「デニムの次は何が流行るのか?」。数年前に業界を賑わせたトピックである。あまりにいろんな場所で語られるものだから、すっかり原点を忘れてしまっていた。そう、ストレッチデニムの作業着といえば、もともとはI’Zのヒット作。あの型番ロゴがプリントされたピタピタの上下を、初めて見たときの衝撃は忘れられない。ところが、その後あらゆるメーカーがデニムを出した結果、なんとなく「昔からの定番アイテム」的な錯覚にはまり込んでしまっていた。しかし、そんな空気が醸成された一因には、I’Zの頓着のなさもあるだろう。過去の成功はすぐ忘れ、新作にすべてをかける--。イケイケに見えて、じつは愚直な作業着メーカーなのだ。
アイズフロンティア
新作ラインナップを語る井出さん
ド派手なロゴプリントが魅力
●ユニフォーム「も」注力へ
取材に応じてくれたのは、アイズフロンティア企画販売部の井出さんと森山さん。本誌登場は久々なので、まずは近年の商品展開から春夏コレクションの全体像まで、ざっくりと聞くことにした。
「アイズは2013年の創業なので、来年で15年目になります。代表作のデニム作業着『7250』の発売からも10年以上になり、年々、品番の数も増えてきました。今まで、ワンシーズンで売り切る限定販売の商品が多かったのですが、これからは継続アイテムの在庫をしっかり抱えていく予定です。そして、ショップはもちろんのこと、小さな会社へのユニフォーム納入などにも力を入れていきたいですね。倉敷市の市街地にあった本社も倉庫に隣接した郊外に移転しましたし、物流体制の強化にも取り組んでいるところです」
ショップ店頭で目立ちまくっているI’Zが、ユニフォーム納入を狙う--。少し意外な気もするけれど、10年も経てば大きく変わるのは当然かもしれない。かつて細身のストレッチデニムを着ていた20代は、現在30代になっているし、安定して数が出る人気商品は、やがて定番のロングセラー品番となっていく。今はそんな過渡期というわけだ。
「もちろん普通のメーカーになるわけではありません。仕事中でも個性を出したいユーザーや、現場で存在感をアピールしたい事業者さんの期待に応えられるようなアイテムを展開していくのでご期待ください。たとえば、I’Zの代名詞であるデニム作業着は、毎年、時代感覚に合わせてアップデートした新作を出しています。さらに今回は、3年ぶりにファン付きウェアの新デバイスを発表しました。先行メーカーと戦えるスペックだと自負していますので、ぜひ対応ウェアも含めてチェックしてほしいですね」
●MIXカルチャーでGO
そんな井出さんが、「今回のイチオシ」と語るのは、ライダース風の「3490」シリーズとドライタッチの「5400」シリーズ。両者とも、I’Zの定番と言っていい細身の上下作業着だが、目指している路線はけっこう違っている。
「まず『3490』が狙ったのは、着丈が短く袖がシュッとした“ライダースの味”の追究です。ロングセラーの『7250』のDNAを引き継いだシルエットに、I’Zのアイデンティティでもある目立つ要素を取り入れて、先鋭的でスポーティーなルックスにまとめ上げました。夏のウェアなので、涼しさや肌触りのよさは当然ですが、I’Zに求められている要素や職人さんのカッコよさを引き出すデザインにも力を入れました。価格的にお求めやすいのもポイントですね」
お得意のロゴもひねりを利かせてあるせいか、シンプルながら既視感のない不思議なテイスト。これなら若いスタッフの多い工務店などのユニフォームにしてもよさそうだ。
「なるほど、目指したのは制服っぽさ……」と言いかけたとき、井出さんはもうひとつのイチオシ商品「5400」シリーズを取り出した。……ガラだ、ド派手ガラだ! こちらは素材やシルエット以前に、「ガラ!」としか言いようがない特大インパクト商品である。
「この限定生産の『レヴェリー』は、見栄えや攻めの姿勢を重視して、とにかく派手に行こう! と。パッと見ただけだと、ただ目立ちたいだけのガラと思うかもしれません。しかし、じつはこれ、工場夜景の写真を加工して作ったものなんです。つまり、ワーキングカルチャーの一部というわけで、オシャレを楽しみつつも、仕事に誇りを持ってもらうことをひそかに狙っています」
3490とは対称的な「超・個性派」のアイテムだが、ブラックを選べば「かなり個性派」程度に抑えられ……いや、胸のキラキラプリントや上下分かれたデカいロゴなど、「自己主張」の4文字からは逃れられないし、もう逃れなくていい気もしてきた。
かなり新奇なアイテムに見えるけれど、企画としては「既存の人気素材を新デザインにアップデートしてみただけ」とのこと。ごく普通の開発フローから、こういうものが出てくるのだから、I’Zらしいというか、なんというか……。一体その秘訣はなんなのだろう?
「うーん……、言葉にするなら『パレード』ですね。スポーティーとかミリタリーといかいったテイストにこだわらず、MIXカルチャーをバンバンとパレード的に展開する。このことを意識しています」
●なぜ「Tシャツ」なのか?
