【サンエス】雷神を超越せよ!image_maidoya3
雷神服をはじめて見たとき、正直「どうなんだろう?」と思った。ほんとうに暖かいのか、いやスペック上はすごい性能らしいけど、実際に使ってみるとどうなのか。うーん、日本の冬にそこまでしなきゃいけないのかな、と。これがファン付きウェアならまわりに着用者がいるし、ネット上の書き込みもたくさんあって感想が入ってくる。しかし当時、電熱ウェアは非常にマイナーな存在でバイク乗りの一部くらいしか着用者はいない。その結果、ユーザーの声には触れられず「どうなんだろう?」は消えないのだった。ところが時代は変わった。この2、3年で多くのメーカーが参入し、気軽に買える価格帯の商品もショップに並んでいる。今や電熱ユーザーは珍しくなく、発熱体の位置や温度などの感想も参考にできる。ついに時代は雷神服に追いついたのだ。そんなわけで、編集部は満を持して電熱ウェア界のパイオニア、サンエスの門をくぐった。今まで「どうなんだろう?」とか言ってすみませんでした……、とつぶやきながら。

サンエス
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雷神服に発熱ユニットを装着
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エクスヒートにはパンツも
●16年間の進化!
 
  「ふふふ、ついに気づいてくれましたね、雷神服の魅力に。でも、ウチの電熱ウェアはそれだけじゃないんです。今日はヒーター付きアイテムの深遠な世界にご招待しましょう」
 
  取材に応じてくれたのは、営業の佐藤さんと企画の藤井さん。いきなり期待をあおる話しぶりである。とはいえ、こちらは“初体験”なので、まずは雷神服について紹介してもらうことにしよう。
 
  「雷神服は2007年にスタートしたので、今年で16年目ですね。当初から上着の背中側に2枚の発熱ユニットを差し込んでバッテリーにつなぐ仕組みです。よくある電熱ベストのような内蔵型ではないので、気軽に洗濯できる上、買い替えやコーディネートの選択肢も広い。しかも空調風神服のバッテリーが使えるので、夏は風神服、冬は雷神服とひとつの電源を使い回せて経済的です」
 
  と、雷神服トークが止まらない。それにしても、多くのメーカーが電熱ウェアを展開するようになってまだ2、3年なのに、16年目とは驚きだ。その間に、発熱ユニットやバッテリーはどれくらい進化したのか。
 
  「発熱ユニットの性能は着実にアップしていますね。22年の新型モデルの発熱体はカーボンナノチューブなのですぐ温まります。しなやかなので着ていても異物感がなく、温まり方も均一です。温度は3段階で最高60℃ですが、温度センサーがついているので、必要以上の電力消費や発熱・加熱を防いでくれます。たとえば「強」「中」で連続して1時間以上使い続けると、自動的に「弱」に切り替わる。これは低温やけどやオーバーヒートに配慮した安全装置ですね。また温度調節はケーブル上のコントローラーだけでなく、スマホのBluetooth接続でも操作できるので、たくさん着込んでいてもラクチンです。稼働時間は最長9時間ですが、ケーブルを外してユニット1枚だけにすればさらに延ばすこともできます」
 
  じっさいに触ってみた発熱体は、じつに柔らかい。ゴム手袋のようにクニャクニャで折り曲げにも強そうだ。これなら電源オフ時に背中に入れっぱなしでも気にならないし、収納時にかさばることもない。対応ウェアで背中を温める以外にも、冷えるオフィスのデスクワークで膝の上に乗せたり、カイロ代わりに手を温めたりと、さまざまな活用法がありそうだ。
 
  ●「外付け」のメリット
 
  では、対応ウェアを見ていこう。藤井さんのイチオシは「BO32100」雷神ジャケット。蛍光イエローの縦ラインが特徴的なカジュアル感のあるアウターだ。とくに3カラーのうち、ただひとつ柄モノのカモフラホワイトは派手好きな人には堪えられないだろう。
 
  「この商品は、裏アルミプリント仕様で保温力が高いのがウリです。もちろん雷神服なので背中側に2枚の発熱ユニットを差し込んで使うのですが、何も入れなくてもけっこう暖かい。普段はそのまま使って『今日は寒いな』というときは、ユニットを入れて電熱化する。こんなふうに使い分けられるようになっています。ほかにも正面のダブルファスナーや左右のベンチレーションなど、細かく温度調節ができるようになっているので、ちょっと暑くなってきたときやムレが気になるときなんかでも、すぐ調節できます。カモフラは目立つけれど、アーミーグリーンやブラックは落ち着いたデザインなので、ユニフォームのほかタウンユースにもちょうどいい感じです」
 
  続いては、雷神服ベストを見せてもらうことに。さまざまなメーカーがしのぎを削る電熱ベストだが、雷神の強みはどこにあるのか。代表的なものとして、カジュアルアウター風の『BO32150』、襟なしインナー型の『BO32160』、ワーキング感がしっかりある『BO32170』の3タイプを紹介してもらった。
 
