【自重堂】空調服はエコなんです♪image_maidoya3
編集長は去年、空調服ユーザーになった。買ったころは暑さ対策というより"ネタ"の感覚で、友達に見せびらかしたりしていた。夏本番になるとたまに着て出かけたりしていたけれど、涼しさよりファンが背中に当たったりするわずらわしさの方が上回って、あまり着なくなった。正直「こんなものか」と思った。しかし、8月のある昼、36度を超える炎天下のなか外回りする用事ができたとき、再び空調服に袖を通してみた。で、外でしばらく活動しているうちに思った。「あ、これはライフラインだったんだな」と。熱中症で死ぬまではいかなくても、脳や臓器に後遺症が残ったりするのはイヤだから気を付けないと……とつねづね思っていたが、空調服があればそんな心配をしなくて済む。猛暑日の空調服は、高所作業時のフルハーネスと同じ保安装備なのだ。その頃から、こう思うようになった。空調服を「夏の快適ウェア」と捉えるのは、一面的すぎる見方なのではないか。このアイテムは着用者の安全性や温暖化対策といった文脈で語られるべきではないだろうか、と。

自重堂
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ヘルメットごとかぶれる大型フード
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背中には保冷剤用ポケット
●給付金の使い道は
 
  「気象庁も猛暑だって言ってますから。今シーズンはどの会社も空調服の販売ウェイト高くなりますよー!」
 
  まいど屋オフィスに入ってくるやいなや、威勢よく声を上げる自重堂のK氏。街を歩いていても空調服を着た職人さんを目にするようになるこの時期、空調服を夏の主力商品に据える自重堂にとっても、年間で一、二を争う書き入れ時になっているようだ。
 
  「百貨店やショッピングセンターに店を出しているアパレルメーカーは、コロナで大打撃を受けたようですが、ワークウェアはそれほど影響ありませんでしたね。逆に今、職人さんのあいだでは定額給付金で空調服を買おうという流れになっているくらいです。今まで『アレは高いから……』と二の足を踏んでいた人が、『この機会に買っちゃおう』と。大都市圏は遅いようですけど、すでに一部の県では、給付金を配り終えつつあるようで、コロナ禍で将来に不安を覚えた人たちの中でも『いいウェアを揃えてバリバリ働こう』という機運が高まっているようです」
 
  10万円の給付金で空調服を買う――。ワークウェア関係者でなくても、なかなかいいアイデアだと思うのではないだろうか。海外旅行はもちろんのこと、地方に出かけるのでさえ「感染が広がるのでは」と嫌がられるこのご時世。美味いもん食いに行こう、といっても席の間隔を空けて宴会するのは楽しくない。じゃあ、いっそ遊びより仕事に投資しよう、道具にお金をかけよう! というわけだ。
 
  空調服のデバイス(ファン、バッテリー)とウェアのセットは2万円前後。3万円も出せば洗い替えのウェアに加えて半袖やベストも揃えられる。ついでに空調服に合わせるパンツやレギンス、コンプレッションインナーなどを新調してもいいかもしれない。もっと出せるなら、ゲリラ豪雨なんかに備えてゴアテックスの安全スニーカーなんかも買っておけばパーフェクトだ。
 
  屋外では必要ないという説もあるけれど、今年の夏もマスクは手放せそうにない。そうなると当然、熱中症のリスクが高まることが予想される。例年にも増して、空調服は「夏を生き抜く命綱」となりそうだ。
 
  ●遮熱モデルが登場!
 
  話を自重堂に戻して、今年の空調服ラインナップの傾向から聞いてみることにしよう。
 
  「今年は、とにかく"ベスト推し"です! 長袖・半袖より人気の高いベストのラインナップをより強化しました。その上でワーカー以外のアウトドアやレジャー向けにも訴求していこう、と。さらに新しい機能としてはチタンコーティングの遮熱加工。遮熱の生地をフルハーネス対応させたこちらのベストが、今シーズンの代表的モデルです。去年は法人向けの納入が多かったので、今年はこういうカジュアルな商品を個人やショップ向けに売っていきたいですねー」
 
  とK氏が取り出したのは新作の「空調服ベスト(型番74200)」だ。直射日光の下でもウェア内を涼しく保つ遮熱加工に、ヘルメットの上からかぶれる大型フード、フルハーネス用のランヤード取付口、フック掛け用のDカン、保冷剤ポケットなどを備えた本格プロフェッショナル向け仕様。これらの機能を職人好みのカモフラ柄でまとめた佇まいは、主張を漂わせながらもカジュアルで着用シーンを選ばない。憎らしくなるくらい「わかってらっしゃる」なデザインである。
 
