【アタックベース】“攻め”の電熱image_maidoya3
すっかり「電熱ウェアのメーカー」のイメージが定着した、と言っても過言ではないだろう。昔からカジュアル路線も強いし、独特なシルエットのファン付きウェアも好評。とはいえ、近年のアタックと言えば、やはりヒーター付きの電熱アイテムだ。ウェアに限らず手袋や靴下といった小物まで、どんどん展開していくアグレッシブさは、アタックベース(攻撃拠点)の名に恥じない。スイッチをオンにすれば重防寒で、オフにすれば軽防寒、手足はヒーターで暖を取る--。そんな従来の枠に収まらない独自の防寒スタイルを提唱している同社を、編集部は訪ねた。

アタックベース
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電熱ベストを語る内海さん
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差し色のオレンジがポイント
●変化する防寒スタイル
 
  「そうそう、防寒と言えば当社です。昔からショップ販売のアウター類は強いし、電熱アイテムもいち早く手を付けました。ヒーター系は何年かやってやめちゃうメーカーも多いけれど、うちは毎年、新商品を出してウェアから手袋、ソックス、ネックウォーマーまで何でもそろう。冬はアタックベースの季節なんです!」
 
  と、営業部の内海さんは力を込める。防寒ならアタックに任せろ、といった気迫がこもる語り口だが、一方でユーザーの求めるものについては、ここ数年での変化も感じているという。
 
  「もちろん暖冬のせいでもありますけど、秋冬の着こなしが変わってきたのを感じています。以前なら冬になればユニフォームに防寒着をプラスしたり、仕事前にアウターを着込んだりしていました。それが今は、冬用ワークウェアで通勤してそのまま働いたり、保温性のあるタイツを制服の中に着用して防寒したり、といった着方をする人が増えているんです。しっかりした防寒アウターは、寒波でも来なければ必要なく、真冬でも機能性インナーと防風できるシェルジャケットがあれば、なんとかなる。しかも為替の影響で、ワークウェアの価格も上がっています。北陸や東北はちゃんと重防寒のニーズがあるものの、西日本はなかなか厳しいかな、といった感じですね。本当に寒い期間も3カ月くらいになっていますし、防寒アイテムはけっこう展開しづらい面があります」
 
  防寒ウェアを取り巻く変化は、機能面にとどまらない。
 
  「デザイン面では、やはりブラックの人気がすごいですね。当社はショップもやっているので、売り場のことを考えて企画するんですけど、黒ばかりだと店頭が暗くなってしまいます。でも、青や赤といったカラーを打ち出すと、見事に売れ残ってしまう。そこでブラックを基調に差し色を入れるとか、切り返しでグレーを入れるとか、いろいろ工夫してバリエーションを出そうとしています」
 
  ●ハイブリッド電熱!
 
  では、まずはアタックの代名詞、電熱アイテムの新作から語ってもらおう。今シーズンの目玉はなんといっても「80000 HUMMER ハイブリッドヒートベストWスイッチバッテリーセット」。2種類の発熱体を蛇腹状のニット生地で密着させるハイスペックな電熱ウェアだ。
 
  「ヒーター系はもう8年ほど手掛けていますが、今回、HUMMERブランドとして初めて電熱アイテムを出しました。背中と首にカーボンナノチューブ、おなかにカーボンファイバーを使うことで、コストを抑えながらしっかり暖かさを感じる一品になっています。これまでの知見から、大事なのは首の血管を温めることだとわかっているので、背中側に高性能な発熱体を使いました。従来の実用的な雰囲気と違って、カジュアルな見た目もポイントです」
 