  「雷神服は外付け方式でさまざまな着こなしを楽しめるのがウリなので、ベストもたくさんの選択肢を用意しています。その上で、デザイン上の遊びも加えました。たとえば、タウンユース風の『BO32150』の両胸は釣り用のアウターなんかでよくあるハンドウォームポケット仕様にしました。ジャケットの中などに着る『BO32160』にも両脇ポケットを取り付けたし、『BO32170』は大きめの左右ポケットでミリタリー系の雰囲気を出しています。襟付きのベストはそのままでも保温力があるので、アウターの下に着るミドラーとしても使える。そしてもちろん、ユニットを入れればヒーターで暖かくなるので、本当にいろんな着方ができますね」
 
  秋には薄手のダウンベストとして。もうすこし冷えてきたらアウターやジャケット下に着るインナーベストに。そして本気で寒い日には発熱ユニットで雷神化! 外付け式のおかげで、こんな運用が可能になるのだ。
 
  ●「エクスヒート」新登場!
 
  新型の発熱ユニットに多種多様な対応ウェア、と雷神服の圧倒的な布陣を目の当たりにした。しかし、取材の冒頭で「電熱ウェアは雷神服だけじゃない」と言っていたような気がするが……。
 
  「そうなんですよ。今年から雷神服を超える電熱ウェアのシリーズが始まりました。その名もEXHEAT(エクスヒート)です!」
 
  えええ? 何を言っているのかよくわからない。さっき雷神服ならいろんな着こなしができると紹介したばかりなのに、なんでもっと電熱ウェアが出てくる展開になるのか。
 
  「まあまあ、商品を見てもらえればわかりますよ」と言いながら、藤井さんはテーブルにアイテムを並べ始める。ベストにパンツに……え、腰巻き? あっ手袋! そうか、そうきたかぁ~。
 
  「そう、エクスヒートは、電熱線を埋め込んだ内蔵式の電熱ウェアなんです。雷神服のように発熱ユニットとの兼ね合いがないから、ヒートグローブやヒートベルトといった小物も展開できます。ベストも雷神服で暖まるのは背中側だけでしたが、エクスヒートはカーボンファイバーを前後に取り付けました。またパンツは両膝とお腹の3カ所を温めることができます。雷神服と同じく温度は3段階で設定できるので、いつでも快適です。」
 
  なるほど、雷神服の発熱ユニットを手袋に入れるわけにはいかないし、パンツに取り付けるにしてもケーブルの配線などがひじょうにわずらわしい。しかし、別個に内蔵式の電熱アイテムを展開すれば、これらの問題は解決する。
 
  「以前から、寒冷地のお客さんや冷凍庫で働くユーザーを中心に『上着だけじゃなく全身を電熱ウェアで温めたい』という声があったんです。ただ、雷神服の発熱ユニットでは末端を温めるアイテムは難しい。そこで、雷神服とはまったく別路線の電熱ウェアとしてエクスヒートを同時展開していくことになりました。コンセプトはオール電熱化。まずベストで上半身を温めて、下半身はパンツだけで寒いときはベルトを加えます。さらに、グローブで手を温めれば、極寒の世界でもめちゃくちゃ快適です。また雷神服と違ってモバイルバッテリーが使えるので、より汎用性の高い電熱アイテムになったと思います。このエクスヒートには雷神服とはまた違ったニーズがあるはずなので、まだ商品は4つしかありませんけれど、今後ラインナップを増やしていく予定です。期待していてください!」
 
  極寒の中であろうと、エクスヒートなら頭のてっぺんから手足の先まで、全身ぬくぬく--。夢のような未来は、そこまで来ている。
 
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ベストは首元にも発熱体が
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佐藤さん(右)と藤井さん

    

この冬は全身ヒートで行こう! 急速発熱もOKな「EXHEAT」シリーズ

カーボンファイバーの発熱で全身を温める次世代の電熱アイテム。温度調整は3段階。さらにベルト以外の3タイプは、電源ON直後は高温で急速発熱し、5分後に自動的に中温に切り替わる「プレヒート機能」を搭載。ベストとパンツの上下に、グローブ、ベルトを組み合わせることで“全身ヒート”に。


電熱といえば「雷神」だよね! 空調風神服のバッテリーが使える「雷神服」シリーズ

背中の専用ポケットに発熱ユニットを2枚入れて着用する電熱ウェア。内蔵式ではないためウェアが洗濯できるほか、買い替えやコーディネートも楽しめる。さらに空調風神服のバッテリーを使用できるため、効率的な運用が可能。温度設定は3段階。安全のため、「強」「中」の連続運転が1時間以上になると自動的に「弱」に切り替わる。