続いて、井出さんが「ぜひ見てほしい」と前のめりになったのは、接触冷感Tシャツ「009」シリーズ。夏用アイテムとして作業着メーカーがポロシャツやTシャツを展開するのは、今やよくあること。しかし、あくまでサブジャンルの商品であって、Tシャツの話を熱心にされてもなぁ……。そんなモヤモヤは一瞬で吹き飛んだ。
とにかく、数がすごい! 白と黒のカラーにそれぞれ10デザイン、合計20種類のTシャツをそろえたという。
「開発のきっかけは、『仕事中にI’Zの服はあまり着ない』というユーザーの声を聞いたことです。じゃあどんなときに着てるのかな? といろいろ聞いてみると『作業が終わってからの着替え』とか『仕事の行き帰りによく着てる』といった言葉が返ってきたんです。えー、作業着じゃないのかー、とも思ったんですけど、よく考えれば『作業の前後に着るもの』も広い意味で『ワークウェア』だな、と。かなりニッチではあるものの、そういうニーズがあるならその方面にとことん寄せてみよう、というわけで、このTシャツ企画はスタートしました」
009シリーズの魅力は、豊富なデザインだけではない。生地は、内側に「冷感Sorona」と呼ばれるポリエステル素材、外側にコットンというW仕様。汗やムレの不快感を徹底的に排除するハイスペックTシャツなのだ。
「ただの接触冷感ではなく、外側を綿にしてあるのがポイントです。化繊の冷感素材は体温を外に移動させるのに対し、コットンは熱伝導が低いので外の熱気をシャットアウトしてくれます。だから、綿100%のTシャツや速乾性のものより炎天下でも快適に着られますね。また、毛羽立ちを抑えたシルクタッチのコットンなので、ナチュラルな風合いに加えて高級感もあります。ここまでやれば、ニッチな分野のてっぺんを取れるかな、と」
凝りすぎと言っていいレベルのプリントも効果的だ。ファッションにまるで興味がない人だろうと、通りすがりの婆さんだろうと、「なんかすごいね」と口にさせるだけの説得力がある。
仕事の前後に着るTシャツもワークウェアである--。この考えを突き詰めれば、安全靴を脱いだときのサンダルやバイク通勤で着る上着はもちろん、家でゴロゴロしている格好すら、ワークウェアになってしまうのではないか……。
一線を越えた発想から生まれる衝撃のアイテム。これからもI’Zは要チェックだ。
取材に応じてくれたのは、アイズフロンティア企画販売部の井出さんと森山さん。本誌登場は久々なので、まずは近年の商品展開から春夏コレクションの全体像まで、ざっくりと聞くことにした。
「アイズは2013年の創業なので、来年で15年目になります。代表作のデニム作業着『7250』の発売からも10年以上になり、年々、品番の数も増えてきました。今まで、ワンシーズンで売り切る限定販売の商品が多かったのですが、これからは継続アイテムの在庫をしっかり抱えていく予定です。そして、ショップはもちろんのこと、小さな会社へのユニフォーム納入などにも力を入れていきたいですね。倉敷市の市街地にあった本社も倉庫に隣接した郊外に移転しましたし、物流体制の強化にも取り組んでいるところです」
ショップ店頭で目立ちまくっているI’Zが、ユニフォーム納入を狙う--。少し意外な気もするけれど、10年も経てば大きく変わるのは当然かもしれない。かつて細身のストレッチデニムを着ていた20代は、現在30代になっているし、安定して数が出る人気商品は、やがて定番のロングセラー品番となっていく。今はそんな過渡期というわけだ。
「もちろん普通のメーカーになるわけではありません。仕事中でも個性を出したいユーザーや、現場で存在感をアピールしたい事業者さんの期待に応えられるようなアイテムを展開していくのでご期待ください。たとえば、I’Zの代名詞であるデニム作業着は、毎年、時代感覚に合わせてアップデートした新作を出しています。さらに今回は、3年ぶりにファン付きウェアの新デバイスを発表しました。先行メーカーと戦えるスペックだと自負していますので、ぜひ対応ウェアも含めてチェックしてほしいですね」
●MIXカルチャーでGO
そんな井出さんが、「今回のイチオシ」と語るのは、ライダース風の「3490」シリーズとドライタッチの「5400」シリーズ。両者とも、I’Zの定番と言っていい細身の上下作業着だが、目指している路線はけっこう違っている。
「まず『3490』が狙ったのは、着丈が短く袖がシュッとした“ライダースの味”の追究です。ロングセラーの『7250』のDNAを引き継いだシルエットに、I’Zのアイデンティティでもある目立つ要素を取り入れて、先鋭的でスポーティーなルックスにまとめ上げました。夏のウェアなので、涼しさや肌触りのよさは当然ですが、I’Zに求められている要素や職人さんのカッコよさを引き出すデザインにも力を入れました。価格的にお求めやすいのもポイントですね」
お得意のロゴもひねりを利かせてあるせいか、シンプルながら既視感のない不思議なテイスト。これなら若いスタッフの多い工務店などのユニフォームにしてもよさそうだ。
「なるほど、目指したのは制服っぽさ……」と言いかけたとき、井出さんはもうひとつのイチオシ商品「5400」シリーズを取り出した。……ガラだ、ド派手ガラだ! こちらは素材やシルエット以前に、「ガラ!」としか言いようがない特大インパクト商品である。
「この限定生産の『レヴェリー』は、見栄えや攻めの姿勢を重視して、とにかく派手に行こう! と。パッと見ただけだと、ただ目立ちたいだけのガラと思うかもしれません。しかし、じつはこれ、工場夜景の写真を加工して作ったものなんです。つまり、ワーキングカルチャーの一部というわけで、オシャレを楽しみつつも、仕事に誇りを持ってもらうことをひそかに狙っています」
3490とは対称的な「超・個性派」のアイテムだが、ブラックを選べば「かなり個性派」程度に抑えられ……いや、胸のキラキラプリントや上下分かれたデカいロゴなど、「自己主張」の4文字からは逃れられないし、もう逃れなくていい気もしてきた。
かなり新奇なアイテムに見えるけれど、企画としては「既存の人気素材を新デザインにアップデートしてみただけ」とのこと。ごく普通の開発フローから、こういうものが出てくるのだから、I’Zらしいというか、なんというか……。一体その秘訣はなんなのだろう?