  これと同様の遮熱機能を持つモデルとしては、「空調服長袖ブルゾン(型番74210)」、「空調服ベスト(型番74220)」も用意している。これだけ揃っていれば、長袖着用が義務付けられている現場やハーネス用の機能が必要ないケースなど、状況に応じて幅広くウェアを選べるだろう。
 
  ●カジュアル系の新提案
 
  「あと、カジュアルと言えばコレですよ!」
 
  続いて興奮気味のK氏が広げたのは、鮮やかなブルーやピンクのフード付きブルゾン(型番74170)とベスト(型番74190)だった。よく見るとカモフラ柄で、ZDのロゴが全面にあしらわれている。なにか気の利いた感想を言いたいけれど、「派手」以外の言葉が浮かんでこない。
 
  「アウトドアやレジャーのトレンドを意識してパステルカラーを選びました。サイズはSSからなので、女性にも使っていただけます。このテイストはこれまででいちばんカジュアルじゃないですかね? これとややスポーティーな雰囲気の長袖ブルゾン(型番74160)ベスト(型番74180)などが、自重堂からの新提案『ワーキング以外で着るカジュアル空調服』です」
 
  最初は「派手過ぎでは?」と思ったが、よく考えてみれば、行楽やキャンプといった場面ではこちらの方が違和感がない。平日はフルハーネスも付けられるようなワーキング仕様の空調服を着て、休日はこういうカジュアル仕様の空調服で出かける。もちろんデバイスは1セットあればOK! というわけで、自重堂の新提案はけっこうアリどころか、時代の最先端のような気もしてきた。
 
  規則が厳しい現場用にブルゾンを(洗い替えを含めて)2、3着、軽作業などに使うベストや半袖を1、2着、さらにレジャーやアウトドアに活用できるカジュアル空調服を1着。この布陣で空調服デバイスをフル活用する――。なかなかに悪魔的な魅力を持つプランである。
 
  ●空調服とエコマーク
 
  以上をもって注目のカジュアル系空調服の紹介は終わり。ところが、K氏は「あと一着だけ見てください」と、どこかで見たことあるようなウェアを取り出す。もはや懐かしささえ感じるアースカラーのジャケットだが、今シーズンの新商品「空調服エコ長袖ブルゾン(型番87080)」だという。え? もういいっすよ、そんなコテコテの作業服なんて……。
 
  「いやいや、これも革新的な商品なんですよ。ここ、ここをよく見てください!」
 
  指さした箇所には、なんとエコマークがあるではないか。
 
  「これはリサイクル素材で作った空調服で、初のエコマーク認定商品です。グリーン購入法の判断基準にも対応していますから、このウェアを調達することは環境保護として認められます。CO2排出量の削減やゴミ問題に配慮してユニフォームを選ばなけばならない大企業や自治体、それにISOの環境規格を取得した工場や事業所にはもってこいの商品なんです。そもそも空調服って地球温暖化を防ぐために開発されたウェアですからね!」
 
  そう、忘れられがちだが、じつは空調服は環境問題に立ち向かうツールなのだ。元ソニーのエンジニアで空調服会長の市ヶ谷弘司氏が、「エネルギーをほとんど使わない冷房装置ができないか」と着想。研究を重ね、独自の「生理クーラー理論」に基づいて商品化に至ったのは有名なエピソードである。
 
  エコマーク認定のウェアは、いわば「空調服の原点回帰」――。満足げにほほ笑むK氏の目には、この商品が企業や自治体の定番ユニフォームとなる未来が見えているようだった。
 
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ド派手ガラでレジャー需要を狙う
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エコマーク認定商品も登場

    

高所作業の暑さは「遮熱」で防げ! フルハーネス対応の空調服ベスト

チタンコーティング遮熱加工を施したフルハーネス対応の空調服ベスト。直射日光を浴びながらの作業でも、ウェア内部の温度上昇を抑える。ランヤードをかけるDカン(収納可能)にファン脱落防止用ネットなど、とことん高所ワーカー仕様。ヘルメットの上からかぶれる大型フード、背中の保冷剤ポケットなど、涼しさも妥協なし。


フード&カモフラがとってもカジュアル♪ 遮熱加工がうれしい「74210シリーズ」

カジュアルなデザインに個性的なカモフラ柄が魅力の空調服専用ウェア。生地にはチタンコーティング遮熱加工を施し、通常生地と比べてマイナス3度を実現。レジャーにも使えるライトな見た目ながら、ヘルメットの上からかぶれる大型フード、背中の保冷剤ポケットなど、機能面は本格派。