【バートル】ブラックを突き抜けろ!image_maidoya3
一般人の“バートル率”がUPしている気がする。エレベーターや踏切待ちなんかで、なんとなく周囲の服装を見ていると「あ、あのパンツは」「あのシャツもたぶん」という具合に、かなりバートルを発見するのだ。おそらく猛暑対策でエアークラフトを買ったおじさんたちが、「コスパのいい普段着」として買い求めるようになったのだろう。そして、その傾向の追い風になっているのが「ブラック系」の充実だ。黒ならシーンや年齢を選ばず、何にでも合わせやすい。夏はエアクラ、普段着にブラック系とバートルは知らないうちに日常に溶け込み始めている。そうなると次のフェイズは……。もちろん防寒である。

バートル
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ブラック人気について語る岡田さん
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水抜きメッシュで洗濯しやすい
●府中から福山へ
 
  現在、バートルは福山駅前に新本社ビルを建設中。12月には竣工予定というわけで、ここに来るのはこれで最後かも……、と思いながら、福塩線の鵜飼駅から歩いてバートル本社の門をくぐる。「さて、靴を脱いで」と思ったらスリッパがない。本社引っ越しに伴い、土足OKになったという。
 
  「新本社がオープンするとバートルは3拠点になります。今年3月にオープンした物流施設『CAMP BURTLE』で全国への発送を行い、福山駅前の新本社には、企画やクラフト、バックオフィス部門を集約する計画です。そして、ここ(現在の本社)は、改装工事を経た上で、サブ的な物流施設として機能させます。在庫をしっかり蓄えるCAMP BURTLEに対して、ここでは到着したコンテナを開けてすぐ商品を出荷していく、といったクイックな対応ができるようにする。つまり、北から順に、現本社(サブ物流施設)、CAMP BURTLE(メイン物流施設)、新本社(企画と管理部門)と、地図上でほぼ等間隔に並ぶイメージですね」
 
  このようにサラリと語る企画の岡田さんだが、これは劇的な変化だ。2011年のリブランディングから15年、ついに府中のバートルは「福山のバートル」として再出発するのだから。
 
  「今まではこの地域のメーカーの中でも、一番北にあるちょっと不便な会社でしたからね。それが福山駅前になれば、新幹線を降りてから10分もしないうちにミーティングのテーブルに着ける。国内外からのお客さんを迎えに行くのも簡単だし、人口の多い福山市に引っ越しすることで、リクルーティングも有利になります。また、ただ『便利になりました』だけじゃなくて、駅前の7階建てビルで企画や試作などに取り組むことで、クリエイティビティーを強化していくことも重要ですね。CAMP BURTLEもそうでしたが、カッコいい物流施設やオフィスを整備していくことも、バートルのブランディング戦略なんです。企画チームとしては『さあ、新天地で新しいものを生み出していくぞ』って感覚ですね」
 
  変化の激しいワークウェアの世界で、新生バートルがどんな新しい景色を見せてくれるのか。今から楽しみだ。
 
  ●イチオシの「ストームグレー」
 
  では、今シーズンの防寒コレクションを紹介してもらおう。トップバッターはミリタリーテイストが目を引く防寒アイテム「5060シリーズ」。ブルゾンとベストに対応のパンツをそろえた、高い保温力を誇る上下アウターである。人気のブラック系にオレンジを加えたカラー展開に加えて、特殊部隊を思わせるソリッドな見た目が魅力となっている。
 
  「まず現状分析として、『黒しか売れない』と言っていいほどブラックが人気です。真っ黒は汚れが目立つし、ユニフォームらしくないので敬遠されていたのが、今や逆にグリーンやグレーが売れ残ってしまう。そこで、人気のブラックとがっぷり四つに組んで防寒アウターを作ろう、と。ロングセラーの『AC1151』をベースに、寒冷期の上着にしてもいいし、上下でユニフォームにもできる汎用アイテムとして企画しました。デザイン的には、スポーティー系にSWATのようなミリタリーエッセンスを加えて個性を出しています」
 
  パンツはブラックのみ。上も黒系カラー3種に「レスキューオレンジ」という点にも、企画の意図が込められている。
 
  「繰り返しになりますけど、ホントに黒しか売れない(笑)。でも売り場も華やかにしたいので、赤系を入れました。あと注目してほしいのは『ストームグレー』。上下ブラックのセットアップにするとさすがに威圧感があるよね、といった観点で加えたカラーで、『ブラックをお求めの皆様への新提案』です。これまで多かったミルスグリーンより黒系だからさまざまな服装に合わせやすく、ユニフォームらしさもある。普段着として使うために上着だけ買ったり、北国の人は上下を選んだり、といった場合にも、『ストームグレー』はいろいろ使いまわしが利きます。今回イチオシのカラーですね」
 