  少し気になるのがヒーターの性能だ。カーボンナノチューブが高機能なのはわかるけれど、前後で発熱体が異なることで使用感に影響はあるのだろうか。
 
  「本当は全部ナノチューブを使いたいけれど、価格面を考慮して前だけカーボンファイバーにした、というわけです。低価格にしたければ、もっと安価な発熱体を使えばいいんですが、それだと不良率が高くなってしまうんですね。せっかく電熱のアタックとして評価されているのだから、クオリティの高さは維持したい。そこで肝心の背中と首にはすぐに暖かくなり、均一に熱が伝わるカーボンナノチューブを使い、前はカーボンファイバーで全体的な保温力を損なわないようにしました。前後それぞれボタンで操作できるので、温度調節も簡単。しかもスイッチは内側なので、目立たず着用できます」
 
  同様のカーボンファイバーは、「435050 ヒートイヤーウォーマー」「460080 ヒートオープンソックス」にも使われている。
 
  「こちらは、ベストだけでは太刀打ちできない北国のユーザーに向けたサポート的な電熱アイテムです。耳や足といった末端の冷えを解消し、快適に過ごせるように企画しました。専用バッテリーとのセット販売なので、すぐお使いいただけます。電熱グローブは冷凍倉庫や新聞配達などのユーザーが多いのに対し、電熱ソックスは警備などの立ち仕事用として人気があります」
 
  ●オレンジで差別化を
 
  「防寒のアタック」は電熱アイテムだけではない。今シーズンはカジュアル感にストリートを意識したほどよい防寒ウェアを取り揃えている。その代表と言えるのが、新作の「76001ミリタリージャケット」。黒ばかりのアウターに一石を投じる「差し色」がポイントだ。
 
  「こちらはMA-1風のジャケットです。防風性があり中綿も入っているので、秋口からかなり寒くなっても大丈夫。ミリタリー風の見た目ながら柔らかいタッチで、カジュアルに着回せます。黒系の2色とベージュに差し色のオレンジを入れたのがポイントで、裏地も同じオレンジ。定番のジャケットに人気のブラック系で、差し色はアクセントです。これで売り場が真っ黒という流れに変化を出せるかな、と。ちょっと実験的な意味もありますね」
 
  オレンジの目立つ差し色は、ベストとジャケットの「63000」シリーズにも採用。アタックとして、アイコン的なデザインとして打ち出しているという。HUMMERの新作「39551」シリーズでもアクセントカラーに採用しており、その本気度がうかがえる。
 
  「ワークウェアに見えませんが、このスウェットの上下(39551・39582)は、カジュアルに特化した新ジャンルの上下作業着。イメージとしては、仕事前や移動中に着て、そのまま作業もできるといった感じ。『着る毛布』と謳っている保温性もウリです。こちらはブラック人気に対抗するために、明るいグレーと鮮やかなレッドのカラーを加えました。いつもなら、カジュアルな見た目でもワーキング仕様にするところですが、『HUMMERはカジュアルに突き抜けよう』ということで、袖のペン差しはやめました。仕事場でも街でも使える定番パーカーです」
 
  上下スウェットだと寝間着のようになってしまうところを、差し色で回避。フードの内側にオレンジが覗くのもチャーミングだ。この格好でクルマに乗り、現場に着いたらMA-1風の「76001」を羽織る--。現代のワーキングシーンでもひときわ伊達なスタイルだろう。
 
  さすが「防寒のアタックベース」というべきか--。電熱はもちろん、オシャレ魂も熱い。
 
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流行のブラック系ウェア
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「防寒のアタックにお任せを!」

    

カジュアル防寒ならコレで決まり! MA-1風ジャケット「76001」

ビビッドなオレンジの差し色が特徴的なMA-1風ジャンパー。中綿入りの生地は防風仕様。内側リブの二重袖、袖リブで体温を逃さない。軽量ながら、平地の冬なら問題のない防寒性。また、左袖のペン差し、両脇のフラップダブルポケットなど、細部もしっかりワーキング仕様。


保温性と作業性を両立! 軽防寒アウター「63000」シリーズ

超音波を使ったピンソニック仕様がインパクト大な防寒アウター。表面には防風生地を使い、中綿と裏起毛、首裏のブロックフリースで保温性を高めた。さらに切り返し部分はニット素材で動きやすさも満点。モノトーン系のカラーリングにアクセントのオレンジが映える。