【村上被服】鳳凰だあいすき♡image_maidoya3
村上被服のファン付き作業着は「快適ウェア」という。「エアなんとか」ではなくそのまんま。このネーミングを耳にして前のめりになるユーザーはいないだろう。しかし、ブランド名「鳳凰(HOOH)」のロゴが入ったファンやバッテリーは信頼感のあるしっかりした作りで、ショップでは「お手頃な空調服」として安定した人気を誇る。なによりの長所は「メンテナンス性」。お茶の間の扇風機と同じようにフタを開け、ネジを緩めて羽を外して丸洗いができる。汚れたら洗いたいのは当然の欲求であって、洗濯できない作業着なんて許されない。にもかかわらず、巷のファン付きウェアには分解して洗える構造のものがほとんどないのだ。しかも、鳳凰ならパーツの個別販売もしているからメンテ中に折れても羽だけ買える。要するに鳳凰はめちゃくちゃユーザーフレンドリーなのだ。「なんで外して洗えるファンはないんだ!」と怒っていたあの人もニッコリ。羽根をお尻で潰してちゃっても大丈夫。そして気づけば両手はハート型を作っている。そう、CMでおなじみのあのメガネのように……。

村上被服
image_maidoya4
羽根の取り外しはより簡単に
image_maidoya5
ファン付きウェアで初のニット素材
●「洗えるファン」がさらに進化
 
  「鳳凰の洗えるファンはもう3年目。今年もかなり進化してますよ。ちょっとこの2021年型ファンの羽を外してみてください」
 
  そういって新型デバイスを机に並べたのは、村上泰造社長。まずウェアに取り付けるときにも外すカバーを回して開けて、ファンの中心にある固定ネジを「OPEN」と表示された方向にくるくる回すと、あっけなく羽が取れた。初期バージョンの外せる羽は、他にも外すパーツがあったと記憶しているが、新型ファンの構造は単純そのもの。はっきり言って扇風機よりシンプルだ。ファン付きウェアってこんなのでよかったんだ……。
 
  中心の固定具は逆ねじだけれど表示があるからミスることはないし、テトラ型の形状のため指先でも力がかけやすい。これなら「パーツを失くしそう」とか心配せず気軽に洗える。
 
  「ね、やっぱり作業服は洗ってキレイにできないと。もともと鳳凰は鳶服のブランドで、現場でホコリまみれになったファンの風を浴びるのはイヤだという声から生まれたのがこの外せるファン。土埃でドロドロのファンじゃいくら涼しい風が来ても気分的に嫌でしょ?」
 
  確かに、街で見かける職人でもファンがホコリで変色している人がたまにいるけれど、あれにはギョッとする。キッチンの換気扇みたいにギトギトでは、人に接したときの印象もよくない。ファン付きウェアのデバイスはただの機械ではなく、人目に触れるウェアの一部でもある。清潔に保てることは、想像以上に大きなアドバンテージだろう。
 
   しかも新型デバイスは、昨年から大幅にパワーアップしている。2020年は10ボルトだったバッテリーは13ボルトになり、新型ファンと組み合わせれば、最大で毎秒66リットル(左右合計)の風を送り込むことができる。この最強モードは1時間経てば自動的に10ボルトに戻る「ターボ機能」のような位置付けだ。メンテナンス性能だけでなく、パワー面でも他社に劣らない。
 
  「デバイスもいろんなのがあって、ウェアもあらゆる形が出ているから、やはり差別化していかないと。どうすればユーザーに選んでもらえるか、いつも考えていますよ」
 
  ●ユーザーを裏切らない
 
  一方で、気になるのが互換性だ。ワークウェアなら毎シーズン新作が出るのは当たり前でも、1万円以上するファン付きウェアのデバイスを毎年買い換えるわけにはいかない。たとえば「去年までのバッテリーで新型ファンを稼働させる」といったことは可能なのだろうか。
 
  「うん、互換性? ああ、ウチはそのへんめちゃくちゃ強いよ〜」と、社長は不敵に笑った。
 
  「じつは2018年のデバイスから、ずっと互換性はキープされてます。つまり3年前のバッテリーでも新型ファンは問題なく回せる。ただ13ボルトのパワーが出せるのは2021年のバッテリーとファンの組み合わせだけですけど。だから以前から鳳凰のファン付きウェアを着てくれているお客さんが新型デバイスを買えば、これまでのバッテリーを予備として使えます」
 
