし。デザインも一新され、「AIRCRAFT」と「KYOCERA」のロゴが入った。これなら工具なんかのバッテリーとの区別もつきやすいし、そこそこ高い買い物としての所有欲も満たしてくれる。つまり今年はウェアに加えてデバイスまで、バートル的カッコよさを一層追究したかたちだ。
 
  だが、ここで気になることがある。旧モデルとの互換性である。昨年までのファンを使っている人はどうなるのだろう? もし「新型ファンを買ってくれ」というのではちょっと……。
 
  「よく聞いてくれました、旧モデルとの互換性は、ある! このへんはエアークラフトを愛用してくれているお客さんのために絶対ゆずれなかった。10ボルトのバッテリーに対応している2019年モデルのファンに、12ボルトの新型バッテリーをつないだ場合、ちゃんとファンのパワーが上がります。そんなことしたらファンに負荷がかかって壊れるんじゃないかと思うでしょ? 実は去年の段階で12ボルトまで大丈夫なモーター搭載のファンを売っていたわけ。今後もファンのパワー競争が続くことを見越して。こういう布石の打ち方は電子機器でずっと競争してきた京セラさんの知恵だねぇ……」
 
  なんと、ファンは従来品のままで「12ボルト化」が可能だった。
 
  「去年のヤツはもう使えません、じゃあショップがお客さんから怒られちゃうでしょ? メーカーならそういう責任も負わなくちゃ。こういうのがユーザー目線、極めてユーザー目線のものづくりですよ」
 
  会心の笑みが、マスクからはみ出さんばかりにこぼれていた。
 
  ●静かになった新型ファン
 
  従来ファンのパワーアップが可能な一方、今回は新型ファン(型番AC240)も発表している。こちらも新型バッテリーと同様にサイズや重量アップはほぼナシ。特徴は12ボルトのフルパワーで稼働させてもうるさくならない「静音性」だ。
 
  「エアークラフトはハイパワーが売りの一方で、風量MAXにすると音がうるさいっていう意見もあってね……。朝礼のとき前でしゃべってる現場監督の声が聞こえない、とか。開発者としては、あの『ファーーーン!』っていう音がカッコイイと思っていたんだけど(笑)。このまま12ボルトにパワーアップしたらもっと音が激しくなってしまう、というわけで、新型ファンでは羽根をフォーク状にした上で角度も再考し、風切り音を抑えるようにしました」
 
  さて、デバイスが新型になったら次に気になるのはウェアだ。まずは昨シーズンの大ヒットモデルから紹介してもらおう。
 
  「去年めちゃくちゃ売れたのは、エアークラフトベスト(型番AC1024)。ユニセックスデザインでシルエットもキレイ。今年もベストの人気は続くと見ていて、新色のインディゴを追加してる。大手企業やゼネコンなんかは安全面と"きちんと感"を重視して長袖ブルゾンをユニフォームにするんだけど、職人さんが個人で買う場合は、カジュアルで見た目も涼し気な半袖やベストを選ぶケースが多い。長袖のインナーと組み合わせることで冷感や消臭といった機能をプラスしたり、着こなしのバリエーションを出したりできるからね。それにウェアの値段も長袖より安いし」
 
  ファン付きウェアの利点はデバイスを使いまわせることだ。ファンとバッテリーが1セットあれば、現場の規則によって長袖ブルゾンを着て行ったり、ベストとコンプレッションインナーの組み合わせを選んだりといった融通が利く。さらにインナーにも接触冷感タイプ(型番4055)、消臭特化タイプ(型番4056)などの機能性モデルがあるので、自分にとっての"最強の装備"を探してみてもいいかもしれない。
 
  ●層が厚くなったラインナップ
 
  ベストの人気が続く一方で、オーソドックスなブルゾンでも新作を発表。長袖(型番AC1071)、半袖(型番AC1076)の2タイプそれぞれに5種類のカラーバリエーションがある。
 
  「これはカジュアル感ひかえめ。ワーカーらしい見た目だからユニフォームとしても人気があるね。遮熱用のアルミコーティング加工をしてあるので、直射日光を浴びても温度が上がりにくい。フルハーネスを装着したときのランヤードも背中から取り出せるようになっているから、高所作業でも使える。高機能かつスタンダード、という感じかな」
 
  同時に、これと対照的なテイストのモデルも登場した。キャンプやフィッシングを想起させる雰囲気のフード付きジャケットで、長袖(型番1091)・半袖(型番1096)・ベスト(型番1094)のタイプ別にそろぞれ5色といった"多袖多色"の展開だ。
 
  「こっちは個人買いですごく売れてる。ただアウトドア風のルックスがカッコいいだけじゃなく、涼しさもスゴイから。遮熱用のアルミコーティング加工にヘルメットの上からかぶれる大型フードで、体だけじゃなく頭も冷やせる。機能面ではフルハーネス対応に加えて両肩には収納できるハーネスフックハンガーも付けてある。高所作業にオススメです」
 
  ワーキング風、アウトドア風ときて、今シーズンはさらに「ナチュラル風」まで加えた。綿100%ならではの優し気な風合いが魅力で、こちらも長袖ブルゾン(型番AC1131)にベスト(型番AC1134)と2タイプ展開。ファン付きウェアは密閉するために化繊を使ったタイプが多いが、このウェアは空気漏れを防ぐ高密度リップクロス素材で、涼感も文句なしだ。
 
  「今年もすごい勢いで出荷してる。もうめちゃ売れだね」
 
  エアークラフトの快進撃は、まだまだ止まりそうにない。
 
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新型ファンには「KYOCERA」のロゴが
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ウェアは遮熱加工でより涼しく

    

遮熱効果でチョー涼しい! ユニフォームにも最適なエアークラフト「1071シリーズ」

スタンダードなルックスのエアークラフト専用ブルゾン。やや控えめな見た目は大人しめの雰囲気を好む人のほか、"きちんと感"が求められる会社のユニフォームにもオススメ。ポリエステル100%の生地はUVカットにアルミコーティングによる遮熱効果付き。背中にはランヤード取付口もあり高所作業に対応。男女兼用モデル。


炎天下の高所作業はコレで決まり! カジュアルな印象のエアークラフト「1091シリーズ」

ヘルメットの上からかぶれる大型フードが売りのエアークラフト専用ジャケット。UVカット素材を使った生地にはアルミコーティング加工を施し、直射日光の下での温度上昇を抑える。背中にはランヤードの取付口、両肩には収納可能なハーネスフックハンガー付きとカジュアルな見た目ながら機能満載。男女兼用モデル。