【ミズノ】次世代エース登板!image_maidoya3
いきなり私事で申し訳ないが、編集長は安全靴ファンである。もちろん仕事で使っているのではなくプライベートで活用している。主に旅行やアウトドアだ。趣味の史跡めぐりでは、古墳の中に入ったり城跡の石段を登ったりと、ひじょうに足元が悪いところに行くので頑丈で滑りにくい安全靴がいいのである。苔でヌルヌルになった石畳を通ったり、岩につま先をガツーンとぶつけたりしたときは「履いててよかった安全靴!」とひとり呟く。登山用のシューズよりはるかに安価で街中でも浮かないし、愛用のモデルはダイヤル式だから脱ぎ履きもラク。さらに事故や災害など不測の事態への備えにもなる--。と、そんな話をあちこちでしていたら「バイクに乗るとき便利」「野外フェスで使う」「フットサルもできる」といった証言が次々と得られた。安全靴ファンは意外と多いのである。そう、きっと皆さんの周りにもいるはずだ。ABCマートでスポーツシューズを買ったような顔をして、実は安全靴を履いている人が! そしてそんな人物は不敵な笑みを浮かべながらこう言うに違いない。「ああこれ? ミズノだけど」。

ミズノ
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快適構造のオールマイティ
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ミッドソールも大幅に進化
●全面リニューアルの「LSⅡ」
 
  さいたま市北区のミズノ関東支社では、野球のグローブ修理技術を学ぶセミナーが開かれていた。ときおりミシンの音が響いてくるなか、話を聞かせてくれたのはライフスタイル営業本部の中村さん。自身も最近、娘のソフトボール用グローブの補修をしたというからさすがである。そんなミズノの安全スニーカー「オールマイティ」は、一体どんな進化を遂げたのか。さっそく2021年の新作モデルから話を聞かせてもらおう。
 
  「今年の目玉はなんといっても『LSⅡ』シリーズですね。2017年に発売した主力モデル『LS』の全面リニューアルバージョンで、21年3月発売の11L(靴ひもタイプ)22L(ベルクロタイプ)に加えて、8月には22LWIDE(ベルクロ幅広タイプ)も発売しました。4年ぶりに登場したオールマイティの新定番モデルということで、ひじょうに気合が入ってます。まあ、まずはこのソール見てください」
 
  と指し示されたのは、六角形のブロックが敷き詰められた滑りにくそうなソール。先代LSシリーズのソールはルックス的に「運動靴」の文脈から出ていなかったが、こちらはどこからどう見ても「作業靴」の靴底だ。ミズノワーキングの本気度があふれかえっているようなソール形状である。
 
  「従来からの油による劣化がしにくいアウトソールは底パターンを変更し、耐滑性を高めました。ミッドソールにはランニングシューズなどで使われている素材を採用したので、履き心地もいい。さらにかかと部分には凸凹構造のセルが埋め込まれており、クッション性も大幅にアップしています。特に重いものを運ぶ作業などでは、かかとにかかる衝撃を吸収してくれるので、かなり負担が軽くなりますよ」
 
  ソール以外の「上もの」もハイクオリティだ。つま先部分は耐久性のある人工皮革。また、サイドは通気性のよいメッシュ仕様なので、気温や湿度などの違いだけでなく、屋内・屋外の作業環境も問わず快適に着用可能。建築や運輸から製造業までこなせるオールラウンドな安全スニーカーといえる。もちろん余った靴ひもを収納できる「ベロ」や先芯が足の甲に当たっても痛くなりにくいクッションカバー構造など、以前からオールマイティーで好評だったポイントはしっかり踏襲されている。
 
  中村さんによれば、LSⅡはただ主力商品に据えるだけではなく、これからの商品展開の軸にもなっていくという。
 
  「LSⅡのために開発した『SⅡソール』を水平展開して、これから従来の『Sソール』搭載モデルを刷新していく計画になっています。今回、廃番になったLSのように、メッシュ仕様のVS、帯電防止のAS、スリッポンタイプのESといった現行モデルも順次、SⅡソール搭載の新モデルにリニューアルしていくので、どうぞご期待ください」
 
  ●看板モデル「ZW43H」
 
  以上のように、主力のリニューアルに力を入れてきた一方で、よりパフォーマンス志向のハイスペックモデルも強化を図っている。スポーツシューズのミズノにおける“お家芸”と言える高性能ソール「ミズノウェーブ」搭載モデルだ。ローカットのHW11(靴ひもタイプ)、HW22L(ベルクロタイプ)に加えて、2020年秋には足首までホールドするミッドカットモデル「ZW43H」を追加した。
 