  互換性はファン付きウェアだけではない。なんと2020年の秋冬物の電熱アウター「ヒーターベスト」のバッテリーも今回のファンに使えるというから驚きだ。
 
  「そこはね、ユーザー目線ってヤツですよ。利便性だけ考えれば電源はモバイルバッテリーにしたいところだけど、それだとパワーがない。ヒーターの温度も上がらないし、風も送れない。じゃあ、バッテリーは専用のものを買ってもらうのは仕方ないとして、せめて夏も冬も一年中、快適に働くために使えるものにしよう、と。そういうわけで、今回の新作バッテリーも次シーズンのヒーターベストにつながるように考えています。さすがに13ボルトで稼働させたら熱すぎて危険だから、パワーをセーブするような形になるでしょうけど」
 
  毎年各メーカーがスペックを競い合うファン付きウェアは、スマホ業界のような買い替えが前提の世界。新旧デバイスの互換性は軽視されがちだ。にもかかわらず、鳳凰はユーザーの利便性に懐事情まで考え、数年にわたって夏でも冬でも使える共通バッテリーを作っている。
 
  そう、鳳凰は裏切らない。安心して使い続けよう。
 
  ●「業界初のニット」が新登場!
 
  続いて、デバイスを取り付ける服の方を見て行こう。編集部が切り出すと、社長は鳳凰らしからぬカジュアルな雰囲気のウェアを広げてこう切り出した。
 
  「ウェアなら今年の目玉はこれで決まりでしょう。当社が開発した、業界初のニット素材のファン付きウェア(型番V771)です」
 
  業界初? と思ったが、言われてみればニットの作業服はいくらでもあるのにニットのファン付きウェアは見たことがない。空調服といえば、だいたいポリエステルか綿、その混紡素材のいずれかだ。では、なぜニットはこれまでなかったのだろう?
 
  「その理由は簡単で、生地から風が抜けてしまうから。ファン付きウェアは脇や首から風を排出するから涼しいのであって、ウェアの表面から抜けるとダメなんです。織り物なら、空気を通さないよう目を詰めればいいけれど、編み物(ニット)の場合はそうもいかない。でも、どうにかして風が抜けないニットができないか、と3年かけて研究した結果、特殊な編み方をした高密度ニット素材を開発し、今年やっと発売に漕ぎ着けました」
 
  今時、カジュアルなワークウェアはいくらでもあるが、やはりニットのライト感、柔らかいテイストは別格だ。見た目だけじゃなく、着心地も軽くて肌触りもサラサラなので、勤務中ずっと着続けた場合の疲れも軽減できる。
 
  「この雰囲気なら、建設・土木だけじゃなく、女性が多い軽作業の現場とか物流倉庫にもマッチします。さらにショップの制服やイベントのスタッフジャンバーなんかでもイケるんじゃないかな? 定番カラーにピンクやライムイエローといった明るい色を加えた多色展開だから、ユニフォームとしてけっこうウケてます」
 
  2021年の新作は、このニットのウェアに加えてバイカラーのベストなど、鳳凰らしからぬカジュアルテイストが目立つ。だが一方で、フルハーネス対応ベストや保冷剤を5つ身に付けられる「クールベスト」といったプロフェッショナル仕様の新作もしっかり用意している。
 
  「当初から力を入れているハーネス対応ウェアに、外して洗えるファン、互換性のあるバッテリー、それに業界初のニット素材とかね。ファン付きウェアはどこも同じように見えるかもしれないけれど、鳳凰は他社がやらないことをやっていきますよ」
 
image_maidoya6
インパクト大の「レオパード柄」
image_maidoya7
村上社長(右)と営業部の小川さん

    

業界初のニット素材! 鳳凰だけの「究極カジュアル」ファン付きウェア

鳳凰が3年かけて開発した「ニット素材のファン付きウェア」。ガテン系ウェアと一線を画すカジュアルな雰囲気。着心地は軽く肌触りも優しいから女性にもオススメ。ユニフォームとしても使えるオーソドックスなカラーに、ピンク、ライムイエローを加えた多色展開もうれしい。


炎天下の高所作業はコレで生き抜け! フルハーネス対応の「快適ウェア」

高所作業のために作られた鳳凰「快適ウェア」用アウター。肩はパット入りで、資材を担いだときの負担を軽減。万が一ファンが外れても安心の落下防止ネット付き。さらに命綱でぶら下がったときに首が絞まるのを防ぐ「クイックフリーファスナー」など、とことん高所プロフェッショナル仕様。