「うーん……、言葉にするなら『パレード』ですね。スポーティーとかミリタリーといかいったテイストにこだわらず、MIXカルチャーをバンバンとパレード的に展開する。このことを意識しています」
●なぜ「Tシャツ」なのか?
続いて、井出さんが「ぜひ見てほしい」と前のめりになったのは、接触冷感Tシャツ「009」シリーズ。夏用アイテムとして作業着メーカーがポロシャツやTシャツを展開するのは、今やよくあること。しかし、あくまでサブジャンルの商品であって、Tシャツの話を熱心にされてもなぁ……。そんなモヤモヤは一瞬で吹き飛んだ。
とにかく、数がすごい! 白と黒のカラーにそれぞれ10デザイン、合計20種類のTシャツをそろえたという。
「開発のきっかけは、『仕事中にI’Zの服はあまり着ない』というユーザーの声を聞いたことです。じゃあどんなときに着てるのかな? といろいろ聞いてみると『作業が終わってからの着替え』とか『仕事の行き帰りによく着てる』といった言葉が返ってきたんです。えー、作業着じゃないのかー、とも思ったんですけど、よく考えれば『作業の前後に着るもの』も広い意味で『ワークウェア』だな、と。かなりニッチではあるものの、そういうニーズがあるならその方面にとことん寄せてみよう、というわけで、このTシャツ企画はスタートしました」
009シリーズの魅力は、豊富なデザインだけではない。生地は、内側に「冷感Sorona」と呼ばれるポリエステル素材、外側にコットンというW仕様。汗やムレの不快感を徹底的に排除するハイスペックTシャツなのだ。
「ただの接触冷感ではなく、外側を綿にしてあるのがポイントです。化繊の冷感素材は体温を外に移動させるのに対し、コットンは熱伝導が低いので外の熱気をシャットアウトしてくれます。だから、綿100%のTシャツや速乾性のものより炎天下でも快適に着られますね。また、毛羽立ちを抑えたシルクタッチのコットンなので、ナチュラルな風合いに加えて高級感もあります。ここまでやれば、ニッチな分野のてっぺんを取れるかな、と」
凝りすぎと言っていいレベルのプリントも効果的だ。ファッションにまるで興味がない人だろうと、通りすがりの婆さんだろうと、「なんかすごいね」と口にさせるだけの説得力がある。
仕事の前後に着るTシャツもワークウェアである--。この考えを突き詰めれば、安全靴を脱いだときのサンダルやバイク通勤で着る上着はもちろん、家でゴロゴロしている格好すら、ワークウェアになってしまうのではないか……。
一線を越えた発想から生まれる衝撃のアイテム。これからもI’Zは要チェックだ。
インパクト大の「工場夜景ガラ」
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「今後もI’Zにご期待を!」
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気高さの中に反骨の魂を! 街中で魅せるミリタリー作業着「3130」シリーズ 凛とした立ち襟にソリッドなスタイルが際立つ上下作業着。生地は強度の高いナイロンリップ。ストレッチ性にも優れているほか、ドライタッチで汗や蒸れの不快感を抑える。上下で合わせたとき、デザインテープが「A」ラインになる演出もまたニクい。 |
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「格」の違いを見せつけろ! 高級かつモードな作業着「3300」シリーズ 縦ファスナーの胸ポケットにラグジュアリーなエンボスプリントなど、小技が光る上下作業着。ナイロンにポリウレタンを配合した生地は全方向に高いストレッチ性を持つほか、冷感性もあって夏場のハードワークにぴったり。パンツは足さばきのいいジョガースタイル。 |
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