  「こちらはとにかくスペックを追求したい人のためのモデルです。六角形のアウトソールパターンの上に、硬度の異なる二層のフォームをジグザグに組み合わせたミズノウェーブ仕様。さらにインソールも土踏まずを補助するアーチサポートモデルだから、二重に豪華です。抜群の安定性とクッション性を持つ多層構造のソール、そして疲労を軽減してくれる高性能インソールと、いたれりつくせりのモデルといえます。もちろんソールの技術もすごいんですけど、個人的には『ミッドカットなのに軽くて値段も手頃』というのがセールスポイントかな、と思っています」
 
  オールマイティのミッドカットモデルは以前からあったが、今回はじめてファスナーが採用された。正面から見ると靴ひもタイプに見えるものの、内側ファスナーを下ろせばラクに脱ぎ履きできる。引き手を下向きにすればロックされるので不意に開放されることはない。この構造によって、足首の保護や疲労軽減に効果があるミッドカットを気楽に履けるようになっている。内装作業など靴を脱ぐ機会の多い仕事にも最適だ。
 
  このモデル「ZW43H」はトヨタのレーシングチーム「TOM'S」でもメカニック担当者のシューズとして採用。タイヤ交換などの素早い作業でも足元が安定するという。今年はTOM'Sコラボの限定カラーのほか、ダイヤル式フィッティングシステム「BOA」搭載の限定モデルも発売した。LSⅡが「定番モデル」なら、こちらは「看板モデル」なのだ。
 
  ●「軽さ」へのこだわり
 
  これからの商品構成についても聞いておこう。中村さんの話をまとめると、LSⅡの新定番ソール「SⅡ」、「ZW43H」のハイスペックソール「W」、そしてクルマの運転や高所作業に使われる素足感覚のソール「D」--。将来的にはこの3タイプに集約されていく見込みだ。この3タイプのソールのそれぞれに、ローカット・ミッドカット・帯電防止・メッシュといった「上もの」のバリエーションが展開される。つまり、オールマイティを検討するユーザーの最初の一歩は「ソール選び」となる。特にこだわりがないのなら「Sソール」を選んでおけば間違いない。
 
  ただ、他社の安全スニーカーと比較する場合には、話はもっと複雑になる。スポーツ系メーカーの安全スニーカーでは、耐滑性やクッション性といったソール性能に、ストリート感のあるデザインや現代的カラーリングを組み合わせるのは常識。さらに締め具も従来の靴ひもやベルクロだけでなく「BOA」のようなダイヤル式のフィッティングも徐々に普及してきている。そんな状況下でミズノのオールマイティはどう対抗していくのか。
 
  「オールマイティの強みは『軽さ』です。当社も先行するスポーツメーカーのようにハイスペックで長持ちする安全スニーカーを目指していますが、その結果、重量が増えないように配慮している。やはり履いた瞬間、軽い! というのは大事だと思うんです。片足の重量は、新定番のLSⅡが350g、ミッドカットのZW43Hが420g(※ともに26cmサイズで計測)。これはすごい軽さだと思います。数値で比べるだけじゃなく、ぜひ履いて判断してほしいですね」
 
  ミズノの「軽量打線」が、安全スニーカーの勢力図を塗り替える日が来るか。
 
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新定番の「LSⅡ」
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「限定カラーもよろしく!」

    

機動性も履き心地も大幅アップ! オールマイティの新定番「LSII」シリーズ

新開発の「SⅡソール」を搭載したオールマイティの新定番モデル。アウトソールは底パターンを変更し耐滑性アップ。ミッドソールにはランニングシューズなどで使われている素材を採用しており、履き心地もよし。かかと部分には凸凹構造のセルを埋め込むことで、クッション性も大幅に向上させた。JSAA規格(A種)認定品。


デリケートな製造現場はこれでキマリ! 静電気を逃して安心「AS」シリーズ

電子機器の工場など、静電気の影響を避けたい現場にぴったりなオールマイティの帯電防止モデル。体にたまった静電気を中敷やソールを通して床に放出する。サイドにはメッシュ素材を使っているので蒸し暑い製造現場でも足元は快適。靴底は床面に足跡がつきにくいグレーソール仕様。JSAA規格(A種)認定品。