  雪国でも使えるしっかりとした防寒アイテムながら、軽量で価格も抑えた。ユニフォーム支給など、あまり防寒アイテムにお金をかけたくないといった声に応えたという。性能面では、洗濯機で丸洗いもでき、水抜きのメッシュ構造もあるため乾燥も早い。流行のカラーにデザイン性、そして活用度の高さにメンテナンス性を兼ね備えた隙のない防寒アイテムだ。
 
  ●ブラック流行がもたらす変化
 
  まさに、ブラック人気の一石を投じるための“グレー推し”。そんな肝入りのストームグレーは、この「5060シリーズ」に加えて、軽防寒アウター「3250 ジャケット」、定番感のある上下ユニフォームの「841シリーズ」、近未来テイストな上下ウェアの「831シリーズ」へと水平展開を進めている。
 
  「ワークウェア業界では、『デニムの次に何が流行るか』といった議論がありますけど、当社の見立ては、『スポーティーなブラック系の上下ウェア』です。単なるカラーの流行ではなく、上下で着てもいいし、ブルゾンやパンツを他のウェアと組み合わせられるという自由度の高さもウケています。また、足首を絞ったジョガースタイルであれば、裾上げも不要。そういった意味合いで、タイパ&コスパがいいのもポイントですね」
 
  このように語りながら、岡田さんが取り出したのは「831シリーズ」。テックウェアと呼ばれる機能性を前面に押し出しつつも、ちゃんと制服らしく見える上下作業着だ。人気のブラックに新提案のストームグレー、そしてミルスグリーンというカラー展開は、“黒系ブーム”を強く意識した結果という。
 
  「こういうテイストこそ、多くの人が求めているブラック系の作業着じゃないかな、と。スッキリした未来的なデザインに加えて、ラグランスリーブ、裾オビなしでユニフォームらしさを抑えています。これなら上下ブラックでも重厚にならないし、他の服とも合わせやすい。ジョガーパンツでカーゴポケットがあるパターンも珍しい。便利で使いまわしが利くので、パンツだけを買うお客さんも多いですね」
 
  ブラック系の流れで、さらに思い切っているのはフード付きの上下ウェア「851シリーズ」。なんと、ブラックとチャコールグレーという“黒黒展開”である。
 
  「打って変わって、こちらはニット作業着です。底堅い人気のブラック系で、しかも若者に人気のジャージ的なルックスにすることで、売れ筋を狙いました。ニット素材は、糸切れが起きるなど耐久性に課題があったのですが、コーデュラナイロン糸を使うことで克服しています。じゅうぶんな強度がありつつも、ニット独特の軽さと動きやすさ、着心地の良さはしっかり味わえる。フード付きの上下ユニフォームというとヘンな感じですが、『仕事にも使える耐久性のあるパーカーと対応パンツ』または『ジャージ風のジョガーパンツと同テイストのパーカー』といった具合に捉えるのがイマドキかな、と」
 
  ブラック系の流行は、もはや「上下のセットアップ」という作業服の固定観念すら覆してしまった。この新たなワークウェアの地平にどんな花が咲き、実がなるのか--。来年は「福山のバートル」から目が離せない。
 
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トレーナー系も大人気
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「防寒もバートルで!」

    

防寒だけじゃない機能性! ミリタリー系アウター「5060」シリーズ

“軍モノ”なルックスにワーキング防寒としての機能性を盛り込んだ冬用アウター。防風ラミネート加工の生地が冷気の侵入を防ぎ、ポリエステルの中綿でしっかり暖かさをキープする。しかも、家庭の洗濯機で丸洗いできる「ホームランドリー仕様」。水抜きメッシュ穴付きですぐに乾くのもうれしい。


寒い季節もコーポレートカラーで! ミニマル防寒ジャケット「3250」

高いストレッチ性を誇るスポーツタイプの軽防寒アウター。表面の生地は、防風ラミネート加工に加えて撥水・耐水圧仕様で、少々の雨や雪なら問題なし。裏地には機能性素材のホットメッシュを使い、ほどよい保温性を持たせた。軽作業のほか、イメージカラーに合わせて会社やチームのユニフォームとしての活用も。